女装男と淫乱男の関係

丸井まー(旧:まー)

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3:淫乱男にとっての女装男

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ハボックは淫乱である。その自覚がある。恋人がいるときは恋人と、いないときはキンブリーとしかセックスをしないので、ビッチではない筈だ。ハボックはセックスが大好きである。バイブやディルドなどを使って自慰もするが、セックスの方がずっと好きだ。



ハボックが性に目覚めたのは8歳の頃である。

この世は男女比が平等ではなく、6:4で男のほうが多い。当然溢れる男が出てくるので、土の宗主国では複婚や同性婚が法的に認められている。女は最大5人まで伴侶をもつことができる。

ハボックが8歳の頃は、中学校で教師をしていた父親と母親、それから母親のもう1人の夫で小学校の教師をしていた男の4人で暮らしていた。母親は合わせて4人の夫がいたのだが、ハボックの父親が持つ家が1番大きくて新しいからと、ハボックの家に住んでいた。もう1人の夫は、自分の家を持っておらず、狭い集合住宅に住んでいたので、母親がその男との結婚と同時に、その男をハボック達の家に連れてきた。あんな狭い家で過ごすのは嫌、ということだったらしい。

ハボック達が暮らす家にその男が来たのは、ハボックが6歳の頃だった。年齢はハボックの父親と殆ど変わらず、ハボックは一緒に暮らし始めて3ヶ月もすると、父親よりも毎日遊んでくれるその男の方が好きになっていた。

8歳になったばかりの頃。その男と遊んでいる時に、その男に初めてアナルを舐められた。『楽しくて気持ちいいことをしよう』と言われ、すっかりその男に懐いていたハボックは素直に頷いた。最初はなんでうんこを出す穴を舐めるのが楽しいことなのか全然分からなかったが、何度か回数を重ねると、本当に気持ちよくなり、すぐにハボックはアナルを舐められることに夢中になった。その男は勃起した自分のペニスをハボックに見せて、最初はハボックに手で擦らせた。ペニスを触るのには少し抵抗があったが、ハボックがペニスを手で擦ると、その男はいつもハボックの頭を優しく撫でて『上手だ』と褒めてくれた。ハボックが上手に手で擦ると、その男のペニスから白い精液が飛び出ることもなんだか面白かった。悪いことをしているつもりはハボックには全然なかった。それでもその男に『2人だけの内緒の遊びだ』と言われていたので、誰にも言わなかった。2人の秘密の行為は徐々にエスカレートしていき、10歳の頃には、ハボックはその男の指を2本アナルに咥えこんで、アナルだけでイケるようになっていた。その男のペニスを口で咥えて舐めて射精させ、精液を飲み込むこともできるようになった。その男に痛いことはされたことがない。ただ気持ちよくて堪らないだけだ。ハボックにとっては、普通の遊びと変わらなかった。とにかく気持ちがいいその男との秘密の遊びは、冬生まれのハボックが11歳になる年の夏に、偶然ハボックの父親に見つかるまでずっと続いていた。

ハボックの父親に秘密の遊びが見つかった時、ハボックの父親は半狂乱になって領軍に通報し、その男は領軍に捕まった。その時からハボックは『可哀そうな子供』になった。真面目で堅物な父親は性的悪戯をされていたハボックを哀れんだ。怖かっただろう、と久しぶりにハボックを抱きしめた。ハボックは不思議だった。ハボックは怖いことも痛いことも全然されていない。何故父親がその男のことを怒って、ハボックを可哀そうなものを見る目で見てくるのか、全然理解できなかった。父親は母親と離婚し、母親を家から追い出した。幼い息子に性的悪戯するような男と結婚して家に招き入れた女なんて、見るのも嫌だったらしい。その男のことは、小学校の教師が起こした事件として大きく新聞で取り上げられた。ハボックの名前は新聞などには載らなかったが、近所の人達や同じ教室に通う子供達は皆その男とハボックが一緒に暮らしていたことを知っている。当たり前のようにハボックが『被害者』であると噂が広まった。学校でも、家へと帰る為に通る街中でも、ハボックは知らない人にもじろじろ見られて、ひそひそと小声で話されるようになった。

ハボックは優等生であった。勉強の成績は常に学年で1番だったし、運動だってできた。友達も多かったし、飄々とした性格で人当たりがいいので、近所でも評判の『いい子』だった。『優等生』『いい子』と言われて褒められることはあっても、哀れんだ目や好奇の目で見られることはそれまでなかった。自然とハボックは自分の家に真っすぐ帰るのが嫌になってきた。父親には帰ったら家の鍵をかけて外に出るなと言われていたし、ハボックの通学路には噂好きな大人達がいる。真っすぐ家に帰りたくない『被害者』であり『可哀そうな子供』のハボックに、一緒に遊ぼうと声をかけてきたのはキンブリーだった。


