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12:自覚
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朝方近くまで、お互いを貪りあった。
フェリもクラウディオに跨がり、自ら腰を振ってクラウディオを味わった。
今は2人で家の然程広くない浴槽に浸かっている。フェリはクラウディオに後ろからゆるく抱き締められていた。裸のまま密着しているが、流石にこれ以上しようという気は起きない。ただ、クラウディオの温もりに安らぎを感じていた。
「……悪い。クラウディオ。今日も仕事だろう?」
「問題ないから謝る必要はないさ。がっついたのはこっちだしな」
そう言ってクラウディオに首筋にキスされる。フェリは擽ったくて、クスクス笑った。
「フェリこそ大丈夫か?今日も風の陛下達と1日遊ぶんだろう?」
「俺は大丈夫だよ。とはいえ、違う意味であんま大丈夫じゃないけど」
「と、言うと?」
「サンガレアに連れてきたらどうにかなるだろうと思って、どこに連れていくとか全然考えてないんだ」
「あー……なるほど」
「どこか、いい場所知らないか?」
「今やってる芝居は評判がいいな。飲食店も最近話題になってる店がいくつかある。あとは……あぁ、博物館で昆虫の不思議展をやってるな。意外と面白かった」
「そうなのか。昆虫かぁ……俺、虫そんなに得意じゃないんだよな」
「結構綺麗な蝶の剥製とかあったな。何気に女性客も多かったから、虫が苦手な者でも、多分平気じゃないかな?涼みがてら行ってみるのもアリだと思うぞ?」
「そうなのか。じゃあ、暑さでぐったりしてきたら連れていくか」
「そうするといい。あぁ、そういえば、3日後にはサッカーの試合があるぞ」
「お、マジでか」
「あぁ。隣の街の学校と親善試合だ。リー様も観に来られると言っていたな」
「それは見たいなぁ」
「出店も出るらしいから、ちょっとしたお祭り騒ぎになるだろうよ」
「よし。連れていこう。出店なんて、フェルナンドは行ったことないだろうしな」
「ははっ。出店を頻繁に利用する王族の方はうちの陛下くらいだよ」
「だろうなぁ。土の陛下、出店好きだもんな。サッカーの試合の日も来るのかな?」
「さぁ、俺はまだ聞いていないけど、仕事の都合がついたら来られるんじゃないのか?陛下もサッカーお好きだし」
「そうだなぁ。まさかここまで流行るとは思わなかったよ」
「見るのもやるのも面白いからな。指導の先生方も熱心だし」
クラウディオがフェリの肩に顎をのせてクックッと喉で笑った。緩く抱き締めてくるクラウディオの腕に触れてお湯の中で指を絡める。
「リーだけじゃなくて、俺もか」
「うん。神殿や学校でよく子供達とサッカーしてるだろ?いつ見かけても楽しそうだった」
「見てたのか……」
フェリはなんだか照れ臭くなった。それを誤魔化すように、クラウディオに後ろ頭を擦りつけた。
「そろそろ上がるか?」
「うん」
クラウディオがフェリを抱き上げて、浴槽から出た。フェリは風を集め、2人の体を乾かした。
「すごいな、タオル要らずだ」
「洗濯物を乾かすのにも便利だぞ」
「一家に1人欲しいくらいだな」
そう言って可笑しそうに笑うクラウディオにドキドキした。
ーーーーーー
キスをしてクラウディオとは別れた。
ちょうど朝食を作り始める時間にマーサの家に帰り着いた。そのまま朝食を作る手伝いをする。フェルナンドが気に入ったようなので、フェリはピッツァの生地を捏ねていた。横ではマーサが野菜を刻んでいる。
「兄さんとこうやって一緒に料理するの久し振りだねぇ」
「だなぁ。魔導具がいくつか変わってるな」
「新型の開発中なんだよ」
「相変わらず新商品の開発に熱心だな」
「うん」
「マーサ」
「ん?」
「俺、クラウディオのこと好きかもしれない」
「そっか」
「うん」
「良かったじゃない。おめでとう、兄さん」
「……うん」
マーサがとても嬉しそうに微笑んだ。フェリも少し赤くなって微笑んだ。
ーーーーーー
昼間はあちこちに行って、遊んで回った。フェルナンドとサーシャは仲良くなり、一緒に走り回っていた。職人街の体験教室でカップを作ったり、硝子工房を見学したりと、初めて見るものばかりのフェルナンドはとてもはしゃいでいた。ロヴィーノもフェルナンドと一緒になって、楽しそうにしていた。
昼間は息子達と遊び回り、夜はクラウディオに会っていた。流石に連日はキツかろうと、セックスはせずに少し話をして、一緒のベットで眠った。クラウディオの体温と匂いに包まれて眠ると、驚くほど心が落ち着く。やっぱり好きなんだろうなぁ、とクラウディオの寝顔をぼんやりと眺めながら、そう思った。
