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【小話3】ミーシャとルートの料理教室
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サンガレア領から王都へ戻った翌日、ルート先輩の引っ越しが行われた。個人での研究関連のものはそれなりに量があったが、それ以外の私物は少なく、掃除を含めても午後のお茶の時間までには引っ越しが完了した。
「ミーシャ」
「はい」
「使用人がいないなら、全部自分達で家事をしているのだろう?」
「はい。それぞれ当番を決めてやってます」
「なら、俺にも家事を教えてくれ。特に料理を。掃除はできる。洗濯は昔はしていたが、今は近所の洗濯屋に頼んでいたから一応そちらも頼む」
「洗濯は楽ですよ。魔導全自動洗濯機に洗剤と一緒に入れて、スイッチを押すだけですから」
「今はそんな便利なものがあるのか」
「はい。商会で販売されてます。うちで使ってる魔道具は、洗濯機も含めて、発売前の最新機種なんです。使用試験も兼ねてるんで、暫く使ったら使用報告書を提出しなきゃいけないんです。取扱説明書がありますから、それに沿って使ってください」
「分かった」
「料理は……早速今日やってみますか?持って帰ったばかりの豆腐がありますし、麻婆豆腐なんてどうでしょう?」
「俺でもできるのか?シチューくらいしか作れないんだが」
「結構簡単だから大丈夫ですよ」
と、いうことで、引っ越し初日から料理教室が行われることになった。
ルート先輩はミーシャの予備のエプロンを身に付け、ミーシャと共に台所に立っていた。
「よろしく頼む」
「はい。使う材料はこれです。挽き肉、豆腐、葱、生姜、唐辛子味噌、味噌、砂糖、醤油、酒、片栗粉、それからこれ!来春商会から発売予定の粉末鶏ガラスープのもと!」
「即席スープみたいなのか」
「はい。即席スープのコンソメも普通の料理に使ったりもしますよ」
「そうなのか」
「はい。では下拵えします。葱は包丁で細かく刻んで下さい。私は生姜の皮を剥いて、すりおろします」
普段から薬草の加工などをしているため、危なげなく、手早く作業が終わった。
「次に豆腐を切って、調味料を合わせます。豆腐崩れやすいので気をつけてください。だいたい小さめの一口サイズの四角形に切ってもらったら大丈夫ですよ」
「分かった」
ルート先輩は、柔らかく崩れやすい豆腐をあっという間にきれいに切ってしまった。いつもこの段階で崩してしまうミーシャはちょっぴり複雑な気持ちになった。
「調味料はこの料理用の計量スプーンを使います。分量はこっちのノートに書いてあります。このノートは基本的に台所に置いてます。他にも色々な料理の作り方がのってるんです」
「分かった」
ルート先輩はノート片手に黙々と計量を終えた。実に手早い。
「下拵えが終わったので、早速次の段階にいきましょう。鍋を火をかけて温めて、胡麻の油を入れて葱少量と生姜、唐辛子味噌を入れます」
ミーシャの言うとおりにルート先輩が動く。ジュワーといい音がし、胡麻と生姜のいい香りがした。
「軽く炒めたら、挽き肉投入!どーん」
ミーシャは横から挽き肉を入れた。
ルート先輩が木べらで挽き肉を解しながら炒める。全体が白みがかり、挽き肉が炒まった。
「挽き肉が炒まったら、水を大体グラス2杯半くらい入れます。そして残りの調味料を全て入れます」
「水は大体でいいのか?」
「少なければ足したらいいですし、多かったら煮詰めればいいので、大体で大丈夫です」
「そうか」
「味噌が溶けたら、豆腐を入れまーす」
ミーシャが横からルート先輩が切った豆腐を鍋に入れた。
「このまま、豆腐に軽く色が染みるまで煮ます。その後は水でといた片栗粉を入れて、残りの葱を散らせば完成です」
「本当に結構簡単だな」
「料理は分量と手順を守れば、たいていのものは食べられるように作れるもんです。美味しく作るには年季と工夫とセンスが必要になりますけど。あと材料の良し悪し」
「なるほど。薬の調合と同じようなもんだな」
「はい。似たようなものです」
話していると、豆腐にいい感じに色が染みた。ルート先輩が水とき片栗粉を緩やかに入れ混ぜる。とろみがついたら葱を散らして完成である。
「できたのか?」
「できてます!ばっちりです」
ミーシャがニッと笑って親指を立てたら、ルート先輩が嬉しそうな顔をした。
麻婆豆腐の鍋からはとても美味しそうな匂いがしている。
