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12:秋の豊穣祭
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今日は秋の豊穣祭である。
気持ちのいい秋晴れの中、ケリーはパーシーと2人でライナーを連れて賑やかな祭り会場に来ていた。アイールとコリンは各々友達と遊びに行き、カーラとケビンは久しぶりに2人だけでデートだ。夕方には合流する予定である。
ケリーはライナーを抱っこ紐を使って抱っこした状態で、パーシーと手を繋いで屋台が立ち並ぶ界隈を歩いていた。ライナーのお出かけ用鞄を片手に持っているパーシーと繋いだ手の指を絡めて、ケリーは歩きながらパーシーに身体を寄せて話しかけた。人通りが多くてかなり賑やかだし、ちょうど近くで素人楽団の野外演奏会が行われていて、大きな声を出すか近寄らないと、ろくに会話が成り立たない。
「パーシー。どれから食べる?」
「んー。ケリーはお酒飲むでしょ。お酒に合いそうなのにしようか」
「肉だな」
「肉だね。あ、あそこの屋台、すごくいい匂いがしてるよ。鶏のつくね串だって。ちょっと珍しいね。去年まであったかな?」
「へぇー。いいな。覚えがないから今年からの屋台か?よし。買うか」
「うん。いつもの場所に今年も休憩所があるだろうから、休憩所近くの屋台でお酒を買えばいいかな」
「おう。他は?パーシーは何が食いたい?」
「んー。そうだなぁ。あ、いつもの杏のカップケーキが食べたい」
「俺も今年の杏の酒を買いたいから、先にそっちに行くか」
「つくね串は?」
「後ででいい。別に逃げんしな」
「ははっ。そうだね」
楽しそうに笑ったパーシーに、ケリーもつられて笑みを浮かべた。40歳を過ぎたあたりから早くも老眼が入ったパーシーは眼鏡をかけるようになった。黒いフレームの眼鏡はパーシーによく似合っていると思う。パーシーは笑うと目尻に皺ができるようにもなった。ケリーはパーシーの笑い皺を見るのがお気に入りである。昨夜もベッドで何度もイチャイチャしたし、夫婦仲は実に良好である。ケリーはご機嫌に毎年行っている杏商品専門店が出している屋台へとパーシーと共に向かった。
パーシーは孫達の分まで杏のカップケーキを買い、ケリーも今年採れた杏を浸けた酒を買った。鶏のつくね串も買いに行き、他にも屋台を冷やかしていくつか食べる物を買って、最後に休憩所の近くにある屋台で冷たいエールを買って休憩所の椅子に落ち着いた。休憩所は殆んど椅子が埋まっていたが、何とか2人分の場所を確保できた。
「毎年のことだけど、人が多いね」
「なー。どっから湧いてんだってくらい、秋の豊穣祭ん時は多いよな。あ、パーシー。先に鞄からライナーのお茶を取ってくれ。水筒に入れてっから。ライナー用のコップも」
「うん。ちょっと待って」
「ライナー。お茶飲もうな」
「うー」
「そうだな。喉が渇いたな」
「あー」
パーシーが鞄の中を探っているのを横目に、片手でライナーを支えながら抱っこ紐の紐を外し、ライナーを膝の上に座らせた。片手でライナーを支えながら、抱っこ紐をパーシーに渡して鞄に入れてもらい、ライナーの腹を指先でうりゃうりゃと擽ってやるとライナーがご機嫌に笑った。孫達の中でライナーが1番顔がパーシーに似ている。特に笑った時の目元の雰囲気がそっくりだ。アイールは顔はケビンの亡くなった祖父に似ており、コリンは全体的に誰、というよりも、目元はカーラで口元はケビンという感じで部分的に似ている顔をしている。3人とも微妙に顔の系統が違っている気がする。
ライナーにお茶を飲ませてから、パーシーにライナーを渡して、ケリーも冷えているエールを飲んだ。この時くらいしか昼間に酒を飲むことはない。年に1度の楽しみである。パーシーもライナーを膝にのせたまま、酒を売っている屋台の隣にあった果物のジュースを売る屋台で買った葡萄のジュースを飲んでいる。
