94 / 117
閑話 エリシャ・ネージュ……
しおりを挟む
何で!何で分かってくれないのよっ!!
私が幸せになるおかげでお母さんも幸せになれるって言ってるのに!!
『ふざけないで!人の命を何だと思ってるの!!あんたは誰――??誰なの??』
お母さんの言葉が脳内に鳴り響く。
『そんな訳無いわ――!!私のエリシャは優しい子だった。人にあんな常識知らずな迷惑かけたり、義父親を見殺しにするような子じゃ無かった――……お前のような悪魔がエリシャであるものか!!返して!返してよ!!私の可愛いエリシャを返して!!』
ふざけないでよ!仕方のない犠牲じゃない!!死んでくれたお義父さんの為にも幸せにならなきゃいけないでしょ??
『あんたの為にやったのに――……?』
と私が言った言葉――お母さんは、顔を歪めて私を見たわ――そして『私も、ダグだってそんな事を望んじゃいないわよ!』って。
『幸福ですって?!あなたがした事の何処に幸福になれる道が続いてると思えるの?沢山の人に迷惑をかけて――!!王子様に愛される未来なんて来る筈が無いでしょう?!』
そんな事したって、嫌われるだけじゃない!!
お母さんのその叫びが、脳内で繰り返し響き渡る。嫌われる?誰が??私が??
どうして?私は幸福な人生を手に入れるのよ??そうでしょ?だって女神様が見せてくれた!!――……その通り同じ人達が私の目の前に現れたわ!!だから、あの笑顔で皆に囲まれて祝福される……そんな王太子妃になるのが私の運命なのよ?!!!だけど――
目
何処かの廊下でダグに呼ばれて気が付いた。何故そこにいるのか分からなくて、混乱している中、引きずられるようにしてダグに連れて帰られたあの日――。
あの時、アル様や攻略対象の皆がいて――もしかして何かのイベントが始まるのかも!ってワクワクしたのに――彼等は私の事をどんな目で見てただろう……?あれは、嫌悪――??
違う!違う、違う!!
そんな事あるわけないっ!!気の所為よね?そうよね!!!だって、私がヒロインだもの!!!
ガンッガンガンガン!!
音がした。その音が――身体の中から出てきたみたいに、頭が痛い。なに――これ――??
何??何?――ここ――何処――??
気が付いたら知らない裏道で、どうしてこんな所にいるのか分からない。ううん、何となくだけど歩いてここに来たような気がした。そして――今度こそ私の中から音が聞こえた――コンッコン!――ノックするような音だ――私はそれを見て引き込まれるように闇に落ちて行った――。
暗い――?
ココは何処だろう??
真っ暗で何も見えない場所――……一面が真っ黒の部屋??現実の場所には思えなくって、私は首を傾げた。もしかして夢を見てるのかな――??私は、ここに来る前の記憶を思い出した。
確か、何処かの裏道っぽい所にいたのよね――?路上で寝ちゃうのは流石に危ない気がするんだけど、ヒロインだし大丈夫って事かしら??
それから、何かあった気がするんだけど……?そうだ――
目があったんだ。
自分の中からノックの音が聞こえて――音のした所を見たのよ……。実際にって訳じゃないけど、確かに見た感覚がある。そして――私を見返す『目』をみたのだ。
あれは、誰だったんだろう――……?
そう思った瞬間、ゆらり――私のすぐ目の前が揺れて歪んで軋んで行く――。なんだろう――?変な事ばかりが起こる。やっぱり夢の中だからかな??
けど、これはあんまり好きな感じの夢じゃない。黒いだけだし。どうせ夢なら、女神様の所に行きたいのに……。毎回行ける訳じゃ無いのよね……。けど、私の幸福の為だもの、ちゃんと攻略できるような何かを女神様から教えて貰わなくっちゃ!
ギシリ、ギシリ――目の前が軋む。ヒビが入り始めたそこから、細くて美しい指が出て亀裂を掴んだ――バキバキと音を立てて鏡が割れるように欠片が下に落ちる――ほっそりとした、抜けるように白い腕が亀裂から伸びた――。
あぁ!そうなの?そうなのね!!
流れ落ちる黒い髪――サラサラと、艶やかな絹糸みたい。
顔はまだ見えないし、いつもと服装も違うけれど――きっと、ゲームみたいに上手く行かない状況を知って、私を助けに来て下さったんだわ!やっぱり、私は幸せになる運命だったのよ!!
黒いドレスを着たその方は清廉な――……雰囲気で――?
何故かしら??
全身を黒く覆うそのドレスは、肌の露出がほとんどない。なのに、この方を見た瞬間『妖艶』だと思ったの。そして脳裏に浮かんだ言葉――
『魔女』――……
逃げなきゃ――。唐突にそんな事を思ったわ。
何考えてるのかしら私――私に救いの手を差し伸べようと『女神様』が降臨なされたのに――……?
