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72:新婚旅行!

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 ダンテは、ショーヘイを前に乗せて、ピエリーに乗っていた。もうすぐで、目的地である大きな港街に到着する。ショーヘイとの新婚旅行は、ダンテがお気に入りの街にした。新鮮な海産物がとにかく美味しくて、王都には無い、珍しいものが沢山ある。

 港街の入り口の近くの丘に着陸すると、ダンテは、ショーヘイの落下防止用のベルトを外し、ショーヘイを抱っこして、ピエリーに着けた鞍から下りた。鞍に入れていた荷物を取り、地面に置くと、ピエリーから鞍を外してやる。鞍には魔法がかけられており、呪文を唱えると、しゅるしゅると小さくなって、ポケットにも入るサイズになる。便利なのだが、ちょっと小さくて、毎年、鞍を失くす新人が出る。

 小さくなったピエリーと戯れているショーヘイに声をかけ、其々、鞄を持って、手を繋いで、街へと入る。先に宿屋に向かう。宿屋は、折角の新婚旅行なので、街で一番上等な宿を取った。宿屋に行けば、品のある店構えで、受付をしてくれた店員は、愛想がよくて物腰が柔らかかった。五階建ての最上階の部屋に行けば、海側の壁が一面硝子張りで、街並みや海を一望することができた。割とお値段が高い宿だが、奮発して正解だった。部屋の中を見て回っていたショーヘイが、ダンテに抱きついて、背伸びをして、キスをしてくれた。ぶわっと顔が熱くなる。セックスは何度もしてるが、セックス以外で、キスをするのには、まだ慣れていない。いつだって、ドキドキしてしまう。
 ショーヘイが、ゆるい笑顔で、口を開いた。


「すっごいお宿ですね! 街と海が一望できるし、お風呂も広くて、ベッドも特大! なんかすごいお高そうな洗髪剤とかありましたよ」

「奮発して正解だったね。そろそろお腹空いてきたし、ご飯を食べに行こうか。朝ご飯付きだから、朝ご飯は毎日、此処に持ってきてくれるらしいよ」

「すげー。贅沢ー。昼飯食ったら、先に水着を探しましょうよ」

「うん。どうせ泉に遊びに行くなら、ドーラちゃん達とも泳ぎたいしね」

「はい!」


 ダンテは、ショーヘイと手を繋いで、宿の部屋を出た。宿の店員が、観光案内所の場所を教えてくれたので、まずは、観光案内所に向かう。そこで、街のパンフレットが貰えるらしい。観光案内所で無事にパンフレットを貰うと、道の隅っこで、ダンテは、ショーヘイと一緒に、グルメ地図なる頁を真剣に見始めた。


「ヤバいですね。全部行ってみたいです」

「同じく。店の数が多いなぁ。二ヶ月くらい、此処にいないと、全部は行けないよ」

「んーー。どこも旬の海産物を扱ってるみたいですね」

「とりあえず、肉がメインな高級料理店は外す? 此処らへんじゃ肉は珍しいものみたいなんだけど、肉なんて王都じゃいくらでもあるし」

「ですね。ひたすら、此処でしか食えない海産物メインでいきましょう。あ、此処はどうです? 目玉料理が、ドォフンドォルンの酒蒸しって所」

「ドォフンドォルンは美味しいよー。かなりデカい魚でね、酒とも合うんだよねぇ」

「飲みたいなら、好きに飲んでもらっていいですよ」

「んー。じゃあ、一杯だけ飲もうかな」


 ダンテは、ショーヘイと手を繋いで、お目当ての店へと向かい始めた。ショーヘイが『神様からの贈り人』なのが一目で分かるからか、周囲から、かなりの視線を感じる。が、無視である。ショーヘイも、ガン無視している。
 ダンテは、ショーヘイと美味しい昼食を楽しんだ。