「これ食ったら特設ステージに行くか?今年も小学生の合唱団が歌を披露するんだろ?」
「そうだね。コリンの友達もステージに立つらしいし、見に行こうか。コリンも他の友達と一緒に見に行くって言ってたよ」
「名前何だったか。合唱団の子は確か女の子だよな」
「うん。シータちゃんだね」
「あ、そうそう。シータちゃんだ。あれだろ。いっつも髪を2つに高く結ってる」
「そうそう。お父さんは役所勤めなんだよね。仕事でたまーに顔を合わせるよ。あの子の髪は毎朝お父さんがやってるんだって」
「へぇー」
「あ、ライナー。こらこら。これはまだ君には早いよ」
「ライナー。こっちは食べていいぞ。ふわっふわで旨いぞー」
話しているとライナーが牛肉の串焼きに手を伸ばしたので、慌ててパーシーがライナーを止めた。ケリーはライナー用に買った柔らかいミルクパンを小さく千切ってライナーに渡してやった。一応ライナーに渡す前にケリーが味見をしてから。微かに甘いくらいだったので、ライナーが食べても大丈夫だ。他にも赤ちゃんを連れた男女が何人もそこでパンを買っていたから多分大丈夫だろうとは思ったが、念のため味見をした。ライナーはかなり食欲旺盛で、離乳食を嫌がらずにもりもり食べてくれる。アイールはあんまり食べたがらなかったから、初めての子育てだったこともあり、結構大変だった。
のんびり屋台の食べ物とエールを楽しんでから、ゴミをゴミ箱に捨てて、仮設トイレ近くにある赤ちゃんのオムツ替え専用スペースに移動してライナーのオムツを替えた。孫が生まれてから、こういうものが祭りの時などは用意されると初めて知った。出先で何処ででもオムツを替えられるわけではないので、素直にありがたい。
ケリーは再びライナーを抱っこ紐を使って抱っこして、パーシーと手を繋いで歩き始めた。
特設ステージで行われた小学生の合唱団の歌の披露は中々によかった。子供達が一生懸命歌う姿はとても可愛かったし、合唱自体もそれなりに上手かった。ライナーも気に入ったようで、楽しそうにステージを見ていた。後半は眠くなったようで気づいたら寝ていたが。
眠るライナーを今度はパーシーが抱っこして、露天を冷やかしに行く。孫達にちょっとした玩具か文房具あたりを買ってやりたい。カーラにもピアスを買いたい。カーラは成人する少し前にピアスの穴を開けた。ケビンからピアスをプレゼントされたからだ。カーラの耳に針で穴を開けたのはケリーである。カーラもパーシーも、怖すぎて無理、とケリーに丸投げしてきた。仕方なくケリーはカーラの耳に針を刺した。単なるピアス用の穴を開ける為なのだが、カーラの身体に傷をつけるのは正直気分がよくなかった。とはいえ、ピアスをつけたカーラは可愛かったので、当時は結構複雑な心境になったものだ。
いくつかの露天を見て回って、アイールには複雑な刺繍が施された布製の筆箱と、コリンには知恵の輪を買ってやり、パーシーと共に、マイキーと父親のマートルが2人で店番をしている露天の前で足を止めた。露天の前には10代の女の子数人と他にも若い女が何人も並べられた装飾品を見て、キャーキャー楽しそうな声で話しながら売り物の装飾品を選んでいる。赤ちゃん連れのオッサン2人には入っていきにくい空間だが、ケリーは気にせず露天に近づき、マートルに話しかけた。マイキーは客の女とやり取りしている。
「よぉ。マートル。儲かってるみたいだな」
「お。パーシーとケリーじゃん。お陰さまでな。パーシーが抱っこしてるの末っ子君だろ?でかくなったなー。パーシーそっくりじゃん」
「そうかな?」
「だろ?可愛いだろ」
「どっちが?パーシー?末っ子君?」
「どっちも」
「おっと、ご馳走さま。今年もカーラへのプレゼントかい?」
