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37:ロヴィーノとマーサ2
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ロヴィーノはサンガレアの家の自室でベッドに寝転がり、『土の神子マーサ様ファンクラブ』の最新の会報誌を読んでいた。
今年、夏休みでサンガレアを訪れたら、すっかり新しい家は完成しており、クラウディオはもう住んでいた。竜舎もジャンのモルガに合わせて作られており、モルガは機嫌よく竜舎でゴロゴロしていた。庭にはまだ低くて細い木が植えられている。大きくなるのが楽しみである。
春先に母とジャンの結婚パーティーが行われた。クラウディオの時と同様に大勢の人が集まり、大いに盛り上がった。その時の母と一緒に写っているマーサの写真も載っていた。酒瓶片手に楽しそうに笑っているのが、なんだかマーサらしくてロヴィーノは1人で静かに笑った。
今夜はクラウディオと母とジャンが作った夕食を食べて少し酒を飲むと、フェルナンドはフリオを引っ張って花街に繰り出した。世話役もといお目付け役みたいになっているクラウディオも一緒に行った。母も後からクラウディオと合流するらしい。フェルナンドはすっかり年に1度の花街通いにハマっている。いずれは結婚しなければならない立場だが、王族の寿命は長いし、結婚を焦る必要もない。今は好きにすればいいと静観している。
ジャンはモルガの元に行っている。寝るギリギリまでモルガの側にいるそうだ。なんでも、少し前にいつも通りモルガの所で寝ていて軽い熱中症になったそうだ。モルガがジャンの異変に気づいて鳴き、その鳴き声に気づいたクラウディオがぐったりして様子のおかしいジャンを発見、慌ててマーサ経由でたまたま来ていたマルク様に連絡をとって来てもらい、何とか大事にはならなかった。クラウディオの応急処置がよかったようで、すぐにジャンは良くなったが、しこたまクラウディオから説教されたそうだ。サンガレアの夏は兎に角蒸し暑い。夜は多少マシになるが、涼しく湿度も低い風の宗主国生まれには正直キツい気候である。そんな中で空調もない外で、しかもモルガにくっついて寝たジャンは熱中症になって当然である。本人曰く、『何十年もモルガとずっと寝ていたから、ベッドで1人じゃ眠れない』らしい。ジャンのことは父親としてとても慕っているが、正直かなり呆れた。飛竜好きにも程がある。しかし、2時間以上正座でクラウディオからひたすらこんこんと説教されたのが堪えたらしく、今は寝るギリギリまでモルガの側にいて、それから自室のベッドで寝ているらしい。どんだけだ。
読み終えた会報誌をまた最初の頁から捲ってマーサの写真を眺めていると、コンコンッと窓から音がした。ベッドから起き上がってカーテンを開けると、すぐ目の前の窓の外でマーサが笑いながら手を振っていた。ロヴィーノの部屋は3階である。驚いて慌てて窓を開けると、マーサが普通に窓から部屋に入ってきた。
「やっほー」
「いや、やっほー、じゃなくて。どうやって来たんだ。ここ3階だぞ?」
「ん?結界をさ、こう階段みたいにして、それを足場に上がってきただけだよ」
「……器用だな」
「まぁねー」
ドヤ顔するマーサに少し呆れるが、そんなところも好きなのでどうしようもない。マーサの突拍子もない言動も実はかなり好きなのだ。まるで退屈しない。たまに、アホ過ぎるな……と思うこともあるのだが、それはそれでいいと思う。楽しそうに笑うマーサは可愛いのだ。賛否両論あるかもしれないが、ロヴィーノ的にはマーサはめちゃくちゃ可愛いのだ。美人ではないが愛嬌がある。そこがいい。あと肉付きがいい身体も大好きだ。大きな胸も、本人は少し気にしている腹の肉も腰回りも尻も太腿もまるっと好きだ。ぷにぷにの二の腕もいいと思う。黒い髪もサラサラで、子供の髪の毛のように細く柔らかくて、いつまでも触っていたいくらいお気に入りである。結論を一言で言うと、中身も身体もマーサの全部が好きだ。