喜びこそすれ、不安になるだなんておかしいわよね??――おかしい、わよね……。
____________________________________________________
時系列的には少し前に戻ります……m(_ _)m
私が幸せになるおかげでお母さんも幸せになれるって言ってるのに!!
『ふざけないで!人の命を何だと思ってるの!!あんたは誰――??誰なの??』
お母さんの言葉が脳内に鳴り響く。
『そんな訳無いわ――!!私のエリシャは優しい子だった。人にあんな常識知らずな迷惑かけたり、義父親を見殺しにするような子じゃ無かった――……お前のような悪魔がエリシャであるものか!!返して!返してよ!!私の可愛いエリシャを返して!!』
ふざけないでよ!仕方のない犠牲じゃない!!死んでくれたお義父さんの為にも幸せにならなきゃいけないでしょ??
『あんたの為にやったのに――……?』
と私が言った言葉――お母さんは、顔を歪めて私を見たわ――そして『私も、ダグだってそんな事を望んじゃいないわよ!』って。
『幸福ですって?!あなたがした事の何処に幸福になれる道が続いてると思えるの?沢山の人に迷惑をかけて――!!王子様に愛される未来なんて来る筈が無いでしょう?!』
そんな事したって、嫌われるだけじゃない!!
お母さんのその叫びが、脳内で繰り返し響き渡る。嫌われる?誰が??私が??
どうして?私は幸福な人生を手に入れるのよ??そうでしょ?だって女神様が見せてくれた!!――……その通り同じ人達が私の目の前に現れたわ!!だから、あの笑顔で皆に囲まれて祝福される……そんな王太子妃になるのが私の運命なのよ?!!!だけど――
目
何処かの廊下でダグに呼ばれて気が付いた。何故そこにいるのか分からなくて、混乱している中、引きずられるようにしてダグに連れて帰られたあの日――。
あの時、アル様や攻略対象の皆がいて――もしかして何かのイベントが始まるのかも!ってワクワクしたのに――彼等は私の事をどんな目で見てただろう……?あれは、嫌悪――??
違う!違う、違う!!
そんな事あるわけないっ!!気の所為よね?そうよね!!!だって、私がヒロインだもの!!!
ガンッガンガンガン!!
音がした。その音が――身体の中から出てきたみたいに、頭が痛い。なに――これ――??
何??何?――ここ――何処――??
気が付いたら知らない裏道で、どうしてこんな所にいるのか分からない。ううん、何となくだけど歩いてここに来たような気がした。そして――今度こそ私の中から音が聞こえた――コンッコン!――ノックするような音だ――私はそれを見て引き込まれるように闇に落ちて行った――。
暗い――?
ココは何処だろう??
真っ暗で何も見えない場所――……一面が真っ黒の部屋??現実の場所には思えなくって、私は首を傾げた。もしかして夢を見てるのかな――??私は、ここに来る前の記憶を思い出した。
確か、何処かの裏道っぽい所にいたのよね――?路上で寝ちゃうのは流石に危ない気がするんだけど、ヒロインだし大丈夫って事かしら??
それから、何かあった気がするんだけど……?そうだ――
目があったんだ。
自分の中からノックの音が聞こえて――音のした所を見たのよ……。実際にって訳じゃないけど、確かに見た感覚がある。そして――私を見返す『目』をみたのだ。
あれは、誰だったんだろう――……?
そう思った瞬間、ゆらり――私のすぐ目の前が揺れて歪んで軋んで行く――。なんだろう――?変な事ばかりが起こる。やっぱり夢の中だからかな??
けど、これはあんまり好きな感じの夢じゃない。黒いだけだし。どうせ夢なら、女神様の所に行きたいのに……。毎回行ける訳じゃ無いのよね……。けど、私の幸福の為だもの、ちゃんと攻略できるような何かを女神様から教えて貰わなくっちゃ!
ギシリ、ギシリ――目の前が軋む。ヒビが入り始めたそこから、細くて美しい指が出て亀裂を掴んだ――バキバキと音を立てて鏡が割れるように欠片が下に落ちる――ほっそりとした、抜けるように白い腕が亀裂から伸びた――。
あぁ!そうなの?そうなのね!!
流れ落ちる黒い髪――サラサラと、艶やかな絹糸みたい。
顔はまだ見えないし、いつもと服装も違うけれど――きっと、ゲームみたいに上手く行かない状況を知って、私を助けに来て下さったんだわ!やっぱり、私は幸せになる運命だったのよ!!
黒いドレスを着たその方は清廉な――……雰囲気で――?
何故かしら??
全身を黒く覆うそのドレスは、肌の露出がほとんどない。なのに、この方を見た瞬間『妖艶』だと思ったの。そして脳裏に浮かんだ言葉――
『魔女』――……
逃げなきゃ――。唐突にそんな事を思ったわ。
何考えてるのかしら私――私に救いの手を差し伸べようと『女神様』が降臨なされたのに――……?
喜びこそすれ、不安になるだなんておかしいわよね??――おかしい、わよね……。
____________________________________________________
時系列的には少し前に戻ります……m(_ _)m
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
756
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる