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83:おやおやおや?
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フェリはロヴィーノ達の最後の夏休みに合わせて、サンガレアの家に帰ってきていた。
初日は家族皆でゆっくり過ごし、今日は別行動の日である。クラウディオは既に着手しているフリオ達の家の建設の為に、朝早くから魔術師街へとフリオとエドガーを連れて出掛けていった。ジャンはフェルナンドと狩りが好きなフェルナンドの次男を連れて、マーサの長女・ミーシャ達と一緒に狩りをしに山に行った。フェルナンドの長男・三男は2人で街へと繰り出した。ロヴィーノは昨夜マーサが夜に来たからか、まだ寝ているようで部屋から出てきていない。アルジャーノは今日はナーガが来るのでクラウディオ達と同じタイミングで聖地神殿へと向かった。
フェリはクラウディオやジャン達を朝早くに見送ると、朝食の後片付けをマリアンナとトリッシュと一緒に終わらせてから、一緒に居間でマリアンナが淹れた珈琲を飲んだ。
「皆出かけちゃったわねぇ」
「そーだなー」
「父上起きたら私達も出掛ける?」
「いいな」
「あのー……母上とマリアンナにさ、お願いっていうか。まぁそんな感じのがあるんだけど……」
「なぁに?トリッシュ」
「お願い?」
「その、服をね、買いに行くのに付き合ってほしいのよ。……明後日アルフと芝居観に行く約束しちゃったから」
「あら」
「おや」
「ほら!街中って皆お洒落な格好してるでしょ?私だけいつもの動きやすさ重視の服ってのも浮くかもしれないし?あの、一緒にいるアルフが恥かくかもしれないし?」
「別にいいけど。アルフと芝居って珍しいな。いつも家で会ってるかベイヤードで遠乗りしてるだろ?」
「……ちょっと前にアルフと観ておいでって、父上から芝居のチケット貰ったのよ。一緒に行ったら存外楽しかったし。その、また行こうってなって」
「「へぇぇ」」
なんだかトリッシュが少し顔を赤らめてもじもじし始めた。おやおやおや?この反応は何だ?
なんとなーーく甘酸っぱい恋の香りがする気がする。フェリはニヤニヤしてしまいそうな顔面に力を入れて抑えた。
「じゃあ、ロヴィーノを叩き起こしてから行くか」
「ねぇ、トリッシュ。どうせなら化粧品も買いましょうよ。貴女が持ってるものはかなり前のやつでしょ?今の流行りの色とは多分違うもの」
「うっ。私、化粧下手くそなんだけど」
「明後日は私がしてあげるわ。あ、いい機会だから、化粧をもっと練習したらいいわ。折角スッピンでも美人なんだもの。化粧したらもっとキレイになるわ」
「うぅ……が、がんばってみる」
「うん!みっちり教えてあげる!」
「……お手柔らかにね」
「じゃあ、服と化粧品と、あとは小物だな。あ、トリッシュ。クラウディオが作ったやつはあるか?」
「あるわよ。殆んどつけたことないけど」
「つけてやれよ。ちょっと可哀想じゃん」
「え、だってピアスとか邪魔だし。父上が作るピアスって基本じゃらっとしてるんだもん」
「はいはい。折角の機会だ。クラウディオが作ったピアスとか髪飾りに合わせた服を買ってみるか。あ、いつものブーツよりもサンダルの方がいいな。あと服に合わせて鞄も買おう」
「ねぇ、おばあ様。折角だからマニキュアも買いましょうよ。今年はね、ターコイズとか寒色系の少し濃いめの色が流行ってるんですって」
「お。いいな。じゃあ、俺ロヴィーノ起こしてくるから。2人とも出かける準備をしててくれ」
「「はーい」」
フェリはロヴィーノの部屋に突撃して、全裸のまま寝ていたロヴィーノを叩き起こした。アレな汚れがついていたのには見ないフリをした。
「ロヴィーノ。俺達出かけてくるから」
「……母上。流石に今日突撃かまされるのは嫌なんですけど。マーサが昨日来てたの知ってるでしょう?」