「おう。今年はピアスにしようかと思ってな」
「そこら辺のはマイキーが作った新作だ。マイキーはピアスが1番上手いんだわ。それとかカーラに似合うんじゃない?そこの赤い石がついてるやつ。ぶら下がるタイプのデザインじゃないから、末っ子君抱っこしてても引っ張られることにはならねぇよ」
「お。へぇ。確かにいいな」
「可愛いね。マイキーは本当に器用だね。すごく繊細な細工だ」
「まぁな。これで早く結婚して子供つくってくれたら俺も安心なんだけどよー。中々ねぇ」
「まぁ、そのうち良縁があるだろ」
「カーラがお婿さんにしてくれたら1番話が早いんだけど?」
「カーラはケビンだけでいいんだと」
「本当に昔からちょっと変わった子だよねぇ。子供の頃はかなり髪が短かったし。今だって、女は皆、旦那の数でマウント取り合ってんのに。ケビン1人だけでいいなんて」
「こないだも昔の男友達に告白されて断ってたわ」
「はぁー。勿体ないねぇ。いい女に育ったってのに」
「ま。しょうがねぇ」
「マートル。これをもらえるかな。あと、こっちの花の形をしたやつも」
「ん?2個買うのか?パーシー」
「うん。だって、これ可愛くない?カーラに似合うよ」
「確かに可愛いな」
「まいどー」
パーシーがマートルに金を渡して、袋に入れてもらったピアスを受け取った。接客中のマイキーに手を振ってから、彼らの露天を後にする。
「マイキーにも、いい相手ができればいいね」
「だなぁ。ま、縁なんてどこに転がってるか分からんもんだ。そのうち突然結婚するとか言い出すんじゃねぇの?」
「ははっ。そうだね」
パーシーと笑いあって、ケリーは手を繋いだまま眠るライナーを抱っこして歩くパーシーに身を寄せて素早くパーシーの頬にキスをした。
本当にどこに縁が転がっているかなんて誰にも分からないものだ。ケリーは最高の縁を得られた。マイキーにも、いい縁が訪れるといい。
ケリーは嬉しそうに笑うパーシーと一緒に、夕方まで賑やかな秋の豊穣祭を満喫した。
気持ちのいい秋晴れの中、ケリーはパーシーと2人でライナーを連れて賑やかな祭り会場に来ていた。アイールとコリンは各々友達と遊びに行き、カーラとケビンは久しぶりに2人だけでデートだ。夕方には合流する予定である。
ケリーはライナーを抱っこ紐を使って抱っこした状態で、パーシーと手を繋いで屋台が立ち並ぶ界隈を歩いていた。ライナーのお出かけ用鞄を片手に持っているパーシーと繋いだ手の指を絡めて、ケリーは歩きながらパーシーに身体を寄せて話しかけた。人通りが多くてかなり賑やかだし、ちょうど近くで素人楽団の野外演奏会が行われていて、大きな声を出すか近寄らないと、ろくに会話が成り立たない。
「パーシー。どれから食べる?」
「んー。ケリーはお酒飲むでしょ。お酒に合いそうなのにしようか」
「肉だな」
「肉だね。あ、あそこの屋台、すごくいい匂いがしてるよ。鶏のつくね串だって。ちょっと珍しいね。去年まであったかな?」
「へぇー。いいな。覚えがないから今年からの屋台か?よし。買うか」
「うん。いつもの場所に今年も休憩所があるだろうから、休憩所近くの屋台でお酒を買えばいいかな」
「おう。他は?パーシーは何が食いたい?」
「んー。そうだなぁ。あ、いつもの杏のカップケーキが食べたい」
「俺も今年の杏の酒を買いたいから、先にそっちに行くか」
「つくね串は?」
「後ででいい。別に逃げんしな」
「ははっ。そうだね」
楽しそうに笑ったパーシーに、ケリーもつられて笑みを浮かべた。40歳を過ぎたあたりから早くも老眼が入ったパーシーは眼鏡をかけるようになった。黒いフレームの眼鏡はパーシーによく似合っていると思う。パーシーは笑うと目尻に皺ができるようにもなった。ケリーはパーシーの笑い皺を見るのがお気に入りである。昨夜もベッドで何度もイチャイチャしたし、夫婦仲は実に良好である。ケリーはご機嫌に毎年行っている杏商品専門店が出している屋台へとパーシーと共に向かった。
