女装家政夫の愉快なお仕事(三食昼寝おやつセックスつき)

丸井まー(旧:まー)

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21:嬉しい遭遇

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ヨザックは領軍詰所の建物から外に出ると、大きく伸びをした。忙しくて仮眠ができなかった夜勤明けの目には、雲1つない青空で輝く明るい太陽が眩しすぎる。夏本番が近く、日射しがそれなりに強い中、ヨザックは大きく欠伸をしながらガリガリと頭を掻いて、自宅である単身者用の領軍官舎へと向けて歩きだした。

ヨザックは中央の街で生まれ育った。両親は男夫婦で、共に軍人である。幼い頃から剣術馬鹿で割と脳筋な両親に剣を叩き込まれながら育ち、ヨザックも軍人になった。ヨザックはそれなりに剣の才能があったらしく、おまけに学者だったらしい片方の親の祖父に似たようで、それなりに頭の出来もよかった。学生時代は努力をすれば努力しただけ結果として返ってきていたので、勉強も剣の鍛練も大好きだった。軍人となった今でも、どちらも好きだ。幸い、面倒見がいい先輩に囲まれており、職場の人間関係はそれなりに良好である。ヨザックは自分がとても恵まれているということを自覚している。

とりあえず自宅に帰ったら寝る。起きたら食事を調達しに外に出よう。
ヨザックは自炊はしていない。サンガレア領軍に就職した最初の年は自炊にも挑戦していたが、半年程で諦めた。結構不規則な勤務体系な上に、厳しい訓練でしごかれ、仕事でひたすら走り回り、結果、帰ったら疲れてベッドに直行という日が多くて、折角買い置きしていた食材をダメにしてしまうということが何度もあった。食材が無駄になるのはよろしくない。ヨザックは潔く自炊を諦めた。
ヨザックが自宅に向かい歩いていると、後ろから誰かが走ってくるような足音がした。首を捻って顔だけで後ろを振り向けば、絶望的に似合わない淡い黄色の可愛らしいふりふりデザインな膝丈のワンピースを着た、どこからどう見ても犯罪者にしか思えない厳つい人相が悪い男がヨザックの方に向かい、走ってきている。アイディーである。まさかのヨザックのハニーの登場に、ヨザックは驚いて目を見開き、その場に立ち止まった。
アイディーがすぐにヨザックの目の前に到着し、ニッと笑って、片手を上げた。ヨザック的には大変可愛い笑顔なのだが、他の者が見れば、今からちょっとボコりますみたいな、中々に凶悪な笑顔である。
ヨザックは思わぬハニーの登場に、眠気が一瞬で吹き飛んだ。


「ちーっす。先輩」

「よぉ。アイディー。もしかして1人か?ミー坊は?」

「坊っちゃんは今日は保育園」

「ん?ミー坊、保育園に行ってるのか?」

「おう。つっても、仮入園っつーか、お試しなんだけどよ。広場で知り合った3人の子持ちのオッサンから薦められてよぉ。保育園に行けば友達もできるし、同じ年頃の子供と過ごすことでしか学べないこともあるってな。坊っちゃんもこないだ3歳になったし、旦那様と相談して、保育園に入園することにしたんだわ。入園の申し込みが遅かったから、正式な入園は来年の春になっけど、それまでは週3で一時預かりっつーことで通うことになった。今日で2回目」

「へぇー。ミー坊、泣かなかったか?」

「めちゃくちゃ泣いた」

「あーあ」

「ものすげぇ泣いたし、後追いしたわ。まぁ、最終的には仲がいい1コ上の子が手を繋いで一緒に保育室に入ってくれたけどな。広場でよく会う子でよ。最近、坊っちゃんと仲良くなって、よく一緒に遊んでんだ」

