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ディリオはナイルとクインシーを連れて中央の街の大きな通りを歩いていた。ディリオの少し後ろを歩く2人は生ける屍のようである。
ディリオも正直身体はツラい。しかし、だからといって折角サンガレアに帰ってきているのに休日に寝て過ごすなんて勿体ないことしたくはない。
ディリオはお気に入りの店を目指して、ご機嫌に歩いた。
「はーい。1軒目はここでーす」
ディリオはお気に入りの店の前で振り返って2人を見た。クインシーがコテンと首を傾げた。
「副班長。『拉麺』ってなんですか?」
「ん?お前知らない?」
「初めて聞いたっす」
「ディリオ。多分サンガレアか王都みたいなデカい街にしか拉麺屋なんてないぞ」
「マジっすか」
「俺、ド田舎出身だし。デカい街なんて行ったことないっすよ」
「あり?国軍の異動とかでもねぇの?」
「俺、西の端っこのミケアナ領出身なんすよ」
「ミケアナ……あぁー。確かちっこい所だろ?」
「そうっす。その中でも田舎の小さな村っすね。ミケアナ自体はちっこいけど何もないから軍の演習もできるってことで、一応軍学校あるんすよ」
「へぇー」
「そこ出て、隣のナクーブル領で新人教育期間終えて、ざっと半年後にトリット領に飛ばされました」
「半年でかよ」
「ナクーブル領もミケアナよりデカいけど田舎だし。都会なんて行ったことないっすよ。王都も今回で初めてだったし」
「マジか。仕事じゃなければ王都観光連れていってやったのに」
「まぁ、そんな訳で俺は田舎しか知らないんすよね」
「なるほど。尚更試さなきゃな」
「拉麺って旨いんすか?」
「旨いぞ。特にここの店は老舗でな。ばあ様も通う有名店だ」
「へぇー」
物珍しそうな顔をするクインシーと眠そうな顔のナイルを連れて店へと入る。開店したばかりの時間なのに、もう店の殆んどのテーブルが埋まっていた。幸い四人用のテーブルが1つ空いていたので、早速座ってメニュー表を見る。久しぶりの拉麺だ。ディリオはクインシーに説明しながら、生き生きとメニューを選んだ。
「小隊長、どれにします?」
「醤油一択の半分量のやつ」
「でしょうね。1番あっさりしてるし。半分ください。この後、他の店にも行くんで」
「あぁ」
「クインシーはどれにする?」
「んー。この味噌ってやつにしてみるっす。味噌って殆んど食ったことねぇし」
「俺も味噌かなぁ。や、豚骨も捨てがたい……トッピングなしにして両方食うか」
「副隊長の胃袋って相変わらず出鱈目なデカさっすね」
「俺美しい上に魔力量多いから」
「美しさ関係あるんすか?」
「ないな」
「ないのかよ」
店員に注文してから、サービスの水を飲みつつ拉麺を待つ。向かいに座る、くわぁと大きな欠伸をしたナイルを見て、メニュー表を見ているクインシーを見た。
「初めて聞く料理の名前ばっかっす」
「あー。サンガレアって食文化が独特だから」
「ふーん」
「そういやさー、クインシー」
「なんすか?」
「お前いっつも詰所で飯食ってんじゃん。フリージアならまぁまだ割と旨いから分からんでもないけどさー、くっそマズかったトリットでもだっただろ?普通の店で食わねぇの?」
「あー。俺実家に仕送りしてるんすよ。あと他にも貯金してっから金を使いたくなくて」
「仕送りと貯金?」
「そ。俺ん家、唯でさえ貧乏な村でも1番の貧乏だったんすよねー。母親は村1番の美人だったらしいんですけど、なんつーか、だらしねぇ性格しててー。8回離婚してるんすよね」
「離婚自体は珍しくもないが、8回はすげぇな」
「でしょー。そもそも小さい村だし。歴代の父親達も1人目の息子と娘は離婚の時に引き取っても、それ以外は母親んとこに置いてくのばっかだったんすよねー。俺1番最初の旦那の次男なんすよ。結局下に6人俺と一緒で置いていかれた弟がいるんすよねー」
