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3:出会い
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フィガロは無鉄砲でも無駄に冒険心がある方でもない。近所に遊べる公園等はないし、引っ越したばかりで友達もまだいない。おそらく大通り方面に行ったのではないだろうかと当たりをつけ、ガイナは、全速力で大通りへと向けて走った。
あちこちの店でフィガロの今日の服装や特徴を話して目撃情報を得ながら、ガイナはなんとか脇道の隅っこにいたフィガロを発見した。
5歳くらいの男の子を抱っこして道の隅っこに座っているフィガロの隣には、赤毛の少女もいた。
「フィガロ!!」
「あ、父さん」
荒い息を吐きながらガイナが駆け寄ると、フィガロがほっとしたように顔を弛めた。迷子だと思われる小さな男の子はフィガロの首に腕を回しており、しがみつくようにして眠っていた。
「寝ちまってんのか?」
「うん。ちょっと前まで泣いてたけど」
「泣き疲れたか。坊主の名前は?」
「聞けてない。ずっと泣いてて」
「……まぁ、詰所に連れていきゃなんとかなんだろ。そっちのお嬢ちゃんは?」
「アンジェリーナ・ヒューストンです。フィガロの隣の席なの」
「お。そうなのか。フィガロの父親のガイナ・カルバンだ。ん? フィガロ。サンダルはどうした」
「アンジェリーナに貸した」
「サンダルが壊れて困ってた時にフィガロが来て、貸してくれたの。サンダルを返さなきゃいけないし、お礼もしたいから、うちのお店に来てもらおうとしてたの。そうしたら、この子を見つけたの。あ、うちは喫茶店をしてます」
「そうか。じゃあアンジェリーナも家まで送っていくか。とりあえずフィガロはおんぶで、チビッ子とアンジェリーナは抱っこな。アンジェリーナの家は?」
「道なりに歩いて、私の足で小一時間くらいの喫茶店よ。オムレツサンドイッチが有名なの」
「へぇ。今日は無理だが、近いうちに食いに行くわ」
「ありがとう」
「父さん。俺、普通に歩く」
「俺がお前らを担いで走った方が早ぇ。もうすぐ日が暮れるしよ。先にアンジェリーナを送ってから迷子のチビッ子を詰所に預けに行く。ここからだとアンジェリーナの家の方が近ぇ。本来なら逆の方がいいが、名前も分かんねぇとなると詰所で時間をとられっからよ。そうなると夜になっちまう。アンジェリーナの親御さんが心配すんだろ」
「おじさん。アンジーでいいわ」
「お、そうか」
「フィガロも。家族は皆私のことをアンジーって呼ぶの」
「ふーん」
「つー訳で、そろそろ行くぞ。のんびりしてるとマジで日が暮れちまう。フィガロ。それ、アンジーの荷物か? 俺が持つから先におぶされ。支えてやれねぇから、しっかりしがみついてろよ」
「うん」
ガイナはその場でしゃがんで、フィガロを背にのせ、荷物を持ち、アンジェリーナと男の子を抱えて立ち上がった。
「走るからしっかりしがみついてろよ。アンジーの喫茶店はどこだ?」
「道なりに真っ直ぐ行ったらあるわ」
「おう。じゃあ行くか」
ガイナはすぐに走り出した。全速力で走ると、振動が抱えている子供達の負担になるので、小走りでアンジェリーナの家へと向かう。
アンジェリーナの家の喫茶店にはすぐに着いた。喫茶店の前でアンジェリーナを下ろし、フィガロも背中から下ろすと、喫茶店の中から50代後半~60代前半くらいの赤毛の色男が出てきた。
「アンジー。随分と遅かったじゃない」
「シュルツおじいちゃん。ただいま」
「おかえり。そっちの人は?」
「同級生のフィガロとそのお父さんのガイナおじさん。帰りにサンダルが壊れちゃって、困ってたら助けてくれたの」
「そうなの? 孫を助けてくれて、ありがとうございます。祖父のシュルツ・ヒューストンです」
「ガイナ・カルバン。こっちは息子のフィガロ」
「……フィガロです」
「小さい子も貴方のお子さん?」
「いや、こっちのチビッ子は迷子なんだ。フィガロとアンジーが見つけて、今から詰所に連れていく。きっと親が探しているだろうから」
「そうなんだ。アンジーを助けてくれたお礼がしたいんだけど、別の日にした方が良さそうだね」
「礼なんていらんよ。当然のことをしただけだ」
「ガイナは軍人?」
「おう」
「だろうね。見たら分かるよ。じゃあ、休みの日にでも2人でまたおいでよ。俺のフレディのサンドイッチと珈琲は絶品だからさ。是非ともお礼にご馳走したい」
「あー……じゃあ、次の休みの日にでも来させてもらうわ」
「うん。そうして。フィガロ」
「なに?」
「ありがとね。アンジーと仲良くしてやってよ」
「……あ、うん」
「じゃあ、そろそろ詰所に向かうわ。またな、アンジー」
「うん。ありがとう。おじさん。フィガロ。また明日学校でね」
「……ん」
シュルツがフィガロのサンダルを脱いだアンジェリーナを抱き上げたので、フィガロが貸していたサンダルを履いた。ガイナはフィガロを片手で抱き上げ、その場から詰所を目指して走り出した。もうすぐ日が暮れる。ぐっすり眠っている幼児を早く詰所に連れていってやらなければ。ガイナはできるだけ子供達を揺らさないように気をつけながら、詰所へと急いだ。
詰所に着くと、ガイナは詰所の受付に真っ直ぐに向かった。受付の所には先客がいた。ぼさぼさの髪をした眼鏡をかけた冴えない風貌の、ガイナと同年代くらいの痩せた男だ。30代半ばだろう。ガイナは結婚と同時に長生き手続きをやめているので、今の肉体年齢は36歳だ。
受付にガイナ達が近づくと、受付に座っている軍人と話していた男がガイナ達の方を見た。
男が驚いたように大きな声を上げた。
「ニーズ!!」
男がガイナに飛びつくようにバッと近づいた。取り乱している様子の男に、ガイナはできるだけ穏やかな声を出した。
「アンタ、この坊主の父親か?」
「そうですっ! ちょっと目を離した隙にいなくなって……家の近くを探し回ったけど全然見つからなくて! もう本当にどうしようかと……貴方が見つけてくれたんですか!?」
「正確には俺の息子が見つけて保護した。アンタが詰所にいてくれて良かったわ。泣いてて自分の名前も言わなかったみてぇでよ。親を探すのに難儀するとこだった」
「怪我とかしてないですか!?」
「泣き疲れて寝てるだけだ」
「よ、よかったぁ……」
男が泣きそうに顔を歪めた。先にフィガロを下ろしてから、ガイナは寝ている子供をそっと男に受け渡した。男が心底ほっとしたように、眠っている子供を抱き締めた。
男が涙目でガイナを見上げた。
「本当にありがとうございます。僕はラウト・リディロと申します。本当に何とお礼を言ったらいいのか……」
「俺はガイナ・カルバンだ。こっちは息子のフィガロ」
「……フィガロです」
「ニーズを見つけてくれて本当にありがとう。フィガロ君」
「……別に」
「ガイナさん。何かお礼をさせていただきたいのですが……」
「いらん。俺もフィガロも当然のことをしただけだ。それよりも早く家に帰った方がいいぞ。もう日が暮れてる。家はどこだ?」
「あ、えっと、第3地区なんですけど……」
「あ? なら俺ん家の近所だな」
「え、あ、もしかして、最近引っ越されてきた方ですか?」
「おう」
「あぁ。じゃあ本当に近所です。僕の家は向かいの四つ隣でして」
「……もしかして、赤い屋根の家か?」
「はい」
「あぁ。なら一緒に帰るか。バーバラは治安がいいが、子連れだしな」
「え、あの……」
「俺は軍人やってる。ここが職場だ」
「あ、そうなんですか。僕は物書きをしています」
「ん? 作家先生か? すげぇな」
「い、いえ! 全然すごくないです。その、売れない小説家でして……」
「新しいもんを生み出す時点で十分すげぇわ。まぁ、とりあえず帰ろうぜ。子供がいるから、あんま遅くなってもよくねぇし」
「あ、はい」
「フィガロ。抱っこすんぞ」
「別に歩ける」
「流石に疲れてんだろ。おんぶの方が楽か?」
「……じゃあ、おんぶ」
「おう」
ガイナはフィガロをおんぶして、ニーズを抱っこしているラウトと一緒に詰所を出た。
眠る子供を起こさないように、静かな声で話しながら家路を急ぐ。
ラウトは現在ニーズの母親と離婚協議中で、今日はラウトの家でニーズの母親と話し合いをしていたらしい。ニーズはラウトが育てることになったそうだ。恐らく、ニーズは話し合いを終えて家から出ていった母親を追いかけたのだろう。ラウトは自分の父親とニーズの3人で暮らしているそうだ。
男女比が平等ではないので、当然溢れる男が出てくる。複婚が法的に認められており、女は最大5人まで夫を持つことができる。ニーズの母親は、収入が安定しない上に、暗い性格のラウトが嫌になって離婚を切り出したそうだ。本人が言っていたことなのでどこまで本当かどうかは分からないが、余所のご家庭の事情に首を突っ込むのもどうかと思うので、ガイナは静かにボソボソと話すラウトの話を聞いていた。
ガイナは途中で眠ってしまったフィガロをおんぶしたまま、ラウト達を家まで送り届け、自宅へと帰った。
あちこちの店でフィガロの今日の服装や特徴を話して目撃情報を得ながら、ガイナはなんとか脇道の隅っこにいたフィガロを発見した。
5歳くらいの男の子を抱っこして道の隅っこに座っているフィガロの隣には、赤毛の少女もいた。
「フィガロ!!」
「あ、父さん」
荒い息を吐きながらガイナが駆け寄ると、フィガロがほっとしたように顔を弛めた。迷子だと思われる小さな男の子はフィガロの首に腕を回しており、しがみつくようにして眠っていた。
「寝ちまってんのか?」
「うん。ちょっと前まで泣いてたけど」
「泣き疲れたか。坊主の名前は?」
「聞けてない。ずっと泣いてて」
「……まぁ、詰所に連れていきゃなんとかなんだろ。そっちのお嬢ちゃんは?」
「アンジェリーナ・ヒューストンです。フィガロの隣の席なの」
「お。そうなのか。フィガロの父親のガイナ・カルバンだ。ん? フィガロ。サンダルはどうした」
「アンジェリーナに貸した」
「サンダルが壊れて困ってた時にフィガロが来て、貸してくれたの。サンダルを返さなきゃいけないし、お礼もしたいから、うちのお店に来てもらおうとしてたの。そうしたら、この子を見つけたの。あ、うちは喫茶店をしてます」
「そうか。じゃあアンジェリーナも家まで送っていくか。とりあえずフィガロはおんぶで、チビッ子とアンジェリーナは抱っこな。アンジェリーナの家は?」
「道なりに歩いて、私の足で小一時間くらいの喫茶店よ。オムレツサンドイッチが有名なの」
「へぇ。今日は無理だが、近いうちに食いに行くわ」
「ありがとう」
「父さん。俺、普通に歩く」
「俺がお前らを担いで走った方が早ぇ。もうすぐ日が暮れるしよ。先にアンジェリーナを送ってから迷子のチビッ子を詰所に預けに行く。ここからだとアンジェリーナの家の方が近ぇ。本来なら逆の方がいいが、名前も分かんねぇとなると詰所で時間をとられっからよ。そうなると夜になっちまう。アンジェリーナの親御さんが心配すんだろ」
「おじさん。アンジーでいいわ」
「お、そうか」
「フィガロも。家族は皆私のことをアンジーって呼ぶの」
「ふーん」
「つー訳で、そろそろ行くぞ。のんびりしてるとマジで日が暮れちまう。フィガロ。それ、アンジーの荷物か? 俺が持つから先におぶされ。支えてやれねぇから、しっかりしがみついてろよ」
「うん」
ガイナはその場でしゃがんで、フィガロを背にのせ、荷物を持ち、アンジェリーナと男の子を抱えて立ち上がった。
「走るからしっかりしがみついてろよ。アンジーの喫茶店はどこだ?」
「道なりに真っ直ぐ行ったらあるわ」
「おう。じゃあ行くか」
ガイナはすぐに走り出した。全速力で走ると、振動が抱えている子供達の負担になるので、小走りでアンジェリーナの家へと向かう。
アンジェリーナの家の喫茶店にはすぐに着いた。喫茶店の前でアンジェリーナを下ろし、フィガロも背中から下ろすと、喫茶店の中から50代後半~60代前半くらいの赤毛の色男が出てきた。
「アンジー。随分と遅かったじゃない」
「シュルツおじいちゃん。ただいま」
「おかえり。そっちの人は?」
「同級生のフィガロとそのお父さんのガイナおじさん。帰りにサンダルが壊れちゃって、困ってたら助けてくれたの」
「そうなの? 孫を助けてくれて、ありがとうございます。祖父のシュルツ・ヒューストンです」
「ガイナ・カルバン。こっちは息子のフィガロ」
「……フィガロです」
「小さい子も貴方のお子さん?」
「いや、こっちのチビッ子は迷子なんだ。フィガロとアンジーが見つけて、今から詰所に連れていく。きっと親が探しているだろうから」
「そうなんだ。アンジーを助けてくれたお礼がしたいんだけど、別の日にした方が良さそうだね」
「礼なんていらんよ。当然のことをしただけだ」
「ガイナは軍人?」
「おう」
「だろうね。見たら分かるよ。じゃあ、休みの日にでも2人でまたおいでよ。俺のフレディのサンドイッチと珈琲は絶品だからさ。是非ともお礼にご馳走したい」
「あー……じゃあ、次の休みの日にでも来させてもらうわ」
「うん。そうして。フィガロ」
「なに?」
「ありがとね。アンジーと仲良くしてやってよ」
「……あ、うん」
「じゃあ、そろそろ詰所に向かうわ。またな、アンジー」