マーサが自分の入ってきた窓を閉めた。マーサがパチンと指を鳴らすと、瞬間、結界が張られる気配がした。防音結界だろう。マーサの隠れ家ではしたことがない。当然と言えば当然なのだが。
「ロヴィーノ」
「ん?」
「とりあえずセックスしよー」
「……うん」
いつでもド直球なマーサである。もっとムードとかあってもいいような気もするが、今更だ。そして、そんなところも好きだ。我ながら重症である。
ニコニコしているマーサを抱き上げて、ベッドにそっと押し倒した。2回戦目には必ず百戦錬磨のマーサに攻守交代されるが、初戦くらいはロヴィーノがマーサを抱きたい。自分の首に巻きつくマーサの柔らかい腕の感触にムラッとしたロヴィーノは、初っぱなから情熱的にマーサにキスをしかけた。
3回戦が終わり、2人で裸のままくっついて少しの休憩中である。マーサは休憩なしでも朝までガンガンいけるが、ロヴィーノはそうではない。ずっと続けてイカされるのはキツい。射精の回数にだって限りがあるのだ。汗に濡れた、身長のわりに肉付きがよくて少し重いマーサの身体を自分の身体の上に乗せている。決して儚げではない重みが心地よい。マーサの柔らかい大きな尻をなんとなく両手で揉んでいると、マーサがロヴィーノに触れるだけのキスをした。
「フリオ殿とフェルナンド君はまた花街?」
「あぁ。フリオは兎も角フェルナンドは完全にハマってる」
「はははっ。ある意味健全でいいじゃない。行くところは不健全な場所だけど。ふふっ。セックスって楽しくて気持ちいいものね」
「まぁな。なぁ、マーサ。フリオにいい相手はいないだろうか」
「恋人?伴侶?」
「まぁ、できたら恋人からの伴侶昇格できるような相手がいい」
「そうねぇ……フリオ殿はさぁ、仕事と研究と家族のことで今まで頭がいっぱいだったんじゃないかな?多分。だから自分の好みとか、考えたこともないんじゃないかしら。実際、貴方聞いたことある?フリオ殿がどんな人が好きか。そもそも男がいいか、女がいいか、とか」
「……ないな。男と女のどちらがいいかも知らない。去年、花街で童貞を捨てたらしいから、男もいけるんだろうけど」
「きっと自分自身でもよく分かってないんじゃないかしらねー」
「……フリオにもそろそろ特別な相手ができてもいいと思うんだよ。母上もジャンを伴侶にしたし。クラウディオともうまくいってるみたいだし」
「そうねぇ。んー……お見合いって程大袈裟じゃないけど、うちの魔術師連中にでも会わせてみる?研究馬鹿ばっかりだから、もしかしたら気が合う人がいるかも。いきなり知らない人と会わせるより、同じ魔術師との方が話せるかもよ?」
「いいな、それ。頼んでいいか?」
「いいわよー。本人が行くって言えば、明日にでもうちの魔術研究所に連れていくわ。変人が7割くらい占めてるけど、まぁ面白い連中だから」
「……殆んど変人しかいないじゃないか」
「研究者なんて、皆どこか変わってるものよ」
「そんなものか」
「そうそう。ところでロヴィーノさんや」
「ん?」
「そろそろもう一発かましませんか?」
「……さっきから気づいてたけど、もう勃ってるよな」
「ほっほっほ。まぁねー。いやー、ロヴィーノとこんだけ密着してたら、そりゃ勃ちますよ」
「……なんかズルい」
「なにが?」
「別に」
