貴方と一緒で幸せですにゃーん

丸井まー(旧:まー)

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貴方と一緒で幸せですにゃーん

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 アルバーノは、肩を落として、とぼとぼと薄暗い道を歩いていた。今日もまたヘマをやらかして、上司や先輩達から、めちゃくちゃ怒られた。

 アルバーノは、街の役所で働いている。18歳で就職して、もう10年も経つのに、未だに新人でもしないようなミスをしてしまう。アルバーノが住んでいる街は大きくて、役所を訪れる人も多い。アルバーノは、戸籍課のカウンター担当なのだが、何人も待っている人がいると、つい焦ってしまい、つまらないミスを連発してしまう。訪れるお客さんにも、上司や先輩達にも、毎日のように頭を下げている。

 どうして自分はこんなに不出来なのか。学校の成績は悪くなかった。そのお陰で、倍率が高い役所に就職できた。学生時代は、友達をつくって遊んだりせずに、勉強ばかりをしていた。それが逆にいけなかったのだろうか。上司や先輩達は勿論、後輩とも、上手くコミュニケーションがとれない。年々、元々大して無かった自信が無くなってきており、今は、何をするでも、本当にこれで大丈夫なのかと不安になってしまう。家に帰っても、じわじわ不安が大きくなって、不眠症気味になって久しい。実家の両親は、会う度に、顔色が悪く、目の下に隈があるアルバーノを心配して、役所を辞めて、もっと別のアルバーノに合った仕事を探してみたらどうかと言ってくる。両親が純粋にアルバーノを心配してくれているのは分かっているが、それもまた、アルバーノの心を追い詰める要因の一つになっている。

 アルバーノは、俯いて、何度も溜め息を吐きながら、誰も待っていない暗い集合住宅の部屋に帰った。




ฅ^•ω•^ฅニャーンฅ^•ω•^ฅニャーンฅ^•ω•^ฅニャーン

 アルバーノが暮らす街には、獣人も多く住んでいる。獣人は人間よりも身体能力が高いから、色んなところで重宝されている。アルバーノが1人で暮らしている集合住宅の一室の隣の住人も、猫の獣人だ。一つ年上の隣人、猫獣人フェデーレは、とても人懐っこくて、優しくて、アルバーノが引っ越しの挨拶をした時から、なにかとアルバーノを気にかけてくれている。

 休日の朝。いつも通り、あんまり眠れなくて、でもいつもの時間に起きてしまったアルバーノが、部屋の掃除をしていると、玄関の呼び鈴が鳴った。アルバーノの家を訪ねてくるのは、両親以外じゃ、フェデーレだけだ。アルバーノは、箒を片手に玄関に向かい、ドアを開けた。
 ドアの外には、薄茶色の髪と猫耳の華やかに顔立ちが整った猫獣人が立っていた。フェデーレである。フェデーレが、琥珀色の瞳を輝かせて、ニッと笑った。


「おはよーっす。アルバーノ。そして誕生日おめでとう」

「おはようございます。あれ? 今日って僕の誕生日でしたっけ?」

「忘れてんのかーい。今日は花咲月の七の日だろ。アルバーノの誕生日じゃん」

「あっ。そういえば、そうだった」

「ということで、お兄さんと一緒にお出かけしようぜ! めちゃくちゃ安くて美味い定食屋を見つけてさ。誕生日だし、奢るぜー」

「あ、ありがとう、ございます。えっと、じゃあ、すぐに準備してきます」

「おー。急がなくてもいいぞー」

「散らかってますけど、椅子に座って待っていてください」

「アルバーノの部屋はいつでもキレイじゃない」

「そ、そうかな?」

「うん。俺の部屋より、はるかにキレイ」


 フェデーレが、ニッと笑って、部屋の中に入ってきた。アルバーノは、フェデーレに椅子をすすめると、すぐにパタパタと身支度を整え始めた。寝起きすぐに掃除を始めたので、まだ寝癖もなおしていない。
 アルバーノは、急いで無難な白い開襟シャツと黒いズボンを穿くと、洗面台がある脱衣場に向かった。洗面台で顔を洗って、うっすら生えていた髭を剃る。鏡を見れば、赤褐色の髪をした、顔色が悪くて目の下に隈がある冴えない風貌の疲れた顔が映っていた。子供の頃はちょっと自慢だった鮮やかな空色の瞳は、今はどんよりとしている。もう数年近く、いつもどんよりとした色をしている。