ロヴィーノ達の夏休み4日目。
小学校の校庭でサッカーの親善試合が行われる。観客も多く、出店も出て、賑やかな雰囲気の中、試合が行われた。リーやマーサの家族達と一緒に試合をみることになった。フェリは気がつけば、夢中で応援していた。
試合は僅差で隣街の学校のチームが勝った。中々に白熱した試合で、試合が終了すると、観客から選手達へ大きな拍手が送られた。
試合後はちびっこ達がサッカーを始めたので、フェリ達もそれに加わって一緒にサッカーをした。子供達とはしゃぎながらサッカーをしていると、視界の隅にクラウディオの姿を見つけた。フェリが小さく手を振ると、笑って振り返してくれて、その事がすごく嬉しかった。
ーーーーーー
翌朝。
フェリはちょっとした異変に気づいた。ロヴィーノからマーサの気配がする。
もしかしてもしかしなくても、ロヴィーノとマーサは一夜を共にしたらしい。若干複雑な思いもあるが、ロヴィーノのスッキリとした顔を見たら、何も言えなかった。久し振りに見る晴れやかな顔に良かったと思う以外なかった。
その日は、フェルナンド達は前日に仲良くなった子達とお弁当を持って、子供達だけで遊びに行った。念のため眷属をつけているので、問題ないだろう。ロヴィーノは庭で昼寝をしていた。
マーサは桃のジャムを作り始めたので、フェリもそれを手伝って桃の皮剥きをしていた。台所にはマーサとフェリの2人しかいない。
「兄さん」
「ん?」
「ロヴィーノ殿は私の嫁になったよ」
「うん。だろうな」
「暫くの間は、年に1度、夏休みってことでフェルナンド殿下連れて会いに来てくれるって」
「うん。それがいいよ」
「兄さん、反対しないの?」
「ん~……相手がお前じゃ、いつも側にいられないし、会いたいときも中々会えないし、土の神子の特性上、ロヴィーノ1人だけじゃないし。それがちょっと気になるけど。ロヴィーノが惚れてしまってるからな。しょうがないさ」
「できるだけ、泣かさないようにするよ」
「そうしてくれ」
土の神子は豊穣を司るだけあって愛情深い。愛情がありすぎて、1人を愛しすぎると愛に狂って死んでしまう程に。だから歴代の土の神子はそうならないよう、後宮を持っていた。マーサも後宮という表だった形ではないが、こっそり秘密の嫁や遊び相手が何人もいる。息子がその中の1人になることに複雑な思いが少しだけあった。
ただ、マーサをよく知っている分、安心しているところもある。マーサならロヴィーノを大切にしてくれると分かるからだ。
フェリは、息子をよろしく頼むとマーサを抱き締めた。
フェリもクラウディオに跨がり、自ら腰を振ってクラウディオを味わった。
今は2人で家の然程広くない浴槽に浸かっている。フェリはクラウディオに後ろからゆるく抱き締められていた。裸のまま密着しているが、流石にこれ以上しようという気は起きない。ただ、クラウディオの温もりに安らぎを感じていた。
「……悪い。クラウディオ。今日も仕事だろう?」
「問題ないから謝る必要はないさ。がっついたのはこっちだしな」
そう言ってクラウディオに首筋にキスされる。フェリは擽ったくて、クスクス笑った。
「フェリこそ大丈夫か?今日も風の陛下達と1日遊ぶんだろう?」
「俺は大丈夫だよ。とはいえ、違う意味であんま大丈夫じゃないけど」
「と、言うと?」
「サンガレアに連れてきたらどうにかなるだろうと思って、どこに連れていくとか全然考えてないんだ」
「あー……なるほど」
「どこか、いい場所知らないか?」
「今やってる芝居は評判がいいな。飲食店も最近話題になってる店がいくつかある。あとは……あぁ、博物館で昆虫の不思議展をやってるな。意外と面白かった」
「そうなのか。昆虫かぁ……俺、虫そんなに得意じゃないんだよな」
「結構綺麗な蝶の剥製とかあったな。何気に女性客も多かったから、虫が苦手な者でも、多分平気じゃないかな?涼みがてら行ってみるのもアリだと思うぞ?」
「そうなのか。じゃあ、暑さでぐったりしてきたら連れていくか」
「そうするといい。あぁ、そういえば、3日後にはサッカーの試合があるぞ」
「お、マジでか」
「あぁ。隣の街の学校と親善試合だ。リー様も観に来られると言っていたな」
「それは見たいなぁ」
「出店も出るらしいから、ちょっとしたお祭り騒ぎになるだろうよ」
「よし。連れていこう。出店なんて、フェルナンドは行ったことないだろうしな」
「ははっ。出店を頻繁に利用する王族の方はうちの陛下くらいだよ」
「だろうなぁ。土の陛下、出店好きだもんな。サッカーの試合の日も来るのかな?」
「さぁ、俺はまだ聞いていないけど、仕事の都合がついたら来られるんじゃないのか?陛下もサッカーお好きだし」
「そうだなぁ。まさかここまで流行るとは思わなかったよ」