「まぁな。俺だって気まずいんだぞ。けど、俺、トリッシュとマリアンナと出かけてくるからさ。まぁロヴィーノ1人になるな」
「え?」
「皆もう出かけたぞ」
「起こしてくださいよっ!」
「今起こしたじゃん」
「1人は嫌なんで母上達についていきます」
「マジか。トリッシュの服とか買いに行くんだけど」
「……つれていってくれたら、俺が全額出します」
「よぉぅし!一緒に行こうかロヴィーノ!」
「はい。ちょっと待っててください。風呂に入ってきます。あー……シーツの洗濯は明日します」
「おーう。じゃあ居間で待ってるな」
「はい」
フェリはロヴィーノの部屋から出て、自室に入って着替えて鞄と財布を持つと、居間へと向かった。もう女の子2人は準備万端である。ロヴィーノもついてきて、ついでに財布係になってくれることを伝えると2人とも嬉しそうな歓声をあげた。お昼はちょっとお高いランチにしよう。ついでに今話題らしいお高めの喫茶店にも行ってみたい。
準備をしているロヴィーノを待っている間に、どこの店に行こうかと、3人でキャッキャと賑やかに話し合った。うむ。女の子がいるといいな。
財布係のロヴィーノをつれて、4人でまずは服屋に向かった。出かける前に見せてもらった中で、トリッシュに特に似合いそうなクラウディオ作のピアスと髪飾り、ネックレスとブレスレットを選び、それを持参している。アクセサリーの組み合わせはバランスよく決めた。あとはこれに合わせた服を買うだけだ。
服屋を3軒、化粧品を扱っている店を2軒、アクセサリー以外の小物を探して3軒、サンダルを探して2軒店をまわって、ようやく満足がいく買い物ができた。途中でお高い店でランチにしたが、生き生きとしたフェリとマリアンナの2人に連れまわされたトリッシュとロヴィーノはぐったりしている。今はぐったりした2人を休ませる為に、街で話題らしいお洒落な喫茶店に来ている。ちょっと値段がお高めだが、頼んだフルーツパフェは果物が沢山で生クリームの甘さも程よくかなり美味しい。4人とも好きな甘いものを頼んで食べている。珈琲も香りがよく、渋みが殆んどなくて飲みやすくて美味しい。
「トリッシュ。帰ったら早速化粧の練習しましょうよ」
「うげっ」
「うげっ、じゃないわよ。折角明後日用だけじゃなくて何枚も服を買ったんですもの。服に合わせた化粧の仕方を教えてあげるわ」
「えー。……同じ色のやつだけじゃ駄目なの?」
「駄目よー。流行りもあるし、服や行く場所・目的に合わせて化粧をしなきゃ。暫くサンガレアにいるんでしょ?明後日だけじゃなくて、その後もアルフと出かけるかもしれないじゃない」
「……ま、まぁ、そうだけど」
「……女の子は大変だなー」
「その分、女だけの楽しみもあるんだよ、ロヴィーノ」
「はぁ……左様で」
大荷物をロヴィーノに持たせて、夕方には家に戻った。家に帰りつくと、狩りに行ってたジャン達が帰ってきていた。中々の収穫だったらしく、家の裏の水場で獲物を何匹も捌いていた。今夜は庭で焼き肉にするらしく、準備をするジャン達を手伝うべく、荷物をトリッシュの部屋に置いてから4人とも庭に出た。
焼き肉の準備が終わる頃に、お腹を空かせたクラウディオ達が帰って来た。皆でワイワイ騒ぎながら、夕食を楽しむ。アルジャーノもナーガとアーベル夫婦をつれてやって来た。ナーガが水の宗主国の酒を土産として持ってきてくれたので、有り難く受け取った。皆満足するまで食べ終えた後は、手分けして片付けてから、居間で本格的な飲み会が始まった。飲み会は盛り上がり、結局翌朝近くまで、皆で酒を飲んでいた。
朝に酔いつぶれた子をベッドに運んでから、フェリは朝食を食べた後にクラウディオと一緒に昼頃まで寝た。寝る前に今日のトリッシュの様子を報告することを忘れずに。クラウディオはフェリから話を聞くと、ニヤニヤと楽しそうに笑った。フェリもついニヤニヤしてしまう。
娘の初恋がどうなるのか、とても楽しみである。
ーーーーーー
4人で買い物に行った2日後の早朝。