 髭の剃り残しが無いかをチェックしてから、短い赤褐色の髪を整え、歯磨きをしてから、脱衣場を出た。地味な茶色いジャケットを羽織り、内ポケットに財布と家の鍵を入れれば、準備完了である。
 アルバーノの部屋は、風呂トイレと狭い台所以外は、二部屋ある。一部屋は、食堂兼居間で、もう一部屋は寝室にしている。
 居間の椅子に座っているフェデーレの垂れた細長い尻尾は、ご機嫌にゆるく揺れていた。アルバーノは、本当につまらない人間なのに、フェデーレはとても仲良くしてくれる。アルバーノと居ても、いつもニコニコ笑ってくれる。そんなフェデーレの存在に、アルバーノはとても救われている。

 出かける準備を終えたアルバーノが、フェデーレに声をかけると、フェデーレが顔だけで振り返って、ニッと笑った。フェデーレは、すぐに椅子から立ち上がり、アルバーノの側に来た。成人男性の平均身長くらいのアルバーノよりも、フェデーレは頭半分背が高い。フェデーレは、お洒落さんで、今日も洒落たシャツを粋に着こなしている。


「昼飯前に、中央広場に行こうぜ。今日は月に一度の露店が並ぶ日だし」

「はい」

「じゃあ、しゅっぱーつ!」


 フェデーレが楽しそうに笑って、アルバーノの背中をやんわりと押した。フェデーレと一緒に家を出て、中央広場へと向かう。フェデーレは、運送屋で働いている。主に引っ越しを手伝ったり、重たい荷物を配達したりしているそうだ。歩きながら、フェデーレが面白可笑しく職場であった楽しかった事を話してくれる。アルバーノは、本当に楽しそうなフェデーレにつられて、気づけばクスクス笑っていた。職場では勿論、実家に帰った時も、今は上手く笑えないのに、フェデーレが一緒だと、いつも気がついたら笑っている。アルバーノは、フェデーレの隣を歩きながら、少し久しぶりに、真っ直ぐに前を見た。

 中央広場では、様々な露店が立ち並んでいた。色んな露店を2人で冷やかしていると、フェデーレが装飾品を扱う露店の前で足を止めた。フェデーレが、陳列されている琥珀色の石がついたループタイを指差して、露店の店主に話しかけた。


「これって本物の琥珀?」

「そうですよ。まぁ、質はそんなに良くないですけどね」

「これ、いくら?」

「1000バール」

「ちょっと安いかなー。んー。でも結構いい色してるし、似合いそうだからいっか。これ、ちょうだい」

「まいど」

「アルバーノ」

「はい?」

「はい。誕生日プレゼント」

「えっ!? 僕にですか!?」

「そうそう。ちょっとお安いけど、デザインも色も、アルバーノに似合いそうだし。どれどれ。早速着けてみよう」


 アルバーノが驚いている間に、ささっとフェデーレが琥珀がついたループタイをアルバーノに着けた。ループタイなんてお洒落アイテムが、自分に似合うとは思えないのだが、フェデーレは、とても満足そうにしている。アルバーノは、照れ臭さと一緒に、じわじわと嬉しさが込み上げてきて、はにかみながら、フェデーレを見上げてお礼を言った。


