アナとも!

丸井まー(旧:まー)

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アナとも編

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アレックス・フーパーは自宅に帰りつくなり、鞄を投げ捨てた。玄関の鍵を閉め、窓が施錠されていることを確認してカーテンをきっちり閉め直し、念のため防音の結界を張ると、おもむろにズボンと下着を脱ぎ捨てた。

今日も職場で嫌なことがあった。
アレックスは王宮薬師局で働く薬師である。王宮は薬師という特殊な仕事であっても、当然貴族や平民でも上流階級の者が殆どである。そんな中、平民でド田舎出身のアレックスは馬鹿にされてイビられる対象であった。
今日も今日とて、まる1日嫌味を言われたり、仕事の邪魔をされたりでムシャクシャしている。

箱に入れてベッドの下に隠してある相棒を取り出す。アレックスのペニスよりもだいぶ小さいピンク色の張り型だ。内臓されている魔石で動く可愛い相棒である。

アレックスはアナニーが趣味であった。
元々男しか愛せない同性愛者で、しかしそれを隠して生きてきた。王宮薬師局に就職した翌年に、行きたくもない職場の飲み会で他の同僚達が所謂大人の玩具について下品に話しているのが耳に入った。ご丁寧に売っている専門店の場所まで詳しく話していた。
言い訳するならば、その時は酔っていたのだ。飲み会が終わった後、酔った勢いで1人でその店に行き、現在の愛しの相棒とローションを購入。家に帰って、早速試してみたら、ものの見事にハマってしまった。

アレックスは三十路をとうに越えているが、恋人がいたこともセックスをしたこともない。いいなぁ、と思う男がいても、同性愛者であることを周囲にひたすら隠しているので、恋になるまえに諦めるのが常である。花街にいけば男を買えるが、なんだか怖くて行けない。繁華街の飲み屋通りに同性愛者専門のバーがあると聞いたことがあるが、そこにも怖くて行けない。そんなところに出入りしているのが周囲にバレたら完全に詰む。

ベッドの上に大きめのタオルを敷いて、早速ローションのボトルを手に取るが、仕事の制服の上着を脱ぐのを忘れていたことに気づく。ヤル気満々なのに今から脱いでハンガーにかけるのはかなり面倒だが、汚れた方がより面倒である。仕方なく溜め息を吐いて、上着を脱ぎ、ハンガーにかけ、気を取り直してローションのボトルを手に取った。ローションを手に出す前に、浄化魔術を自分にかけて直腸内をキレイにする。浄化魔術自体は非常に初歩的な魔術で、魔力が少なくても発動できる為、世の中のだいたいの人は使えるのではないだろうか。本来は体を清潔にする為のものだが、こういう使い方もできる。人類で初めて直腸に使うという発想に至った奴は確実に男に掘られるのが好きな変態だ。名も知らぬ大昔の変態よありがとう。お陰でこうして楽してアナニーができる。

ドロッとした液体を片手に取ると、自分のアナルに触れる。マッサージするように少し揉むと、ゆっくりと中指を入れた。ローションを馴染ませるように何度も指を出し入れする。拡げるように指を回して動かせば、じわじわ気持ちよくなってくる。直腸内の前立腺を焦らさずグリグリ指で擦れば、自然と声がもれた。内壁を擦りながら指を出し入れする。触ってもいないアレックスのペニスは完全に勃起して、先走りを滲ませていた。
ローションを足して、もう一本指を増やす。早く相棒を入れたいが、ちゃんと解しておかないと痛いので、焦る気持ちを抑えて指をひたすら動かした。ようやく相棒を入れられそうなくらい解れた。
相棒を手に取り、ローションを塗りたくる。ピタリと自分のアナルに先っぽを押しつけると、期待でごくりと生唾を飲んだ。
ゆっくりと相棒を入れる。じわじわ自分の体の中に異物が入ってくる感覚に体を震わせる。アレックスの相棒は小さめだから、相棒の先の方がちょうど前立腺の位置にくる。相棒をそこまで挿入すると、スイッチを入れた。途端にウィンウィンと小さな音を立てて、相棒がアレックスの中で動き出す。頭が痺れるような快感が襲ってくる。アレックスは夢中で声を上げながら相棒をズボズボ出し入れし始めた。痛いほど張りつめているペニスを擦りたいが、まだだ。焦らした方がより気持ちがいいことを既に知っている。仰向けで足を大きく開いていた体勢を変える。四つん這いになり、後ろ手で相棒を動かす。突き入れる度に前立腺が刺激されて、腰や内腿が震える。
アレックスは、開きっぱなしの口から涎が垂れるのも気にならないくらい、夢中で快感を味わっていた。じゅぼじゅぼ音を立てて激しく相棒を出し入れしながら、自分のペニスを激しくしごく。絶頂はすぐにきた。アレックスは声を上げながら、勢いよくタオルの上に射精した。

ハァハァと荒い息を吐きながら、相棒のスイッチを切る。そのままの体勢で余韻を味わった後、ゆっくり相棒を引き抜いた。気持ち良かったが、まだ足りない。もう一度ローションを足して、ゆっくりと再び相棒を挿入する。
アレックスは気がすむまで、ひたすら快感を貪った。