「うわぁ」
「1番下の弟はまだ14だし。ビックリする位めちゃくちゃ頭がいいんすよ。他の弟達は村とか近くの町で全員働いてるんすけど、1番下の弟だけは本当に頭がいいし勉強好きだから、王都の高等学校に行かせてやりたいんすよね。だから仕送り以外は殆んど貯金してるんすよ」
「偉いなぁ、お前。頑張ってんだなぁ」
「そうでもねぇっす。すぐに左遷されちまったし」
「結果的に今は班長じゃん」
「まぁ、そうっすけど」
「小隊長は知ってました?」
「あぁ」
「小隊長、俺の事情知ってっから、トリットの時はたまに飯とか酒奢ってくれてたんすよ」
「へぇー」
「あ、なんかきた」
「お、拉麺きた」
いい香りのする熱々の拉麺丼を待ってましたと出迎える。とりあえず豚骨を先に持ってきてもらった。箸での食べ方をクインシーに教えてから、早速レンゲでスープをすくって飲む。記憶と違わぬ安定の美味さに笑みが溢れる。麺も抜群の茹で加減だし、焼豚も分厚くて美味い。熱々の拉麺をはふはふとあっという間に食べきり、スープも全部飲み干して、味噌も持ってきてもらう。味噌を待ち始めると、ナイルがずいっと小さめの拉麺丼を差し出してきた。
「もういいんですか?」
「あぁ。旨いが他の店でも何か食うんだろ?」
「えぇ。折角サンガレアに来たんだから、とりあえず食い倒れとかないと」
「副隊長ー。この味噌拉麺ってマジでちょー旨いっすー。この卵とかマジ最高ー」
「だろー。あ、醤油も1口試してみるか?」
「あ、じゃあスープ欲しいっす。って、うめー。醤油もうめー」
「だろー?豚骨も試させたらよかったな。ついがっついて食っちゃったし」
「はい!副隊長!俺この『桃まん』ってやつが気になります!」
「あ、『桃まん』なら俺も食う」
「小隊長、1個食いきれます?甘いから俺手伝えませんよ?」
「クインシーと半分こでいいだろ」
「いいっすよー。他にも旨いもん食いに行くんすよねー?」
「おうともよ」
味噌拉麺が運ばれてきたタイミングで桃まんを頼み、すぐに運ばれてきた桃まんを半分こして美味そうに食べる2人の前でディリオは味噌拉麺もスープも全部飲んで食べきった。うむ。味噌も最高。欲を言うなら煮卵を追加トッピングしておけばよかった。あと味噌はピリ辛トッピングも最高に美味い。3杯目も余裕で腹に入るが、この後に食べたいものがいくつもある。今日のところは止めておくことにした。
拉麺屋から出て途中にある持ち帰り専門店が集中している界隈を冷やかし、次のお目当てであるピッツァ専門店にやって来た。
「なんなんすか?ぴっつぁ、って」
「説明するより現物見た方が早いな。まぁ、なんだ。あえて一言で言うなら『ちょー美味い』。家で作れないこともないんだが、やっぱりピッツァ専用の窯で焼いてあるやつの方が美味いんだよなぁ。ちなみにここは風の神子様お気に入りの店だ」
「へぇー」
「あ、ディリオ。俺トマトとバジルのがいい」
「いいですねー、小隊長。ちょうど時期ですからね」
「俺鴨肉のローストってやつ気になります」
「それ俺が好きなやーつ。頼もう。俺は非常に悩ましいが『肉祭り』にするわ」
「なんすかそれ」
「サラミとかソーセージとか肉ががっつりのってるんだよ。食いごたえがあるのよー。サンガレアではピッツァは分けっこして食べるもんなんだわ。予め切られてるし。つー訳で楽しいピッツァの時間だ。あ、ワインも頼みます?」
「俺はいい。今の状態で飲んだら1口で寝る」
「俺もっすねー」
「俺も多分寝ちゃうなぁ……今回はワインは諦めましょう。残念ですけど」
拉麺を食べて少しテンションが上がってきた2人と喋りながらピッツァを待ち、めちゃくちゃ美味い熱々のピッツァを楽しんだ。
