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死ぬまで愛せよ。相棒

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 セシリオは、全速力で駆けながら、隣を走る相棒のロレンソに声をかけた。


「右から回れ! 袋小路に追い込むぞ!」

「おうよ!」


 セシリオは、逃走中の空き巣犯を追い詰めるべく、走る速度を上げた。袋小路に追い詰めようと、セシリオより足が速いロレンソが、いい感じに動いてくれて、空き巣犯は、どんどん袋小路になっている所へと走っていく。

 小半時も走れば、空き巣犯は袋小路に入り込んだ。自棄糞になったのか、小さなナイフを片手に、空き巣犯がセシリオに斬りかかってきた。セシリオが後ろに大きく飛んで空き巣犯のナイフを避けた瞬間、空き巣犯の背後に回ったロレンソの蹴りが、空き巣犯の脇腹に入り、空き巣犯が横に吹っ飛んだ。セシリオは、素早く倒れている空き巣犯の上に飛び乗り、腰に着けていた捕縛用の縄で空き巣犯の腕を拘束した。
 はぁ、はぁ、と荒い息を吐きながら、セシリオは、近くに立つロレンソを見上げて、口を開いた。


「捕縛完了」

「よーし。詰所に帰るか」

「おぅ。さっきはありがとな。礼に次の休みに酒を奢るわ」

「気にすんなよ。と言いたいところだが、酒は飲みたい」

「正直さんか」

「よし。足も縛ったし、このハゲを運ぶぞー」

「おー」


 セシリオは、ロレンソと一緒に、手足を縛った空き巣犯の両腕を其々掴んで、空き巣犯を引き摺るようにして、警邏隊の詰所に戻った。

 セシリオは、警邏隊で働いている。18歳で入隊して、もう10年になる。5年前に、異動した先の班で、ロレンソと出会った。ロレンソとバディを組むことになったのだが、ロレンソとは不思議な程気が合い、仕事の時以外でも、一緒に飲みに行ったりする仲である。

 ロレンソは一つ年下で、濃い茶髪に胡桃色の瞳をした凛々しい男前である。背が高く、実用的な筋肉がバランスよくついているので、スタイルがいい。当然、街の女達から人気があり、かなりモテているのだが、何故か、恋人をつくらないでいる。

 セシリオは、薄い茶髪の癖っ毛で、どこにでもいそうなありふれた地味な顔立ちをしている。昔、奇跡的に一度だけできた彼女からは、『瞳の色だけはキレイね。春の新芽みたいな色』と褒められたことがあるくらいだ。身体つきは、筋トレが趣味なので、筋肉にはそれなりに自信がある。

 ロレンソと詰所に戻り、取り調べをして、必要な書類を書き終える頃には、日が暮れていた。セシリオは、ロレンソと一緒に詰所の食堂で夕食をとると、満腹の腹を抱えて、詰所から出た。


「セシリオ。次の休みっていつだっけ」

「3日後。何も無ければ」

「じゃあ、明後日の仕事終わりは『木漏れ日亭』に行こうぜ」

「おー。酒を奢ってやんよー。一本だけ」

「一本と言わずに、十本、二十本でもいいぞ」

「蟒蛇め。そんなに奢ったら俺の財布が可哀想な事になるだろうが」

「だろうな。ははっ。そろそろ蟹の時期だ。彼処の蟹グラタンが美味いんだよなぁ」

「分かるぅ。焼き蟹も捨てがたい。明後日は蟹祭りだ」

「最っ高」


 セシリオは、ロレンソと話しながら、住んでいる単身者用官舎に向かった。ロレンソとは同じ官舎に住んでいるが、セシリオは一階、ロレンソは三階の部屋に住んでいる。官舎の入り口でロレンソと別れると、セシリオは、自宅の玄関のドアの鍵を開け、家の中に入った。瞬間、ぐっと拳を握って、天に向かって拳を突き上げた。

 次の休み前の夜は、ロレンソとデートである。デートだと思っているのは間違いなくセシリオだけだが、デートだと思えば、たとえ仕事の巡回でもデートなのである。
 気さくで話しやすく、一緒にいて楽しいロレンソのことを好きになって早3年。関係はずっと相棒のままだが、それでいいと思っている。