パーシーは孫達の分まで杏のカップケーキを買い、ケリーも今年採れた杏を浸けた酒を買った。鶏のつくね串も買いに行き、他にも屋台を冷やかしていくつか食べる物を買って、最後に休憩所の近くにある屋台で冷たいエールを買って休憩所の椅子に落ち着いた。休憩所は殆んど椅子が埋まっていたが、何とか2人分の場所を確保できた。
「毎年のことだけど、人が多いね」
「なー。どっから湧いてんだってくらい、秋の豊穣祭ん時は多いよな。あ、パーシー。先に鞄からライナーのお茶を取ってくれ。水筒に入れてっから。ライナー用のコップも」
「うん。ちょっと待って」
「ライナー。お茶飲もうな」
「うー」
「そうだな。喉が渇いたな」
「あー」
パーシーが鞄の中を探っているのを横目に、片手でライナーを支えながら抱っこ紐の紐を外し、ライナーを膝の上に座らせた。片手でライナーを支えながら、抱っこ紐をパーシーに渡して鞄に入れてもらい、ライナーの腹を指先でうりゃうりゃと擽ってやるとライナーがご機嫌に笑った。孫達の中でライナーが1番顔がパーシーに似ている。特に笑った時の目元の雰囲気がそっくりだ。アイールは顔はケビンの亡くなった祖父に似ており、コリンは全体的に誰、というよりも、目元はカーラで口元はケビンという感じで部分的に似ている顔をしている。3人とも微妙に顔の系統が違っている気がする。
ライナーにお茶を飲ませてから、パーシーにライナーを渡して、ケリーも冷えているエールを飲んだ。この時くらいしか昼間に酒を飲むことはない。年に1度の楽しみである。パーシーもライナーを膝にのせたまま、酒を売っている屋台の隣にあった果物のジュースを売る屋台で買った葡萄のジュースを飲んでいる。
「これ食ったら特設ステージに行くか?今年も小学生の合唱団が歌を披露するんだろ?」
「そうだね。コリンの友達もステージに立つらしいし、見に行こうか。コリンも他の友達と一緒に見に行くって言ってたよ」
「名前何だったか。合唱団の子は確か女の子だよな」
「うん。シータちゃんだね」
「あ、そうそう。シータちゃんだ。あれだろ。いっつも髪を2つに高く結ってる」
「そうそう。お父さんは役所勤めなんだよね。仕事でたまーに顔を合わせるよ。あの子の髪は毎朝お父さんがやってるんだって」
「へぇー」
「あ、ライナー。こらこら。これはまだ君には早いよ」
「ライナー。こっちは食べていいぞ。ふわっふわで旨いぞー」
話しているとライナーが牛肉の串焼きに手を伸ばしたので、慌ててパーシーがライナーを止めた。ケリーはライナー用に買った柔らかいミルクパンを小さく千切ってライナーに渡してやった。一応ライナーに渡す前にケリーが味見をしてから。微かに甘いくらいだったので、ライナーが食べても大丈夫だ。他にも赤ちゃんを連れた男女が何人もそこでパンを買っていたから多分大丈夫だろうとは思ったが、念のため味見をした。ライナーはかなり食欲旺盛で、離乳食を嫌がらずにもりもり食べてくれる。アイールはあんまり食べたがらなかったから、初めての子育てだったこともあり、結構大変だった。
のんびり屋台の食べ物とエールを楽しんでから、ゴミをゴミ箱に捨てて、仮設トイレ近くにある赤ちゃんのオムツ替え専用スペースに移動してライナーのオムツを替えた。孫が生まれてから、こういうものが祭りの時などは用意されると初めて知った。出先で何処ででもオムツを替えられるわけではないので、素直にありがたい。
ケリーは再びライナーを抱っこ紐を使って抱っこして、パーシーと手を繋いで歩き始めた。
特設ステージで行われた小学生の合唱団の歌の披露は中々によかった。子供達が一生懸命歌う姿はとても可愛かったし、合唱自体もそれなりに上手かった。ライナーも気に入ったようで、楽しそうにステージを見ていた。後半は眠くなったようで気づいたら寝ていたが。
