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しおりを挟むノックの音が聞こえる。
「ミリアリア様、おはようございます」
ライザがカーテンを開けたため、朝日が入ってくる。
うーん、よく寝た。
朝の支度を始めてくれてる間、お兄様の地位向上のための作戦を考えてみる。
さて、いったい何からしたらいいのかしら。
お兄様がお父様の子ではないかもしれない疑惑を晴らすためには、お母様の疑惑も晴らさないと。
そもそも、お父様とお母様って仲良いのかしら……?
そこで、いつもの二人を思い浮かべてみる。
私が二人と会うのは、ほとんどが食事の時。
それ以外は、あまり会う機会がないのよね……
その家族団欒できる唯一の機会に、お兄様はいない。いつもお部屋でお一人で食事をされている。
いや、なんでよ。ひどくない? 家族のうち一人だけ部屋で食べるって!! それをつい最近まで当たり前だと思ってたなんて。
いけないいけない、思考がそれちゃったわ。
食事の時、そういえば二人が話されているところ見たことないかも……?
それぞれ私に話しかかけることはあっても、三人で会話したことないわね……
それに、たまに食事以外のときに会う場合はいつも別々で会いに来るのよね。
あら? もしかして、お父様とお母様って、仲悪い……?
今の今まで、気づかなかったけど。
お父様とお母様の結婚の経緯って、どんな感じなのかしら。
そこから、調べてみよう。
まずは、ライザに聞いてみようかしら。
「ねぇ、ライザ。あなた、お父様とお母様がなぜ結婚したのか分かる?」
「陛下達のご結婚ですか。私も王妃様がユジーノ王国からお輿入れされたことしか知りません」
「お母様って、ユジーノ王国ご出身だったの!?」
ユジーノ王国は、近隣諸国の中で一番の大国だ。
ミターメ王国の国力は、多分近隣諸国のなかで中の下ってところ。
お母様の出身を知らなかったなんて、いかに私が自分のことしか興味なかったのかが分かるわね。
そんな大国から嫁いでくるなんて、何かあったのかしら。
「どうして、そんな大国から嫁いできたのかしら」
「さあ、私はそこまでは……宰相様なら、そこのところ詳しいのでは?」
なるほど。膳は急げ。昨日みたいに、宰相の部屋へ突撃よ。と、その前に朝ご飯を食べないとね。
「ねぇ、ライザ。私今日はお兄様と朝ご飯を食べたいわ」
「わかりました。では、確認してまいります」
「ミリアリアから、食事のお誘いをもらえるなんて嬉しいな」
「私もお兄様と朝食をご一緒できて嬉しいです」
お兄様の下へ、食事のお誘いの使いを出したら、既にお部屋でお召し上がり中とのことだった。私もお部屋でご一緒していいか聞いてくれて、許可をもらったので一緒に食べれることに。
「なんだか、いつもよりご飯が美味しく感じるよ」
そう照れ笑いしながら言ってくれるお兄様。
プライスレス。
朝から、こんなイケメンと食事ができるなんて。
私も、いつもの食事の倍、美味しい気がする
ご飯何杯でもいけちゃうよ。
これからは、毎日家族団欒、一緒にご飯が食べれるように私、頑張りますからね。
「待っててくださいね、お兄様」
「ん? 何を?」
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