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しおりを挟むあれ、ベッドの天井が見える。また見た景色だわ。
そうそう、お兄様に謝りに西の塔へ行ったのよね。優しく抱きしめてくれて、多分和解をしたはず。
それにしても、お兄様とても良い匂いがしたわ~。うふふ。
ん? そういえば、私どうやって自分の部屋に戻ってきたんだっけ……
なんか、誰かがいた気が……そうそう、エドワルド様が……
「いやーーーーー」
「ど、どうされました。どこか、痛みなど?」
ライザが慌てて駆け寄ってきた。
「わた、し。私、エド、エドワルド様が、いて、いた。泣き顔、が……いやーーーーーー。あんなみっともない顔した私をエドワルド様に見られてしまったわ。どうしましょう、ライザ」
「エドワルド様がどうかされました?」
「だから、エドワルド様に変な顔を見られてしまったわ」
「……よく、わかりませんが、ミリアリア様はいつも可憐ですよ。泣き顔もお可愛らしかったですから大丈夫です」
ライザをじろりと睨めつける。
「ライザ、そういうことじゃないのよ……」
「……お体は大丈夫そうですね。ミリアリア様が目を覚まされたこと、アガルト様にご報告してまいります」
そう言って、ライザは部屋を出ていった。
まったく、ライザは分かっていないわ。イケメンにみっともない泣き顔を見られるなんて。せめて、もう少しおしとやかに綺麗に泣いていれば……
コンコン。
「ミリアリア、入っても大丈夫?」
お兄様が、わざわざ来てくれたみたい。
「どうぞ」
「ミリアリア。もう、起きても大丈夫かい?」
「はい、ご心配おかけしてごめんなさい」
「大丈夫なら良かった」
「あの、エドワルド様は怒っていませんでした?」
「エド? エドはべつに。どうして?」
「その、エドワルド様を見て、私、倒れてしまったみたいだから……嫌な気持ちになってないかと。それに、お兄様と一緒に怪我をさせてしまったから……」
「大丈夫だよ。エドも立派な騎士になれるように鍛えているから、怪我はたいしたことないよ。それに、エドは怖くみられがちだけど、とても優しいんだ」
「そう、ですか……エドワルド様にも、謝りたいのですがお会いしてくれるかしら」
「そうだね、謝れるのはいいことだよ。今度、城に来たときにミリアリアに知らせるよ」
「ありがとうございます」
「お父様達は、明後日にはお帰りになるよ。もう、今日は疲れただろう。お休み」
「はい、お休みなさい」
うん、と言って私の頭をなでてくれたあと、部屋を出ていこうとする背中に話しかける。
「あの、この前のことだけじゃなくて、今までほんとにごめんなさい……」
どんなお顔をされていたかわからなかったけど、また、うん、といって部屋を出ていった。
さて、これから忙しくなるわよ。お兄様を今までみたいな扱いをさせないんだから。
そのためには、まずお父様やお母様にもお兄様を可愛がってもらわないと。
周りの人達がお兄様達をこんなに軽く扱うようになったのは、私のせいでもあるけれど、そもそもお父様たちがあまりお兄様を可愛がっていないせいでもある。
お父様たちだって、自分の子ども、ましてや次期国王になる存在がこんなにひどい扱いをされているのは知っているはず。
それなのに、私のことばかり可愛がるものだからどんどんお兄様の扱いがひどいことになってしまった。
これには、理由がある。
まことしやかに囁かれている、噂。
お兄様は本当は、お父様の子ではないのではないかと……
あまりにもお父様にも、お母様にも似ていないものだから、こんな噂が流れてしまった。
お母様を疑うようで申し訳ないけど、まずは、それを調べないと。
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