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25:一緒だと楽しい
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ダンテは、ショーヘイが差し出してくれた甘い飲み物を飲んだ。木のコップに二本のストローが刺してあるのだが、身長差が割とあるので、一緒に飲むのは少し辛い。ショーヘイが一口飲んだ後、腕を組んでいない方の手で口元まで運んでくれた。ティームにリーンと香草を入れた飲み物は、しっかり甘いのに後味がサッパリしていて、とても美味しい。
ダンテは、機嫌よく目を細めながら、コップの半分くらいを一気飲みした。
「ぷはぁ。美味しいね。これ」
「ですねー。次は、魚か貝が食いたいです」
「いいね。探してみよう」
腕を組んだまま、2人で屋台を眺めつつ歩いていると、バナンダの姿焼きが目に入った。確か、バナンダは、番になると、ずっと一緒にいて、一緒に子育てをするらしい。バナンダの姿焼きは、結婚式での定番メニューだ。
ショーヘイに声をかけて、そこそこデカいバナンダの姿焼きを一つ買う。串に刺さっているバナンダをショーヘイの口元に差し出せば、ショーヘイが大きく口を開けて、齧りついた。もぐもぐ咀嚼しているショーヘイの目が、キラキラと輝く。
「うんまー。なんだろ。見た目は木の板に手足ついてますみたいな奇っ怪な感じなのに、味はタコ? イカ? みたいな? いや、タコとイカにホタテ追加したみたいな? とにかく美味いです」
「もう一口食べる?」
「食べます!」
ショーヘイが、また大口を開けて、齧りついた。もぐもぐ咀嚼しているショーヘイはとても幸せそうだ。ダンテも大きく口を開けて齧りつき、もぐもぐと咀嚼した。バナンダは、兄達の結婚式の時にしか食べたことが無いのだが、とても美味しかった記憶があるので、食べられて嬉しい。実際、屋台で売られていたバナンダの姿焼きも、とても美味しい。美味しいものがいっぱいで、幸せである。バナンダの姿焼きに齧りついたピエリーも、とてもご機嫌である。
パクパクとバナンダの姿焼きを食べきると、串を近くのゴミ箱に捨て、次の美味しいものを探しに行く。ショーヘイとピエリーとわちゃわちゃ喋りながら、美味しいものを食べるのが、本当に楽しい。ショーヘイは、普段は、そんなに表情が変わらないというか、表情の変化が控えめな方だが、今日はいつもよりも目がキラキラと輝いていて、楽しそうに笑っている。ショーヘイが楽しそうだと、ダンテも益々楽しくなってくる。
ショーヘイは、やはり不思議な人だと思う。一緒にいるだけで、こんなにも楽しい。
ダンテは、腕を組んだまま、ショーヘイの手を握り、指を絡めた。特に理由は無い。なんとなく、したくなっただけだ。繋いだ手は振りほどかれる事なく、ダンテは、次の美味しいものを探しに、ショーヘイと人混みの中をゆっくり歩いた。
ちょっと食休みということで、今は露店を見て回っている。ドーラにとても似合いそうな髪飾りを見つけたので、ショーヘイと割り勘で買った。他にも、ドーラへのお土産にいいものがないかと、露店を見て回っていると、装飾品を扱う露店で、質のよさそうな小さな淡い水色の石がついた指輪を見つけた。指輪のデザインはシンプルだが、品がよくて、ちょっとお洒落をしたい時によさそうである。石が花の形にカットされているのが、とてもいい。
ダンテは少し考えてから、ショーヘイに声をかけた。
「ショーヘイ。防御力をもうちょっと上げておく?」
「と、言うと?」
「この指輪、すごく素敵だから、お揃いでどうかなって。着けても邪魔にはならないデザインだし」
「お値段……え、高くないですか?」
「私が買うよ。初めての冬華祭記念ということで」
「なるほど。へぇー。石が花の形だ。可愛い。でも、俺に似合います?」
「似合うと思うよ。じゃあ、これを買おう」
ダンテは、指輪を二つ買った。組んでいた腕を離して、ショーヘイの左手を手に取り、中指に指輪を嵌めてやる。魔法がかけられていると思わしき指輪は、しゅっとショーヘイの中指にピッタリになった。自分の左手の中指にも、指輪を嵌める。少し大きめだった指輪が、しゅっと自分の中指にピッタリになった。