フェリはトリッシュを叩き起こして風呂に入らせ、買ったばかりの流行りの淡い青色の膝丈のシャツワンピースに着替えさせた。下には七分丈の黒いレギンスを履かせる。腰には茶色い太めのベルトをさせた。サンダルは低めのウェッジヒールの茶色いグラドュエーターにした。高めのピンヒールの可愛いサンダルもあったのだが、トリッシュは背が高いので、あまり踵が高い靴を履くと、ヘタするとアルフより背が高くなると言ってトリッシュが嫌がった。あと単純に踵が高い靴を履き慣れていないという理由も大きい。足の爪と手の爪をキレイなターコイズ色のマニキュアで染め、次はマリアンナにバトンタッチである。マリアンナはキツくならないよう、トリッシュの優しげな顔立ちを活かした化粧を上手くしてくれた。淡いピンクのアイシャドウがいい感じである。最後はクラウディオの出番だ。トリッシュの癖のある赤茶色の髪をキレイに結い上げ、髪飾りをつけてくれた。あとは少し派手めの大きめのピアスとシンプルなデザインのネックレス、トリッシュの細くて白い腕によく合うシンプルな、でもキレイな細工が施されているブレスレットをつけたら完成である。新しく買った白い可愛すぎないデザインの肩掛け鞄もトリッシュによく似合っている。気張りすぎず、子供っぽくないカジュアルな雰囲気に仕上げた。中々の出来映えである。フェリはマリアンナとクラウディオと無言でハイタッチした。完璧だ。俺の娘ちょー可愛い。
準備を終え、トリッシュが軽めの朝食を食べ終えた頃にアルフが迎えに来た。アルフも中々お洒落さんなようで、派手すぎない柄のシャツがよく似合っている。カジュアルだが、気が抜けすぎていない感じがよろしい。軍人らしく、いい感じに身体が鍛えてあってスタイルがいいし、背が高い方なので、ほっそりとした体型のトリッシュと並ぶと実にお似合いである。
アルフは今日のトリッシュの姿に一瞬ポカンとした。その後、少し頬を染めていた。これは中々いい反応だ。なんとなーく初々しいというか、甘酸っぱい雰囲気で2人は出掛けていった。今日はトリッシュはスカートなので、アルフの後ろに乗ってのタンデムである。ふっ。ロマンスの香りしかしない。フェリは上機嫌で出かける2人を見送った。
初日は家族皆でゆっくり過ごし、今日は別行動の日である。クラウディオは既に着手しているフリオ達の家の建設の為に、朝早くから魔術師街へとフリオとエドガーを連れて出掛けていった。ジャンはフェルナンドと狩りが好きなフェルナンドの次男を連れて、マーサの長女・ミーシャ達と一緒に狩りをしに山に行った。フェルナンドの長男・三男は2人で街へと繰り出した。ロヴィーノは昨夜マーサが夜に来たからか、まだ寝ているようで部屋から出てきていない。アルジャーノは今日はナーガが来るのでクラウディオ達と同じタイミングで聖地神殿へと向かった。
フェリはクラウディオやジャン達を朝早くに見送ると、朝食の後片付けをマリアンナとトリッシュと一緒に終わらせてから、一緒に居間でマリアンナが淹れた珈琲を飲んだ。
「皆出かけちゃったわねぇ」
「そーだなー」
「父上起きたら私達も出掛ける?」
「いいな」
「あのー……母上とマリアンナにさ、お願いっていうか。まぁそんな感じのがあるんだけど……」
「なぁに?トリッシュ」
「お願い?」
「その、服をね、買いに行くのに付き合ってほしいのよ。……明後日アルフと芝居観に行く約束しちゃったから」
「あら」
「おや」
「ほら!街中って皆お洒落な格好してるでしょ?私だけいつもの動きやすさ重視の服ってのも浮くかもしれないし?あの、一緒にいるアルフが恥かくかもしれないし?」
「別にいいけど。アルフと芝居って珍しいな。いつも家で会ってるかベイヤードで遠乗りしてるだろ?」
「……ちょっと前にアルフと観ておいでって、父上から芝居のチケット貰ったのよ。一緒に行ったら存外楽しかったし。その、また行こうってなって」
「「へぇぇ」」
なんだかトリッシュが少し顔を赤らめてもじもじし始めた。おやおやおや?この反応は何だ?