「おー。ミー坊に友達ができて良かったな」

「おう。初回も中に入っちまえば楽しかったみてぇでよ。迎えに行ったら帰りたがらなくて、結局強制抱っこで連れて帰ったぜ」

「ははっ。お疲れさん」

「おう。先輩は仕事中か?」

「いや。夜勤明け」

「お疲れ。朝飯食った?」

「ありがとな。朝飯は詰所の食堂で食った」

「ふーん。ならいい」

「お?何?心配してくれてんの?ハニー」

「あ?食ってねぇなら、ちょっと寄ってもらおうかと思っただけだっつーの」

「ははっ。しまった。食わなきゃよかった」

「アホか。飯は食える時にちゃんと食えよ。身体が資本だぞ」

「まぁな。あ、そうだ。アイディー」

「あ?」

「ミー坊の保育園って何時まで?」

「昼の3時」

「何か予定入ってるか?」

「いや、特にはねぇけど。旦那様も今日仕事だしよぉ。暇だから普段掃除できねぇ細けぇとこの掃除でもやりゃいいかって考えてる」

「よし。アイディー」

「あ?」

「俺と楽しいことしようぜ」


キョトンとしているアイディーも大変可愛らしい。他人から見たら犯罪者ちっくな厳つい人相が悪い顔かもしれないが、ヨザック的にはアイディーは可愛いのである。結構コロコロ変わる表情とか、内面の優しさが滲み出ているキャラメルみたいな色の瞳とか。あと何より雰囲気が可愛い。優しくて、真面目で、努力家で、いつでも一生懸命で頑張り屋なアイディーが、ヨザックはめちゃくちゃ好きなのである。
キョトンとしたままのアイディーのゴツい手を握り、ヨザックは上機嫌に自宅へと向かった。






ーーーーーー
ガッと音を立てて、鍛練用の剣の鍔同士がぶつかり合った。至近距離で睨み合いながらギリギリと力比べのように鍔ずり合いをし、先に相手の体勢を崩し脇腹に蹴りを入れてふっ飛ばしたのはヨザックの方であった。手加減は勿論したが、アイディーの身体が大きくよろけ、横に数歩分飛んで、どさっと地面に倒れた。
ヨザックは刃を潰してある鍛練用の剣を片手に、座った状態で脇腹を押さえて荒い息を吐いているアイディーの前にしゃがんだ。


「やっぱ鈍ってんな」

「……おう」


本当に悔しそうな顔をしているアイディーの頭を、ヨザックはガシガシ撫でた。短く刈り上げていたアイディーの髪はかなり伸びており、前髪があと少しで目にかかりそうである。硬いしっかりとしたアイディーの髪を指先で弄りながら、ヨザックはアイディーを挑発するように、にやっと笑った。


「もう終いにするか?」

「あ?まさか。もっぺんだ」

「ははっ。そうこなくっちゃな」


自分でサッと立ち上がったアイディーに僅かに遅れてヨザックも立ち上がった。久しぶりに見る闘気に溢れたギラギラしたアイディーの鋭い目にゾクゾクする。ヨザックは口角を上げて、再び鍛練用の剣を構えた。

官舎の裏庭でひとしきり暴れまわった後、ヨザックはアイディーを官舎の一室である自宅に連れてきた。ヨザックの部屋は2階の角部屋で、狭い台所とトイレと風呂以外は1部屋しかない。玄関から入ってすぐに、部屋の壁際に置いてあるベッドが見えるような狭さである。
ヨザックは偶然遭遇できたアイディーを自宅へ連れてきて、服と予備の鍛練用の剣を貸し、いつも自主鍛練している官舎の裏庭に誘った。アイディーは久しぶりに触れる鍛練用の剣にキラキラと目を輝かせ、大喜びで服を着替えて、軽い足取りでヨザックと共に裏庭に移動した。

アイディーがシャワーを使う音を聞きながら、ヨザックは台所でお湯を沸かしていた。
アイディーのちょっとした気分転換になればいいと思い、剣の鍛練に誘ってみたのだが大成功だったようである。あんなに楽しそうなアイディーは久しぶりに見た。
アイディーはもう軍人にはなれない。借金を無事に返せたとしても、その頃にはもう20代後半になっている。サンガレア領軍の受験資格は24歳までだ。どれだけ今の仕事の給料が馬鹿みたいに破格でも、4億なんて現実離れした金額の借金をそれまでに返せる訳がない。そんなアイディーを剣の鍛練に誘うのは酷かとも一瞬思ったのだが、アイディーは本当に剣の鍛練が好きで、ヨザックが高等学校に通っていた頃は毎日のように一緒に鍛練していたくらいだ。別に家政夫が剣を振ってもいいだろう。そう言ってヨザックが予備の鍛練用の剣をアイディーに渡すと、アイディーは本当に嬉しそうな顔で笑った。