 セシリオには、秘密がある。セシリオは、見た目は完全に男だが、厳密に言うと男じゃない。所謂ふたなりというやつで、ペニスや陰嚢もあるが、まんこもある。普通の男女よりも生殖能力は劣るが、それでも、3ヶ月に一度は月のものがくるし、ちゃんと孕むことも孕ませることもできる。

 セシリオみたいなふたなりは、極まれに生まれてくる。男女どちらの機能を持つふたなりは、神様からの祝福が厚いということで、吉兆の印とも言われている。吉兆の印だからと、貴族や金持ちに飼われている者が多いらしい。

 セシリオがふたなりだと知っているのは、家族を除けば、警邏隊の上層部と詰所に常駐している医者くらいだ。最初は、ふたなりだということを隠して警邏隊に入隊しようとしていたが、健康診断で速攻バレた。それでも、セシリオは身体能力が高く、頭もそれなりに切れる方だったので、セシリオ本人の強い意思もあり、警邏隊に入隊することができた。ロレンソと相棒になってからは、検挙率は警邏隊の上位に食い込む程である。

 セシリオは、ご機嫌に鼻歌を歌いながらシャワーを浴びると、身体を拭いて、すっぽんぽんのまま、居間兼食堂兼寝室になっている部屋に行き、ばふんとベッドに飛び込んだ。
 単身者用の部屋は狭く、風呂トイレと通路にある狭い台所以外には、一部屋しか無い。
 セシリオはベッドの上で暫くジタバタしてから、ころんと仰向けに寝転がった。セシリオは、男でも女でもない。だから、どっちを好きになっても構わない。とはいえ、セシリオはガタイのいい男にしか見えない。ロレンソは何故か恋人をつくらない男だが、セシリオみたいな顔立ちが平凡な筋肉だるまを愛することは無いだろう。ロレンソへの恋心は、墓まで持っていくと決めている。

 セシリオは、膝を立てて、足を大きく広げた。割とデカめのペニスと陰嚢を左手で下腹部につくように押さえ、自分のまんこを右手で触れれば、まんこの孔は既にぬるぬるに濡れており、指先で孔を撫でると、物欲しそうにひくっとひくついた。セシリオは、まんこの孔から溢れ出る愛液を指にまとわりつかせると、ゆっくりとまんこの孔に指を二本、挿れていった。膣内にある、腹側の微かにざらついた気持ちがいいところを躊躇なく指でトントンと優しく押して刺激すれば、勝手に腰が浮いてしまうくらい気持ちがいい。愛液がどんどん溢れてきて、次第に、指を動かす度に、くちくちと微かな水音がし始めた。ここに、ロレンソのペニスを咥えこみたい。トイレでチラッと見たことがあるロレンソのペニスは、萎えていても太くて長かった。あの大きなペニスで、セシリオの中を満たして、中に精液を吐き出して、いっそのこと孕ませて欲しい。

 セシリオは、ふぅーっ、ふぅーっ、と興奮した息を吐きながら、まんこに挿れた指を動かし続け、ビクンッと腰を突き上げて、イッた。ずるぅっとまんこの孔に挿れていた指を引き抜き、今度は、勃起したペニスを愛液塗れの手でめちゃくちゃに扱く。限界はすぐに訪れて、セシリオは、自分の乳首を摘んでくりくりと弄りながら、低く唸って手の中に射精した。

 はぁー、はぁー、と荒い息を吐きながら、ベッドのヘッドボードに置いてある箱ティッシュを左手で取り、手の中の精液と、ぬれぬれのまんこを丁寧にティッシュで拭う。もう一発くらいしたいところだが、明日は早出だ。そろそろ寝た方がいい。セシリオは、裸のまま、布団に潜り込んだ。布団の中は、ひんやりとしていて、ここにロレンソの温もりがあれば、きっと誰よりも幸せになれるのにな、と思った。




ーーーーーー
 大きな捕物も無く、予定通り明日から久しぶりの二連休である。巡回中に、ロレンソと一緒に捕まえたスリ犯の取り調べを終え、提出しなければならない書類をささっと書き上げると、セシリオはロレンソと一緒に、定時で詰所を出た。これから、デートである。デートだと思っているのはセシリオだけだが、惚れている男と一緒に酒が飲めるのだ。浮かれるなと言う方が無理である。