「うん。ありがとう。おじさん。フィガロ。また明日学校でね」
「……ん」
シュルツがフィガロのサンダルを脱いだアンジェリーナを抱き上げたので、フィガロが貸していたサンダルを履いた。ガイナはフィガロを片手で抱き上げ、その場から詰所を目指して走り出した。もうすぐ日が暮れる。ぐっすり眠っている幼児を早く詰所に連れていってやらなければ。ガイナはできるだけ子供達を揺らさないように気をつけながら、詰所へと急いだ。
詰所に着くと、ガイナは詰所の受付に真っ直ぐに向かった。受付の所には先客がいた。ぼさぼさの髪をした眼鏡をかけた冴えない風貌の、ガイナと同年代くらいの痩せた男だ。30代半ばだろう。ガイナは結婚と同時に長生き手続きをやめているので、今の肉体年齢は36歳だ。
受付にガイナ達が近づくと、受付に座っている軍人と話していた男がガイナ達の方を見た。
男が驚いたように大きな声を上げた。
「ニーズ!!」
男がガイナに飛びつくようにバッと近づいた。取り乱している様子の男に、ガイナはできるだけ穏やかな声を出した。
「アンタ、この坊主の父親か?」
「そうですっ! ちょっと目を離した隙にいなくなって……家の近くを探し回ったけど全然見つからなくて! もう本当にどうしようかと……貴方が見つけてくれたんですか!?」
「正確には俺の息子が見つけて保護した。アンタが詰所にいてくれて良かったわ。泣いてて自分の名前も言わなかったみてぇでよ。親を探すのに難儀するとこだった」
「怪我とかしてないですか!?」
「泣き疲れて寝てるだけだ」
「よ、よかったぁ……」
男が泣きそうに顔を歪めた。先にフィガロを下ろしてから、ガイナは寝ている子供をそっと男に受け渡した。男が心底ほっとしたように、眠っている子供を抱き締めた。
男が涙目でガイナを見上げた。
「本当にありがとうございます。僕はラウト・リディロと申します。本当に何とお礼を言ったらいいのか……」
「俺はガイナ・カルバンだ。こっちは息子のフィガロ」
「……フィガロです」
「ニーズを見つけてくれて本当にありがとう。フィガロ君」
「……別に」
「ガイナさん。何かお礼をさせていただきたいのですが……」
「いらん。俺もフィガロも当然のことをしただけだ。それよりも早く家に帰った方がいいぞ。もう日が暮れてる。家はどこだ?」
「あ、えっと、第3地区なんですけど……」
「あ? なら俺ん家の近所だな」
「え、あ、もしかして、最近引っ越されてきた方ですか?」
「おう」
「あぁ。じゃあ本当に近所です。僕の家は向かいの四つ隣でして」
「……もしかして、赤い屋根の家か?」
「はい」
「あぁ。なら一緒に帰るか。バーバラは治安がいいが、子連れだしな」
「え、あの……」
「俺は軍人やってる。ここが職場だ」
「あ、そうなんですか。僕は物書きをしています」
「ん? 作家先生か? すげぇな」
「い、いえ! 全然すごくないです。その、売れない小説家でして……」
「新しいもんを生み出す時点で十分すげぇわ。まぁ、とりあえず帰ろうぜ。子供がいるから、あんま遅くなってもよくねぇし」
「あ、はい」
「フィガロ。抱っこすんぞ」
「別に歩ける」
「流石に疲れてんだろ。おんぶの方が楽か?」
「……じゃあ、おんぶ」
「おう」
ガイナはフィガロをおんぶして、ニーズを抱っこしているラウトと一緒に詰所を出た。
眠る子供を起こさないように、静かな声で話しながら家路を急ぐ。
ラウトは現在ニーズの母親と離婚協議中で、今日はラウトの家でニーズの母親と話し合いをしていたらしい。ニーズはラウトが育てることになったそうだ。恐らく、ニーズは話し合いを終えて家から出ていった母親を追いかけたのだろう。ラウトは自分の父親とニーズの3人で暮らしているそうだ。
男女比が平等ではないので、当然溢れる男が出てくる。複婚が法的に認められており、女は最大5人まで夫を持つことができる。ニーズの母親は、収入が安定しない上に、暗い性格のラウトが嫌になって離婚を切り出したそうだ。本人が言っていたことなのでどこまで本当かどうかは分からないが、余所のご家庭の事情に首を突っ込むのもどうかと思うので、ガイナは静かにボソボソと話すラウトの話を聞いていた。
ガイナは途中で眠ってしまったフィガロをおんぶしたまま、ラウト達を家まで送り届け、自宅へと帰った。
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