「ありがとうございます。大切にします」

「にゃはっ! そうしてもらえると嬉しいかな」


 フェデーレが嬉しそうに笑って、細長い尻尾を、ゆるくアルバーノの腰に巻きつけた。


「そろそろ昼飯時だし、定食屋に行こうかー」

「はい。楽しみです」

「鶏を真っ二つに切って揚げてあるやつが一番のオススメ。本当にめちゃくちゃ美味いから!」

「豪快ですねぇ」

「ねー。野菜ゴロゴロのスープも美味かったし、パンも毎日店で焼いてるんだってさ」

「ほぁー。それはすごいです。定食屋さんって、パン屋さんから配達してもらう所の方が、多分多いですよね?」

「だと思うよー。出す時には軽く焼き直してくれるから、外側パリパリ中ふっくらの美味しいパンが食えちゃうのよ。それでもお値段は良心的という素晴らしいお店」

「すごいなぁ」

「ねー」


 アルバーノは、フェデーレの話を聞いて、すごくワクワクしてきた。フェデーレとは、たまに一緒に食事に行ったりするが、フェデーレのオススメは外れた事がない。アルバーノは、フェデーレとお喋りしながら、定食屋へと向かった。

 フェデーレのオススメの定食屋は、どれを頼んでも美味しかった。フェデーレと違うものを頼んで、2人で分けっこして食べたのだが、本当にどれも美味しくて、フェデーレとメニュー全制覇の為に、また来ようと約束した。

 定食屋を出て、満腹のお腹を擦りながら、アルバーノはふふっと小さく笑った。こんなに食べられたのは久しぶりかもしれない。不眠症気味なせいか、食欲も落ち気味になっていた。フェデーレとの食事が本当に楽しくて、いつもよりも多く食べられた。なんだか、ここ最近特に落ち気味だった心が、久しぶりに穏やかに凪いでいる。
 アルバーノは、フェデーレを見上げて、笑ってお礼を言った。


「ありがとうございました。本当に美味しかったです」

「それは何より! また此処に来て、全メニューを制覇しようぜ!」

「はいっ!」


 アルバーノは、楽しそうなフェデーレと顔を見合わせて、ふにゃっと笑った。
 折角だから、夕食も一緒に食べようということになった。アルバーノはフェデーレと一緒に、夕食の時間まで、街中を散歩し始めた。フェデーレとポツポツ話しながら、春の陽射しを浴びていると、なんだかどんどん重かった心が軽くなっていく気がする。アルバーノは、フェデーレと喋りながら、チラッとフェデーレを見上げた。フェデーレは、本当に不思議な人だ。温かくて、優しくて、まるで柔らかい陽だまりのような人だと思う。フェデーレは、いつも、日陰にいるアルバーノを、陽の下に連れ出してくれる。アルバーノは、沢山の笑顔をくれるフェデーレに、何かお返しがしたいなぁと心から思った。

 フェデーレのオススメの飲み屋は、料理も酒も美味しくて、アルバーノは、ついつい飲み過ぎる程、美味しい料理と酒とフェデーレとの会話を楽しんだ。今日一日で笑い過ぎて、明日は顔が筋肉痛になりそうな気がしてくる。
 夕食は、割り勘で支払って、すっなり暗くなった道を、フェデーレと一緒に歩いた。

 2人が住んでいる集合住宅が見えてくると、アルバーノは、もう少しでいいから、フェデーレと一緒にいたいなぁと思った。酔いでふわふわした今なら、普段はできないおねだりもできるような気がしてくる。
 アルバーノは、フェデーレのシャツの裾をちょんと摘んで、フェデーレの顔を見上げた。


「僕の部屋で飲みませんか? もうちょっと一緒にいたいです」

「いいよー。でもね。アルバーノ君や」

「はい?」

「そう言い方は勘違いされちゃうぞ?」

「勘違い? なんの?」

「……うん。まぁ、色々と……男は狼なのよ! 気をつけるのじゃ!」

「フェデーレさん、猫獣人じゃないですか」

「あ、はい。まぁ、そうなんだけど」


 フェデーレをじっと見上げていると、フェデーレの目尻のあたりが、じわぁと赤く染まった。もにょもにょと何か言っているが、声が小さ過ぎて、いまいち聞き取れない。一応「いいよー」と言ってもらえたし、アルバーノは、深く考えずに、フェデーレと一緒に家の中に入った。