マーサが不思議そうな目で見てくる。別にロヴィーノを喜ばせようとか、そういうつもりで言っているわけではないのだ。無自覚にロヴィーノを好いていると伝えてくるマーサは少しズルいと思う。マーサはセックスに関してはド直球のくせに、愛しているとか直接的な言葉は滅多に言わない。それでもこういう形でマーサに愛されていると感じるのだ。だからロヴィーノはずるずると底無し沼にハマるようにマーサを愛さずにはいられない。なんかやっぱりちょっとズルい気がする。
ロヴィーノはちょっとした意趣返しのつもりで、マーサの濡れているソコに指で触れて、ぐちょぐちょと優しく撫で回した。マーサの腰が小さく震えて、マーサが気持ち良さそうに目を細めた。身体の上に乗せているマーサごと起き上がり、抱き上げてマーサのソコを指で弄りながら、マーサの乳首を口に含んだ。舐め回して吸いながらマーサの顔を目だけで見上げると、楽しそうに笑っている。
「ふふっ。ロヴィーノ。気持ちいい。もっとしてよ」
素直にねだってくるマーサに興奮する。ロヴィーノは体勢を変えてマーサを押し倒し、夢中でマーサの身体に溺れた。
ーーーーーー
翌日。
朝帰りしてきた面々は昼頃まで寝ていた。ロヴィーノも朝方までマーサとひたすらイチャイチャしていたので、起きたのは昼前であった。
皆で少し遅めの昼食を食べ終えた頃にマーサが訪ねてきた。
「ねー、フリオ殿。うちの魔術研究所行ってみない?」
「よろしいのですか?」
「いいよー。ついでに今研究中の魔導具に意見ちょーだいな。ちょっと煮詰まり気味だから、外からの意見が欲しいのよ。風の魔術師長の貴方が来たら、うちの魔術師達にもいい刺激になりそうだし」
「ではお伺いさせていただきます」
「ありがとー。あ、晩ご飯はなんなら研究所の食堂でも食べられるから。うちの研究所はどこも食堂に力入れてるから美味しいのよ」
「いいですか?兄上」
「あぁ。楽しんでくるといい」
「では、いってきます」
「「「いってらっしゃーい」」」
皆でにこやかに、マーサについていく、魔術研究所に行けることになってちょっとテンションの上がったフリオを見送った。フリオの姿が見えなくなると、皆示し合わせたようにざっと1ヵ所に集合した。
「ロヴィーノ。もしかしてお前の差し金か?」
「えぇ、母上。マーサに誰かいないか聞いてみたら、とりあえずここの魔術師達に会わせてみると」
「あー、同じ魔術師なら話もしやすいかも」
「これで恋人になりそうなのと知り合えたらいいのだが……」
「まぁ、マーサ様の手腕に期待しておこう」
「……微妙に期待できない気もするけど、まぁまずは出会いがなければ始まらないしな」
「俺さー、なんか普通にひたすら魔術について語り合って帰ってきそうな気がする。だってマーサも大概研究者気質じゃん」
「それな」
「マーサ様は職人気質なうえに研究者気質だからなぁ。まぁ、だから街の職人達や研究所の者達にかなり慕われているんだが」
「そうなのか?」
「あぁ。マーサ様が自分で研究して開発した魔導具って実はそこそこあるんだよ。あと俺も貰ったことがあるんだが、一時期魔導ライターを作るのにハマってたな。職人もビックリの完成度たっかいやつ量産してた」
クラウディオがシャツの胸ポケットから煙草の箱を取り出し、その中から小さめの魔導ライターを取り出した。精巧な模様が金属でできた外側に彫られており、試しにクラウディオが火をつけると、魔導ライターの大きさには似合わぬしっかりとした大きめの火がついた。
「これ魔石が内蔵されててな、普通に使う分には毎日使っても10年くらい持つんだよ。中の魔石交換すればもっと使えるし。交換も簡単だから俺でもできるんだ。火の大きさも調節できるし、こうして煙草の箱に余裕で入る大きさだから持ち運びに便利だし。すっげぇ使いやすい」
