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四話
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1日の授業が終わった後。イスマエルが別校舎の倶楽部部屋に向かって歩いていると、別校舎の近くに、アダルフォがいるのを見つけた。アダルフォは女子生徒と一緒で、雰囲気からして、どうやら告白をされているようである。2人の側を通らないと、別校舎には入れない。邪魔をするのも気が引けるし、どうしようかなぁと思っていると、女子生徒がアダルフォの頬を引っ叩いてから、此方に向かって走ってきた。突進してくる勢いの女子生徒を慌てて避けてから、イスマエルは小走りで、自分の頬を押さえているアダルフォに近寄った。
「また告白?」
「おう。断ったからって引っ叩くのは酷くねぇ?」
「なんて断ったの?」
「『お前に時間使うくらいなら、魔術の勉強がしたいから無理』」
「……うん。それは引っ叩かれてもしょうがないかな」
「だってー。あいつ、しつこかったんだもん。俺だって最初はもうちょいやんわり断ってたけどさー。告白してくんの4回目だぜ? いい加減諦めろっつーの。マジ面倒くせぇ。明日には教室中に『俺が悪い』って話が広がってるのに、今月のお小遣い賭けてもいいぜ」
「モテる男は大変だねぇ」
「嬉しくねー。イスー。あれやって。ひんやりするやつ」
「はいはい」
イスマエルは水魔術を発動して、自分の手に冷たい水を生成した。濡れた手でアダルフォのうっすら赤く染まっている頬にやんわりと触れると、アダルフォが気持ちよさそうに目を細めた。
「きもちいいー。水魔術便利―。一応使えるけど、イス程上手くないんだよなぁ。俺」
「君は火と風の魔術の適性がメインだものね。僕は水と風がメインだから、逆に火の魔術は不得手かな」
「はぁー。なんか疲れたぁ。倶楽部部屋行こうぜ。楽しいことして憂さ晴らしするー」
「うん。次の休みはどうする?」
「あ、なんか兄ちゃんが恋人連れてくるんだって。面白そうだから、イスも一緒にいようぜー。うひひ。めちゃくちゃ冷やかしてやんよ!」
「へぇー。イーダンさんに恋人かぁ。イーダンさんもモテそうだもんね。そりゃあ、恋人くらいできるか」
「歴代彼女のことは一応知ってるけど、恋人を正式に家に連れてくんのは初めてだから、親父達がなんか張り切ってる」
「そうなんだ。どんな人だろうね」
「兄ちゃん、面食いだし、絶対美人」
「ふーん。そろそろ熱は引いたかな」
「うん。ありがと。イス」
「いえいえ」
並んで歩きながら、ずっとアダルフォの頬に手を当てていたイスマエルは、倶楽部部屋の前でアダルフォの頬から手を離した。明日、酷い噂が立たないといいけど、と少しの不安を感じながらも、イスマエルはアダルフォと一緒に、倶楽部部屋に入った。
翌日。イスマエルが昼休憩の時間に図書室で本を読んでいると、バンッと大きなテーブルを叩く音がすぐ近くで響いて、イスマエルは反射的にビクッと身体を震わせた。音がした方を見てみれば、数人の女子生徒がイスマエルを睨んでいた。皆、違う教室の子達だと思う。いや、1人だけイスマエルと同じ教室の子がいた。複数の女子生徒に、こんなにギラギラと敵のように睨まれる心当たりなんてない。イスマエルが困惑していると、テーブルを叩いた女子生徒が、イスマエルを睨みつけながら口を開いた。
「ねぇ。アンタのせいでアダルフォは誰とも付き合わないんでしょ。アンタがいるから、つまらない魔術なんかにアダルフォが夢中になるのよ。とっととアダルフォから離れてくれない? アンタも魔術も邪魔なの。ねぇ。皆?」
「そうよそうよ」
「地味なアンタがアダルフォと友達ってマジでおかしい。釣り合ってないの分かってないの?」
「ほんと~。アンタ、マジで邪魔。魔術倶楽部も無くなっちゃえばいいのに」
イスマエルは、女子生徒達の言葉に呆れた。イスマエルがいなくたって、アダルフォは魔術に夢中になっていただろうし、魔術倶楽部が無かったとしても、こんな陰でつまらないことをするような女子生徒と恋人になるとは思えない。頭が悪い人って本当にいるんだなぁと、ちょっと謎の感心をしながら、イスマエルは口を開いた。