 アルバーノは、普段はそんなに酒を飲まない。基本的に、自分では酒を買わないのだが、少し前に父から貰った蒸留酒がある。父は蒸留酒が大好きで、美味しかったものは、アルバーノの家にも持ってくる。父的には、アルバーノにも蒸留酒にハマって欲しいらしい。アルバーノは、蒸留酒は普通に好きという感じである。どちらかと言えば、甘い果実酒の方が好きだ。

 たまーに両親が来たりするので、予備の折りたたみ式の椅子はある。アルバーノは、いそいそとグラスと蒸留酒の瓶をテーブルに運び、予備の折りたたみ式の椅子を部屋の隅から運んだ。
 フェデーレと向かい合って座り、グラスに蒸留酒を注いで、カチンと軽くグラスをぶつけて、乾杯をする。一口飲んでみれば、父が「これ本当にすっごく美味しいから!」と言っていただけあって、香りが芳醇で、確かに美味しかった。一口飲んだフェデーレが、ぱぁっと華やいだ笑みを浮かべた。


「うんまー! いや、本当に美味いな。この酒」

「父から貰ったんです」

「アルバーノのお父さんとは、一度一緒に飲んでみたいな」

「フェデーレさんも蒸留酒派ですもんね」

「まぁね。でも、美味い酒なら何でも好きかな」

「僕1人じゃ飲みきれないから、どんどん飲んじゃってください。美味しく飲んでくれる人の方が、お酒も嬉しいです」

「にゃはっ! じゃあ、遠慮なく」


 フェデーレが、とても嬉しそうにグラスを傾けた。味わうようにゆっくりと飲んでいるフェデーレを眺めながら、アルバーノもちびちびと蒸留酒を飲む。飲み屋で少し飲み過ぎたからか、身体が熱くて、頭がふわふわする。目の前のフェデーレの柔らかい笑顔も、優しい声も、すごくいいなぁと思う。フェデーレは、職場では人気者っぽい。当然だろう。凛々しく華やかに整った顔立ちに、いつでも明るい笑顔を浮かべていて、話上手の聞き上手な上に、気配り上手だ。確実にモテまくっているのだろうが、アルバーノが知る限り、フェデーレに恋人がいた事はない。なんだか、沢山の人に人気がある素敵なフェデーレを独り占めしているようで、じわぁっと嬉しくなってくる。

 アルバーノが、グラスを片手に、くふくふ上機嫌に笑っていると、フェデーレがニコニコ笑いながら、片手を伸ばして、アルバーノの頭をやんわりと撫でた。フェデーレの手は、ゴツくて硬いが、とても温かくて、優しい。もっと撫でて欲しくて、フェデーレの手に頭を擦りつけると、フェデーレの笑みが益々輝いた。

 優しくアルバーノの頭を撫でていたフェデーレの手が、やんわりとアルバーノの頬に触れた。


「アルバーノ」

「はい」

「……お兄さんと気持ちいい事しちゃう?」

「はい」


 気持ちいい事が何なのか、いまいち分かっていないが、アルバーノは、フェデーレの優しい手が心地よくて、へにゃっと笑って、頷いた。




ฅ^•ω•^ฅニャーンฅ^•ω•^ฅニャーンฅ^•ω•^ฅニャーン

 アルバーノは、全裸の状態で、ベッドに仰向けに寝転がっていた。アルバーノの肌を、熱くて微かにざらついたフェデーレの舌が這っている。フェデーレに、耳も首も脇も存在感が薄い乳首も肉付きが薄い腹や細い脛、内腿に、足の指まで舐め回された。フェデーレの硬くて大きな温かい手と舌が触れるだけで、気持ちよくて堪らない。