 馴染みの店である『木漏れ日亭』に着くと、早速、酒と蟹料理をいくつか注文した。今は蟹が美味しい季節である。セシリオ達が暮らす街は、海辺にあり、大きな漁港もある。海の向こうから来る者が多いので、治安はそこそこ悪い方だ。そのせいで、警邏隊はいつでも忙しい。勿論、治安がいい場所もあるが、犯罪の温床になっているスラム街もある。

 セシリオは、店員が運んできた大きな蟹の丸焼きを嬉々として食べ始めた。バキバキッと硬い殻を割り、ほこほこに熱い蟹肉に齧りついて口いっぱいに頬張る。磯の香りが鼻に抜け、蟹の旨味がじわぁっと口いっぱいに広がっていく。蟹の旨味が口の中にあるうちに、辛口の酒をくっと飲めば、まさにこの世の天国である。最高に美味しい。蟹との相性抜群の酒にしてよかった。本当に美味しい。
 暫し、ロレンソと2人で焼き蟹を無言で貪り食い、最後は、殻に残った蟹味噌に酒を注いで、蟹味噌をといた酒を、ロレンソと半分こして飲んだ。
 セシリオは、むふっとだらしなく笑った。


「うっまー」

「最高だな。よし。次はグラタンだ」

「よしこーい!」

「ははっ。……はちっ。うんめぇー」

「はふはふ……うんまー」


 蟹肉たっぷりのクリームソースが最高に美味しい。チーズとの相性もバッチリである。グラタン用に頼んだ別の酒との相性も素晴らしい。
 その後も、小さめの蟹の素揚げや蟹のオイル煮等、蟹料理をがっつり堪能した。セシリオは、蟹が一番の好物なので、今が一番好きな季節だ。
 セシリオが、満腹の腹を擦りながら、ふぅと幸せな溜め息を吐くと、ロレンソが酒を片手にクックッと楽しそうに笑った。


「お前、本当に美味そうに食うなぁ」

「美味いじゃん」

「まぁな。酒を追加するか」

「おぅ。肴は小海老の揚げたやつがいい」

「まだ食う気か」

「海老も美味いよなー」

「まぁな」


 ロレンソが楽しそうに笑いながら、近くにいた店員に声をかけた。然程待たずに、追加の酒と、揚げたての小海老が運ばれてくる。
 セシリオは、満足するまで、酒と美味しい料理、それからロレンソとの他愛もない会話を楽しんだ。

 店仕舞いの時間ギリギリまで、『木漏れ日亭』で飲んでいた。外はすっかり暗くなっており、冷たい夜風が、酒精で火照った頬を撫でる。
 官舎に向かって歩きながら、ロレンソが、セシリオの肩に腕を回してきた。


「セシリオ。飲みたりねぇから、家で飲もうぜ」

「おっ。いいねー。貰い物の蒸留酒があるぜ」

「最高。俺ん家にも、貰い物の酒と美味いチーズがある」

「いいねぇ。酒持って、お前ん家に行くわ」

「おう。まぁ、散らかってるが気にするなよ」

「いつもの事だろ」

「まぁな」


 セシリオは、うきうきと浮かれて自宅に戻ると、大事に取っておいた上物の蒸留酒を持って、三階のロレンソの家に向かった。今日は最高にいい日だ。ロレンソと美味しい酒が飲めて、とっても楽しい。

 ロレンソの家の玄関の呼び鈴を押すと、すぐにロレンソがドアを開いて、顔を出した。ロレンソがニッと笑い、家の中に入れてくれた。適当に脱ぎ散らかされた服や酒の瓶が床に落ちている。チラッと見たベッドは、今朝起きてそのままなんだろうな、という感じである。


「椅子もテーブルもねぇから、床でいいだろ」

「いいぞー。ていうか、そろそろ椅子とテーブルくらい買えよ」

「使わねぇし。お前だって料理なんぞしないだろ」

「全くしませんけど?」

「安くで食える店が多いから、わざわざ台所を汚してまで自炊する必要性を感じない」

「それなー」


 セシリオが、床に落ちていたものを適当にどけて、自分が座る場所を確保して床に腰を下ろすと、ロレンソが酒の瓶と二つのグラス、紙で包まれたままのチーズを持ってきた。ロレンソが、紙で包まれたままのチーズを紙から取り出して、分厚くナイフで切った。チーズの欠片を一つ摘んで口に放り込めば、ふわっとハーブのような香りがして、程よい塩気が抜群に美味しい。ロレンソがグラスに注いでくれた蒸留酒をくっと飲み干せば、チーズの香りと旨さが、蒸留酒の豊かな香りと辛口の味わいと混ざり合って、最高である。
 セシリオは、だらしなく笑った。


「うんまー。このチーズ、ヤバイな」

「だろ? 高いけど美味いんだよ。ちょっと前に叔父さんに食わせてもらってさ。自分でも買っちゃったわ」

「いや、これは買うわ。ガチで美味い。酒もうまーい。めちゃくちゃ合う!」

「はっはっは! 最高の組み合わせだろ?」

「最高過ぎるぜ!」

「ほい。好きなだけ飲むがいい」

「あざーっす。あ、俺が持ってきたやつも飲もうぜ。多分、結構相性いい筈」

「おぉ!? かなりの上物じゃねぇか。どうしたんだ?」

「親から貰った。去年、俺ら昇進したじゃん。その時の祝い。飲まずに取っておいたんだよなぁ。上物だから、飲むのが勿体無くて」

「飲まずにいる方が勿体無いな」

「まぁな。ということで、これも開けるか!」

「よっしゃ! セシリオの親に心から感謝!」


 ロレンソの弾けるような笑顔が眩しい。セシリオは、嬉しくなって、へらへらと笑った。

 酒を三本程開ける頃には、酔ってるなーと自分でも思う程度には酔いが回ってきた。セシリオが特に意味もなく、へらへら笑っていると、酒が入ったグラスを片手に、ロレンソが話しかけてきた。


「セシリオって、結婚しないのか?」

「あー? しないしない。相手がいない」

「ふぅん? 巡回でよく通る花屋のお嬢さんとは仲いいじゃん」

「ミレーナちゃん? まぁ普通に喋るけど、あの子、彼氏いるぜー」

「ふぅん」

「それにさー、俺ってば、ふたなりだから、女の子が相手だとちょっと物足りないんだよなー。夜的に」

「ぶっ!!」

「うわっ! きったねぇなぁ。吹き出すなよ」


 ロレンソが、ぶっと酒を吹き出した。セシリオは、へらへらと笑いながら、ズボンのポケットに入れていたハンカチをロレンソに投げた。ロレンソがハンカチを受け止めながら、何故か真顔になった。


「本当にふたなりなのか」

「え? うん。なんなら見る?」

「軽いな!? ……おい。誰かに見せたことあんのか」

「ねぇけど」

「昔、彼女がいたよな。お前。すぐにフラレてたけど」

「彼女とは清い仲でしたー」

「……そうか」

「で?」

「あ?」

「見る?」

「…………見る。が」

「が?」

「その前に恋人になってからだ」

「マジか。え? お前、俺のこと好きなの?」

「この鈍ちん野郎。俺が何年、それとなくアピールしてたと思ってやがる」

「全然気づいてなかった」

「だろうな! じゃなかったら、ほいほい俺ん家に来ないもんな! 危機感を持てー。男は狼なんだぞー」

「酔ってても、そこら辺の男相手なら、余裕でぶっ飛ばせるし。俺。お前相手でも、まぁ余裕」

「そうですね! 確かに、組手でお前に勝てたことねぇけどな!……セシリオ」

「お、おう」

「お前のことが好きなんだ。男同士なら無理だと思って、墓までこの気持ちは持っていくつもりだったが、お前がふたなりなら話は別だ。お前と死ぬまで一緒にいたい」

「……ちょっと待ってくれ。いきなり過ぎて混乱してきた」


 セシリオは、ロレンソの突然の告白に、一気に酔いが冷めた。酒精以外でも、顔が熱くて堪らない。
 ロレンソは、セシリオのことが好きらしい。セシリオもロレンソのことが好きである。まさかの両想いではないか。ていうか、酔っていたからといって、自分はなんてことを言っているんだ。羞恥心が今更になって、ぶわっと湧き上がってくる。
 セシリオは、挙動不審に目を泳がせながら、意味もなく、制服の裾を指で弄った。


「そのー、あのー、あれだ」

「どれだ」

「おっ、俺もだな、そのー、ロレンソのことは好きだ」

「マジか」

「マジだ」

「結婚式はいつにする?」

「気が早いな!? ……ちょっと恋人期間を楽しんでからがいい」

「じゃあ、とりあえず婚約で。こうなったら、お前を逃がす気ねぇから。俺。次の休みに、お前の実家に挨拶に行くぞ」

「お、おぉ? 展開早すぎて追いつけてねぇんだけど?」

「逃げられると思うなー。こちとら、お前の笑顔に一目惚れして早数年だぞー。片想い拗らせてんだからな!」

「あ、はい。えーと、ロレンソ」

「なんだ」

「とりあえず……俺のまんこ見る?」

「ちょー見る。つーか、触る」

「あ、うん。すっ、好きにしやがれ!」

「おう」


 セシリオは、ぶっちゃけテンパっていた。恋人を通り越して、まさかの婚約である。しかも、セシリオは、かなりロレンソから愛されちゃってるっぽい。ものすっごく嬉しいが、現実味が無い。

 セシリオは、混乱する中で、ロレンソが本当にセシリオの身体を受け入れてくれるのかを試そうと、その場で警邏隊の制服を脱ぎ始めた。

 全裸になり、ロレンソのベッドに腰掛ける。下を見れば、むっきりと盛り上がった胸筋とバキバキに割れている腹筋、薄めの陰毛の下には、割りとデカめのペニスが見える。これだけ見れば、完全に筋肉だるまな男だ。セシリオは、緊張してロレンソを見ることができず、そのまま、膝を立てて、両足を大きく広げた。まだ萎えているペニスと陰嚢を左手で下腹部につくように持ち上げ、右手で、肉の筋をくぱぁと広げる。
 ほぅと小さなロレンソの溜め息が聞こえた。ロレンソに、恥ずかしいところが、がっつり見られている。その事にじわっと興奮して、とろーっとまんこの孔から愛液が零れ落ちた。


「はい。これが俺のまんこです」

「……キレイだ」

「ど、どうも?」

「触らせてくれ」

「お、お好きにどうぞ!!」


 セシリオは、殆どやけっぱちで小さく叫んだ。
 ロレンソが、床から立ち上がり、雑な感じで服を脱ぎ始めた。ロレンソの身体は、まるで野生の獣のような美しさがあった。セシリオは興奮して、ぶるっと身体を震わせた。とろっと愛液が零れ落ちる感覚がする。ロレンソのペニスは、もう勃起していて、下腹部にくっつきそうな勢いで反り返っている。ロレンソのペニスは、亀頭が大きく、長い竿の中心辺りが膨らんでいて、ペニスの下の陰嚢もずっしりと大きい。あれが、自分の中に入ってくる。現実味が無くて、頭がふわふわしている。

 ロレンソが、セシリオに近づいてきて、セシリオの身体を押し倒した。噛みつくような勢いで、唇にキスをされる。間近に見える胡桃色の瞳が、火傷しそうな程の熱を孕んでいた。何度も互いの唇を吸い合い、舌を伸ばして絡め合う。ロレンソの熱い舌が口内に入り込み、歯列をなぞって、歯の裏側を擽り、上顎をねっとりと舐め回してくる。腰のあたりがぞわぞわする程、気持ちがいい。セシリオは、ロレンソの首に両腕を絡めて、ロレンソの唾液を味わうように、夢中でロレンソの舌に自分の舌を擦りつけた。

 息が上がるまで、長いキスをした。ロレンソが、ちゅっとセシリオの頬にキスしてから、セシリオの首筋に舌を這わせ始めた。同時に、力が入っていない胸筋をふにふにと優しく揉まれる。硬い掌でちょこんと勃ってしまった乳首を転がされると、じんわり気持ちがいい。ロレンソの熱い舌が、首筋の太い血管をなぞるように這っている。このまま、ロレンソに全力で噛みつかれたら、セシリオは死ぬかもしれない。それもいいかも……と、ぼんやり思いながら、セシリオは熱い息を吐いた。

