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第二章 歓迎晩餐会
8.謁見
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この宮殿…めちゃ広い…
私の息が次第に上がってくるのに気づいて、ジェルヴェ殿下は少し歩調を緩めて私の顔を覗き込むように見た。
「どうなさいましたか。
私の歩き方が早すぎましたか」
私は立ち止まり、首を横に振る。
「いえ…大丈夫です」
「しかし、息が上がっておられる。
少しゆっくり行きましょう」
さっきよりも私の手をしっかりと握り、肘にかけて少し支えるように歩き出す。
私はさっきとは違った動悸がしてきて、ジェルヴェ殿下の手を離そうと試みるが、殿下はさらに力を込めて私の腕を離さない。
ちょっと…距離が近すぎるわ…
パニエがつっかえて却って歩きづらい。
やがて大きな扉の前に着き、ジェルヴェ殿下はようやく私の腕を離して、最初のようにそっと指を持つような格好に持ち替えた。
私は姿勢を正して、大きく深呼吸しようとして…
胸に大きな痛みが走る。
「っと!姫!」
思わず胸を抑えて腰を折った私を、ジェルヴェ殿下が咄嗟に腕を伸ばして支えてくれる。
「メンデエル王国、リンスター王女殿下、並びにジェルヴェ・ドゥ・アンデュエ公のお出ましでございます!」
侍従が大きな声で言い、ドアの前に立っていた執事が二人、扉の引手に手をかけて同時に引き開けた。
「大丈夫です」
私は気合でジェルヴェ殿下の手を振り払い、態勢を立て直してにこっと微笑む。
ジェルヴェ殿下は「…大したお方だ」と小さく笑って、私の手を取って前を向き「ゆっくり行きますよ」と囁くように言って、まばゆいほどの蠟燭の炎に照らされた広間へと歩みを進めた。
わ…すごい…
豪華な料理が所狭しと並んだ長い長いテーブルが大広間の両脇にあり、たくさんのルーマデュカの人々が座って拍手している。
殿下と私は花道のようにその間を進んでいき、正面のひときわ高い場所にある、玉座(というか王様と王妃様が座っているところ)の前で立ち止まって深くお辞儀をする。
肋骨が痛い…
息苦しい。
私は歯を食いしばって痛みに耐える。
王様は深くよく響く声で言葉をかけた。
「ようこそルーマデュカへ、リンスター王女。
王太子、臣民一同、あなたを歓迎している」
私はなんとか
「…勿体、ない、お言葉を、賜り、ありがとうございます、陛下」
と途切れ途切れに声を絞り出す。
私の様子に、広間はなんとなくざわめく。
言葉は聞こえないけれど、小馬鹿にしたようなその調子に私の心は冷える。
「陛下、王女殿下は昨日、お着きになられたばかりでお疲れが…」
とフォローしてくれようとするジェルヴェ殿下の言葉を遮って、王様は「よいよい」と鷹揚に口を開く。
「まだ言葉もおぼつかないのであろう。
急なことであったし、さまざま間に合わないのは仕方のないことであるよ。
これからゆっくり、この国に馴染んでいけばよい」
ち、げーよ!
私は心の中で悪態をつく。
でももう、言葉も出ず、私は一度お辞儀をした。
「席に着きましょう」
ジェルヴェ殿下は小さく言って私の腰に手を回して支え、王様の並びに設えられた席に向かう。
支えられて何とか顔を上げた私は、その時初めて、王太子の顔を見た。
私の息が次第に上がってくるのに気づいて、ジェルヴェ殿下は少し歩調を緩めて私の顔を覗き込むように見た。
「どうなさいましたか。
私の歩き方が早すぎましたか」
私は立ち止まり、首を横に振る。
「いえ…大丈夫です」
「しかし、息が上がっておられる。
少しゆっくり行きましょう」
さっきよりも私の手をしっかりと握り、肘にかけて少し支えるように歩き出す。
私はさっきとは違った動悸がしてきて、ジェルヴェ殿下の手を離そうと試みるが、殿下はさらに力を込めて私の腕を離さない。
ちょっと…距離が近すぎるわ…
パニエがつっかえて却って歩きづらい。
やがて大きな扉の前に着き、ジェルヴェ殿下はようやく私の腕を離して、最初のようにそっと指を持つような格好に持ち替えた。
私は姿勢を正して、大きく深呼吸しようとして…
胸に大きな痛みが走る。
「っと!姫!」
思わず胸を抑えて腰を折った私を、ジェルヴェ殿下が咄嗟に腕を伸ばして支えてくれる。
「メンデエル王国、リンスター王女殿下、並びにジェルヴェ・ドゥ・アンデュエ公のお出ましでございます!」
侍従が大きな声で言い、ドアの前に立っていた執事が二人、扉の引手に手をかけて同時に引き開けた。
「大丈夫です」
私は気合でジェルヴェ殿下の手を振り払い、態勢を立て直してにこっと微笑む。
ジェルヴェ殿下は「…大したお方だ」と小さく笑って、私の手を取って前を向き「ゆっくり行きますよ」と囁くように言って、まばゆいほどの蠟燭の炎に照らされた広間へと歩みを進めた。
わ…すごい…
豪華な料理が所狭しと並んだ長い長いテーブルが大広間の両脇にあり、たくさんのルーマデュカの人々が座って拍手している。
殿下と私は花道のようにその間を進んでいき、正面のひときわ高い場所にある、玉座(というか王様と王妃様が座っているところ)の前で立ち止まって深くお辞儀をする。
肋骨が痛い…
息苦しい。
私は歯を食いしばって痛みに耐える。
王様は深くよく響く声で言葉をかけた。
「ようこそルーマデュカへ、リンスター王女。
王太子、臣民一同、あなたを歓迎している」
私はなんとか
「…勿体、ない、お言葉を、賜り、ありがとうございます、陛下」
と途切れ途切れに声を絞り出す。
私の様子に、広間はなんとなくざわめく。
言葉は聞こえないけれど、小馬鹿にしたようなその調子に私の心は冷える。
「陛下、王女殿下は昨日、お着きになられたばかりでお疲れが…」
とフォローしてくれようとするジェルヴェ殿下の言葉を遮って、王様は「よいよい」と鷹揚に口を開く。
「まだ言葉もおぼつかないのであろう。
急なことであったし、さまざま間に合わないのは仕方のないことであるよ。
これからゆっくり、この国に馴染んでいけばよい」
ち、げーよ!
私は心の中で悪態をつく。
でももう、言葉も出ず、私は一度お辞儀をした。
「席に着きましょう」
ジェルヴェ殿下は小さく言って私の腰に手を回して支え、王様の並びに設えられた席に向かう。
支えられて何とか顔を上げた私は、その時初めて、王太子の顔を見た。
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