「此処は図書室です。静かにしてください。それと、ルフォが僕と友達じゃなくても、ルフォは魔術を好きになっていたと思います。そもそも、魔術好き仲間として、ルフォとは仲良くなったので」
「はぁ!? うっざ! 地味眼鏡の癖に!!」
パシーンッと頬に女子生徒の平手が飛んできた。衝撃で眼鏡が吹っ飛ぶ。イスマエルを叩いて満足したのか、女子生徒達は聞き苦しい悪態を好きなだけ吐いてから、図書室から出ていった。イスマエルは小さく溜め息を吐き、床に落ちた眼鏡を拾い上げた。幸い、眼鏡のレンズに傷は無いし、フレームも無事だ。眼鏡は高価なものだから、壊れてしまっては困る。
イスマエルがほっとしていると、顔馴染みの図書委員の先輩が近寄ってきて、心配そうな顔で、そっとハンカチを差し出してくれた。
「大丈夫? 頬っぺたのところ、ちょっと血が出てるよ」
「え? あ、爪が当たったのかな。ありがとうございます。ハンカチは汚しちゃうといけないので、自分のを使います」
「そう? ごめんね。止めに入れなくて。一応下級生なんだけど、あの子達の勢いがなんか怖くて」
「止めに入らなくて正解だったかもしれません。下手に止めようとしたら、先輩にまで飛び火してたかもしれませんから」
「念のため、保健室で消毒しておいた方がいいよ。爪は雑菌が詰まっていたりすることもあるから」
「ありがとうございます。そうします」
イスマエルは図書委員の先輩にお礼を言ってから、図書室を出て、保健室へと向かった。女子生徒に絡まれるのは初めてだが、実はアダルフォ絡みで誰かに絡まれるのは初めてのことではない。アダルフォは本当に人気者で、違う教室の子達とも仲がよく、特に剣術倶楽部の子達から、アダルフォに剣術倶楽部に入れと言ってくれとか頼まれることが何度かあった。アダルフォの意思を尊重するからと、毎回やんわり断っているし、この事をアダルフォ本人に言ったことはない。
保健室で引っ搔かれた傷口を消毒してもらい、傷薬の軟膏を塗ってもらうと、ちょうど午後の授業の予鈴が鳴った。次の授業は、選択授業の魔術の授業だ。アダルフォに傷を見られたら、ちょっと面倒かな、と思いながら、イスマエルは小走りで、教科書を置いている自分の教室に戻った。
イスマエルは、ぶすっとしているアダルフォの頬をつんつんと優しく突いた。目ざとく魔術の授業の時に頬の傷を見られ、放課後になると、わざわざアダルフォがイスマエルの教室に迎えに来た。魔術倶楽部の倶楽部部屋に移動しながら、事情を説明すると、アダルフォはすっかり怒ってしまった。拗ねているといってもいい。余程、自分のせいでイスマエルが怪我をしたのが腹立たしいのか、ずっとぶすっとむくれている。
イスマエルは、ちょっとぴりぴりした空気をまとっているアダルフォを宥めるように、アダルフォのお洒落に整えられている淡い茶色の髪をくしゃくしゃと撫で回した。
「僕は全然気にしてないから、そんなに怒らないでよ」
「はぁー!? そりゃ怒りもしますけどー!! なんっで俺のことでイスが叩かれなきゃいけないんだよ!!」
「はいはい。どうどう。よーしよしよし」
「くっ。誤魔化そうとしているだろ。イス」
「うん」
「俺は撫で撫でくらいじゃ誤魔化されないぞー!!」
「はいはい。よしよーし」
イスマエルがぷりぷりしているアダルフォの頭を撫でまくっていると、そのうちアダルフォのお怒り空気が霧散して、拗ねた顔をして横から抱きついてきた。
「……ほんと、ごめん」
「ルフォが謝ることじゃないでしょ。ほら。昨日の続きをしようか」
「……うん」
アダルフォが心なしかしゅんとしたまま、壁際の本棚に魔術書を取りに行った。一応、アダルフォが落ち着いてくれたようなので、イスマエルがほっとしていると、空気のようになっていたハインツ達が、ぼそぼそっと喋っているのが聞こえてきた。
「アダルフォがあんだけ懐いているから、女子の嫉妬の対象になるんじゃね?」
「ですよね。イスマエル先輩、猛獣使いみたいじゃないですか」
「言い得て妙だな」
「ルフォは猛獣ではないですよ」
「いやー。アダルフォが本気で暴れたら血の雨降りそうな気がする」
「めちゃくちゃ強いんでしょ? 剣。僕の教室の子達も、すげぇ強いのに剣術倶楽部に入らない先輩がいるって噂話してたくらいですし」
「「へぇー」」
「え? なになに? なんの話?」
「ルフォって、そんなに強いの?」
「ん? 剣? んー。今んとこ、授業の模擬戦じゃ負けたことねぇかなぁ」