 ロレンソの舌が、セシリオの肌を這いながら、ちょこんと勃った乳首に移動した。自分でも弄っているので、セシリオの乳首は、ちょっとぷっくりしている。淡い茶褐色の乳首を、ロレンソがぱくっと咥え、舌で乳首を扱くようにしながら、ちゅっちゅくちゅくちゅく、緩急をつけて乳首を吸い始めた。より直接的な快感がセシリオを襲い、セシリオは、身体をくねらせて、堪らず喘いだ。

 ちゅーぽっとロレンソが乳首から口を離し、今度は反対側の乳首を咥えて、舌先でころころと転がすように乳首を弄りはじめた。同時に、ロレンソの唾液で濡れた乳首を指先で優しくくりくりと弄られる。セシリオは、喘ぎ混じりの荒い息を吐きながら、ロレンソの濃い茶髪の頭を撫で回した。気持ちがいいし、酷く興奮するが、下腹部が熱くて堪らない。早く、早く、ペニスもまんこも弄ってほしい。


「は、は、ロレンソ」

「んー」

「も、いいから、まんこ触ってくれ」

「ん」


 ロレンソが、ちゅぽっとセシリオの乳首から口を離し、両手の指で、両方の乳首をくりくり器用に弄りながら、どんどん下へと舌を這わせていった。臍の穴を舌先で擽られ、薄い陰毛が生えた下腹部に、何度も吸いつかれる。ガチガチに勃起しているペニスの裏筋を、ねろーっと舐め上げられた。先走りと愛液がどっと溢れ出る。ロレンソが、セシリオの先走りで濡れた亀頭をぱくんと咥えた。熱いロレンソの口内の感触も、亀頭を舐め回している舌の感触も、気持ちよくて堪らない。弄られ続けている乳首も気持ちがいい。もう我慢なんてできない。セシリオは、裏返った声を上げながら、ロレンソの口内に精液をぶち撒けた。射精している亀頭をじゅるじゅると吸われると、目の裏がチカチカする程気持ちがいい。

 ロレンソが、射精を終えて半分萎えたセシリオのペニスから口を離した。セシリオが、自分のペニスと陰嚢を両手で自分の下腹部に押しつけると、ロレンソが両手の親指で、くぱぁっと分厚い肉襞を開いた。勝手にひくひくしているまんこの孔が外気に触れる。アナルにまで愛液が垂れてしまっているのが、嫌でも分かる。

 うずうずして堪らないセシリオのまんこに、熱くぬるついたものが、ぬるーっと這った。途端に、自慰では感じたことがない強烈な快感が背を走り抜ける。ロレンソにまんこを舐められているというだけで、いっそイッてしまいそうな程、興奮してしまう。


「あぁっ……ロレンソ、いいっ、もっと……」

「んー」

「はっ、あっ、んーーっ! ふ、ふはっ! やべぇっ、イキそうっ」

「ん。好きにイケよ」

「あぁ!? あっ、あっ、ほんと、イクッ、イクッ! あ、あ、んーーーーっ!!」


 じゅるじゅると愛液を啜られながら、まんこの孔の中も外も舐め回されて、セシリオは腰を突き上げるようにして、身体をビクンビクンと震わせながら、イッた。

 セシリオは、四つん這いになり、だらしなく喘ぎまくっていた。ロレンソの指が膣内に入り込み、気持ちがいいところをひたすら刺激してきながら、アナルを舐めまわされている。アナルなんて排泄孔なのに、不思議と気持ちがいい。セシリオのぐちょぐちょに濡れたまんこの孔から、ずるぅっとロレンソの指が引き抜かれた。もっともっと欲しくて、ひくひくとひくつくまんこの孔に、熱くて硬いものが触れる。これから、ロレンソのペニスがセシリオの中に入ってくる。それだけで、本気でイキそうなくらい、興奮している。