なんとなーーく甘酸っぱい恋の香りがする気がする。フェリはニヤニヤしてしまいそうな顔面に力を入れて抑えた。
「じゃあ、ロヴィーノを叩き起こしてから行くか」
「ねぇ、トリッシュ。どうせなら化粧品も買いましょうよ。貴女が持ってるものはかなり前のやつでしょ?今の流行りの色とは多分違うもの」
「うっ。私、化粧下手くそなんだけど」
「明後日は私がしてあげるわ。あ、いい機会だから、化粧をもっと練習したらいいわ。折角スッピンでも美人なんだもの。化粧したらもっとキレイになるわ」
「うぅ……が、がんばってみる」
「うん!みっちり教えてあげる!」
「……お手柔らかにね」
「じゃあ、服と化粧品と、あとは小物だな。あ、トリッシュ。クラウディオが作ったやつはあるか?」
「あるわよ。殆んどつけたことないけど」
「つけてやれよ。ちょっと可哀想じゃん」
「え、だってピアスとか邪魔だし。父上が作るピアスって基本じゃらっとしてるんだもん」
「はいはい。折角の機会だ。クラウディオが作ったピアスとか髪飾りに合わせた服を買ってみるか。あ、いつものブーツよりもサンダルの方がいいな。あと服に合わせて鞄も買おう」
「ねぇ、おばあ様。折角だからマニキュアも買いましょうよ。今年はね、ターコイズとか寒色系の少し濃いめの色が流行ってるんですって」
「お。いいな。じゃあ、俺ロヴィーノ起こしてくるから。2人とも出かける準備をしててくれ」
「「はーい」」
フェリはロヴィーノの部屋に突撃して、全裸のまま寝ていたロヴィーノを叩き起こした。アレな汚れがついていたのには見ないフリをした。
「ロヴィーノ。俺達出かけてくるから」
「……母上。流石に今日突撃かまされるのは嫌なんですけど。マーサが昨日来てたの知ってるでしょう?」
「まぁな。俺だって気まずいんだぞ。けど、俺、トリッシュとマリアンナと出かけてくるからさ。まぁロヴィーノ1人になるな」
「え?」
「皆もう出かけたぞ」
「起こしてくださいよっ!」
「今起こしたじゃん」
「1人は嫌なんで母上達についていきます」
「マジか。トリッシュの服とか買いに行くんだけど」
「……つれていってくれたら、俺が全額出します」
「よぉぅし!一緒に行こうかロヴィーノ!」
「はい。ちょっと待っててください。風呂に入ってきます。あー……シーツの洗濯は明日します」
「おーう。じゃあ居間で待ってるな」
「はい」
フェリはロヴィーノの部屋から出て、自室に入って着替えて鞄と財布を持つと、居間へと向かった。もう女の子2人は準備万端である。ロヴィーノもついてきて、ついでに財布係になってくれることを伝えると2人とも嬉しそうな歓声をあげた。お昼はちょっとお高いランチにしよう。ついでに今話題らしいお高めの喫茶店にも行ってみたい。
準備をしているロヴィーノを待っている間に、どこの店に行こうかと、3人でキャッキャと賑やかに話し合った。うむ。女の子がいるといいな。
財布係のロヴィーノをつれて、4人でまずは服屋に向かった。出かける前に見せてもらった中で、トリッシュに特に似合いそうなクラウディオ作のピアスと髪飾り、ネックレスとブレスレットを選び、それを持参している。アクセサリーの組み合わせはバランスよく決めた。あとはこれに合わせた服を買うだけだ。
服屋を3軒、化粧品を扱っている店を2軒、アクセサリー以外の小物を探して3軒、サンダルを探して2軒店をまわって、ようやく満足がいく買い物ができた。途中でお高い店でランチにしたが、生き生きとしたフェリとマリアンナの2人に連れまわされたトリッシュとロヴィーノはぐったりしている。今はぐったりした2人を休ませる為に、街で話題らしいお洒落な喫茶店に来ている。ちょっと値段がお高めだが、頼んだフルーツパフェは果物が沢山で生クリームの甘さも程よくかなり美味しい。4人とも好きな甘いものを頼んで食べている。珈琲も香りがよく、渋みが殆んどなくて飲みやすくて美味しい。
「トリッシュ。帰ったら早速化粧の練習しましょうよ」
「うげっ」
「うげっ、じゃないわよ。折角明後日用だけじゃなくて何枚も服を買ったんですもの。服に合わせた化粧の仕方を教えてあげるわ」