「「マジか」」
「へぇー。すごいね。ルフォ」
「えへっ。なんかてーれーるー」
イスマエルが近寄ってきたアダルフォの頭を撫でると、アダルフォが甘えるように自分の頭をイスマエルの掌に擦りつけてきた。わしゃわしゃと両手でアダルフォの頭を撫で回しながら、なんだかアダルフォが可愛くて、イスマエルはクスクス小さく笑った。じゃれている2人を見て、ハインツ達が『猛獣使い……』と呟いていたのには、気づかなかったことにした。
下校時刻の鐘が鳴るまで、黙々と勉強してから、アダルフォと一緒に家に帰る。アダルフォはいつもイスマエルを家まで送ってくれる。アダルフォと他愛のない話をしながら帰るのが、もう当たり前になってしまった。
アダルフォが古書店の中にも入って来て、アインに挨拶をして、少しだけ世間話をしていくと、『また明日な!』と笑顔で手を振って帰って行った。イスマエルは、小さく笑って手を振り返しながら、小さくなっていくアダルフォの背中を見送った。
夕食の時に、アインと今日あったことを話していると、アインがお茶を飲みながら、のほほんとした様子で呟いた。
「イスマエルはアダルフォ君が大好きだね」
「うん。だって友達だもん」
「うんうん。どんな名前でもいい。大好きなら、その想いを大切にしなさい」
「……? うん」
イスマエルはアインの言うことがスッキリ飲み込めなかったが、とりあえず頷いておいた。『どんな名前でもいい』ってどういうことだろうか。アダルフォは『友達』だ。アイン以外では、イスマエルが一番大好きな人である。それだけの話だ。
イスマエルは、アインの言葉に疑問符を思い浮かべながらも、風呂に入って、宿題をしてから、ベッドに寝転がって、本を読み始めた。あと3日で次の休みだ。次の休みは、アダルフォの家に行く。今から楽しみで仕方がない。イーダンの恋人はどんな人だろうか。古書店で見つけた面白そうな魔術書をアダルフォと一緒に読みたい。イスマエルは、楽しみに胸をワクワクさせながら、本を片手に寝落ちた。
なんとか平穏に数日が過ぎ、学校が休みの日になった。イスマエルはアダルフォの家に泊まる準備をしてから、アインに見送られて、家を出た。アインが持たせてくれた手製のマーマレードは、去年手土産に持っていった時に、アダルフォの父親がとても気に入ってくれたので、今年も昨日の夜に作ったばかりのものを持っていくことにした。
アダルフォの家に着き、玄関の呼び鈴を押すと、すぐにアダルフォが出てきた。
「おっはよー! 鼻真っ赤じゃん。早く入って入って!」
「おはよう。お邪魔します」
「うひぃ。頬っぺた冷たい! 外、そんなに寒かった?」
「結構ね。ルフォの手、温かい」
「母ちゃんに温かいミルク作ってもらおうぜ」
「うん。あ、昨日の夜にマーマレード作ったんだ。よかったら皆さんでどうぞ」
「おっ。あざーっす! 特に親父が大喜びするわ。去年貰ったやつ、マジでめちゃくちゃ気に入ってたから。殆ど1人で食いきりやがったぜ」
「ははっ。あ、エレナおばさん。おはようございます」
「あらぁ。おはよう。イス君。あらあら。お鼻が真っ赤ね。温かいものを用意するわ。ちょっと待っててね」
「母ちゃん、イスからマーマレード貰った」
「あらぁ! 嬉しいわぁ! アインさんとイス君の手作りのジャムって本当に美味しいのよねぇ!! イス君。ありがとう! アインさんにもお礼を言っておいて! あっ! 近々お店に行くから、その時にお礼を言おうかしら。新しいお料理の本が欲しいのよね」
「料理の本なら、最近入荷したばかりのがありますよ。帰ってまだ売れていなかったら、取り置きしておきましょうか?」
「やったわ! 是非ともお願い!!」
「はい」
アダルフォの母親エレナが、ぱぁっと嬉しそうに笑って、イスマエルの身体をやんわりと抱きしめた。エレナはふくよかな体型をした笑顔がとても素敵な明るい人で、アダルフォは、性格は多分エレナに似たのだと思う。一緒にいると、思わずこっちまで笑顔になってしまうような、本当に素敵な優しい人だ。
居間でアダルフォと一緒にエレナが作ってくれた蜂蜜入りのミルクを飲んでいると、イーダンを老けさせたような、凛々しい渋い男前が居間に入ってきた。アダルフォの父親のオレーリである。イスマエルが挨拶をすると、オレーリがニッと笑って、イスマエルの頭をくしゃっと撫でた。