「キレイな細工。これもマーサ様がしたの?」
「そうそう。作った魔導ライターの模様は全部違うそうだから、この魔導ライターはこの世に1つだけだな」
「いいなー。俺も欲しいー」
「おねだりしてみたらいいさ、フェルナンド。喜んでくれるぞ。ハマってた時期は量産し過ぎて完成品の置き場にも困るからって、あちこちに配り歩いてたし」
「マジか。次会った時おねだりしよー」
「俺も欲しいな。この大きさでこれだけ火力があるなら旅先でも使える」
「父様は基本野宿だしな」
「うん。今使っているものは古いオイルライターだから、オイルも持ち歩かなきゃいけないし、小まめに手入れしないといけないんだよな」
「あー……それならジャンもおねだりしとけよ。荷物は少しでも少ない方がモルガの負担にもならないだろ?」
「そうするよ、クラウディオ。こういう小さいものが意外と荷物が増える原因になるんだよなぁ」
「あー、塵も積もれば?」
「そうそう」
「ま!なんにせよ、フリオが帰ってくるのが楽しみだな」
「本当にな」
「いい報告が聞けるといいんだが」
「なー」
夕食の準備を始めるまで、家族でだらだら話していたが、夕食を終え、寝る時間になってもフリオは帰ってこなかった。
帰ってきたのはなんとまる2日後の夜だった。研究所の魔術師達やマーサと盛り上がり、ひたすら魔術の話や魔導具の話をしつつ、研究中の魔導具を一緒に弄っていたらしい。フリオを家に送るために一緒にいたマーサは、煮詰まりかけていた研究が一気に進んだとほくほく顔である。……何をしに研究所まで行っているんだ。目的が違うぞ。
しかしそれでも。
「兄上。友人ができたかもしれません」
と嬉しそうに笑っているフリオの顔を見れば、まぁいいかと思えてしまう。ロヴィーノもだが、フリオにも友人と呼べるような相手はいない。だから純粋に嬉しいのだろう。ロヴィーノとしても、フリオに友人ができるのは嬉しい。よかったな、と嬉しそうなフリオを軽く抱き締めて、ロヴィーノはフリオの頬に軽くキスをした。
今年、夏休みでサンガレアを訪れたら、すっかり新しい家は完成しており、クラウディオはもう住んでいた。竜舎もジャンのモルガに合わせて作られており、モルガは機嫌よく竜舎でゴロゴロしていた。庭にはまだ低くて細い木が植えられている。大きくなるのが楽しみである。
春先に母とジャンの結婚パーティーが行われた。クラウディオの時と同様に大勢の人が集まり、大いに盛り上がった。その時の母と一緒に写っているマーサの写真も載っていた。酒瓶片手に楽しそうに笑っているのが、なんだかマーサらしくてロヴィーノは1人で静かに笑った。
今夜はクラウディオと母とジャンが作った夕食を食べて少し酒を飲むと、フェルナンドはフリオを引っ張って花街に繰り出した。世話役もといお目付け役みたいになっているクラウディオも一緒に行った。母も後からクラウディオと合流するらしい。フェルナンドはすっかり年に1度の花街通いにハマっている。いずれは結婚しなければならない立場だが、王族の寿命は長いし、結婚を焦る必要もない。今は好きにすればいいと静観している。
ジャンはモルガの元に行っている。寝るギリギリまでモルガの側にいるそうだ。なんでも、少し前にいつも通りモルガの所で寝ていて軽い熱中症になったそうだ。モルガがジャンの異変に気づいて鳴き、その鳴き声に気づいたクラウディオがぐったりして様子のおかしいジャンを発見、慌ててマーサ経由でたまたま来ていたマルク様に連絡をとって来てもらい、何とか大事にはならなかった。クラウディオの応急処置がよかったようで、すぐにジャンは良くなったが、しこたまクラウディオから説教されたそうだ。サンガレアの夏は兎に角蒸し暑い。