 アルバーノの下腹部を舐め回していたフェデーレが、熱くて微かにざらついた舌で、自然と勃起してしまったアルバーノのペニスの裏筋を、根元あたりから、ねろーっと舐め上げた。気持ちよ過ぎて、どっと先走りが溢れ出てしまう。アルバーノのペニスは、そんなに大きい方じゃない。同じく全裸になっているフェデーレのペニスの方が、ずっと大きい。おまけに仮性包茎だ。

 フェデーレが、琥珀色の瞳をギラギラと輝かせながら、じっとアルバーノを見つめ、ぴんっと天に向かって勃起しているアルバーノのペニスの皮を、ゆっくりと優しく指で剥いた。完全に露出した敏感な亀頭と皮の境目をねっとりと舐められる。気持ちよ過ぎて、思わず裏返った意味のない声が出てしまう。フェデーレが、アルバーノのペニスの竿に頬擦りをしながら、小さく笑った。


「ちょっと恥垢が残ってる。全部キレイにしてやるな」

「あぁっ!? あっ! ま、まって! で、でちゃうっ! でちゃうからっ!」

「ここ、舐められるのは初めて?」

「う、うん」

「そっかー。にゃはっ! じゃあ、気合入れて舐めなきゃな」

「あの、その、ほんと、出ちゃうからっ」

「んーー。アルバーノ。最高で何回出したことある?」

「え? えっと、多分、二回。その、そんなにしないから……」

「おや。じゃあ、全力で舐めまくるのはまた今度。よいしょっと」


 フェデーレが、アルバーノのペニスから手を離し、四つん這いで這うようにして、アルバーノに覆いかぶさってきた。ぬるーっと下唇を舐められて、ちゅくっと優しく吸いつかれる。これもじわっと気持ちがいい。アルバーノは、フェデーレの真似をするように、フェデーレの下唇を優しく吸った。舌を伸ばして、フェデーレの熱い舌に絡めれば、フェデーレが嬉しそうに目を細めて、優しく頭を撫でてくれた。なんだか、すごく嬉しくて、アルバーノは、フェデーレの舌にぬるぬると自分の舌を絡ませた。

 フェデーレの顔が離れて、フェデーレが少し動いた。目の前に、逞しく盛り上がったフェデーレの胸筋がある。フェデーレが、優しくアルバーノの頭を撫でながら、囁いた。


「俺の乳首を舐めてくれよ。その間に準備終わらせるから」

「はい」


 なんの準備かは分からないが、アルバーノは、目の前にある茶褐色のちょっとぷっくりした乳首に、おずおずと舌を這わせた。くにっとした感触が、舌に楽しい。フェデーレにしてもらったみたいに、乳頭を尖らせた舌先でチロチロと舐め、ピンと硬くなった乳首を転がすように舐め回し、大きめの乳輪ごと、口に含んで、ちゅくちゅくとフェデーレの乳首を吸う。フェデーレが、片手でアルバーノの頭を抱き締めて、優しく頭を撫でながら、掠れた息を吐いた。


「はっ……あぁ……アルバーノ。いい子だ。すごく、上手」

「んっ」

「もうちょい強く……んぁっ、はっ、はっ、アルバーノ、嚙んでっ。あぁっ! いいっ! はっ、はっ、反対側も」

「んっ。はい」

「はっ、はっ、あぁっ……堪んねぇ」


 フェデーレの、常とは違う上擦った声に、なんだか酷く興奮する。アルバーノは、夢中でフェデーレの乳首を舐め、吸い、片手で意外と柔らかい胸筋を揉みしだいた。

 フェデーレが、ゆっくりと伏せていた身体を起こした。フェデーレは、目尻が真っ赤に染まっていて、なんだかすごく色っぽい。フェデーレがずりずりと移動して、アルバーノの股間を跨いだ。先走りがだらだら出ているアルバーノのペニスの竿を掴み、フェデーレがゆっくりと腰を下ろした。ペニスの先っぽに、熱くてぬるついたひくひくしているものが当たっている。流石に、ここまでくれば、そこが何かくらいは分かる。フェデーレのアナルに、アルバーノのペニスが触れている。