「マーマレードありがとな。イス君。去年貰ったのがマジで美味くてなぁ。うちの母ちゃんも料理上手だが、ジャムだけはアインさんの方が上だな」
「喜んでいただけてよかったです」
「そろそろイーダンが恋人を連れてくる時間だ。アダルフォ。失礼なことするなよ」
「なんで俺だけに言うんだよ」
「お前、絶対に冷やかしたり、余計なこと言うだろ」
「はぁーん!? ちょっと冷やかすくらいですぅ!」
「それをやめろって言ってんだよ。もしかしたら、イーダンのお嫁さんになってくれるかもしれないんだぞ」
「あ、そっか。じゃあ、一応お行儀よくしておく」
「そうしろ」
アダルフォやアダルフォの家族達と、イーダンの恋人はどんな人だろうかとお喋りしていると、イーダンが帰ってきた気配がした。途端に、緊張とワクワクした空気が居間を走る。イスマエルもワクワクドキドキしながら、イーダンとイーダンの恋人が居間にやって来るのを待っていると、居間に姿を見せた2人を見て、あんぐりと間抜けに口を開けた。イーダンの隣で、気まずそうな顔をして立っていたのは、筋肉ムキムキで顎髭が格好いい男の人だった。
「ただいまー。こちらは恋人のアンジュール。そろそろ同棲しよっかなって話しててさー」
「……あの……アンジュール・ギリムと申します。えっと、よかったら、これ召し上がってください」
ぴきーんと固まった家族とイスマエルの中で、一番最初に復活したのはアダルフォだった。
「もしかして、お菓子作りが趣味の先輩さん?」
「おう!」
「マジかぁ!? 兄ちゃん!!」
「マジだぁ!! まぁ細かいことは気にすんな!」
「あらあら。まぁまぁ。ちょっとビックリしたわね。アンジュールさん? アン君って呼んでいいかしら? どうぞ座ってくださいな。今、お茶を淹れるわね。お菓子もありがとう。いつも美味しくいただいているのよー」
エレナがのほほんと笑うと、どこか強張っていたアンジュールの顔が、ほっとしたように弛んだ。きっとすごく緊張していたのだろう。男同士で恋人になることがあると耳にしたことはあるけれど、ごく少数派で、実際に目にするのは初めてだ。
イーダンとアンジュールが椅子に座ると、オレーリが口を開いた。
「おい。馬鹿息子。アン君に迷惑かけてねぇだろうな」
「かけてねぇわ。ちょっとしか」
「かけてんじゃねぇか。すまんな。アン君。いつも、うちの馬鹿息子が世話になって」
「え、あ、いえ……」
「親父。俺が言うのもなんだが、反対とかしねぇのかよ」
「お前、俺達が『別れろ』って言って別れんのか?」
「別れる訳ねぇだろ」
「じゃあ、言うだけ無駄だろうが。それだけの覚悟で家に連れてきたんだろ」
「おうよ」
イスマエルは、イーダンとアンジュールがお揃いの指輪を着けていることに気がついた。何故だか、羨ましいな、と思った。そう思った自分を不思議に思って首を傾げていると、アダルフォがイスマエルの手を握ってきた。
「イス。どうかした?」
「ううん。何も」
イスマエルは温かいアダルフォの手を無意識のうちに握り返しながら、自己紹介を始めたアダルフォの家族と一緒に、自己紹介をして、賑やかなお茶の時間を楽しみ、それからもっと賑やかな昼食を楽しんだ。
午後のお茶まで楽しんでから、イーダンはアンジュールと一緒に出ていった。今夜はアンジュールの家に泊まるそうだ。夕食の支度の時間まで少し勉強して、エレナの手伝いをして、賑やか過ぎる夕食を楽しむと、順番に風呂に入ってから、アダルフォの部屋に引き上げた。
イスマエルは、アダルフォと同じ布団に潜り込んで、温かなアダルフォの身体にくっつくと、ほぅと小さく息を吐いた。すごく落ち着く。アダルフォの体温と匂いに、すっかり慣れきってしまっていて、最近は1人で寝るのが少し寂しく感じるくらいだ。
イスマエルがぬくぬくとアダルフォの温もりを堪能していると、アダルフォが小さく囁いた。
「なんか今日はビックリしたなー」
「そうだね。でも、2人の空気感がなんか素敵だったなぁ」
「分かる~。なんか、お互いすげぇ大事にしてんだなって感じでさ」
「お揃いの指輪も素敵だったよね」
「うん。……イスはさ、好きな人っている?」
「えーと、お爺ちゃんとルフォと、ルフォの家族?」
「……うん。俺もイスもアイン爺ちゃんも好き」