 腹が膨れたら、水着探しである。昼食を食べた店員に駄目元で聞いてみれば、水着を売っている店を教えてくれた。早速、水着を買いに行く。ショーヘイやダンテ達の水着は、すぐにいいものが見つかった。問題は、ドーラとニーである。ニーは、とりあえず一番大きなサイズの水着を買った。上は、ショーヘイ曰くタンクトップというもので、下は膝丈のものだ。腹回りは紐で調節できるし、尻尾を出す穴くらいなら、パラスが加工してくれるだろう。ドーラの水着は、白い膝丈のワンピースみたいなものと、七分丈のピタッとしたズボンがセットになっているものを選んだ。日焼け止めなるものがあったので、それも一応買ってみた。

 買い物が終わる頃には、夕方が近くなっていたので、またグルメ地図を眺めて行きたい店を絞り、お目当ての店へと向かった。新鮮な海産物の美味しさは、語彙力が無くなる程で、いっそ此処に住み着きたくなる程だ。美味しいものがいっぱいで、すごく嬉しい。ショーヘイが楽しそうに笑っているから、二倍嬉しい。ご機嫌なショーヘイと一緒に、ダンテは宿へと帰った。

 二人と一匹でのんびり風呂に入ると、ピエリーはすぐにおねむになった。折角の新婚旅行なので、セックスがしたい。全力で手加減をすれば、ショーヘイも明日は動けるだろう。結婚式の日の夜は、嬉しくて、はっちゃけ過ぎた結果、ショーヘイが2日動けなくなって、割とガチめのトーンで叱られた。体格差と年齢差があるから、どうしても仕方がないのだが、ダンテが全力を出すと、もれなくショーヘイの腰が死ぬことが分かった。なので、今日は、一回だけ、セックスをする。眠ってしまったピエリーを枕に乗せて、居間みたいな部屋に連れて行くと、早速寝室に行き、ショーヘイとめちゃくちゃイチャイチャした。セックス自体は一回だけだが、その前に、ショーヘイが口と手でダンテのペニスを弄って、三回出させてくれた。気持ちよかったし、楽しそうにダンテのペニスを弄るショーヘイが、可愛くて、いやらしくて、本当に最高だった。

 翌朝。ピエリーに日の出の前に起こしてもらい、2人と一匹で、ベッドの中から、朝日が昇るところを眺めた。水平線から太陽が顔を出していく様子は、本当にとても美しいものだった。

 朝食が運ばれてくる前に、観光案内所で貰ったパンフレットを眺めながら、今日の日程を決めた。この街は、港街であるだけでなく、硝子細工が有名な街でもあるので、今日は、硝子細工工房の見学に行くことになった。体験教室もやっているらしい。

 規定の時間に運ばれてきた朝食は、少し量が少なかったが、どれも素晴らしく美味しいものばかりだった。どうせ、買い食いしたり、飲食店で美味しいものを食べるので、朝食は、少ないくらいがちょうどいい。

 朝食が終わると、身支度をしてから、ダンテは、お洒落をしたショーヘイと手を繋いで、宿屋を出た。今日も楽しい1日になりそうな予感に、すごくワクワクしている。ショーヘイが、ダンテを見上げてきた気配がしたので、ショーヘイを見下ろせば、ショーヘイが、楽しそうに、ニッと笑った。


「今日もとことん楽しみましょうね!」

「うん! お土産にする硝子細工も見てみようか」

「いいですねー。ドーラちゃんとミミーナさんが喜んでくれそう」

「行きたいお店とか、やってみたいこととか、いっぱいあるなぁ。旅行中に全部回れるかな」

「回れるだけ回りましょうよ。まだまだ旅行は始まったばっかりなんですから」

「そうだね。ショーヘイ」

「なんです?」

「一緒だと楽しいね」

「はい!」


 ショーヘイが弾けるような笑みを浮かべた。ダンテも自然と笑っていた。

 新婚旅行中、2人は、色んな美味しいものを食べて、色んな珍しいものを見て、色んなことを体験して、毎日がとても充実していた。
 帰る日には、主に家族やミミーナへのお土産が増え過ぎて、どうやってピエリーの鞍に積むか、頭を悩ませてしまったくらいだった。

 ダンテは、ショーヘイと、また旅行をしようと約束をした。ご機嫌なショーヘイを前に乗せて、ピエリーに乗って、ダンテは、家族が待つ王都へと飛び立った。


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