キンブリーは小学校に入学した時からずっと同じ教室である。入学したての頃に隣の席だったキンブリーとすぐに仲良く話したり、遊んだりするようになった。キンブリーは少し不思議な子で、ある日突然スカートを穿いてきたり、女言葉を使うようになった。同じ教室の子供達は、そんなキンブリーを『気持ち悪い』『オカマだ』と遠巻きにしたが、ハボックは別に気にならなかった。スカートを穿こうが女言葉を喋ろうが、キンブリーはキンブリーである。真面目で優しくて、とても素直なおおらかでいい奴である。ハボックは優等生でそれなりに人気者だったから友達は多かったが、ハボックはキンブリーが1番好きだった。なんとなく一緒にいると落ち着くし、2人で遊ぶのが楽しくて好きだった。キンブリーの家は郊外にあり、2人でそこまで追いかけっこしながら行くのも、キンブリーの家の庭で遊ぶのも大好きだった。男の子なのにスカートを穿いて、女言葉を話すキンブリーと遊ぶことに父親と母親は難色を示したが、ハボックは気にしなかった。ハボックの父親とキンブリーの父親は同級生で、キンブリーの父親が普通にいい奴だとハボックの父親は知っていたので、スカートを穿いている『変わった子供』であるキンブリーと遊ぶことに難色は示したが、一緒に遊ぶな、と止められたことはない。


ハボックは毎日キンブリーと一緒にキンブリーの家に行くようになった。それまではたまにしかキンブリーの家に遊びに行かなかったが、本当に毎日通うようになった。日が落ちる前に家に帰ってくるキンブリーの父親が毎日帰りは家まで送ってくれたので、ハボックの父親は特に何も言わなかった。ハボックが学校や近所で好奇の目に晒されていることが分かっていたからだろう。キンブリーの家は街の郊外にある。ハボックの父親は、静かな場所で人目を気にせず、ハボックを遊ばせてやりたかったのかもしれない。たまに休日にはハボックの父親も一緒にキンブリーの家を訪ねることもあった。キンブリーの父親はおおらかな男で、ハボックの父親が来ると、軽めの酒を出してきて、庭で遊ぶハボック達を眺めながら、大人2人で昼間から酒を飲みつつ話をしたりしていた。キンブリーの父親も少し不思議な人で、普段は休みの日とはいえ昼間から酒を飲むなんてありえない堅物なハボックの父親をも自分のペースに巻き込んでしまうような男だった。ハボックの父親もキンブリーの父親と過ごすときは、なんだか自分達の家にいる時よりもリラックスしていた。キンブリー親子の側にいると、なんだか落ち着き、細かいことは気にならなかった。



初めてキンブリーとセックスをしたのはお互い12歳の時だった。その頃、ハボックはずっと悩んでいた。アナルの快感にすっかり慣れきっていて、時折酷くアナルが疼くのだ。自分でこっそりアナルを弄っていたが、あの男が弄る程の快感は得られない。それでも『してはいけないこと』だということは分かっていたので、誰にも相談できず、ただ悶々とする毎日を送っていた。自分でアナルを弄っている時に初めて射精した。その頃には男の子の間で自慰の話が出てくるようになっていたので、ペニスを擦れば快感が得られると知っていた。しかしペニスを擦って射精しても、アナルでイク程の快感は得られなかった。そもそもペニスを擦るだけじゃ物足りなくて、自分でアナルを弄らないとうまくイクこともできなかった。流石に自分でもおかしいと思ったが、ハボックにはどうすることもできない。ただ悶々と悩んで、時折訪れる身体の疼きに耐えるしかなかった。