3軒目に小休止で夏場しかないかき氷が美味しい喫茶店に行き、公衆浴場で汗を流した後は、夕食として、トリッシュから移動中に聞いたカレー専門ビュッフェの店に行く。なんと様々なカレーやカレーのトッピングがビュッフェ形式で食べられるという面白い店だ。子供、一般女性、一般男性、魔術師とで値段が分かれている。魔術師が魔力量の関係で大食漢が多いからだろう。
カレーも知らなかったクインシーはカレーを気に入ったようで、20種類以上あるカレーを1口ずつ全制覇していた。ディリオも当然全制覇である。カレーだけではなくトッピングも全制覇した。ナイルはマイペースに豆と鶏肉のカレーをのんびり食べていた。あと飲み物のラッシーをかなり気に入ったようだ。
満腹になるまでがっつり食べて店を出て、最後に立ち飲みジュース屋で各々好きな果物のジュースを飲んでから、すっかり暗くなった道を歩いて寝泊まりしている領館へと帰った。
割と満足がいく楽しい休日だった。次は芝居に行ってもいいし、資料館や博物館などに行っても楽しい。他にも食べたいものが沢山ある。
ディリオは少ない休日をフルに楽しんで、キツい地獄の日々の気晴らしにする気満々である。じゃないと正直やっていられない。ディリオを小さい頃から知っているサンガレア領軍の連中が嬉々として張り切りまくっている。ディリオは子供の頃からそれなりに厳しい鍛練をしてきており、ある程度は慣れていると思っていたが、それでも相当キツい。素直に地獄だ。何か楽しみがないと心が折れそうなレベルの地獄である。
ディリオは満足感に溢れた気分でいつもよりもかなり早い時間にベッドに潜り込んだ。
ぶっちゃけオナニーしたいが、そこまでの気力がない。明日の朝も早いし、次の休日までまた地獄の日々だ。
暫くはオナ禁になってしまう。サンガレアでの修行が終わったら、ご褒美ってことでばあ様からなんかすっごいの貰おう。すっごいの。
そう決めるとすぐに瞼が重くなってきた。抗うことなく目を閉じる。ディリオ達の束の間の休日はこうして終わった。
ディリオも正直身体はツラい。しかし、だからといって折角サンガレアに帰ってきているのに休日に寝て過ごすなんて勿体ないことしたくはない。
ディリオはお気に入りの店を目指して、ご機嫌に歩いた。
「はーい。1軒目はここでーす」
ディリオはお気に入りの店の前で振り返って2人を見た。クインシーがコテンと首を傾げた。
「副班長。『拉麺』ってなんですか?」
「ん?お前知らない?」
「初めて聞いたっす」
「ディリオ。多分サンガレアか王都みたいなデカい街にしか拉麺屋なんてないぞ」
「マジっすか」
「俺、ド田舎出身だし。デカい街なんて行ったことないっすよ」
「あり?国軍の異動とかでもねぇの?」
「俺、西の端っこのミケアナ領出身なんすよ」
「ミケアナ……あぁー。確かちっこい所だろ?」
「そうっす。その中でも田舎の小さな村っすね。ミケアナ自体はちっこいけど何もないから軍の演習もできるってことで、一応軍学校あるんすよ」
「へぇー」
「そこ出て、隣のナクーブル領で新人教育期間終えて、ざっと半年後にトリット領に飛ばされました」
「半年でかよ」
「ナクーブル領もミケアナよりデカいけど田舎だし。都会なんて行ったことないっすよ。王都も今回で初めてだったし」
「マジか。仕事じゃなければ王都観光連れていってやったのに」
「まぁ、そんな訳で俺は田舎しか知らないんすよね」
「なるほど。尚更試さなきゃな」
「拉麺って旨いんすか?」
「旨いぞ。特にここの店は老舗でな。ばあ様も通う有名店だ」
「へぇー」
物珍しそうな顔をするクインシーと眠そうな顔のナイルを連れて店へと入る。開店したばかりの時間なのに、もう店の殆んどのテーブルが埋まっていた。幸い四人用のテーブルが1つ空いていたので、早速座ってメニュー表を見る。久しぶりの拉麺だ。ディリオはクインシーに説明しながら、生き生きとメニューを選んだ。