夜は多少マシになるが、涼しく湿度も低い風の宗主国生まれには正直キツい気候である。そんな中で空調もない外で、しかもモルガにくっついて寝たジャンは熱中症になって当然である。本人曰く、『何十年もモルガとずっと寝ていたから、ベッドで1人じゃ眠れない』らしい。ジャンのことは父親としてとても慕っているが、正直かなり呆れた。飛竜好きにも程がある。しかし、2時間以上正座でクラウディオからひたすらこんこんと説教されたのが堪えたらしく、今は寝るギリギリまでモルガの側にいて、それから自室のベッドで寝ているらしい。どんだけだ。
読み終えた会報誌をまた最初の頁から捲ってマーサの写真を眺めていると、コンコンッと窓から音がした。ベッドから起き上がってカーテンを開けると、すぐ目の前の窓の外でマーサが笑いながら手を振っていた。ロヴィーノの部屋は3階である。驚いて慌てて窓を開けると、マーサが普通に窓から部屋に入ってきた。
「やっほー」
「いや、やっほー、じゃなくて。どうやって来たんだ。ここ3階だぞ?」
「ん?結界をさ、こう階段みたいにして、それを足場に上がってきただけだよ」
「……器用だな」
「まぁねー」
ドヤ顔するマーサに少し呆れるが、そんなところも好きなのでどうしようもない。マーサの突拍子もない言動も実はかなり好きなのだ。まるで退屈しない。たまに、アホ過ぎるな……と思うこともあるのだが、それはそれでいいと思う。楽しそうに笑うマーサは可愛いのだ。賛否両論あるかもしれないが、ロヴィーノ的にはマーサはめちゃくちゃ可愛いのだ。美人ではないが愛嬌がある。そこがいい。あと肉付きがいい身体も大好きだ。大きな胸も、本人は少し気にしている腹の肉も腰回りも尻も太腿もまるっと好きだ。ぷにぷにの二の腕もいいと思う。黒い髪もサラサラで、子供の髪の毛のように細く柔らかくて、いつまでも触っていたいくらいお気に入りである。結論を一言で言うと、中身も身体もマーサの全部が好きだ。
マーサが自分の入ってきた窓を閉めた。マーサがパチンと指を鳴らすと、瞬間、結界が張られる気配がした。防音結界だろう。マーサの隠れ家ではしたことがない。当然と言えば当然なのだが。
「ロヴィーノ」
「ん?」
「とりあえずセックスしよー」
「……うん」
いつでもド直球なマーサである。もっとムードとかあってもいいような気もするが、今更だ。そして、そんなところも好きだ。我ながら重症である。
ニコニコしているマーサを抱き上げて、ベッドにそっと押し倒した。2回戦目には必ず百戦錬磨のマーサに攻守交代されるが、初戦くらいはロヴィーノがマーサを抱きたい。自分の首に巻きつくマーサの柔らかい腕の感触にムラッとしたロヴィーノは、初っぱなから情熱的にマーサにキスをしかけた。
3回戦が終わり、2人で裸のままくっついて少しの休憩中である。マーサは休憩なしでも朝までガンガンいけるが、ロヴィーノはそうではない。ずっと続けてイカされるのはキツい。射精の回数にだって限りがあるのだ。汗に濡れた、身長のわりに肉付きがよくて少し重いマーサの身体を自分の身体の上に乗せている。決して儚げではない重みが心地よい。マーサの柔らかい大きな尻をなんとなく両手で揉んでいると、マーサがロヴィーノに触れるだけのキスをした。
「フリオ殿とフェルナンド君はまた花街?」
「あぁ。フリオは兎も角フェルナンドは完全にハマってる」
「はははっ。ある意味健全でいいじゃない。行くところは不健全な場所だけど。ふふっ。セックスって楽しくて気持ちいいものね」
「まぁな。なぁ、マーサ。フリオにいい相手はいないだろうか」
「恋人?伴侶?」
「まぁ、できたら恋人からの伴侶昇格できるような相手がいい」