そんなハボックにキンブリーは気づいていた。ある日『ずっと悩んでることあるでしょう』と確信しているように言われた。その日はよく晴れていて、冬にしては暖かい日だった。外で遊ぶにはちょうどよい気候だったので、キンブリーの家に着くなり庭で遊ぼうとしたハボックを、キンブリーが自分の部屋に連れていき、唐突にそう言った。『言いたくないなら言わなくてもいいけどぉ』とも言った。ハボックは思わず言ってしまった。キンブリーの目が本当にハボックのことを心配しているような目だったから。ずっと誰にも言わなかったことをハボックはポツポツと小さな声でキンブリーに話した。母親のもう1人の旦那にされていたことも、時折身体が疼いて仕方がないことも、自分でアナルを弄っても物足りず、おまけにペニスを弄るだけじゃうまくイクことができないことも。キンブリーは黙ってハボックの話を全部聞いた後、話しながら泣き出したハボックを優しく抱きしめた。キンブリーは『そういうことなら早く言いなさいよぉ。お馬鹿さん。何年友達やってると思ってるのよぉ。ハボックのお悩み解決にぃ、全面協力するわぁ』と言って、ハボックが泣き止むまでずっと優しくハボックを抱きしめていた。泣き止んだハボックにキンブリーが提案したのはセックスをするということだった。『いっそセックスしちゃえばいいのよぉ』とあっけらっかんと言うキンブリーにハボックは呆然とした。キンブリーは自分の父親の部屋から使いかけのローションのボトルを持ってきた。『うちのお父さんねぇ、夜にたまに男の人とセックスしてるのよぉ。夜中にぎしぎしあんあん煩くて目が覚める時があるものぉ』とのほほんとした顔で言うキンブリーに驚いた。性教育は小学校で受けている。セックスがどういう行為かも知っている。本来は子供をつくるために男女で行うものだ。『男同士でセックスができるわけない。する意味がない』そういうハボックに、キンブリーは肩を竦めた。『だって実際してるしぃ。それに男同士の恋人とか夫婦もいるじゃなぁい。男同士はお尻にちんちん挿れるんだってぇ。そこしか穴がないしぃ。酔っぱらったお父さんが言ってたわぁ』なんつーことを子供に言っているんだ。キンブリーの父親は確かにおおらかな性格をしているが、裏を返せば頓着がないというか、微妙にいい加減ともいえる性格である。なんとなくキンブリーの父親なら普通に言いそうなのが、なんともいえない。しかし、いいのか。それで。思わず頭を抱えたハボックに、キンブリーがむぎゅっと抱きついた。『で?どうするぅ?してみたいなら協力するわよぉ。あたし、つい数日前に精通きたしぃ』と普通に『鬼ごっこしよう』とか言うノリでセックスをしようと言うキンブリーに、ハボックはなんだか気が抜けてしまい、そのまま頷いてしまった。ローションを使って男同士でセックスができることは知っていても、具体的なやり方を知らないキンブリーにハボックが色々教えながらやった。数年ぶりにアナルを舐められて、自分以外の指をアナルに咥えこんで、ハボックはすぐに理性なんて蒸発してしまった。初めてアナルにキンブリーのペニスを受け入れた瞬間、ペニスに触れずとも射精してしまうくらい興奮して、わずかな痛みを伴う初めてのセックスに夢中になって自分から何度もねだってキンブリーから与えられる快感を貪った。セックスは、ハボックに悪戯していた男から与えられていた快感よりも、ずっと気持ちよくなれた。裸でくっつくのも気持ちがいいし、アナルに感じた熱くて硬いキンブリーのペニスの感触が本当に本当に気持ちよかった。人生初のキスも気持ちよくて、ハボックは何度もキンブリーにキスをねだって舌を絡ませた。それから、隙を見つけてはキンブリーとセックスをするようになった。セックスをすると、強い快感が得られ、同時に終わった後は身体も気持ちも落ち着いている。キンブリーと裸でじゃれあうのも楽しかった。キンブリーとの誰にも秘密な遊びにハボックは夢中になった。



中学校を卒業すると、キンブリーは就職し、ハボックは別の大きな街の高等学校に進学した。教師を目指して勉強も頑張っていたが、堅物な父親の目がない所での生活が楽しく、ハボックは男の恋人をつくっては、セックスを楽しんでいた。

高等学校を卒業し、同時に教員免許を取得すると、ハボックは地元に戻り、小学校に就職した。小学校の教師という仕事は自分に合っていた。たまに接することが難しい子や心底腹立つくらい生意気な悪戯坊主もいて頭を悩ませることもある。しかし子供達は可愛いし、子供達の成長を間近で見ているのは楽しい。



就職しても、ハボックは変わらずセックスが大好きで、時折酷く身体が疼くこともあった。花街には職業柄通えないので、恋人がいない時はいつもキンブリーのもとを訪ねる。キンブリーとは高等学校に進学してからも毎日端末でやり取りしていた。ハボックにとっては1番の親友である。キンブリーには何でも言えた。悩みも愚痴も。他の誰にも言えないことも言うし、見せない姿も見せられる。ハボックがどんな姿を見せたって、キンブリーはのほほんと『あらぁ』と言って笑ったり、ハボックを優しく抱きしめてくれるだけだ。ハボックが望めば優しくハボックを抱いてくれる。キンブリーはおおらかで、とても優しい。キンブリーの側はとても居心地がいいが、キンブリーと恋人になろうと思ったことはない。だってキンブリーは親友だから。恋人ならば、いつか別れが必ず来る。でも親友なら死ぬまで親友でいられる。刹那的な関係の恋人になんか、キンブリーとはなりたくなかった。ハボックはたまに恋人をつくり、別れて、キンブリーをセックス目的で訪ね、また恋人をつくる、ということを繰り返していた。キンブリーとはセックスしない時も普通に会っている。休みの日に一緒に庭の手入れをしたり、庭の果物の収穫を手伝ったり、酒を飲みながらのんびり話をしたり。実際、セックスをするよりも、普通の親友として過ごすことの方が多い。キンブリーの側は本当に居心地がよく、心が安らぐ。そしてセックスも上手く、キンブリーとのセックスが1番しっくりくる。

ハボックにとって、キンブリーは本当に大切な存在なのである。

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