 フェデーレがゆっくりと腰を下ろし始めた。キツい締めつけのところを通り過ぎれば、熱くて柔らかいものにペニスが包まれていく。キツい締めつけのところで、ペニスの皮が自然と剥かれ、剥き出しになった敏感な亀頭に強い刺激を感じる。フェデーレの中が、気持ちよくて、気持ちよくて、本当に堪らない。

 アルバーノのペニスを根元近くまでアナルで飲み込んだフェデーレが、うっとりと笑いながら、自分の下腹部を撫でた。
 フェデーレが、後ろ手に両手をつき、膝を立てて、足を大きく広げた。フェデーレの大きな勃起したペニスや、美しい筋肉質な身体が、まるっと見えている。背筋がゾクゾクする程、興奮する。フェデーレが、身体全体を上下に動かすようにして、アナルでアルバーノのペニスを扱き始めた。フェデーレが動く度に、フェデーレの大きなペニスがぶらんぶらんと揺れて、ぺちぺちとアルバーノの下腹部に当たる。フェデーレの腹の中でペニスが揉みこまれるように腰をくねらせたフェデーレが、見たことがない色っぽい笑顔を浮かべて、問いかけてきた。


「気持ちいいか? アルバーノ」

「き、きもちいいですっ」

「にゃはっ! もっとよくしてやろうな」

「え、わ、あ、あ、フェデーレさんっ、まって、まって、でちゃうっ」

「は、は、あぁっ、くっそ、いいっ、あたるっ、あぁっ!」

「きもちいいっ、きもちいいっ!」

「あぁっ!? あぁ! あっ! あっ! アルバーノ! そこだっ! もっと! 突いてくれっ!」


 アルバーノは膝を立てて、めちゃくちゃに下から腰を突き上げ始めた。腰を突き上げる度に、きゅっとキツくフェデーレのアナルが締まる。あまりの気持ちよさに、もう本当に射精してしまいそうだ。


「あ、あ、あ、フェデーレさんっ! でるっ! でるっ!」

「にゃはっ! 出せよ! ほらっ! ほらっ!」

「あぁっ! そんなっ、締めないでっ、う、あぁっ……」

「は、あぁっ……」


 アルバーノは、一際強く腰を突き上げて、フェデーレの腹の中に精液をぶち撒けた。フェデーレが、うっとりとした顔で、ゆるゆると腰を揺すって、射精しているアルバーノのペニスを刺激してくる。アルバーノのペニスは、射精したばかりなのに、すぐにまた硬くなった。

 フェデーレが、ゆっくりと腰を上げて、自分のアナルから、アルバーノのペニスを引き抜いた。フェデーレがアルバーノに背を向けて、四つん這いになったかと思えば、細長い尻尾をふりふりしながら、自分のむっちりとした尻肉を両手で掴んで、ぐにぃと広げた。

 アルバーノは、のろのろと起き上がって、フェデーレの尻の前で膝立ちになった。尻尾の付け根近くにあるフェデーレのアナルは、ちょこっと口を開けて、ひくひくと大きくいやらしく収縮していた。こぽぉっとアナルの中から白い精液が溢れ出てきて、赤い会陰を伝い、ずっしりとした陰嚢に垂れ、ぽたっとシーツへと落ちていった。
 アルバーノは、興奮するがままに、勃起しているペニスを片手で掴んで、ペニスの先っぽをひくつくフェデーレのアナルに押しつけ、腰を動かして、一気にペニスを根元近くまで押し込んだ。


「あぁっ!!」


 フェデーレの中が気持ちよ過ぎて、ゆらゆらと揺れる尻尾が可愛くて、なんだか本当に堪らない。アルバーノは、腰を激しく振りながら、フェデーレの尻尾の付け根をゆるく掴んだ。