 ロレンソの両手が、セシリオのむっきりした尻肉を掴み、ゆっくりと熱くて硬いロレンソのペニスが、まんこの孔から入ってきた。狭い膣内を押し拡げるようにして、どんどん深くロレンソのペニスが膣内に入り込んでくる。セシリオの興奮と喜びに連動するかのように、膣肉がロレンソのペニスに絡みつくのが、なんとなく分かる。鈍く痛いが、それ以上に、敏感な粘膜同士が擦れ合う快感の方が強い。
 トンッと腹の奥深くを硬いペニスの先っぽでノックされた。鋭い痛みと共に、強烈な快感が脳天に突き抜ける。


「あぁっ!?」

「はぁ……すげぇ、締まる。セシリオ!」

「あっ! あっあっあっあっ! まっ、はげしっ、あぁぁぁぁっ!」


 パンパンパンパンッと肌同士がぶつかり合う音が響く程、強く激しく腹の奥を突き上げられる。頭の中が真っ白になって、目の裏がチカチカする程の快感に、セシリオが腰をくねらせて大きく喘いでいると、アナルの中にまで、ロレンソの指が入ってきた。


「んあっ! ちょっ、そこはっ!」

「後でこっちにも挿れような」

「はぁ!? って、あぁっ!!」

「気持ちいいか? セシリオ。まんこもケツもすげぇ締まってる」

「き、きもちいいぃぃぃぃ!! あっ! あっ! も、イクッ! いっくぅぅぅぅ!!」

「ははっ! 俺もっ! 限界っ!」

「なっ、中で出すなっ!」

「やだ」

「『やだ』って可愛いなおい! って、あぁぁぁぁ! 中はマズいっ! マズいってぇ!」

「は、は、セシリオ! 出すぞっ! 俺の子を孕んでくれっ!」

「あ、あ、あぁぁぁぁぁぁ!!」


 ドンッと一際強く腹の奥を突き上げられて、そのまま硬いペニスの先っぽで、腹の奥をぐりぐりされる。腹の中で、微かにロレンソのペニスがぴくぴくと震えている。ロレンソに中出しされてしまった。避妊していないので、ちょっとマズい気がするが、それ以上に興奮して堪らない。ぶわっと胸の奥が満たさせる感じがする。

 ゆっくりと、まんこの孔からロレンソのペニスが抜け出ていった。ロレンソに促されて、仰向けに寝転がれば、ロレンソが優しく唇にキスをしてくれた。セシリオが、広げた両足をロレンソの腰に絡めると、ロレンソが嬉しそうに目を細めて、射精した筈なのにまだ硬いペニスの先っぽを、とろとろに蕩けたまんこの孔に押しつけ、再び、セシリオのまんこの孔にペニスを押し込んできた。

 思わず、はぁっと熱い息を吐くセシリオの頬にキスをしてから、ロレンソが間近でにっこり笑った。


「とりあえず、数年分の愛を受け止めてくれよ」

「どんとこいやー」

「ははっ! セシリオ。愛してる」

「ん。俺も愛してる」


 セシリオは、飢えた獣みたいに瞳をギラギラさせているロレンソを見上げて、ほぅと幸せな溜め息を吐いた。この際だから、いっそのこと孕んでしまえばいい。ロレンソとの子供なら、全力で愛せる自信しかない。

 セシリオは、一晩中、ロレンソに愛された。まんこだけじゃなくて、アナルにもがっつりペニスを挿れられて、数え切れないくらいイキまくった。ロレンソは、まさかの絶倫だった。最高過ぎる。
 翌日。昼過ぎに目覚めたが、身体を鍛えまくっているセシリオでさえ、動けない程、消耗していた。主に腰とまんこの孔とアナルが痛くて動けないセシリオを、ロレンソがご機嫌に世話してくれた。初めてのセックスは、本当に本当に気持ちがよくて、めちゃくちゃ興奮したが、毎回こうだと、ちょっと困る。ロレンソの手綱を握れるようにならないといけないなぁとぼんやり考えながら、セシリオはまる一日、ロレンソに甘やかされまくった。