薄暗い中でアダルフォの顔を見ると、アダルフォがはにかんで笑っていた。イスマエルはなんだか少し照れくさくなって、誤魔化すように小さく笑った。
アダルフォの温かい手が、イスマエルの手をやんわりと握ったので、イスマエルもアダルフォの手を握り返した。なんとなく手を繋いだまま、寝落ちるまで、ぼそぼそと2人で小さな声でお喋りをして、クスクスと笑い合って、温かな眠りに落ちた。
「また告白?」
「おう。断ったからって引っ叩くのは酷くねぇ?」
「なんて断ったの?」
「『お前に時間使うくらいなら、魔術の勉強がしたいから無理』」
「……うん。それは引っ叩かれてもしょうがないかな」
「だってー。あいつ、しつこかったんだもん。俺だって最初はもうちょいやんわり断ってたけどさー。告白してくんの4回目だぜ? いい加減諦めろっつーの。マジ面倒くせぇ。明日には教室中に『俺が悪い』って話が広がってるのに、今月のお小遣い賭けてもいいぜ」
「モテる男は大変だねぇ」
「嬉しくねー。イスー。あれやって。ひんやりするやつ」
「はいはい」
イスマエルは水魔術を発動して、自分の手に冷たい水を生成した。濡れた手でアダルフォのうっすら赤く染まっている頬にやんわりと触れると、アダルフォが気持ちよさそうに目を細めた。
「きもちいいー。水魔術便利―。一応使えるけど、イス程上手くないんだよなぁ。俺」
「君は火と風の魔術の適性がメインだものね。僕は水と風がメインだから、逆に火の魔術は不得手かな」
「はぁー。なんか疲れたぁ。倶楽部部屋行こうぜ。楽しいことして憂さ晴らしするー」
「うん。次の休みはどうする?」
「あ、なんか兄ちゃんが恋人連れてくるんだって。面白そうだから、イスも一緒にいようぜー。うひひ。めちゃくちゃ冷やかしてやんよ!」
「へぇー。イーダンさんに恋人かぁ。イーダンさんもモテそうだもんね。そりゃあ、恋人くらいできるか」
「歴代彼女のことは一応知ってるけど、恋人を正式に家に連れてくんのは初めてだから、親父達がなんか張り切ってる」
「そうなんだ。どんな人だろうね」
「兄ちゃん、面食いだし、絶対美人」
「ふーん。そろそろ熱は引いたかな」
「うん。ありがと。イス」
「いえいえ」
並んで歩きながら、ずっとアダルフォの頬に手を当てていたイスマエルは、倶楽部部屋の前でアダルフォの頬から手を離した。明日、酷い噂が立たないといいけど、と少しの不安を感じながらも、イスマエルはアダルフォと一緒に、倶楽部部屋に入った。
翌日。イスマエルが昼休憩の時間に図書室で本を読んでいると、バンッと大きなテーブルを叩く音がすぐ近くで響いて、イスマエルは反射的にビクッと身体を震わせた。音がした方を見てみれば、数人の女子生徒がイスマエルを睨んでいた。皆、違う教室の子達だと思う。いや、1人だけイスマエルと同じ教室の子がいた。複数の女子生徒に、こんなにギラギラと敵のように睨まれる心当たりなんてない。イスマエルが困惑していると、テーブルを叩いた女子生徒が、イスマエルを睨みつけながら口を開いた。
「ねぇ。アンタのせいでアダルフォは誰とも付き合わないんでしょ。アンタがいるから、つまらない魔術なんかにアダルフォが夢中になるのよ。とっととアダルフォから離れてくれない? アンタも魔術も邪魔なの。ねぇ。皆?」
「そうよそうよ」
「地味なアンタがアダルフォと友達ってマジでおかしい。釣り合ってないの分かってないの?」
「ほんと~。アンタ、マジで邪魔。魔術倶楽部も無くなっちゃえばいいのに」
イスマエルは、女子生徒達の言葉に呆れた。イスマエルがいなくたって、アダルフォは魔術に夢中になっていただろうし、魔術倶楽部が無かったとしても、こんな陰でつまらないことをするような女子生徒と恋人になるとは思えない。頭が悪い人って本当にいるんだなぁと、ちょっと謎の感心をしながら、イスマエルは口を開いた。
「此処は図書室です。静かにしてください。それと、ルフォが僕と友達じゃなくても、ルフォは魔術を好きになっていたと思います。そもそも、魔術好き仲間として、ルフォとは仲良くなったので」
「はぁ!? うっざ! 地味眼鏡の癖に!!」
パシーンッと頬に女子生徒の平手が飛んできた。衝撃で眼鏡が吹っ飛ぶ。イスマエルを叩いて満足したのか、女子生徒達は聞き苦しい悪態を好きなだけ吐いてから、図書室から出ていった。イスマエルは小さく溜め息を吐き、床に落ちた眼鏡を拾い上げた。幸い、眼鏡のレンズに傷は無いし、フレームも無事だ。眼鏡は高価なものだから、壊れてしまっては困る。