「あぁっ!? そ、そこはだめだっ!」

「気持ちよくない?」

「き、きもちよすぎて、むりっ! あっ! あっ! だめだめだめだめだめっ! いっくぅぅぅぅ!!」

「う、わぁ……す、ごい……」


 腰を振りながら、フェデーレの尻尾の付け根を優しく擦ると、フェデーレが背を反らすようにして、ビクンビクンと大きく身体を震わせた。唯でさえ締めつけがキツいアナルが、更にキツく締まる。

 多分だけど、フェデーレは、自分の腹側にアルバーノのペニスを擦りつけていた。「あたる」と言っていたから、もしかしたら、気持ちがいいところに当たるのかもしれない。アルバーノは、ゆらゆら動く尻尾の付け根をやんわり弄りながら、フェデーレの腹側をペニスで擦るよう意識しながら、腰をめちゃくちゃに激しく振った。


「にゃっ! いっ、いってるっ! あ、あ、あーーーーーーっ!」

「はっ、はっ、フェデーレさんっ、きもちいいっ、きもちいいよぉ」

「あっあっあっあっ! あぁっ! やべぇ! たまんねぇ! あっ! あっ! またっ! いぐっ!」

「フェデーレさんっ! 僕もっ、でちゃうっ! あ、あ、んーーっ!!」

「あぁぁぁぁぁぁっ!!」


 パンパンパンパンと肌同士がぶつかり合う音が響く程、強く激しく下腹部をフェデーレの尻に打ち付ければ、フェデーレが、またビクンビクンと大きく身体を震わせた。アルバーノは、我慢なんかできずに、また、フェデーレの腹の中に思いっきり射精した。

 はぁー、はぁー、と2人分の荒い息遣いが静かな部屋に響いている。アルバーノが、萎えたペニスをゆっくりとフェデーレのアナルの中から引き抜くと、フェデーレが伏せていた上体を起こし、身体全体で振り返った。

 フェデーレにぎゅっと抱きしめられて、食らいつくような勢いで、激しく唇を吸われ、口内をめちゃくちゃに舐め回される。間近に見える琥珀色の瞳は、涙で濡れていたが、ギラギラと獣のように輝いていた。
 アルバーノは、貪るようなキスをされながら、フェデーレに押し倒された。フェデーレが、べろーっとアルバーノの頬を舐めて、クックッと笑った。


「まだまだ気持ちよくなろうな?」

「……はい」


 アルバーノは、フェデーレに求められるがままに、何度も何度もフェデーレの腹の中に精液を吐き出し、初めての快感に溺れた。




ฅ^•ω•^ฅニャーンฅ^•ω•^ฅニャーンฅ^•ω•^ฅニャーン

 アルバーノが目覚め、しぱしぱする目を開けると、目の前に、フェデーレの穏やかな寝顔があった。カーテンの隙間から、日が差し込んでいる。朝の日差しで、フェデーレの長い睫毛に微かに残る涙の滴が、キラキラと光って見えた。

 アルバーノが、ぼーっとフェデーレの寝顔を見つめていると、フェデーレの長い睫毛が震え、ゆっくりと瞼が開いた。琥珀色の瞳がアルバーノを捉えて、嬉しそうな色を浮かべた。
 フェデーレが、ぺろっとアルバーノの鼻先を舐め、ペロペロとアルバーノの頬を舐め始めた。フェデーレの舌は、微かにざらついているから、少し擽ったい。アルバーノが、思わずクスクス笑っていると、フェデーレが舐めるのを止め、すりすりと鼻先をアルバーノの鼻先に擦りつけた。


「アルバーノ」

「はい」

「順番が逆だけどさ、俺と番になってよ」

「番? えっと……僕なんかでいいんですか……?」

「アルバーノがいいの」

「でも……」

「アルバーノは俺のこと好き?」

「……すっ、好きです。フェデーレさんは、いつも優しくて、温かくて、一緒にいて心から笑えます」

「にゃは! 照れるね! あのさ、アルバーノが今の仕事をすげぇ頑張ってるのは分かってるんだけど。再来月に、うちの運送屋の事務とか経理やってるお爺ちゃんが引退するのよ」

