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13:子供達の成長と迫ってくる契約満期
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カートが小学校に入学した。入学式の日はミゲルもムートも仕事を休んで、カートの晴れ姿を見に行った。本当に早いものだ。ついこないだ産まれたばかりな気がするのに、もう小学校に通うようになるなんて。カートは6歳から家からも比較的近い剣を教える教室に通っており、剣の稽古に夢中になっている。家でも暇さえあれば庭で剣の素振りをしている。剣の教室で、保育所で特に仲がいいザップ以外にも友達ができ、皆同じ小学校に通うことになるので、昼休みや放課後に友達と遊んだりすることもできる通い始めたばかりの小学校が毎日楽しいようだ。勉強もそれなりに頑張ってくれている。カートが小学校に通い始めたばかりの頃は、カートが前ほど構ってくれなくなったので拗ねていたセシルも、夏が近づく頃には慣れて、自分は自分で保育所の友達と楽しく遊んでいる。
小学校に入学してから、カートが自分から少しずつ家事のお手伝いをしてくれるようになったのも嬉しい成長だ。洗濯物を畳むのも丁寧で上手だし、野菜を洗ったり、サラダのレタスをちぎったりもしてくれる。カートがお手伝いをすると、セシルも自分からカートの真似をしてお手伝いをしてくれるので、なんとも微笑ましい。2人とも少しずつ、できることが増えていく。
ミゲルは肉体年齢が40歳が近くなり、ムートも50歳を過ぎたが、お互い色んな意味で現役バリバリである。子供達と過ごす時間も、夫婦で過ごす時間もお互い大切にしている。単なる契約から始まった結婚生活は、想定していた以上に満ち足りた、小さな幸せに溢れたものになっている。
ーーーーーー
カートの初めての夏休みが終わり、秋がやってきた。今日は秋の豊穣祭の前に行われる小学校の運動会の日である。何日も前から子供達は運動会が楽しみでそわそわしており、ミゲルもお弁当のメニューを考えたり、ムートは撮影機のチェックをしたりと、カートの初めての運動会の準備に余念がない。
気持ちのいい秋晴れの中、小学校の校庭で運動会が始まった。朝早くから場所取りをして、競技が行われる場所が見やすい所をなんとか確保した。お弁当も皆の好物を日が昇らないうちから作ったし、ムートは撮影機と端末を開会式の時から交互に弄って、少し遠目に見えるカートの姿を撮りまくっていた。セシルもわくわくした顔で、胡座をかいて座るミゲルの膝に座っている。全校生徒が4つの団に分かれて、競技の点数等が競われる。赤・青・黄・緑の4色で各団が分けられており、一目で分かるように所属する団の色のハチマキを頭に巻いている。カートは緑団だ。
カートが出る競技は1年生のかけっこと、1年生だけが行う親と一緒に走って競争する親子かけっこ、1年生から6年生まで各団1人ずつ選ばれる全体リレーである。足が早いカートは、なんと1年生のリレー選手に選ばれた。ミゲルは子供の頃は運動がそこそこ得意で、そういえば運動会でカートと同じように全体リレーの選手に選ばれたこともある。大昔過ぎて殆んど忘れていたが、ミゲルは結構活発な子供だった。カートが活発なのは誰に似たのだろうかと思っていたが、なんてことはない。多分間違いなくミゲルに似た。
校長先生の話が終わり、いよいよ競技が始まった。1年生のかけっこが最初である。撮影機を構えるムートの横で、ミゲルも自分の端末を弄っていつでも写真が撮れるようにスタンバイした。10人ずつ、まだ小さな子供達が校庭に書かれた白いレーンの間を走る。一生懸命走る子供達はとても可愛らしい。4番目にカートは走った。カートは走りだしから群を抜いていて、あっという間に2位以下を引き離して1等賞で走りきった。セシルが喜んでミゲルの膝の上で大きな歓声をあげ、いっぱい拍手をしている。ミゲルは端末を弄って、撮ったばかりの写真を確認した。バッチリと最後までぶっちぎりで走りきったカートが写っている。満足である。一生懸命頑張るカートを写真に残せた。1等賞をとるなんて、なんて頑張ったのだろう。帰ったらお祝いせねばなるまい。
他の子供達が一生懸命走る姿を眺めつつ和みながら、ミゲルはカートが喜ぶ夕食のメニューを考えた。
競技は順調に進み、お昼休憩をした後、午後1番の親子かけっこの時間になった。カートと走るのはムートである。まだ若い方であるミゲルが走ろうかと言ったのだが、折角だからカートと一緒に走りたいと、ムートがとても意気込んでいたので、ミゲルはすんなりムートに譲った。ミゲルはセシルの時に走ればいい。カートが剣の教室に通い始めてから、休みの日にセシルも連れてムートと散歩するようにしているし、軽いストレッチなども毎日寝る前にするようにしている。ムートがどれだけ走れるのかは知らないが、多分大丈夫だろう。ミゲルはのほほんと撮影機を構えた。
ミゲルは地面にへたりこんで荒い息を吐いているムートの背中を優しく擦っていた。親子かけっこはまさかの最下位である。20代ばかりの他の父親達に交ざる50代だということを差っ引いても、ちょっとビックリする程ムートは足が遅かった。最終的にカートがムートの手を引っ張って、なんとかゴールした。
「大丈夫ですか?ムーちゃん」
「だいじょうぶ?パパ」
「はぁ、はぁ、はぁ、ミーちゃん……」
「なんです?」
「走りながら思い出したんだけどさ」
「はい」
「僕子供の頃から運動が大の苦手だった。走るのとか本当無理。かけっこもマラソン大会も常にビリだった」
「走る前に思い出してくださいよ」
「だってー。カートと走りたかったんだもん。あと『パパすごい』って言われたかったし」
「もぉー。足は大丈夫ですか?痛みます?」
「なんとか大丈夫」
「帰ったらお風呂でマッサージしてから、念のため湿布を貼っときましょうね」
「湿布は大袈裟じゃない?」
「3日後に筋肉痛がきますよ」
「うぐぅ……」
悔しそうにムートが歯をギリギリした。汗をかなりかいていたので、ムートに水筒に入れている冷たいお茶を飲ませ、タオルでムートの顔の汗を拭いてやる。
のんびり競技を眺めていると、いよいよ最後の種目である全体リレーの順番がきた。緑のハチマキを頭に巻いたカートが他の代表の子供達と並んでリレーのスタートラインに立つ。ミゲルは端末を、ムートは撮影機を構えて、じっとカートの姿を見つめた。リレー最初の4人が合図と共に一斉に走り出した。カートは勢いよく駆け出し、すぐに先頭になって、そのまま2位に差をつけて、バトンを2年生に手渡した。5年生の番で青団の子に抜かされたので、残念ながら結果は緑団は2位だったが、カートはとても頑張った。明日は学校も仕事も休みの日だから、頑張ったご褒美にムートが好きなケーキ屋のケーキを買ってやろう。わりと高いから誕生日の時くらいにしか普段は買わないが、全然構わない。本当にカートは頑張ったのだ。盛大に褒める気満々なミゲルである。
ーーーーーー
月日は穏やかに賑やかに過ぎ去り、来年にはセシルが小学校に入学する。ムートとの結婚はカートが産まれて10年の契約である。早いもので、来年にはその10年目になる。ミゲルはじっと自室の壁に貼ってあるカレンダーを見つめ、小さく溜め息を吐いた。ムートと暮らせるのもあと1年だけだ。
ムートと一緒に子育てをする日々は、慣れないことばかりで大変で、兎に角慌ただしかったが、同時にとても楽しくて、満ち足りて、写真にたくさん撮り残した家族の思い出がキラキラと光っている。
子供達が初めて我が家にやって来た日も、寝返りをうった日も、ハイハイをし始めた日も、掴まり立ちした日も、歩きだした日も、いつもムートと一緒だった。2人で子供達の成長を手に手をとって喜んで、一緒に子供達と写真を撮り、2人で同じベッドで熱を分けあってきた。それもあと1年のことだ。もう、たったの1年しかない。ムートが側にいることが随分と前から当たり前になっている。
離婚をしても、きっとムートとは今後も親しくできるだろう。でも一緒に暮らして、一緒に寝て、一緒に子供達の成長を毎日見守ることはできない。それが酷く寂しくて堪らない。
ミゲルはすっかりムートの味の好みに慣れている。ムートと同じく、少し薄味で、さっぱりしたものを好むようになった。子供達と一緒じゃない時も、甘いものを食べることが増えた。少し熱めの風呂が好きになったし、芝居を楽しむようになったし、本や雑誌を買って読むようにもなった。ムートと手を繋いで歩くことも、キスをすることも、セックスをすることも、本当に当たり前になったし、ムートがいない生活を想像することすら上手くできなくなった。
ミゲルは自分の子供がほしかった。種馬は誰でもいいと思っていた。ずっと子育ては1人だけですると思っていた。子供達さえいれば、1人でも自分は大丈夫だと思っていた。
でも今は違う。ムートが側にいることが当たり前になりすぎて、ミゲル1人で子供達を育てながら、どうやって生きていけばいいのか分からない。自分がどうやって1人で生きていたのかも分からなくなった。ミゲルの心の中にムートはするりと入り込み、深く根を張った。ムートがいない生活を思うだけで、酷く胸が痛む。
ミゲルは自分の胸を押さえて、また溜め息を吐いた。今はムートがいない生活を考えても仕方がない。あと1年は共にいられるのだ。1日1日を大切にしていくことしかできない。
契約が終わり、サヨナラをする時には、笑顔で別れたい。それはちっぽけなミゲルのプライドだ。ムートが安心して子供達をミゲルに託せるように。
ムートと一緒に暮らさなくなったとしても、子供達とムートはそれからも会うのだ。そういう約束である。その時にミゲルもムートに会えばいい。
手を繋げなくても、抱き締めあえなくても、キスをできなくても、ただ会って話せるだけで十分だと思わなくてはいけない。
2人で交わした契約はきっちり履行されなければならない。
ミゲルは軽く頭を振って、自分の頬を両手でピシャリと叩いた。先のことを考えてばかりではいけない。今すべきことをしなければ。
ミゲルは頭を切り替えて、家族の夕食を作るために階下に降り、台所へと向かった。
小学校に入学してから、カートが自分から少しずつ家事のお手伝いをしてくれるようになったのも嬉しい成長だ。洗濯物を畳むのも丁寧で上手だし、野菜を洗ったり、サラダのレタスをちぎったりもしてくれる。カートがお手伝いをすると、セシルも自分からカートの真似をしてお手伝いをしてくれるので、なんとも微笑ましい。2人とも少しずつ、できることが増えていく。
ミゲルは肉体年齢が40歳が近くなり、ムートも50歳を過ぎたが、お互い色んな意味で現役バリバリである。子供達と過ごす時間も、夫婦で過ごす時間もお互い大切にしている。単なる契約から始まった結婚生活は、想定していた以上に満ち足りた、小さな幸せに溢れたものになっている。
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カートの初めての夏休みが終わり、秋がやってきた。今日は秋の豊穣祭の前に行われる小学校の運動会の日である。何日も前から子供達は運動会が楽しみでそわそわしており、ミゲルもお弁当のメニューを考えたり、ムートは撮影機のチェックをしたりと、カートの初めての運動会の準備に余念がない。
気持ちのいい秋晴れの中、小学校の校庭で運動会が始まった。朝早くから場所取りをして、競技が行われる場所が見やすい所をなんとか確保した。お弁当も皆の好物を日が昇らないうちから作ったし、ムートは撮影機と端末を開会式の時から交互に弄って、少し遠目に見えるカートの姿を撮りまくっていた。セシルもわくわくした顔で、胡座をかいて座るミゲルの膝に座っている。全校生徒が4つの団に分かれて、競技の点数等が競われる。赤・青・黄・緑の4色で各団が分けられており、一目で分かるように所属する団の色のハチマキを頭に巻いている。カートは緑団だ。