ーーーーーー
 セシリオがバタバタと朝食を作っていると、今年で7歳になる愛娘アイリーンが台所にやって来た。


「ママー。おはよう」

「おはよう。アイリーン。もうすぐで朝飯できるから、パパを起こしてきてくれ」

「いいよー」


 アイリーンがパタパタと走って、台所から出ていった。夫婦の寝室がある二階の方から、『おっきろー! 寝ぼすけーー!!』と、アイリーンの叫び声が聞こえてくる。多分、今日も叫びながら、眠るロレンソの腹に勢いよく飛び乗ったのだろう。ロレンソは少し寝汚いから、アイリーンの起こし方くらいがちょうどいい。

 セシリオが、ロレンソと結婚して、そろそろ10年になる。妊娠が発覚した時点で、セシリオは警邏隊を辞めた。子守や家政婦を雇って仕事を続けるという選択肢もあったが、セシリオは、ロレンソとの愛の結晶を、自分で大事に育てたいという思いが強かった。ロレンソも賛成してくれて、妊娠中から出産後も、働きながら、ずっとセシリオのサポートをしてくれている。ロレンソは子煩悩で、アイリーンを溺愛している。それ以上に、セシリオのことを溺愛してくれている。結婚して10年も経つのに、未だに昔馴染みから、『新婚夫婦かよ』と揶揄われるくらいである。

 朝食が出来上がったタイミングで、アイリーンと手を繋いだロレンソが台所に顔を出した。すかさず、ロレンソに横から抱きつかれて、頬にキスをされる。セシリオがロレンソの唇にキスをしてやると、ロレンソが嬉しそうに笑った。


「おはよう。セシリオ。いい匂いだ」

「冷めないうちに食おうぜ。今日は早出だろ」

「おう」

「アイリーン。運ぶのを手伝ってくれ」

「はぁーい。パパ。ご飯食べたら、髪やって。今日は三つ編みがいい」

「いいぞー」

「アイリーン。今日は俺がやってやるよ。パパは早出だから」

「えぇー。むぅ。本当はパパがいいけど、ママでもいいわ。ママ。今日のお弁当はなぁに?」

「ハムとチーズとレタスたっぷりのサンドイッチ」

「チーズ多め?」

「チーズ多め」

「やったぁ! お昼ご飯が楽しみ!」

「俺の弁当は?」

「同じサンドイッチと白身魚を揚げたやつのサンドイッチ」

「よっしゃ! 気合入れて仕事してくるわ」

「おー。がんばれー」


 セシリオは、3人でわいわい喋りながら朝食を食べ終えると、警邏隊の制服に着替えたロレンソを玄関先で見送った。急いで、学校に行く準備をしたアイリーンの髪を三つ編みに結ってやり、今度は学校に行くアイリーンを玄関先で見送る。

 毎日、朝から晩まで忙しい日々が続いているが、何でもない日常がとても愛おしい。
 セシリオは、洗濯物を庭に干しながら、空を見上げた。今日もよく晴れている。腹ぺこで帰ってくるロレンソとアイリーンに、今夜は何を食べさせてやろうか。セシリオは、結婚と同時に、料理を母親から習い始めて、今ではそれなりに料理の腕が上がっている。ロレンソもアイリーンも、美味しいと言って、もりもり沢山食べてくれるから、とても作り甲斐がある。

 セシリオは、鼻歌を歌いながら、洗濯物を干し終えると、買い物に行く準備を始めた。

 セシリオの愛する家族との温かな幸せは、この先もずっとずっと続いていくのである。



(おしまい)

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みんなの感想(1件)

HALU
2024.01.09 HALU

とても読み易く、場面をイメージ出来る展開で
温かい子育て風景まで想像の出来る感じで好みで
大満足過ぎる御話でした♬
素晴らしい御話を有り難うございます(*´∀`*)

丸井まー(旧:まー)
2024.01.10 丸井まー(旧:まー)

感想をありがとうございますっ!!
本当に嬉しいです!!

嬉し過ぎるお言葉をくださり、感謝感激であります!!(泣)
本当に!全力で!ありがとうございます!!
性癖を詰め詰めしながら、楽しく執筆いたしました。お楽しみいただけたのでしたら、何よりも嬉しいです!!

お読みくださり、本当にありがとうございました!!

解除
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