「そうねぇ……フリオ殿はさぁ、仕事と研究と家族のことで今まで頭がいっぱいだったんじゃないかな?多分。だから自分の好みとか、考えたこともないんじゃないかしら。実際、貴方聞いたことある?フリオ殿がどんな人が好きか。そもそも男がいいか、女がいいか、とか」
「……ないな。男と女のどちらがいいかも知らない。去年、花街で童貞を捨てたらしいから、男もいけるんだろうけど」
「きっと自分自身でもよく分かってないんじゃないかしらねー」
「……フリオにもそろそろ特別な相手ができてもいいと思うんだよ。母上もジャンを伴侶にしたし。クラウディオともうまくいってるみたいだし」
「そうねぇ。んー……お見合いって程大袈裟じゃないけど、うちの魔術師連中にでも会わせてみる?研究馬鹿ばっかりだから、もしかしたら気が合う人がいるかも。いきなり知らない人と会わせるより、同じ魔術師との方が話せるかもよ?」
「いいな、それ。頼んでいいか?」
「いいわよー。本人が行くって言えば、明日にでもうちの魔術研究所に連れていくわ。変人が7割くらい占めてるけど、まぁ面白い連中だから」
「……殆んど変人しかいないじゃないか」
「研究者なんて、皆どこか変わってるものよ」
「そんなものか」
「そうそう。ところでロヴィーノさんや」
「ん?」
「そろそろもう一発かましませんか?」
「……さっきから気づいてたけど、もう勃ってるよな」
「ほっほっほ。まぁねー。いやー、ロヴィーノとこんだけ密着してたら、そりゃ勃ちますよ」
「……なんかズルい」
「なにが?」
「別に」
マーサが不思議そうな目で見てくる。別にロヴィーノを喜ばせようとか、そういうつもりで言っているわけではないのだ。無自覚にロヴィーノを好いていると伝えてくるマーサは少しズルいと思う。マーサはセックスに関してはド直球のくせに、愛しているとか直接的な言葉は滅多に言わない。それでもこういう形でマーサに愛されていると感じるのだ。だからロヴィーノはずるずると底無し沼にハマるようにマーサを愛さずにはいられない。なんかやっぱりちょっとズルい気がする。
ロヴィーノはちょっとした意趣返しのつもりで、マーサの濡れているソコに指で触れて、ぐちょぐちょと優しく撫で回した。マーサの腰が小さく震えて、マーサが気持ち良さそうに目を細めた。身体の上に乗せているマーサごと起き上がり、抱き上げてマーサのソコを指で弄りながら、マーサの乳首を口に含んだ。舐め回して吸いながらマーサの顔を目だけで見上げると、楽しそうに笑っている。
「ふふっ。ロヴィーノ。気持ちいい。もっとしてよ」
素直にねだってくるマーサに興奮する。ロヴィーノは体勢を変えてマーサを押し倒し、夢中でマーサの身体に溺れた。
ーーーーーー
翌日。
朝帰りしてきた面々は昼頃まで寝ていた。ロヴィーノも朝方までマーサとひたすらイチャイチャしていたので、起きたのは昼前であった。
皆で少し遅めの昼食を食べ終えた頃にマーサが訪ねてきた。
「ねー、フリオ殿。うちの魔術研究所行ってみない?」
「よろしいのですか?」
「いいよー。ついでに今研究中の魔導具に意見ちょーだいな。ちょっと煮詰まり気味だから、外からの意見が欲しいのよ。風の魔術師長の貴方が来たら、うちの魔術師達にもいい刺激になりそうだし」
「ではお伺いさせていただきます」
「ありがとー。あ、晩ご飯はなんなら研究所の食堂でも食べられるから。うちの研究所はどこも食堂に力入れてるから美味しいのよ」
「いいですか?兄上」
「あぁ。楽しんでくるといい」
「では、いってきます」
「「「いってらっしゃーい」」」
皆でにこやかに、マーサについていく、魔術研究所に行けることになってちょっとテンションの上がったフリオを見送った。フリオの姿が見えなくなると、皆示し合わせたようにざっと1ヵ所に集合した。