カートが出る競技は1年生のかけっこと、1年生だけが行う親と一緒に走って競争する親子かけっこ、1年生から6年生まで各団1人ずつ選ばれる全体リレーである。足が早いカートは、なんと1年生のリレー選手に選ばれた。ミゲルは子供の頃は運動がそこそこ得意で、そういえば運動会でカートと同じように全体リレーの選手に選ばれたこともある。大昔過ぎて殆んど忘れていたが、ミゲルは結構活発な子供だった。カートが活発なのは誰に似たのだろうかと思っていたが、なんてことはない。多分間違いなくミゲルに似た。
校長先生の話が終わり、いよいよ競技が始まった。1年生のかけっこが最初である。撮影機を構えるムートの横で、ミゲルも自分の端末を弄っていつでも写真が撮れるようにスタンバイした。10人ずつ、まだ小さな子供達が校庭に書かれた白いレーンの間を走る。一生懸命走る子供達はとても可愛らしい。4番目にカートは走った。カートは走りだしから群を抜いていて、あっという間に2位以下を引き離して1等賞で走りきった。セシルが喜んでミゲルの膝の上で大きな歓声をあげ、いっぱい拍手をしている。ミゲルは端末を弄って、撮ったばかりの写真を確認した。バッチリと最後までぶっちぎりで走りきったカートが写っている。満足である。一生懸命頑張るカートを写真に残せた。1等賞をとるなんて、なんて頑張ったのだろう。帰ったらお祝いせねばなるまい。
他の子供達が一生懸命走る姿を眺めつつ和みながら、ミゲルはカートが喜ぶ夕食のメニューを考えた。
競技は順調に進み、お昼休憩をした後、午後1番の親子かけっこの時間になった。カートと走るのはムートである。まだ若い方であるミゲルが走ろうかと言ったのだが、折角だからカートと一緒に走りたいと、ムートがとても意気込んでいたので、ミゲルはすんなりムートに譲った。ミゲルはセシルの時に走ればいい。カートが剣の教室に通い始めてから、休みの日にセシルも連れてムートと散歩するようにしているし、軽いストレッチなども毎日寝る前にするようにしている。ムートがどれだけ走れるのかは知らないが、多分大丈夫だろう。ミゲルはのほほんと撮影機を構えた。
ミゲルは地面にへたりこんで荒い息を吐いているムートの背中を優しく擦っていた。親子かけっこはまさかの最下位である。20代ばかりの他の父親達に交ざる50代だということを差っ引いても、ちょっとビックリする程ムートは足が遅かった。最終的にカートがムートの手を引っ張って、なんとかゴールした。
「大丈夫ですか?ムーちゃん」
「だいじょうぶ?パパ」
「はぁ、はぁ、はぁ、ミーちゃん……」
「なんです?」
「走りながら思い出したんだけどさ」
「はい」
「僕子供の頃から運動が大の苦手だった。走るのとか本当無理。かけっこもマラソン大会も常にビリだった」
「走る前に思い出してくださいよ」
「だってー。カートと走りたかったんだもん。あと『パパすごい』って言われたかったし」
「もぉー。足は大丈夫ですか?痛みます?」
「なんとか大丈夫」
「帰ったらお風呂でマッサージしてから、念のため湿布を貼っときましょうね」
「湿布は大袈裟じゃない?」
「3日後に筋肉痛がきますよ」
「うぐぅ……」
悔しそうにムートが歯をギリギリした。汗をかなりかいていたので、ムートに水筒に入れている冷たいお茶を飲ませ、タオルでムートの顔の汗を拭いてやる。