イスマエルがほっとしていると、顔馴染みの図書委員の先輩が近寄ってきて、心配そうな顔で、そっとハンカチを差し出してくれた。
「大丈夫? 頬っぺたのところ、ちょっと血が出てるよ」
「え? あ、爪が当たったのかな。ありがとうございます。ハンカチは汚しちゃうといけないので、自分のを使います」
「そう? ごめんね。止めに入れなくて。一応下級生なんだけど、あの子達の勢いがなんか怖くて」
「止めに入らなくて正解だったかもしれません。下手に止めようとしたら、先輩にまで飛び火してたかもしれませんから」
「念のため、保健室で消毒しておいた方がいいよ。爪は雑菌が詰まっていたりすることもあるから」
「ありがとうございます。そうします」
イスマエルは図書委員の先輩にお礼を言ってから、図書室を出て、保健室へと向かった。女子生徒に絡まれるのは初めてだが、実はアダルフォ絡みで誰かに絡まれるのは初めてのことではない。アダルフォは本当に人気者で、違う教室の子達とも仲がよく、特に剣術倶楽部の子達から、アダルフォに剣術倶楽部に入れと言ってくれとか頼まれることが何度かあった。アダルフォの意思を尊重するからと、毎回やんわり断っているし、この事をアダルフォ本人に言ったことはない。
保健室で引っ搔かれた傷口を消毒してもらい、傷薬の軟膏を塗ってもらうと、ちょうど午後の授業の予鈴が鳴った。次の授業は、選択授業の魔術の授業だ。アダルフォに傷を見られたら、ちょっと面倒かな、と思いながら、イスマエルは小走りで、教科書を置いている自分の教室に戻った。
イスマエルは、ぶすっとしているアダルフォの頬をつんつんと優しく突いた。目ざとく魔術の授業の時に頬の傷を見られ、放課後になると、わざわざアダルフォがイスマエルの教室に迎えに来た。魔術倶楽部の倶楽部部屋に移動しながら、事情を説明すると、アダルフォはすっかり怒ってしまった。拗ねているといってもいい。余程、自分のせいでイスマエルが怪我をしたのが腹立たしいのか、ずっとぶすっとむくれている。
イスマエルは、ちょっとぴりぴりした空気をまとっているアダルフォを宥めるように、アダルフォのお洒落に整えられている淡い茶色の髪をくしゃくしゃと撫で回した。
「僕は全然気にしてないから、そんなに怒らないでよ」
「はぁー!? そりゃ怒りもしますけどー!! なんっで俺のことでイスが叩かれなきゃいけないんだよ!!」
「はいはい。どうどう。よーしよしよし」
「くっ。誤魔化そうとしているだろ。イス」
「うん」
「俺は撫で撫でくらいじゃ誤魔化されないぞー!!」
「はいはい。よしよーし」
イスマエルがぷりぷりしているアダルフォの頭を撫でまくっていると、そのうちアダルフォのお怒り空気が霧散して、拗ねた顔をして横から抱きついてきた。
「……ほんと、ごめん」
「ルフォが謝ることじゃないでしょ。ほら。昨日の続きをしようか」
「……うん」
アダルフォが心なしかしゅんとしたまま、壁際の本棚に魔術書を取りに行った。一応、アダルフォが落ち着いてくれたようなので、イスマエルがほっとしていると、空気のようになっていたハインツ達が、ぼそぼそっと喋っているのが聞こえてきた。
「アダルフォがあんだけ懐いているから、女子の嫉妬の対象になるんじゃね?」
「ですよね。イスマエル先輩、猛獣使いみたいじゃないですか」
「言い得て妙だな」
「ルフォは猛獣ではないですよ」
「いやー。アダルフォが本気で暴れたら血の雨降りそうな気がする」
「めちゃくちゃ強いんでしょ? 剣。僕の教室の子達も、すげぇ強いのに剣術倶楽部に入らない先輩がいるって噂話してたくらいですし」
「「へぇー」」
「え? なになに? なんの話?」
「ルフォって、そんなに強いの?」
「ん? 剣? んー。今んとこ、授業の模擬戦じゃ負けたことねぇかなぁ」
「「マジか」」
「へぇー。すごいね。ルフォ」
「えへっ。なんかてーれーるー」
イスマエルが近寄ってきたアダルフォの頭を撫でると、アダルフォが甘えるように自分の頭をイスマエルの掌に擦りつけてきた。わしゃわしゃと両手でアダルフォの頭を撫で回しながら、なんだかアダルフォが可愛くて、イスマエルはクスクス小さく笑った。じゃれている2人を見て、ハインツ達が『猛獣使い……』と呟いていたのには、気づかなかったことにした。