「小隊長、どれにします?」
「醤油一択の半分量のやつ」
「でしょうね。1番あっさりしてるし。半分ください。この後、他の店にも行くんで」
「あぁ」
「クインシーはどれにする?」
「んー。この味噌ってやつにしてみるっす。味噌って殆んど食ったことねぇし」
「俺も味噌かなぁ。や、豚骨も捨てがたい……トッピングなしにして両方食うか」
「副隊長の胃袋って相変わらず出鱈目なデカさっすね」
「俺美しい上に魔力量多いから」
「美しさ関係あるんすか?」
「ないな」
「ないのかよ」
店員に注文してから、サービスの水を飲みつつ拉麺を待つ。向かいに座る、くわぁと大きな欠伸をしたナイルを見て、メニュー表を見ているクインシーを見た。
「初めて聞く料理の名前ばっかっす」
「あー。サンガレアって食文化が独特だから」
「ふーん」
「そういやさー、クインシー」
「なんすか?」
「お前いっつも詰所で飯食ってんじゃん。フリージアならまぁまだ割と旨いから分からんでもないけどさー、くっそマズかったトリットでもだっただろ?普通の店で食わねぇの?」
「あー。俺実家に仕送りしてるんすよ。あと他にも貯金してっから金を使いたくなくて」
「仕送りと貯金?」
「そ。俺ん家、唯でさえ貧乏な村でも1番の貧乏だったんすよねー。母親は村1番の美人だったらしいんですけど、なんつーか、だらしねぇ性格しててー。8回離婚してるんすよね」
「離婚自体は珍しくもないが、8回はすげぇな」
「でしょー。そもそも小さい村だし。歴代の父親達も1人目の息子と娘は離婚の時に引き取っても、それ以外は母親んとこに置いてくのばっかだったんすよねー。俺1番最初の旦那の次男なんすよ。結局下に6人俺と一緒で置いていかれた弟がいるんすよねー」
「うわぁ」
「1番下の弟はまだ14だし。ビックリする位めちゃくちゃ頭がいいんすよ。他の弟達は村とか近くの町で全員働いてるんすけど、1番下の弟だけは本当に頭がいいし勉強好きだから、王都の高等学校に行かせてやりたいんすよね。だから仕送り以外は殆んど貯金してるんすよ」
「偉いなぁ、お前。頑張ってんだなぁ」
「そうでもねぇっす。すぐに左遷されちまったし」
「結果的に今は班長じゃん」
「まぁ、そうっすけど」
「小隊長は知ってました?」
「あぁ」
「小隊長、俺の事情知ってっから、トリットの時はたまに飯とか酒奢ってくれてたんすよ」
「へぇー」
「あ、なんかきた」
「お、拉麺きた」
いい香りのする熱々の拉麺丼を待ってましたと出迎える。とりあえず豚骨を先に持ってきてもらった。箸での食べ方をクインシーに教えてから、早速レンゲでスープをすくって飲む。記憶と違わぬ安定の美味さに笑みが溢れる。麺も抜群の茹で加減だし、焼豚も分厚くて美味い。熱々の拉麺をはふはふとあっという間に食べきり、スープも全部飲み干して、味噌も持ってきてもらう。味噌を待ち始めると、ナイルがずいっと小さめの拉麺丼を差し出してきた。
「もういいんですか?」
「あぁ。旨いが他の店でも何か食うんだろ?」
「えぇ。折角サンガレアに来たんだから、とりあえず食い倒れとかないと」
「副隊長ー。この味噌拉麺ってマジでちょー旨いっすー。この卵とかマジ最高ー」
「だろー。あ、醤油も1口試してみるか?」
「あ、じゃあスープ欲しいっす。って、うめー。醤油もうめー」
「だろー?豚骨も試させたらよかったな。ついがっついて食っちゃったし」
「はい!副隊長!俺この『桃まん』ってやつが気になります!」
「あ、『桃まん』なら俺も食う」
「小隊長、1個食いきれます?甘いから俺手伝えませんよ?」
「クインシーと半分こでいいだろ」
「いいっすよー。他にも旨いもん食いに行くんすよねー?」
「おうともよ」