指輪を眺めてから、ショーヘイがダンテを見上げて、嬉しそうに、へらっと笑った。
「なんか楽しいですねぇ。たまには、こういうのもいいかも」
「そうだね。あ、ショーヘイ。あのブレスレット。ドーラちゃんに似合いそうじゃない?」
「あ、本当だ。可愛いー。お値段……お。よっしゃ! 割とリーズナブル。俺でも買えます!」
「これも割り勘で。どうせなら、服もあればいいのにね」
「服のサイズが分かんないですよ」
「あ、それもそうか。残念」
「服は、可愛いのを自作する予定です。何年かかるか、分かんないですけど」
「あはは。まぁ、気長にね」
「はい。そろそろ食べ歩き再開します?」
「うん。思ってたより、普段見かけないものが多いなぁ」
「そうなんですね。一年中、売ってくれればいいのに」
「本当にね」
ダンテは、ショーヘイと顔を見合わせて、なんとなく笑ってから、再びショーヘイと腕を組み、手を繋いで、指を絡めた。
日が暮れる頃まで、色んな屋台の食べ物を食べまくった。今日は、自分に甘くすると決めていたので、久々に満腹になった。満腹感がとても幸せである。
ダンテは、昼間に来た三階建ての集合住宅の屋根の上で、ショーヘイを後ろからゆるく抱きしめて、夜空を見上げていた。王城で働く魔法使い達が、炎の花を夜空に沢山咲かせている。とても見応えがあって、本当にキレイだ。
ショーヘイの頭に顎をのせて、明るい夜空を眺めていると、ショーヘイが上を向いて、ダンテを見て、へらっと笑った。
「めちゃくちゃキレイですね」
「うん。今まで、まともに見たことが無かったから、すごく新鮮」
「美味しいものがいっぱいあったし、来年も来たいですねー」
「うん。冬華祭限定の食べ物が、予想外にいっぱいだったしね。まさか、ここまで多いとは思ってなかったよ。久しぶりに満腹で幸せ」
「あははっ! 俺も満腹です。今寝たら絶対気持ちいいー」
「寝てもいいよ? おんぶするから」
「いやいや。お家に帰るまでがお祭りですから。美味しいものをいっぱい食べて、ドーラちゃんへのお土産もいっぱい買えたし、変な邪魔も無かったし、いい1日でした」
「防御力を上げといて正解だったね」
「ですねー。あ、終わったかな」
「終わったみたいだね。歩いて帰る? それとも飛ぶ?」
「飛ぶので! 飛ぶというか、飛び跳ねるって感じですけど。地味に楽しいです」
「ははっ。気に入ってもらってよかった。じゃあ、帰ろうか。明日はちょっとゆっくりめに起きて、午後から神殿に行こう。ドーラちゃんにお土産を渡さないとね」
「はい! ふふーっ。ドーラちゃん、多分、大喜びしてくれますね。日保ちするお菓子もいっぱいあってよかったです」
「あ、あの最初に食べたやつ。あれ、家でのおやつ用に買っておけばよかったな」
「あー。あの硬い細長い棍棒みたいな。美味しかったですもんねー」
「また来年食べればいいかな」
「はい。来年も来ましょうね。防御力上げ上げで」
当たり前のように、来年の約束ができるのが、なんだかちょっと照れくさくて、でも、すごく嬉しい。不思議である。
ダンテは、ショーヘイを子供のように抱き上げた。ショーヘイが、いつの間にか眠ったピエリーを抱っこしている。
「おや。ピエリー。寝ちゃったね」
「ピエリーちゃんも一緒にいっぱい食べてたからですかねー。可愛いー」
「ははっ。じゃあ、飛ぶよ。舌を噛まないように注意してね」
「はい」
ダンテは、風の魔法で、ショーヘイを抱っこしたまま、高く飛び上がった。静かに、民家の屋根の上をぴょんぴょん飛んで、我が家へと向かう。
玄関先に着地すると、ダンテは、ショーヘイを地面に下ろした。ショーヘイが小さく楽しそうに笑って、ダンテを見上げた。
「癖になりそうな楽しさです」
「寒くなかった?」
「少し? でも、ダンテさんが温かったから大丈夫です」
「それなら、よかった」
「お風呂の準備しますねー。ピエリーちゃんはどうしよう」
「寝かせといたら? 熟睡しちゃってるから」
「そうですね。明日は朝寝坊の日ということで。たまには、いいですよねー」
「うん」
ダンテは、ショーヘイと顔を見合わせて笑って、家の中に入った。
ショーヘイがパタパタと手早く風呂の準備をしてくれたので、先に風呂に入り、少しだけ、お気に入りの酒を飲んだ。