その日の晩御飯は、追加で作った野菜スープと麻婆豆腐を炊いた米にのせた麻婆丼だった。辛めの麻婆豆腐で白米がすすむ。マーシャルとロバートが旨いと誉めて、おかわりをすると、ルート先輩は擽ったそうな嬉しそうな様子で小さく笑った。
「ミーシャ」
「はい」
「使用人がいないなら、全部自分達で家事をしているのだろう?」
「はい。それぞれ当番を決めてやってます」
「なら、俺にも家事を教えてくれ。特に料理を。掃除はできる。洗濯は昔はしていたが、今は近所の洗濯屋に頼んでいたから一応そちらも頼む」
「洗濯は楽ですよ。魔導全自動洗濯機に洗剤と一緒に入れて、スイッチを押すだけですから」
「今はそんな便利なものがあるのか」
「はい。商会で販売されてます。うちで使ってる魔道具は、洗濯機も含めて、発売前の最新機種なんです。使用試験も兼ねてるんで、暫く使ったら使用報告書を提出しなきゃいけないんです。取扱説明書がありますから、それに沿って使ってください」
「分かった」
「料理は……早速今日やってみますか?持って帰ったばかりの豆腐がありますし、麻婆豆腐なんてどうでしょう?」
「俺でもできるのか?シチューくらいしか作れないんだが」
「結構簡単だから大丈夫ですよ」
と、いうことで、引っ越し初日から料理教室が行われることになった。
ルート先輩はミーシャの予備のエプロンを身に付け、ミーシャと共に台所に立っていた。
「よろしく頼む」
「はい。使う材料はこれです。挽き肉、豆腐、葱、生姜、唐辛子味噌、味噌、砂糖、醤油、酒、片栗粉、それからこれ!来春商会から発売予定の粉末鶏ガラスープのもと!」
「即席スープみたいなのか」
「はい。即席スープのコンソメも普通の料理に使ったりもしますよ」
「そうなのか」
「はい。では下拵えします。葱は包丁で細かく刻んで下さい。私は生姜の皮を剥いて、すりおろします」
普段から薬草の加工などをしているため、危なげなく、手早く作業が終わった。
「次に豆腐を切って、調味料を合わせます。豆腐崩れやすいので気をつけてください。だいたい小さめの一口サイズの四角形に切ってもらったら大丈夫ですよ」
「分かった」
ルート先輩は、柔らかく崩れやすい豆腐をあっという間にきれいに切ってしまった。いつもこの段階で崩してしまうミーシャはちょっぴり複雑な気持ちになった。
「調味料はこの料理用の計量スプーンを使います。分量はこっちのノートに書いてあります。このノートは基本的に台所に置いてます。他にも色々な料理の作り方がのってるんです」
「分かった」
ルート先輩はノート片手に黙々と計量を終えた。実に手早い。
「下拵えが終わったので、早速次の段階にいきましょう。鍋を火をかけて温めて、胡麻の油を入れて葱少量と生姜、唐辛子味噌を入れます」
ミーシャの言うとおりにルート先輩が動く。ジュワーといい音がし、胡麻と生姜のいい香りがした。
「軽く炒めたら、挽き肉投入!どーん」
ミーシャは横から挽き肉を入れた。
ルート先輩が木べらで挽き肉を解しながら炒める。全体が白みがかり、挽き肉が炒まった。
「挽き肉が炒まったら、水を大体グラス2杯半くらい入れます。そして残りの調味料を全て入れます」
「水は大体でいいのか?」
「少なければ足したらいいですし、多かったら煮詰めればいいので、大体で大丈夫です」
「そうか」
「味噌が溶けたら、豆腐を入れまーす」
ミーシャが横からルート先輩が切った豆腐を鍋に入れた。
「このまま、豆腐に軽く色が染みるまで煮ます。その後は水でといた片栗粉を入れて、残りの葱を散らせば完成です」
「本当に結構簡単だな」
「料理は分量と手順を守れば、たいていのものは食べられるように作れるもんです。美味しく作るには年季と工夫とセンスが必要になりますけど。あと材料の良し悪し」
「なるほど。薬の調合と同じようなもんだな」
「はい。似たようなものです」
話していると、豆腐にいい感じに色が染みた。ルート先輩が水とき片栗粉を緩やかに入れ混ぜる。とろみがついたら葱を散らして完成である。
「できたのか?」
「できてます!ばっちりです」
ミーシャがニッと笑って親指を立てたら、ルート先輩が嬉しそうな顔をした。
麻婆豆腐の鍋からはとても美味しそうな匂いがしている。
その日の晩御飯は、追加で作った野菜スープと麻婆豆腐を炊いた米にのせた麻婆丼だった。辛めの麻婆豆腐で白米がすすむ。マーシャルとロバートが旨いと誉めて、おかわりをすると、ルート先輩は擽ったそうな嬉しそうな様子で小さく笑った。
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