「はい」

「アルバーノさえよければ、俺と一緒に働かない? 俺ら獣人は基本的に脳筋だし、書類仕事とか数字が苦手なんだよねー」

「……僕なんかが、できるでしょうか……」

「できるよ。ちゃんと仕事は教えてもらえるし、アルバーノのペースでゆっくり仕事したら、きっと大丈夫」

「そう……なのかな……」

「うん。アルバーノを急かしたり、馬鹿にしたりする奴なんかいないし。むしろ、アルバーノが急かす側になるかもね。『早く書類を出してくださいっ!』って」

「……フェデーレさん。僕、僕なんかでよければ、フェデーレさんと一緒に頑張ってみたいです」

「ほんと!? やった! 『やっぱ無し!』は受け付けないからね!」

「は、はいっ! あ、あの、えっと、ぼっ、僕! 今の自分が、すごく嫌いで、かっ、変わりたいんです!」

「アルバーノは、いつでも頑張ってるし、可愛いよ?」

「……そう言ってくれるのは、フェデーレさんくらいですよ」

「そうかな? とりあえず、今のうちにいっぱい俺の匂いをつけておこっと」

「あはっ。擽ったいです」

「ふふーっ。アルバーノ。俺達のペースで、一緒に頑張ろうね。常に全力疾走じゃ疲れるから、のんびり歩いたり、時々立ち止まったりしながら」

「……はい。フェデーレさん」

「ん?」

「フェデーレさんの、そういうところ、大好きです」

「にゃは! てーれーるー!」


 フェデーレが、目元をじんわりと赤く染めて、むぎゅっとアルバーノの身体を抱きしめた。フェデーレの温かい肌の感触に、とても気持ちが落ち着く。フェデーレと一緒に、これから先を歩んでいきたい。一人ぼっちで俯いて生きていくのは、もう嫌だ。フェデーレの為にも、自分自身の為にも、卑屈になってる自分を変えたい。
 アルバーノは、心からそう思った。

 一ヶ月後。アルバーノは役所を退職して、フェデーレがいる運送屋で働き始めた。近々引退する予定の老爺は、とても優しい人で、ゆっくり丁寧に、でもしっかりと、仕事を教えてくれた。焦らずに、自分のペースでゆっくり仕事をすれば、ミスをすることが殆ど無くなった。運送屋で働いている獣人達も、皆、おおらかで気のいい人ばかりだった。

 毎朝、引っ越しの手伝いや、配達に行くフェデーレ達を見送り、夕方に帰ってきた彼らを出迎える。獣人達が書類仕事が苦手で嫌いなのは本当なようで、アルバーノは、働き始めて数週間もすれば、如何に早く獣人達に書類を提出させるかに、頭を悩ませることになった。それなりに大変ではあるが、仕事は楽しい。

 毎日、フェデーレと手を繋いで家に帰る。前に住んでいた集合住宅では、2人で暮らすには少し狭いからと、家族用の集合住宅の部屋を借りて、2人で暮らしている。毎日、アルバーノは、フェデーレと一緒に笑って過ごしている。

 フェデーレは、アルバーノの両親に挨拶をしてくれた。その時に、アルバーノの父と酒談議で盛り上がり、あっという間に仲良くなってしまった。アルバーノの母も、アルバーノの顔色や表情を見て、嬉しそうな顔で笑ってくれた。

 アルバーノは、夕暮れに染まる道を、フェデーレと手を繋いで、のんびりと歩きながら、小さく笑った。


「なに?」

「いえ。幸せだなって思って」

「にゃは! 俺も幸せー」

「えへへへへ」


 アルバーノは、ちょっぴり照れ臭くなって、繋いだ手をゆるく振った。

 フェデーレから、実は殆ど一目惚れだったと聞かされるのは、それから20年後のことだった。


(おしまい)

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「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした

亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。 カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。 (悪役モブ♀が出てきます) (他サイトに2021年〜掲載済)

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

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