ピエリーは今日もショーヘイと寝ている。ショーヘイと出会うまでは、いつも一緒に寝ていたので、少しだけ寂しいが、心地よい満腹感で、すぐに眠気が訪れる。
ダンテは、なんとなく着けたままの指輪を撫でてから、柔らかい眠りに落ちた。
ダンテは、機嫌よく目を細めながら、コップの半分くらいを一気飲みした。
「ぷはぁ。美味しいね。これ」
「ですねー。次は、魚か貝が食いたいです」
「いいね。探してみよう」
腕を組んだまま、2人で屋台を眺めつつ歩いていると、バナンダの姿焼きが目に入った。確か、バナンダは、番になると、ずっと一緒にいて、一緒に子育てをするらしい。バナンダの姿焼きは、結婚式での定番メニューだ。
ショーヘイに声をかけて、そこそこデカいバナンダの姿焼きを一つ買う。串に刺さっているバナンダをショーヘイの口元に差し出せば、ショーヘイが大きく口を開けて、齧りついた。もぐもぐ咀嚼しているショーヘイの目が、キラキラと輝く。
「うんまー。なんだろ。見た目は木の板に手足ついてますみたいな奇っ怪な感じなのに、味はタコ? イカ? みたいな? いや、タコとイカにホタテ追加したみたいな? とにかく美味いです」
「もう一口食べる?」
「食べます!」
ショーヘイが、また大口を開けて、齧りついた。もぐもぐ咀嚼しているショーヘイはとても幸せそうだ。ダンテも大きく口を開けて齧りつき、もぐもぐと咀嚼した。バナンダは、兄達の結婚式の時にしか食べたことが無いのだが、とても美味しかった記憶があるので、食べられて嬉しい。実際、屋台で売られていたバナンダの姿焼きも、とても美味しい。美味しいものがいっぱいで、幸せである。バナンダの姿焼きに齧りついたピエリーも、とてもご機嫌である。
パクパクとバナンダの姿焼きを食べきると、串を近くのゴミ箱に捨て、次の美味しいものを探しに行く。ショーヘイとピエリーとわちゃわちゃ喋りながら、美味しいものを食べるのが、本当に楽しい。ショーヘイは、普段は、そんなに表情が変わらないというか、表情の変化が控えめな方だが、今日はいつもよりも目がキラキラと輝いていて、楽しそうに笑っている。ショーヘイが楽しそうだと、ダンテも益々楽しくなってくる。
ショーヘイは、やはり不思議な人だと思う。一緒にいるだけで、こんなにも楽しい。
ダンテは、腕を組んだまま、ショーヘイの手を握り、指を絡めた。特に理由は無い。なんとなく、したくなっただけだ。繋いだ手は振りほどかれる事なく、ダンテは、次の美味しいものを探しに、ショーヘイと人混みの中をゆっくり歩いた。
ちょっと食休みということで、今は露店を見て回っている。ドーラにとても似合いそうな髪飾りを見つけたので、ショーヘイと割り勘で買った。他にも、ドーラへのお土産にいいものがないかと、露店を見て回っていると、装飾品を扱う露店で、質のよさそうな小さな淡い水色の石がついた指輪を見つけた。指輪のデザインはシンプルだが、品がよくて、ちょっとお洒落をしたい時によさそうである。石が花の形にカットされているのが、とてもいい。
ダンテは少し考えてから、ショーヘイに声をかけた。
「ショーヘイ。防御力をもうちょっと上げておく?」
「と、言うと?」
「この指輪、すごく素敵だから、お揃いでどうかなって。着けても邪魔にはならないデザインだし」
「お値段……え、高くないですか?」
「私が買うよ。初めての冬華祭記念ということで」
「なるほど。へぇー。石が花の形だ。可愛い。でも、俺に似合います?」
「似合うと思うよ。じゃあ、これを買おう」
ダンテは、指輪を二つ買った。組んでいた腕を離して、ショーヘイの左手を手に取り、中指に指輪を嵌めてやる。魔法がかけられていると思わしき指輪は、しゅっとショーヘイの中指にピッタリになった。自分の左手の中指にも、指輪を嵌める。少し大きめだった指輪が、しゅっと自分の中指にピッタリになった。
指輪を眺めてから、ショーヘイがダンテを見上げて、嬉しそうに、へらっと笑った。
「なんか楽しいですねぇ。たまには、こういうのもいいかも」
「そうだね。あ、ショーヘイ。あのブレスレット。ドーラちゃんに似合いそうじゃない?」
「あ、本当だ。可愛いー。お値段……お。よっしゃ! 割とリーズナブル。俺でも買えます!」