眠るライナーを今度はパーシーが抱っこして、露天を冷やかしに行く。孫達にちょっとした玩具か文房具あたりを買ってやりたい。カーラにもピアスを買いたい。カーラは成人する少し前にピアスの穴を開けた。ケビンからピアスをプレゼントされたからだ。カーラの耳に針で穴を開けたのはケリーである。カーラもパーシーも、怖すぎて無理、とケリーに丸投げしてきた。仕方なくケリーはカーラの耳に針を刺した。単なるピアス用の穴を開ける為なのだが、カーラの身体に傷をつけるのは正直気分がよくなかった。とはいえ、ピアスをつけたカーラは可愛かったので、当時は結構複雑な心境になったものだ。
いくつかの露天を見て回って、アイールには複雑な刺繍が施された布製の筆箱と、コリンには知恵の輪を買ってやり、パーシーと共に、マイキーと父親のマートルが2人で店番をしている露天の前で足を止めた。露天の前には10代の女の子数人と他にも若い女が何人も並べられた装飾品を見て、キャーキャー楽しそうな声で話しながら売り物の装飾品を選んでいる。赤ちゃん連れのオッサン2人には入っていきにくい空間だが、ケリーは気にせず露天に近づき、マートルに話しかけた。マイキーは客の女とやり取りしている。
「よぉ。マートル。儲かってるみたいだな」
「お。パーシーとケリーじゃん。お陰さまでな。パーシーが抱っこしてるの末っ子君だろ?でかくなったなー。パーシーそっくりじゃん」
「そうかな?」
「だろ?可愛いだろ」
「どっちが?パーシー?末っ子君?」
「どっちも」
「おっと、ご馳走さま。今年もカーラへのプレゼントかい?」
「おう。今年はピアスにしようかと思ってな」
「そこら辺のはマイキーが作った新作だ。マイキーはピアスが1番上手いんだわ。それとかカーラに似合うんじゃない?そこの赤い石がついてるやつ。ぶら下がるタイプのデザインじゃないから、末っ子君抱っこしてても引っ張られることにはならねぇよ」
「お。へぇ。確かにいいな」
「可愛いね。マイキーは本当に器用だね。すごく繊細な細工だ」
「まぁな。これで早く結婚して子供つくってくれたら俺も安心なんだけどよー。中々ねぇ」
「まぁ、そのうち良縁があるだろ」
「カーラがお婿さんにしてくれたら1番話が早いんだけど?」
「カーラはケビンだけでいいんだと」
「本当に昔からちょっと変わった子だよねぇ。子供の頃はかなり髪が短かったし。今だって、女は皆、旦那の数でマウント取り合ってんのに。ケビン1人だけでいいなんて」
「こないだも昔の男友達に告白されて断ってたわ」
「はぁー。勿体ないねぇ。いい女に育ったってのに」
「ま。しょうがねぇ」
「マートル。これをもらえるかな。あと、こっちの花の形をしたやつも」
「ん?2個買うのか?パーシー」
「うん。だって、これ可愛くない?カーラに似合うよ」
「確かに可愛いな」
「まいどー」
パーシーがマートルに金を渡して、袋に入れてもらったピアスを受け取った。接客中のマイキーに手を振ってから、彼らの露天を後にする。
「マイキーにも、いい相手ができればいいね」
「だなぁ。ま、縁なんてどこに転がってるか分からんもんだ。そのうち突然結婚するとか言い出すんじゃねぇの?」
「ははっ。そうだね」
パーシーと笑いあって、ケリーは手を繋いだまま眠るライナーを抱っこして歩くパーシーに身を寄せて素早くパーシーの頬にキスをした。
本当にどこに縁が転がっているかなんて誰にも分からないものだ。ケリーは最高の縁を得られた。マイキーにも、いい縁が訪れるといい。
ケリーは嬉しそうに笑うパーシーと一緒に、夕方まで賑やかな秋の豊穣祭を満喫した。
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