のんびり競技を眺めていると、いよいよ最後の種目である全体リレーの順番がきた。緑のハチマキを頭に巻いたカートが他の代表の子供達と並んでリレーのスタートラインに立つ。ミゲルは端末を、ムートは撮影機を構えて、じっとカートの姿を見つめた。リレー最初の4人が合図と共に一斉に走り出した。カートは勢いよく駆け出し、すぐに先頭になって、そのまま2位に差をつけて、バトンを2年生に手渡した。5年生の番で青団の子に抜かされたので、残念ながら結果は緑団は2位だったが、カートはとても頑張った。明日は学校も仕事も休みの日だから、頑張ったご褒美にムートが好きなケーキ屋のケーキを買ってやろう。わりと高いから誕生日の時くらいにしか普段は買わないが、全然構わない。本当にカートは頑張ったのだ。盛大に褒める気満々なミゲルである。
ーーーーーー
月日は穏やかに賑やかに過ぎ去り、来年にはセシルが小学校に入学する。ムートとの結婚はカートが産まれて10年の契約である。早いもので、来年にはその10年目になる。ミゲルはじっと自室の壁に貼ってあるカレンダーを見つめ、小さく溜め息を吐いた。ムートと暮らせるのもあと1年だけだ。
ムートと一緒に子育てをする日々は、慣れないことばかりで大変で、兎に角慌ただしかったが、同時にとても楽しくて、満ち足りて、写真にたくさん撮り残した家族の思い出がキラキラと光っている。
子供達が初めて我が家にやって来た日も、寝返りをうった日も、ハイハイをし始めた日も、掴まり立ちした日も、歩きだした日も、いつもムートと一緒だった。2人で子供達の成長を手に手をとって喜んで、一緒に子供達と写真を撮り、2人で同じベッドで熱を分けあってきた。それもあと1年のことだ。もう、たったの1年しかない。ムートが側にいることが随分と前から当たり前になっている。
離婚をしても、きっとムートとは今後も親しくできるだろう。でも一緒に暮らして、一緒に寝て、一緒に子供達の成長を毎日見守ることはできない。それが酷く寂しくて堪らない。
ミゲルはすっかりムートの味の好みに慣れている。ムートと同じく、少し薄味で、さっぱりしたものを好むようになった。子供達と一緒じゃない時も、甘いものを食べることが増えた。少し熱めの風呂が好きになったし、芝居を楽しむようになったし、本や雑誌を買って読むようにもなった。ムートと手を繋いで歩くことも、キスをすることも、セックスをすることも、本当に当たり前になったし、ムートがいない生活を想像することすら上手くできなくなった。
ミゲルは自分の子供がほしかった。種馬は誰でもいいと思っていた。ずっと子育ては1人だけですると思っていた。子供達さえいれば、1人でも自分は大丈夫だと思っていた。
でも今は違う。ムートが側にいることが当たり前になりすぎて、ミゲル1人で子供達を育てながら、どうやって生きていけばいいのか分からない。自分がどうやって1人で生きていたのかも分からなくなった。ミゲルの心の中にムートはするりと入り込み、深く根を張った。ムートがいない生活を思うだけで、酷く胸が痛む。
ミゲルは自分の胸を押さえて、また溜め息を吐いた。今はムートがいない生活を考えても仕方がない。あと1年は共にいられるのだ。1日1日を大切にしていくことしかできない。
契約が終わり、サヨナラをする時には、笑顔で別れたい。それはちっぽけなミゲルのプライドだ。ムートが安心して子供達をミゲルに託せるように。
ムートと一緒に暮らさなくなったとしても、子供達とムートはそれからも会うのだ。そういう約束である。その時にミゲルもムートに会えばいい。
手を繋げなくても、抱き締めあえなくても、キスをできなくても、ただ会って話せるだけで十分だと思わなくてはいけない。
2人で交わした契約はきっちり履行されなければならない。
ミゲルは軽く頭を振って、自分の頬を両手でピシャリと叩いた。先のことを考えてばかりではいけない。今すべきことをしなければ。
ミゲルは頭を切り替えて、家族の夕食を作るために階下に降り、台所へと向かった。
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