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88:子供達の成長
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クラウディオはジャンとロヴィーノの3人で、自宅の居間で酒を楽しんでいた。
子供達はもう寝ている。月日が経つのは早いもので、今年の春からジェラルドは小学校に通い始める。クラウディオも長かった育児休暇が終わり、春から復職する。ジェラルドはいつもクラウディオと寝たがり、そんなジェラルドとアンジェラが一緒に寝たがるので、クラウディオはフェリが帰ってきている時以外はいつも子供達と3人で寝ている。復職したら忙しい時は家に帰ることができない場合もあるので、こんなにのんびりと毎日子供達と過ごせる日々はあと僅かしかない。ジェラルドが産まれてから2、3年は本当に怒涛のように毎日が過ぎ去っていったが、ここ最近になってようやく余裕ができてきた。整える余裕がなくて全剃りしていた髭も伸ばして整え、いつもの顎髭が復活している。無精して伸ばしっぱなしの髪は普段はまとめて1つに紐で縛っているので、復職前に床屋で髪を切らなければならない。フェリがクラウディオの今の髪型を存外気に入っており、帰って来てクラウディオと夜を過ごす時はいつも楽しそうにクラウディオの髪を弄るので、少し勿体無い気もする。しかし、やはり髪が短い方がセットをするのも楽だし、軍服にも合うので切る予定である。あと単純に髪が長いと夏場が暑くてキツい。鍛練もあるし、仕事で走り回らなければならないこともあるので、少しでも涼しい髪型の方がいい。
トリッシュは長男ブルーノを産んだ3年後に次男ベニートを産んだ。2人の子供達の世話で毎日大変だが、アルフと協力してなんとかやっているようだ。ベニートが小学校に通い出したら、実家の近くに竜舎つきの家を建てる予定である。フリオ・エドガー夫婦も長男ウーゴと3つ違いの長女アイーダの2人の子供達を頑張って育てている。数日おきに散歩も兼ねて子供達を連れて実家を訪れている。エドガーもクラウディオと同じく春から復職するが、フリオはアイーダが小学校に入学するまで休職するそうだ。フリオ・エドガー夫婦の家は小学校から結構離れているので、エドガーが出勤する時に馬で街の入り口まで送り、夕方のエドガーの仕事が終わる時間までクラウディオ達の家で預かることにした。子供達が馬に1人で乗れるようになったら、また変わるかもしれないが、少なくとも10歳くらいまでは殆んど毎日クラウディオ達の家に来ることになる。家にはジャンも、子供達が大きくなるまでは仕事をしない宣言をしたロヴィーノがいるので安心である。ロヴィーノも随分と家事が上達し、フェリがジェラルドを妊娠してから1番苦手だった料理を猛特訓したので、今では料理だけでなくケーキ等も作れるようになった。ロヴィーノはそんなに手先が器用ではないので裁縫の類いはできないが、今は暇な時にジャンに習って編み物を練習している。まだ小さな子供達に手作りのものをあげたいらしい。市販の玩具やぬいぐるみ等を大量に買い与えるのはフェリから禁止されているが、手作りのものに関しては特に何も言われていない。弟達や甥っ子達が可愛くて仕方がないロヴィーノは必死に練習している。
手先が器用なフリオは裁縫も刺繍も練習したらすぐにできるようになったので、アンジェラやアイーダ達の可愛らしいスカートをよく作っている。女の子の服の方が華やかで複雑な模様を刺繍できるので楽しいらしい。フリオは今、単純で簡単な模様よりも難易度が高い模様に挑戦することに情熱を燃やしている。結構凝り性なのだ。
アルジャーノも娘のビアンカとアーベル、アーベルの長男エルマーと3つ違いの次男ヨーゼフを連れて、よく遊びに来る。リカルドは魔術研究所所長という立場にあるので育児休暇の延長は難しく、アーベルも一応春から復職予定なので、2人が仕事の間はアルジャーノが孫達の世話をするそうだ。
ヒューゴも孫を連れてよく遊びに来るので、毎日がとても賑やかである。飛竜達も子供達を好ましく思っているようで、子供達が外に出ると竜舎から出てくる。特にモルガはいつもクルクルと上機嫌な鳴き声をあげて、自分の身体に登ろうとする子供達を好きにさせている。
ジェラルドが6歳の誕生日に上の子達と同様、フェリから飛竜をプレゼントされた。ジェラルドはルチアと名付け、ジャンに習いながら毎日ルチアの世話を頑張っている。まだ寒い時期なので、春になり暖かくなったら騎乗の仕方をジャンが教えることになっている。クラウディオ大好きなジェラルドはクラウディオと同じことをしたがる傾向があり、5歳の頃からクラウディオが剣を教えている。幼いながら中々に筋がいい。教えていて楽しいし、クラウディオとしても息子と一緒に何かをやれるのは嬉しいことだ。ジャンがジェラルドに弓も教えているが、今のところジェラルドは剣の方が好きだ。
アンジェラは少し大人しい子で、今は人形遊びが1番好きだ。つい先日アンジェラもフェリから飛竜をプレゼントされ、ラウロと名付けた。自分の飛竜はお気に入りで、小さい身体で毎日一生懸命世話をしているが、今のところそんなに飛竜に乗って空を飛ぶことには興味がない。暇さえあればジャンやロヴィーノの長い髪を結って遊んでいる。将来は床屋や髪結いをしたりする美容師になりたいらしい。
大きな怪我や病気をすることなく、子供達は皆すくすくと育ってくれている。
フェリと恋人になる前には想像もしていなかったくらい賑やかで満たされた生活は、クラウディオにとってとても幸せなことだ。
グラスの酒を飲み干して、ふぅと小さく息を吐く。ロヴィーノが酒を追加で注いでくれるので礼を言った。
「明日はジェラルドの買い物に行くんだろう?」
「あぁ。通学用の鞄と文房具を買わなきゃいけないからな」
「クラウディオ。靴もだよ。今の靴少しキツいって今日言ってた」
「マジか、ジャン。アンジェラは大丈夫かな?」
「アンジェラも連れていくんだから、ついでに見たらいいんじゃないか?」
「そうだな」
「ロヴィーノ。可愛いのがあったからって衝動買いするんじゃないぞ。またフェリに小言言われるぞ」
「うっ。分かっている、父様」
「あー。こうしてゆっくりできるのも後少しだな。復職したら暫くはろくに休みもないだろうし」
「6年休んだからね」
「育休中の報告書に一通り目を通さなきゃいけないからな。まぁ、街の詰所を任されてるから仕方がないんだが」
「大変だな」
「俺より多分リカルドの方が大変なんじゃないか?魔術研究所所長だし」
「だろうね」
「今は副所長が代理してるんだろ?」
「あぁ。すっごい美人のな」
「アーベルがド変態らしいって言ってたけど」
「らしいな。めちゃくちゃ美人なのにな」
「父上は面食いなのか?」
「いや別に。俺の中の可愛いの頂点は常にフェリだし」
「いや、母上は顔は普通だぞ」
「え?可愛いじゃないか。なぁ、ジャン」
「最高にね」
「……安定の母上馬鹿だな、2人とも」
「否定はせん」
「ロヴィーノだって、相変わらずマーサ様に夢中じゃないか」
「まぁそうだけど」
「皆が復職する前にさ、1度集まって酒盛りでもしないか?復職後暫くはそんな余裕ないし」
「いいね」
「マーサ経由でフェルナンドに頼んで酒を送ってもらうか?」
「あ、ワインは多めがいい。フェリが好きだから」
「近いうちに頼んどく」
「よろしく」
「日にちを早めに決めとこうか。各々復職の準備と色々あるだろうし」
「できたらフェリが帰ってきてる時の方がいいんだけどなー」
「だいたいの予想はつくが、母上は具体的にいつ帰ってくるか分からないぞ」
「そうなんだよなー」
「まぁ、仕方がないね」
それから日付が変わる頃まで、酒盛りの日程や用意する料理の話などをして、のんびりと酒を楽しんだ。クラウディオが自室に戻ると、ベッドの中ではジェラルドとアンジェラがぐっすり眠っていた。2人を起こさないようにそっと布団に潜り込み、くっついて眠る2人の額に優しくキスをしてからクラウディオは目を閉じた。
今日も1日が無事に終わった。喜ばしいことである。明日は街に買い物に行くので、ついでに何か美味しいものでも皆で食べよう。クラウディオはお気に入りの店をいくつも思い浮かべながら、穏やかな眠りについた。
ーーーーーー
春になり、今日はいよいよジェラルドの小学校の入学式である。クラウディオは既に復職しているが、今日は無理矢理休みをとり、朝から気合いをいれて身支度を整えた。『父上格好いい』と息子に言われたいが為だ。入学式用に気張りすぎないカジュアルめのスーツも買ったし、靴も新調した。髪のセットも髭もばっちりである。購入したばかりの最新式の撮影機を忘れずスーツのポケットに入れる。うむ。よし。準備完了である。
アンジェラも連れて、ジャンとロヴィーノと一緒に入学式が行われる小学校の体育館に移動した。一緒に来たジェラルドは先に校舎の教室に行っている。
新入生の入場を撮影機片手に今か今かと待ち、バッチリ少し緊張した表情で体育館に入場するジェラルドの姿を撮ることができた。フェリに写真を見せたら絶対に喜ぶ。
入学式が終わった後は、今日は新入生は体育館を出たところに設置されている教科書販売所で教科書を買えば下校である。教科書を全て無事に購入した後は、ジェラルドのリクエストで、パスタを食べに行く。パスタ専門店が小学校の比較的近くにあるのだ。ジェラルドはそこの肉団子のトマトパスタが1番のお気に入りである。ウーゴ達をつれたフリオ夫婦やブルーノ達をつれたトリッシュ夫婦と合流してから店に行き、美味しいパスタを楽しんでから自宅に戻った。
パスタを食べながら、ジェラルドは同じクラスに可愛い女の子がいた、と話していた。できたら仲良くなりたい、とも。おやおや。もしや初恋か?トリッシュがジェラルドくらいの歳の頃はそっち方面に興味がまるでなく、そういう類いの話は聞いたことがなかった。トリッシュは女の子だけではなく男の子とも仲がよかったが、完全にサッカー仲間って感じだった。
クラウディオはニヤニヤしながら、ジェラルドに女の子への感じのいい話しかけ方や気配りの仕方を伝授した。男の子は好きな子の気を引きたくてつい意地悪してしまいがちだが、女の子は自分に意地悪する子は普通に嫌いだ。まぁ当然だろう。優しく紳士的に接するのが1番なのである。ジェラルドは真面目な顔でクラウディオの話を聞いてくれた。そんな2人をジャンとロヴィーノは呆れた顔で眺めていた。
子供達はもう寝ている。月日が経つのは早いもので、今年の春からジェラルドは小学校に通い始める。クラウディオも長かった育児休暇が終わり、春から復職する。ジェラルドはいつもクラウディオと寝たがり、そんなジェラルドとアンジェラが一緒に寝たがるので、クラウディオはフェリが帰ってきている時以外はいつも子供達と3人で寝ている。復職したら忙しい時は家に帰ることができない場合もあるので、こんなにのんびりと毎日子供達と過ごせる日々はあと僅かしかない。ジェラルドが産まれてから2、3年は本当に怒涛のように毎日が過ぎ去っていったが、ここ最近になってようやく余裕ができてきた。整える余裕がなくて全剃りしていた髭も伸ばして整え、いつもの顎髭が復活している。無精して伸ばしっぱなしの髪は普段はまとめて1つに紐で縛っているので、復職前に床屋で髪を切らなければならない。フェリがクラウディオの今の髪型を存外気に入っており、帰って来てクラウディオと夜を過ごす時はいつも楽しそうにクラウディオの髪を弄るので、少し勿体無い気もする。しかし、やはり髪が短い方がセットをするのも楽だし、軍服にも合うので切る予定である。あと単純に髪が長いと夏場が暑くてキツい。鍛練もあるし、仕事で走り回らなければならないこともあるので、少しでも涼しい髪型の方がいい。
トリッシュは長男ブルーノを産んだ3年後に次男ベニートを産んだ。2人の子供達の世話で毎日大変だが、アルフと協力してなんとかやっているようだ。ベニートが小学校に通い出したら、実家の近くに竜舎つきの家を建てる予定である。フリオ・エドガー夫婦も長男ウーゴと3つ違いの長女アイーダの2人の子供達を頑張って育てている。数日おきに散歩も兼ねて子供達を連れて実家を訪れている。エドガーもクラウディオと同じく春から復職するが、フリオはアイーダが小学校に入学するまで休職するそうだ。フリオ・エドガー夫婦の家は小学校から結構離れているので、エドガーが出勤する時に馬で街の入り口まで送り、夕方のエドガーの仕事が終わる時間までクラウディオ達の家で預かることにした。