味噌拉麺が運ばれてきたタイミングで桃まんを頼み、すぐに運ばれてきた桃まんを半分こして美味そうに食べる2人の前でディリオは味噌拉麺もスープも全部飲んで食べきった。うむ。味噌も最高。欲を言うなら煮卵を追加トッピングしておけばよかった。あと味噌はピリ辛トッピングも最高に美味い。3杯目も余裕で腹に入るが、この後に食べたいものがいくつもある。今日のところは止めておくことにした。
拉麺屋から出て途中にある持ち帰り専門店が集中している界隈を冷やかし、次のお目当てであるピッツァ専門店にやって来た。
「なんなんすか?ぴっつぁ、って」
「説明するより現物見た方が早いな。まぁ、なんだ。あえて一言で言うなら『ちょー美味い』。家で作れないこともないんだが、やっぱりピッツァ専用の窯で焼いてあるやつの方が美味いんだよなぁ。ちなみにここは風の神子様お気に入りの店だ」
「へぇー」
「あ、ディリオ。俺トマトとバジルのがいい」
「いいですねー、小隊長。ちょうど時期ですからね」
「俺鴨肉のローストってやつ気になります」
「それ俺が好きなやーつ。頼もう。俺は非常に悩ましいが『肉祭り』にするわ」
「なんすかそれ」
「サラミとかソーセージとか肉ががっつりのってるんだよ。食いごたえがあるのよー。サンガレアではピッツァは分けっこして食べるもんなんだわ。予め切られてるし。つー訳で楽しいピッツァの時間だ。あ、ワインも頼みます?」
「俺はいい。今の状態で飲んだら1口で寝る」
「俺もっすねー」
「俺も多分寝ちゃうなぁ……今回はワインは諦めましょう。残念ですけど」
拉麺を食べて少しテンションが上がってきた2人と喋りながらピッツァを待ち、めちゃくちゃ美味い熱々のピッツァを楽しんだ。
3軒目に小休止で夏場しかないかき氷が美味しい喫茶店に行き、公衆浴場で汗を流した後は、夕食として、トリッシュから移動中に聞いたカレー専門ビュッフェの店に行く。なんと様々なカレーやカレーのトッピングがビュッフェ形式で食べられるという面白い店だ。子供、一般女性、一般男性、魔術師とで値段が分かれている。魔術師が魔力量の関係で大食漢が多いからだろう。
カレーも知らなかったクインシーはカレーを気に入ったようで、20種類以上あるカレーを1口ずつ全制覇していた。ディリオも当然全制覇である。カレーだけではなくトッピングも全制覇した。ナイルはマイペースに豆と鶏肉のカレーをのんびり食べていた。あと飲み物のラッシーをかなり気に入ったようだ。
満腹になるまでがっつり食べて店を出て、最後に立ち飲みジュース屋で各々好きな果物のジュースを飲んでから、すっかり暗くなった道を歩いて寝泊まりしている領館へと帰った。
割と満足がいく楽しい休日だった。次は芝居に行ってもいいし、資料館や博物館などに行っても楽しい。他にも食べたいものが沢山ある。
ディリオは少ない休日をフルに楽しんで、キツい地獄の日々の気晴らしにする気満々である。じゃないと正直やっていられない。ディリオを小さい頃から知っているサンガレア領軍の連中が嬉々として張り切りまくっている。ディリオは子供の頃からそれなりに厳しい鍛練をしてきており、ある程度は慣れていると思っていたが、それでも相当キツい。素直に地獄だ。何か楽しみがないと心が折れそうなレベルの地獄である。
ディリオは満足感に溢れた気分でいつもよりもかなり早い時間にベッドに潜り込んだ。
ぶっちゃけオナニーしたいが、そこまでの気力がない。明日の朝も早いし、次の休日までまた地獄の日々だ。
暫くはオナ禁になってしまう。サンガレアでの修行が終わったら、ご褒美ってことでばあ様からなんかすっごいの貰おう。すっごいの。
そう決めるとすぐに瞼が重くなってきた。抗うことなく目を閉じる。ディリオ達の束の間の休日はこうして終わった。
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