「えー。……同じ色のやつだけじゃ駄目なの?」
「駄目よー。流行りもあるし、服や行く場所・目的に合わせて化粧をしなきゃ。暫くサンガレアにいるんでしょ?明後日だけじゃなくて、その後もアルフと出かけるかもしれないじゃない」
「……ま、まぁ、そうだけど」
「……女の子は大変だなー」
「その分、女だけの楽しみもあるんだよ、ロヴィーノ」
「はぁ……左様で」
大荷物をロヴィーノに持たせて、夕方には家に戻った。家に帰りつくと、狩りに行ってたジャン達が帰ってきていた。中々の収穫だったらしく、家の裏の水場で獲物を何匹も捌いていた。今夜は庭で焼き肉にするらしく、準備をするジャン達を手伝うべく、荷物をトリッシュの部屋に置いてから4人とも庭に出た。
焼き肉の準備が終わる頃に、お腹を空かせたクラウディオ達が帰って来た。皆でワイワイ騒ぎながら、夕食を楽しむ。アルジャーノもナーガとアーベル夫婦をつれてやって来た。ナーガが水の宗主国の酒を土産として持ってきてくれたので、有り難く受け取った。皆満足するまで食べ終えた後は、手分けして片付けてから、居間で本格的な飲み会が始まった。飲み会は盛り上がり、結局翌朝近くまで、皆で酒を飲んでいた。
朝に酔いつぶれた子をベッドに運んでから、フェリは朝食を食べた後にクラウディオと一緒に昼頃まで寝た。寝る前に今日のトリッシュの様子を報告することを忘れずに。クラウディオはフェリから話を聞くと、ニヤニヤと楽しそうに笑った。フェリもついニヤニヤしてしまう。
娘の初恋がどうなるのか、とても楽しみである。
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4人で買い物に行った2日後の早朝。
フェリはトリッシュを叩き起こして風呂に入らせ、買ったばかりの流行りの淡い青色の膝丈のシャツワンピースに着替えさせた。下には七分丈の黒いレギンスを履かせる。腰には茶色い太めのベルトをさせた。サンダルは低めのウェッジヒールの茶色いグラドュエーターにした。高めのピンヒールの可愛いサンダルもあったのだが、トリッシュは背が高いので、あまり踵が高い靴を履くと、ヘタするとアルフより背が高くなると言ってトリッシュが嫌がった。あと単純に踵が高い靴を履き慣れていないという理由も大きい。足の爪と手の爪をキレイなターコイズ色のマニキュアで染め、次はマリアンナにバトンタッチである。マリアンナはキツくならないよう、トリッシュの優しげな顔立ちを活かした化粧を上手くしてくれた。淡いピンクのアイシャドウがいい感じである。最後はクラウディオの出番だ。トリッシュの癖のある赤茶色の髪をキレイに結い上げ、髪飾りをつけてくれた。あとは少し派手めの大きめのピアスとシンプルなデザインのネックレス、トリッシュの細くて白い腕によく合うシンプルな、でもキレイな細工が施されているブレスレットをつけたら完成である。新しく買った白い可愛すぎないデザインの肩掛け鞄もトリッシュによく似合っている。気張りすぎず、子供っぽくないカジュアルな雰囲気に仕上げた。中々の出来映えである。フェリはマリアンナとクラウディオと無言でハイタッチした。完璧だ。俺の娘ちょー可愛い。
準備を終え、トリッシュが軽めの朝食を食べ終えた頃にアルフが迎えに来た。アルフも中々お洒落さんなようで、派手すぎない柄のシャツがよく似合っている。カジュアルだが、気が抜けすぎていない感じがよろしい。軍人らしく、いい感じに身体が鍛えてあってスタイルがいいし、背が高い方なので、ほっそりとした体型のトリッシュと並ぶと実にお似合いである。
アルフは今日のトリッシュの姿に一瞬ポカンとした。その後、少し頬を染めていた。これは中々いい反応だ。なんとなーく初々しいというか、甘酸っぱい雰囲気で2人は出掛けていった。今日はトリッシュはスカートなので、アルフの後ろに乗ってのタンデムである。ふっ。ロマンスの香りしかしない。フェリは上機嫌で出かける2人を見送った。
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