しゅんしゅんとお湯が沸く音がして、ヨザックは魔導コンロの火を止めた。同じくらいのタイミングでシャワーの音も止まる。アイディーが風呂場から出てくる音がしたので、ヨザックはお茶と珈琲のどちらがいいかを聞こうと、台所から1歩出て、ピシッと固まった。
部屋のど真ん中でガシガシとタオルで雑に頭を拭いているアイディーはパンツ1枚の姿である。おまけにそのパンツが淡いピンク色の微妙に透けている色っぽいTバック紐パン。ヨザックはとりあえず自分の鼻を押さえた。プリっとしたデカいアイディーの尻が丸見えである。股間のもっこりとした膨らみもばっちり分かるし、腹毛と繋がっている陰毛までがっつり見えている。ばいんばいんのうっすら胸毛が生えている胸も、少し乳輪が大きめで、やや濃いめの褐色の乳首もばっちりだ。
ヨザックは無理矢理アイディーの裸体から視線を外し、鼻を押さえたまま天井を見上げた。ヤバい本気で鼻血が出そう。鼻と股間の両方に血液がぎゅんぎゅん移動していく感じがする。正反対な位置なのに不思議だなぁ、と、どうでもいいことを考えて、とりあえず落ち着こうとするが、これが中々に難しい。ヨザックはあと少しで20歳になる、まだギリギリ10代の若い健康な男なのだ。アイディーと知り合って3ヶ月もしないうちにアイディーに惚れたので、かれこれ1年ちょい片思い状態な訳だ。ヨザックが惚れているアイディーが、自分の家にいて、それも色っぽ過ぎるパンツ1枚の姿で、おまけにアイディーのすぐ側にはヨザックのベッドがあるわけで。これで興奮するなという方が無理な話だと心底思う。
アイディーが台所の入り口辺りに立って鼻を押さえて天井を見上げているヨザックに気づいたのか、訝しげな声で話しかけてきた。


「何やってんだ?先輩」

「うん。気にするな。ちょっと自分の中の自分と戦ってるだけだ」

「あ?」

「とりあえず服を着てくれ、アイディー」

「先に薬塗ってくれねぇか?背中。じわじわ痛ぇし」

「マジか。悪い。手加減しそこなったか」

「あ?違ぇよ。単に俺が受け身とりそこなっただけだっつーの」

「待ってろ。すぐに薬を出す」

「わりぃな」


アイディーが怪我をしたということで、スンと興奮が落ち着いた。ヨザックは傷薬を入れてある台所の戸棚の所に急いで行き、傷薬を取って、アイディーの元へすぐに移動した。
アイディーの身体のあちこちに、ちょっとした擦り傷や打撲傷があった。曾ては、これくらいの怪我は日常茶飯事だったアイディーなのだが、というか、主にヨザックとの自主鍛練で毎日のように軽い怪我をしていたのだが、久しく剣を握って身体を動かすことがなかったからか、以前よりもちょっとした怪我の数が多い。やはり手加減しそこなっていたようだ。久しぶりにアイディーと一緒に剣でやり合うのが楽しすぎて、ついやり過ぎた。ヨザックは地味に痛いというアイディーの背中の擦過傷に薬を塗ってやり、ついでだからと他の小さな擦り傷や打撲傷にも薬を塗った。
アイディーの全身をチェックして塗り忘れがないかを確認し、最後に、アイディーの頬にうっすらある擦り傷に薬を塗っていく。


「悪い。結構怪我させたな」

「あ?いんだよ、別に。めちゃくちゃ楽しかったから」

「ははっ。楽しかったか?」

「おう。先輩」

「ん?」

「ありがとな」


本当に嬉しそうに笑うアイディーの無邪気な笑顔に、胸が高鳴る。
ヨザックは誤魔化すように、薬を触っていない方の手でアイディーの半乾きの頭をガシガシ撫でた。


「俺もすげぇ楽しかったわ」

「あ?マジで?」

「おう。多少鈍ってても、お前余裕で同期の奴らより強いし。なんか久しぶりに燃えたわ」

「ははっ」


アイディーが嬉しそうに照れくさそうに笑った。
ヨザックはアイディーの笑顔に目を細めながら、ヨザックのベッドの上に置いてあるアイディーのワンピースを指差した。


「とりあえず服を着ろよ。お茶と珈琲どっちがいい?」

「お茶」

「了解。ハニー。普通なお茶を用意するぜ」

「ぶはっ。そこは美味しいお茶じゃねぇのかよ」

「はっはっは!どんだけいい茶葉を使っても、俺が淹れた瞬間から普通のお茶になるな」

「はははっ!マジか!」

「おう。まぁ、不味くはねぇよ。旨くもねぇけど」

「はははっ!」


ヨザックはもう1度アイディーの頭をガシガシ撫でてから、台所へと引き返した。
色々危なかった。ヨザックは紳士でありたいのである。興奮するがままにアイディーに手を出すなんてことはしたくない。ヨザックはアイディーの心が何よりも欲しい。
ヨザックは台所でお茶を淹れる前に、パァンと自分の両頬を両手で叩き、気合いを入れた。マジで頑張れ、俺の理性。
ヨザックは全力で丁寧にアイディーの為にお茶を淹れた。
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