子供達が馬に1人で乗れるようになったら、また変わるかもしれないが、少なくとも10歳くらいまでは殆んど毎日クラウディオ達の家に来ることになる。家にはジャンも、子供達が大きくなるまでは仕事をしない宣言をしたロヴィーノがいるので安心である。ロヴィーノも随分と家事が上達し、フェリがジェラルドを妊娠してから1番苦手だった料理を猛特訓したので、今では料理だけでなくケーキ等も作れるようになった。ロヴィーノはそんなに手先が器用ではないので裁縫の類いはできないが、今は暇な時にジャンに習って編み物を練習している。まだ小さな子供達に手作りのものをあげたいらしい。市販の玩具やぬいぐるみ等を大量に買い与えるのはフェリから禁止されているが、手作りのものに関しては特に何も言われていない。弟達や甥っ子達が可愛くて仕方がないロヴィーノは必死に練習している。
手先が器用なフリオは裁縫も刺繍も練習したらすぐにできるようになったので、アンジェラやアイーダ達の可愛らしいスカートをよく作っている。女の子の服の方が華やかで複雑な模様を刺繍できるので楽しいらしい。フリオは今、単純で簡単な模様よりも難易度が高い模様に挑戦することに情熱を燃やしている。結構凝り性なのだ。
アルジャーノも娘のビアンカとアーベル、アーベルの長男エルマーと3つ違いの次男ヨーゼフを連れて、よく遊びに来る。リカルドは魔術研究所所長という立場にあるので育児休暇の延長は難しく、アーベルも一応春から復職予定なので、2人が仕事の間はアルジャーノが孫達の世話をするそうだ。
ヒューゴも孫を連れてよく遊びに来るので、毎日がとても賑やかである。飛竜達も子供達を好ましく思っているようで、子供達が外に出ると竜舎から出てくる。特にモルガはいつもクルクルと上機嫌な鳴き声をあげて、自分の身体に登ろうとする子供達を好きにさせている。
ジェラルドが6歳の誕生日に上の子達と同様、フェリから飛竜をプレゼントされた。ジェラルドはルチアと名付け、ジャンに習いながら毎日ルチアの世話を頑張っている。まだ寒い時期なので、春になり暖かくなったら騎乗の仕方をジャンが教えることになっている。クラウディオ大好きなジェラルドはクラウディオと同じことをしたがる傾向があり、5歳の頃からクラウディオが剣を教えている。幼いながら中々に筋がいい。教えていて楽しいし、クラウディオとしても息子と一緒に何かをやれるのは嬉しいことだ。ジャンがジェラルドに弓も教えているが、今のところジェラルドは剣の方が好きだ。
アンジェラは少し大人しい子で、今は人形遊びが1番好きだ。つい先日アンジェラもフェリから飛竜をプレゼントされ、ラウロと名付けた。自分の飛竜はお気に入りで、小さい身体で毎日一生懸命世話をしているが、今のところそんなに飛竜に乗って空を飛ぶことには興味がない。暇さえあればジャンやロヴィーノの長い髪を結って遊んでいる。将来は床屋や髪結いをしたりする美容師になりたいらしい。
大きな怪我や病気をすることなく、子供達は皆すくすくと育ってくれている。
フェリと恋人になる前には想像もしていなかったくらい賑やかで満たされた生活は、クラウディオにとってとても幸せなことだ。
グラスの酒を飲み干して、ふぅと小さく息を吐く。ロヴィーノが酒を追加で注いでくれるので礼を言った。
「明日はジェラルドの買い物に行くんだろう?」
「あぁ。通学用の鞄と文房具を買わなきゃいけないからな」
「クラウディオ。靴もだよ。今の靴少しキツいって今日言ってた」
「マジか、ジャン。アンジェラは大丈夫かな?」
「アンジェラも連れていくんだから、ついでに見たらいいんじゃないか?」
「そうだな」
「ロヴィーノ。可愛いのがあったからって衝動買いするんじゃないぞ。またフェリに小言言われるぞ」
「うっ。分かっている、父様」
「あー。こうしてゆっくりできるのも後少しだな。復職したら暫くはろくに休みもないだろうし」
「6年休んだからね」
「育休中の報告書に一通り目を通さなきゃいけないからな。まぁ、街の詰所を任されてるから仕方がないんだが」
「大変だな」
「俺より多分リカルドの方が大変なんじゃないか?魔術研究所所長だし」