ーーーーーー
アレックスは酔っていた。
今日は仕事が終わったあと、職場の新人歓迎会があったのだ。行きたくなどなかったが、強制参加の為仕方がなく行った。特に話をする相手もおらず、酒を飲む以外時間の潰しようがなかった為、かなりの量を飲んでいる。

帰り道。
酒で火照った頬にあたる夜風が気持ちいい。
ふと思い立って、大人の玩具専門店に足を進めた。今の相棒を使い始めてそれなりに経つ。そろそろ新しい相棒を仕入れるのもいいかもしれない。

専門店に入り、薄暗い店内を見回して、良さそうな玩具を物色する。
今の相棒は並んでいる玩具の中では、だいぶ小さい方だ。もう少し大きいのに挑戦してみてもいいかもしれない。熟考の末選んだのは、現相棒より一回り大きく、より男性器に形が近いものだ。魔石内臓ではないため動かないが、かわりに下の方に吸盤がついており、床にくっつけて自分で動くことができる。目新しさに惹かれて購入を決めた。残り少なくなったローションの追加も手に取った時、店に新たな客が入ってきた。
薄暗い店内でも分かるべっこう飴のような甘い色味の金髪の男だ。ここに来るのは初めてなのか、キョロキョロと店内を見回している。
アレックスは金髪の男から目を離して会計に行こうとした。すると、背後から声をかけられた。


「ねぇ。それ自分用?」


アレックスの手の中のものを指して、そう言った。随分と馴れ馴れしい。無視しようと思ったが、相手の顔を見て止めた。
目の前に立つと、平均身長はあるアレックスが少し見上げなければならないくらい背が高い。甘い髪色に似合わず、精悍な顔立ちをしている。翡翠のような綺麗な瞳が印象的である。ちょっと好みだ。これで髭を生やしていて、なおかつ似合っていれば尚いいのに。


「……そうだけど」

「俺初めてこういうの買うんだけどさ、どんなのがいいか分からないんだ。ちょっとアドバイスしてもらえると助かるんだけど」

「店員は?」

「ちょっと聞きにくい」


見知らぬ男に聞くのはいいのか。
ていうか、自分用のもの買っているアレックスに聞くってことは、自分で使うのか。目の前の男がアナニーする所を少し想像して軽く興奮を覚えた。


「別にいいけど」

「ありがと。助かるよ」


金髪の男はニッと明るく笑った。薄暗い、いかがわしいものが溢れかえった店の中には似つかわしくない笑顔だ。
男を張り型が置いてあるコーナーに案内する。男は興味深そうに並んでいる玩具を眺めていた。


「どんなのがいいの?」

「道具以外を入れたことあるのか?」

「全くない。指もまだ」

「……なんで、そんなんでいきなり玩具なんだよ」

「好奇心?気持ちいいって聞いたから」

「あっそ」

「これは?」


全くの初心者が入れるには、かなり大きすぎるものを見せてきた。イボイボがついていて、見た目はかなりグロテスクだ。


「止めとけ。多分入らない」


アレックスの相棒と同じシリーズのものを手に取って男に渡した。つるりとした表面はローションを塗ったら入れやすいし、魔石内臓でぐるんぐるん動くから使いやすく気持ちがいい。それを説明してやると、男が目を輝かせた。


「じゃあ、これにするよ」

「ローションも忘れず買えよ」

「あぁ。ありがとう」

「じゃあな」


男に背を向けて、今度こそ会計しに行こうとしたら、男に手首を掴まれた。


「……なに?」

「選んでもらったついでに頼みがあるんだけど」

「頼み?」

「これ使う場所貸してくれない?」

「自分の家でやれ」

「実家住まいだから、やりにくいんだよ」


男が肩をすくめた。手首はまだ掴まれたままだ。男からは酒精の匂いがした。アレックスと同じく酔ったノリで来たのだろう。
一瞬断ろうと思ったが、金髪の男の精悍な顔が快感でどう歪むのか、気になった。


「まぁ、いいけど……とっとと会計するぞ」

「ありがとう!助かるわ」


喜色満面な笑顔で金髪の男が嬉しそうに掴んでいるアレックスの手首をブンブン振った。
精悍な顔立ちだが、笑うとちょっと幼い。多分、年下なのではないだろうか。

会計を済ませて、金髪の男と並んで、自宅である狭くて古い集合住宅に向かって歩く。


「俺はキュリオ。アンタは?」

「……アレックス」

「場所借りるついでに使い方教えてよ」

「別にいいが……お前同性愛者か?」

「わかんない」

「は?」

「初恋もまだなんだ。男と女のどっちが好きかも、よく分からない」

「……それでよく尻を使おうと思ったな」

「単純な好奇心だよ。スケベなことに興味津々なお年頃だから」

「いっそ花街に行けばいいだろう?」

「お金かかるし、病気が怖いじゃん」

「ふーん」


話しているとアレックスの家に着いた。
玄関の鍵を開けて、キュリオを家の中に入れ、自分も入って、内側から鍵をかける。

さて、お楽しみの時間の始まりだ。
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