「ロヴィーノ。もしかしてお前の差し金か?」
「えぇ、母上。マーサに誰かいないか聞いてみたら、とりあえずここの魔術師達に会わせてみると」
「あー、同じ魔術師なら話もしやすいかも」
「これで恋人になりそうなのと知り合えたらいいのだが……」
「まぁ、マーサ様の手腕に期待しておこう」
「……微妙に期待できない気もするけど、まぁまずは出会いがなければ始まらないしな」
「俺さー、なんか普通にひたすら魔術について語り合って帰ってきそうな気がする。だってマーサも大概研究者気質じゃん」
「それな」
「マーサ様は職人気質なうえに研究者気質だからなぁ。まぁ、だから街の職人達や研究所の者達にかなり慕われているんだが」
「そうなのか?」
「あぁ。マーサ様が自分で研究して開発した魔導具って実はそこそこあるんだよ。あと俺も貰ったことがあるんだが、一時期魔導ライターを作るのにハマってたな。職人もビックリの完成度たっかいやつ量産してた」
クラウディオがシャツの胸ポケットから煙草の箱を取り出し、その中から小さめの魔導ライターを取り出した。精巧な模様が金属でできた外側に彫られており、試しにクラウディオが火をつけると、魔導ライターの大きさには似合わぬしっかりとした大きめの火がついた。
「これ魔石が内蔵されててな、普通に使う分には毎日使っても10年くらい持つんだよ。中の魔石交換すればもっと使えるし。交換も簡単だから俺でもできるんだ。火の大きさも調節できるし、こうして煙草の箱に余裕で入る大きさだから持ち運びに便利だし。すっげぇ使いやすい」
「キレイな細工。これもマーサ様がしたの?」
「そうそう。作った魔導ライターの模様は全部違うそうだから、この魔導ライターはこの世に1つだけだな」
「いいなー。俺も欲しいー」
「おねだりしてみたらいいさ、フェルナンド。喜んでくれるぞ。ハマってた時期は量産し過ぎて完成品の置き場にも困るからって、あちこちに配り歩いてたし」
「マジか。次会った時おねだりしよー」
「俺も欲しいな。この大きさでこれだけ火力があるなら旅先でも使える」
「父様は基本野宿だしな」
「うん。今使っているものは古いオイルライターだから、オイルも持ち歩かなきゃいけないし、小まめに手入れしないといけないんだよな」
「あー……それならジャンもおねだりしとけよ。荷物は少しでも少ない方がモルガの負担にもならないだろ?」
「そうするよ、クラウディオ。こういう小さいものが意外と荷物が増える原因になるんだよなぁ」
「あー、塵も積もれば?」
「そうそう」
「ま!なんにせよ、フリオが帰ってくるのが楽しみだな」
「本当にな」
「いい報告が聞けるといいんだが」
「なー」
夕食の準備を始めるまで、家族でだらだら話していたが、夕食を終え、寝る時間になってもフリオは帰ってこなかった。
帰ってきたのはなんとまる2日後の夜だった。研究所の魔術師達やマーサと盛り上がり、ひたすら魔術の話や魔導具の話をしつつ、研究中の魔導具を一緒に弄っていたらしい。フリオを家に送るために一緒にいたマーサは、煮詰まりかけていた研究が一気に進んだとほくほく顔である。……何をしに研究所まで行っているんだ。目的が違うぞ。
しかしそれでも。
「兄上。友人ができたかもしれません」
と嬉しそうに笑っているフリオの顔を見れば、まぁいいかと思えてしまう。ロヴィーノもだが、フリオにも友人と呼べるような相手はいない。だから純粋に嬉しいのだろう。ロヴィーノとしても、フリオに友人ができるのは嬉しい。よかったな、と嬉しそうなフリオを軽く抱き締めて、ロヴィーノはフリオの頬に軽くキスをした。
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