「だろうね」
「今は副所長が代理してるんだろ?」
「あぁ。すっごい美人のな」
「アーベルがド変態らしいって言ってたけど」
「らしいな。めちゃくちゃ美人なのにな」
「父上は面食いなのか?」
「いや別に。俺の中の可愛いの頂点は常にフェリだし」
「いや、母上は顔は普通だぞ」
「え?可愛いじゃないか。なぁ、ジャン」
「最高にね」
「……安定の母上馬鹿だな、2人とも」
「否定はせん」
「ロヴィーノだって、相変わらずマーサ様に夢中じゃないか」
「まぁそうだけど」
「皆が復職する前にさ、1度集まって酒盛りでもしないか?復職後暫くはそんな余裕ないし」
「いいね」
「マーサ経由でフェルナンドに頼んで酒を送ってもらうか?」
「あ、ワインは多めがいい。フェリが好きだから」
「近いうちに頼んどく」
「よろしく」
「日にちを早めに決めとこうか。各々復職の準備と色々あるだろうし」
「できたらフェリが帰ってきてる時の方がいいんだけどなー」
「だいたいの予想はつくが、母上は具体的にいつ帰ってくるか分からないぞ」
「そうなんだよなー」
「まぁ、仕方がないね」
それから日付が変わる頃まで、酒盛りの日程や用意する料理の話などをして、のんびりと酒を楽しんだ。クラウディオが自室に戻ると、ベッドの中ではジェラルドとアンジェラがぐっすり眠っていた。2人を起こさないようにそっと布団に潜り込み、くっついて眠る2人の額に優しくキスをしてからクラウディオは目を閉じた。
今日も1日が無事に終わった。喜ばしいことである。明日は街に買い物に行くので、ついでに何か美味しいものでも皆で食べよう。クラウディオはお気に入りの店をいくつも思い浮かべながら、穏やかな眠りについた。
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春になり、今日はいよいよジェラルドの小学校の入学式である。クラウディオは既に復職しているが、今日は無理矢理休みをとり、朝から気合いをいれて身支度を整えた。『父上格好いい』と息子に言われたいが為だ。入学式用に気張りすぎないカジュアルめのスーツも買ったし、靴も新調した。髪のセットも髭もばっちりである。購入したばかりの最新式の撮影機を忘れずスーツのポケットに入れる。うむ。よし。準備完了である。
アンジェラも連れて、ジャンとロヴィーノと一緒に入学式が行われる小学校の体育館に移動した。一緒に来たジェラルドは先に校舎の教室に行っている。
新入生の入場を撮影機片手に今か今かと待ち、バッチリ少し緊張した表情で体育館に入場するジェラルドの姿を撮ることができた。フェリに写真を見せたら絶対に喜ぶ。
入学式が終わった後は、今日は新入生は体育館を出たところに設置されている教科書販売所で教科書を買えば下校である。教科書を全て無事に購入した後は、ジェラルドのリクエストで、パスタを食べに行く。パスタ専門店が小学校の比較的近くにあるのだ。ジェラルドはそこの肉団子のトマトパスタが1番のお気に入りである。ウーゴ達をつれたフリオ夫婦やブルーノ達をつれたトリッシュ夫婦と合流してから店に行き、美味しいパスタを楽しんでから自宅に戻った。
パスタを食べながら、ジェラルドは同じクラスに可愛い女の子がいた、と話していた。できたら仲良くなりたい、とも。おやおや。もしや初恋か?トリッシュがジェラルドくらいの歳の頃はそっち方面に興味がまるでなく、そういう類いの話は聞いたことがなかった。トリッシュは女の子だけではなく男の子とも仲がよかったが、完全にサッカー仲間って感じだった。
クラウディオはニヤニヤしながら、ジェラルドに女の子への感じのいい話しかけ方や気配りの仕方を伝授した。男の子は好きな子の気を引きたくてつい意地悪してしまいがちだが、女の子は自分に意地悪する子は普通に嫌いだ。まぁ当然だろう。優しく紳士的に接するのが1番なのである。ジェラルドは真面目な顔でクラウディオの話を聞いてくれた。そんな2人をジャンとロヴィーノは呆れた顔で眺めていた。
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