「これも割り勘で。どうせなら、服もあればいいのにね」
「服のサイズが分かんないですよ」
「あ、それもそうか。残念」
「服は、可愛いのを自作する予定です。何年かかるか、分かんないですけど」
「あはは。まぁ、気長にね」
「はい。そろそろ食べ歩き再開します?」
「うん。思ってたより、普段見かけないものが多いなぁ」
「そうなんですね。一年中、売ってくれればいいのに」
「本当にね」
ダンテは、ショーヘイと顔を見合わせて、なんとなく笑ってから、再びショーヘイと腕を組み、手を繋いで、指を絡めた。
日が暮れる頃まで、色んな屋台の食べ物を食べまくった。今日は、自分に甘くすると決めていたので、久々に満腹になった。満腹感がとても幸せである。
ダンテは、昼間に来た三階建ての集合住宅の屋根の上で、ショーヘイを後ろからゆるく抱きしめて、夜空を見上げていた。王城で働く魔法使い達が、炎の花を夜空に沢山咲かせている。とても見応えがあって、本当にキレイだ。
ショーヘイの頭に顎をのせて、明るい夜空を眺めていると、ショーヘイが上を向いて、ダンテを見て、へらっと笑った。
「めちゃくちゃキレイですね」
「うん。今まで、まともに見たことが無かったから、すごく新鮮」
「美味しいものがいっぱいあったし、来年も来たいですねー」
「うん。冬華祭限定の食べ物が、予想外にいっぱいだったしね。まさか、ここまで多いとは思ってなかったよ。久しぶりに満腹で幸せ」
「あははっ! 俺も満腹です。今寝たら絶対気持ちいいー」
「寝てもいいよ? おんぶするから」
「いやいや。お家に帰るまでがお祭りですから。美味しいものをいっぱい食べて、ドーラちゃんへのお土産もいっぱい買えたし、変な邪魔も無かったし、いい1日でした」
「防御力を上げといて正解だったね」
「ですねー。あ、終わったかな」
「終わったみたいだね。歩いて帰る? それとも飛ぶ?」
「飛ぶので! 飛ぶというか、飛び跳ねるって感じですけど。地味に楽しいです」
「ははっ。気に入ってもらってよかった。じゃあ、帰ろうか。明日はちょっとゆっくりめに起きて、午後から神殿に行こう。ドーラちゃんにお土産を渡さないとね」
「はい! ふふーっ。ドーラちゃん、多分、大喜びしてくれますね。日保ちするお菓子もいっぱいあってよかったです」
「あ、あの最初に食べたやつ。あれ、家でのおやつ用に買っておけばよかったな」
「あー。あの硬い細長い棍棒みたいな。美味しかったですもんねー」
「また来年食べればいいかな」
「はい。来年も来ましょうね。防御力上げ上げで」
当たり前のように、来年の約束ができるのが、なんだかちょっと照れくさくて、でも、すごく嬉しい。不思議である。
ダンテは、ショーヘイを子供のように抱き上げた。ショーヘイが、いつの間にか眠ったピエリーを抱っこしている。
「おや。ピエリー。寝ちゃったね」
「ピエリーちゃんも一緒にいっぱい食べてたからですかねー。可愛いー」
「ははっ。じゃあ、飛ぶよ。舌を噛まないように注意してね」
「はい」
ダンテは、風の魔法で、ショーヘイを抱っこしたまま、高く飛び上がった。静かに、民家の屋根の上をぴょんぴょん飛んで、我が家へと向かう。
玄関先に着地すると、ダンテは、ショーヘイを地面に下ろした。ショーヘイが小さく楽しそうに笑って、ダンテを見上げた。
「癖になりそうな楽しさです」
「寒くなかった?」
「少し? でも、ダンテさんが温かったから大丈夫です」
「それなら、よかった」
「お風呂の準備しますねー。ピエリーちゃんはどうしよう」
「寝かせといたら? 熟睡しちゃってるから」
「そうですね。明日は朝寝坊の日ということで。たまには、いいですよねー」
「うん」
ダンテは、ショーヘイと顔を見合わせて笑って、家の中に入った。
ショーヘイがパタパタと手早く風呂の準備をしてくれたので、先に風呂に入り、少しだけ、お気に入りの酒を飲んだ。
ピエリーは今日もショーヘイと寝ている。ショーヘイと出会うまでは、いつも一緒に寝ていたので、少しだけ寂しいが、心地よい満腹感で、すぐに眠気が訪れる。
ダンテは、なんとなく着けたままの指輪を撫でてから、柔らかい眠りに落ちた。
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