下校時刻の鐘が鳴るまで、黙々と勉強してから、アダルフォと一緒に家に帰る。アダルフォはいつもイスマエルを家まで送ってくれる。アダルフォと他愛のない話をしながら帰るのが、もう当たり前になってしまった。
アダルフォが古書店の中にも入って来て、アインに挨拶をして、少しだけ世間話をしていくと、『また明日な!』と笑顔で手を振って帰って行った。イスマエルは、小さく笑って手を振り返しながら、小さくなっていくアダルフォの背中を見送った。
夕食の時に、アインと今日あったことを話していると、アインがお茶を飲みながら、のほほんとした様子で呟いた。
「イスマエルはアダルフォ君が大好きだね」
「うん。だって友達だもん」
「うんうん。どんな名前でもいい。大好きなら、その想いを大切にしなさい」
「……? うん」
イスマエルはアインの言うことがスッキリ飲み込めなかったが、とりあえず頷いておいた。『どんな名前でもいい』ってどういうことだろうか。アダルフォは『友達』だ。アイン以外では、イスマエルが一番大好きな人である。それだけの話だ。
イスマエルは、アインの言葉に疑問符を思い浮かべながらも、風呂に入って、宿題をしてから、ベッドに寝転がって、本を読み始めた。あと3日で次の休みだ。次の休みは、アダルフォの家に行く。今から楽しみで仕方がない。イーダンの恋人はどんな人だろうか。古書店で見つけた面白そうな魔術書をアダルフォと一緒に読みたい。イスマエルは、楽しみに胸をワクワクさせながら、本を片手に寝落ちた。
なんとか平穏に数日が過ぎ、学校が休みの日になった。イスマエルはアダルフォの家に泊まる準備をしてから、アインに見送られて、家を出た。アインが持たせてくれた手製のマーマレードは、去年手土産に持っていった時に、アダルフォの父親がとても気に入ってくれたので、今年も昨日の夜に作ったばかりのものを持っていくことにした。
アダルフォの家に着き、玄関の呼び鈴を押すと、すぐにアダルフォが出てきた。
「おっはよー! 鼻真っ赤じゃん。早く入って入って!」
「おはよう。お邪魔します」
「うひぃ。頬っぺた冷たい! 外、そんなに寒かった?」
「結構ね。ルフォの手、温かい」
「母ちゃんに温かいミルク作ってもらおうぜ」
「うん。あ、昨日の夜にマーマレード作ったんだ。よかったら皆さんでどうぞ」
「おっ。あざーっす! 特に親父が大喜びするわ。去年貰ったやつ、マジでめちゃくちゃ気に入ってたから。殆ど1人で食いきりやがったぜ」
「ははっ。あ、エレナおばさん。おはようございます」
「あらぁ。おはよう。イス君。あらあら。お鼻が真っ赤ね。温かいものを用意するわ。ちょっと待っててね」
「母ちゃん、イスからマーマレード貰った」
「あらぁ! 嬉しいわぁ! アインさんとイス君の手作りのジャムって本当に美味しいのよねぇ!! イス君。ありがとう! アインさんにもお礼を言っておいて! あっ! 近々お店に行くから、その時にお礼を言おうかしら。新しいお料理の本が欲しいのよね」
「料理の本なら、最近入荷したばかりのがありますよ。帰ってまだ売れていなかったら、取り置きしておきましょうか?」
「やったわ! 是非ともお願い!!」
「はい」
アダルフォの母親エレナが、ぱぁっと嬉しそうに笑って、イスマエルの身体をやんわりと抱きしめた。エレナはふくよかな体型をした笑顔がとても素敵な明るい人で、アダルフォは、性格は多分エレナに似たのだと思う。一緒にいると、思わずこっちまで笑顔になってしまうような、本当に素敵な優しい人だ。
居間でアダルフォと一緒にエレナが作ってくれた蜂蜜入りのミルクを飲んでいると、イーダンを老けさせたような、凛々しい渋い男前が居間に入ってきた。アダルフォの父親のオレーリである。イスマエルが挨拶をすると、オレーリがニッと笑って、イスマエルの頭をくしゃっと撫でた。
「マーマレードありがとな。イス君。去年貰ったのがマジで美味くてなぁ。うちの母ちゃんも料理上手だが、ジャムだけはアインさんの方が上だな」
「喜んでいただけてよかったです」
「そろそろイーダンが恋人を連れてくる時間だ。アダルフォ。失礼なことするなよ」
「なんで俺だけに言うんだよ」
「お前、絶対に冷やかしたり、余計なこと言うだろ」
「はぁーん!? ちょっと冷やかすくらいですぅ!」
「それをやめろって言ってんだよ。もしかしたら、イーダンのお嫁さんになってくれるかもしれないんだぞ」
「あ、そっか。じゃあ、一応お行儀よくしておく」
「そうしろ」
アダルフォやアダルフォの家族達と、イーダンの恋人はどんな人だろうかとお喋りしていると、イーダンが帰ってきた気配がした。途端に、緊張とワクワクした空気が居間を走る。イスマエルもワクワクドキドキしながら、イーダンとイーダンの恋人が居間にやって来るのを待っていると、居間に姿を見せた2人を見て、あんぐりと間抜けに口を開けた。イーダンの隣で、気まずそうな顔をして立っていたのは、筋肉ムキムキで顎髭が格好いい男の人だった。
「ただいまー。こちらは恋人のアンジュール。そろそろ同棲しよっかなって話しててさー」
「……あの……アンジュール・ギリムと申します。えっと、よかったら、これ召し上がってください」
ぴきーんと固まった家族とイスマエルの中で、一番最初に復活したのはアダルフォだった。
「もしかして、お菓子作りが趣味の先輩さん?」
「おう!」
「マジかぁ!? 兄ちゃん!!」
「マジだぁ!! まぁ細かいことは気にすんな!」
「あらあら。まぁまぁ。ちょっとビックリしたわね。アンジュールさん? アン君って呼んでいいかしら? どうぞ座ってくださいな。今、お茶を淹れるわね。お菓子もありがとう。いつも美味しくいただいているのよー」
エレナがのほほんと笑うと、どこか強張っていたアンジュールの顔が、ほっとしたように弛んだ。きっとすごく緊張していたのだろう。男同士で恋人になることがあると耳にしたことはあるけれど、ごく少数派で、実際に目にするのは初めてだ。
イーダンとアンジュールが椅子に座ると、オレーリが口を開いた。
「おい。馬鹿息子。アン君に迷惑かけてねぇだろうな」
「かけてねぇわ。ちょっとしか」
「かけてんじゃねぇか。すまんな。アン君。いつも、うちの馬鹿息子が世話になって」
「え、あ、いえ……」
「親父。俺が言うのもなんだが、反対とかしねぇのかよ」
「お前、俺達が『別れろ』って言って別れんのか?」
「別れる訳ねぇだろ」
「じゃあ、言うだけ無駄だろうが。それだけの覚悟で家に連れてきたんだろ」
「おうよ」
イスマエルは、イーダンとアンジュールがお揃いの指輪を着けていることに気がついた。何故だか、羨ましいな、と思った。そう思った自分を不思議に思って首を傾げていると、アダルフォがイスマエルの手を握ってきた。
「イス。どうかした?」
「ううん。何も」
イスマエルは温かいアダルフォの手を無意識のうちに握り返しながら、自己紹介を始めたアダルフォの家族と一緒に、自己紹介をして、賑やかなお茶の時間を楽しみ、それからもっと賑やかな昼食を楽しんだ。
午後のお茶まで楽しんでから、イーダンはアンジュールと一緒に出ていった。今夜はアンジュールの家に泊まるそうだ。夕食の支度の時間まで少し勉強して、エレナの手伝いをして、賑やか過ぎる夕食を楽しむと、順番に風呂に入ってから、アダルフォの部屋に引き上げた。
イスマエルは、アダルフォと同じ布団に潜り込んで、温かなアダルフォの身体にくっつくと、ほぅと小さく息を吐いた。すごく落ち着く。アダルフォの体温と匂いに、すっかり慣れきってしまっていて、最近は1人で寝るのが少し寂しく感じるくらいだ。
イスマエルがぬくぬくとアダルフォの温もりを堪能していると、アダルフォが小さく囁いた。
「なんか今日はビックリしたなー」
「そうだね。でも、2人の空気感がなんか素敵だったなぁ」
「分かる~。なんか、お互いすげぇ大事にしてんだなって感じでさ」
「お揃いの指輪も素敵だったよね」
「うん。……イスはさ、好きな人っている?」
「えーと、お爺ちゃんとルフォと、ルフォの家族?」
「……うん。俺もイスもアイン爺ちゃんも好き」
薄暗い中でアダルフォの顔を見ると、アダルフォがはにかんで笑っていた。イスマエルはなんだか少し照れくさくなって、誤魔化すように小さく笑った。
アダルフォの温かい手が、イスマエルの手をやんわりと握ったので、イスマエルもアダルフォの手を握り返した。なんとなく手を繋いだまま、寝落ちるまで、ぼそぼそと2人で小さな声でお喋りをして、クスクスと笑い合って、温かな眠りに落ちた。
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