「見るのもやるのも面白いからな。指導の先生方も熱心だし」
クラウディオがフェリの肩に顎をのせてクックッと喉で笑った。緩く抱き締めてくるクラウディオの腕に触れてお湯の中で指を絡める。
「リーだけじゃなくて、俺もか」
「うん。神殿や学校でよく子供達とサッカーしてるだろ?いつ見かけても楽しそうだった」
「見てたのか……」
フェリはなんだか照れ臭くなった。それを誤魔化すように、クラウディオに後ろ頭を擦りつけた。
「そろそろ上がるか?」
「うん」
クラウディオがフェリを抱き上げて、浴槽から出た。フェリは風を集め、2人の体を乾かした。
「すごいな、タオル要らずだ」
「洗濯物を乾かすのにも便利だぞ」
「一家に1人欲しいくらいだな」
そう言って可笑しそうに笑うクラウディオにドキドキした。
ーーーーーー
キスをしてクラウディオとは別れた。
ちょうど朝食を作り始める時間にマーサの家に帰り着いた。そのまま朝食を作る手伝いをする。フェルナンドが気に入ったようなので、フェリはピッツァの生地を捏ねていた。横ではマーサが野菜を刻んでいる。
「兄さんとこうやって一緒に料理するの久し振りだねぇ」
「だなぁ。魔導具がいくつか変わってるな」
「新型の開発中なんだよ」
「相変わらず新商品の開発に熱心だな」
「うん」
「マーサ」
「ん?」
「俺、クラウディオのこと好きかもしれない」
「そっか」
「うん」
「良かったじゃない。おめでとう、兄さん」
「……うん」
マーサがとても嬉しそうに微笑んだ。フェリも少し赤くなって微笑んだ。
ーーーーーー
昼間はあちこちに行って、遊んで回った。フェルナンドとサーシャは仲良くなり、一緒に走り回っていた。職人街の体験教室でカップを作ったり、硝子工房を見学したりと、初めて見るものばかりのフェルナンドはとてもはしゃいでいた。ロヴィーノもフェルナンドと一緒になって、楽しそうにしていた。
昼間は息子達と遊び回り、夜はクラウディオに会っていた。流石に連日はキツかろうと、セックスはせずに少し話をして、一緒のベットで眠った。クラウディオの体温と匂いに包まれて眠ると、驚くほど心が落ち着く。やっぱり好きなんだろうなぁ、とクラウディオの寝顔をぼんやりと眺めながら、そう思った。
ロヴィーノ達の夏休み4日目。
小学校の校庭でサッカーの親善試合が行われる。観客も多く、出店も出て、賑やかな雰囲気の中、試合が行われた。リーやマーサの家族達と一緒に試合をみることになった。フェリは気がつけば、夢中で応援していた。
試合は僅差で隣街の学校のチームが勝った。中々に白熱した試合で、試合が終了すると、観客から選手達へ大きな拍手が送られた。
試合後はちびっこ達がサッカーを始めたので、フェリ達もそれに加わって一緒にサッカーをした。子供達とはしゃぎながらサッカーをしていると、視界の隅にクラウディオの姿を見つけた。フェリが小さく手を振ると、笑って振り返してくれて、その事がすごく嬉しかった。
ーーーーーー
翌朝。
フェリはちょっとした異変に気づいた。ロヴィーノからマーサの気配がする。
もしかしてもしかしなくても、ロヴィーノとマーサは一夜を共にしたらしい。若干複雑な思いもあるが、ロヴィーノのスッキリとした顔を見たら、何も言えなかった。久し振りに見る晴れやかな顔に良かったと思う以外なかった。
その日は、フェルナンド達は前日に仲良くなった子達とお弁当を持って、子供達だけで遊びに行った。念のため眷属をつけているので、問題ないだろう。ロヴィーノは庭で昼寝をしていた。
マーサは桃のジャムを作り始めたので、フェリもそれを手伝って桃の皮剥きをしていた。台所にはマーサとフェリの2人しかいない。
「兄さん」
「ん?」
「ロヴィーノ殿は私の嫁になったよ」
「うん。だろうな」
「暫くの間は、年に1度、夏休みってことでフェルナンド殿下連れて会いに来てくれるって」
「うん。それがいいよ」
「兄さん、反対しないの?」
「ん~……相手がお前じゃ、いつも側にいられないし、会いたいときも中々会えないし、土の神子の特性上、ロヴィーノ1人だけじゃないし。それがちょっと気になるけど。ロヴィーノが惚れてしまってるからな。しょうがないさ」
「できるだけ、泣かさないようにするよ」
「そうしてくれ」
土の神子は豊穣を司るだけあって愛情深い。愛情がありすぎて、1人を愛しすぎると愛に狂って死んでしまう程に。だから歴代の土の神子はそうならないよう、後宮を持っていた。マーサも後宮という表だった形ではないが、こっそり秘密の嫁や遊び相手が何人もいる。息子がその中の1人になることに複雑な思いが少しだけあった。
ただ、マーサをよく知っている分、安心しているところもある。マーサならロヴィーノを大切にしてくれると分かるからだ。
フェリは、息子をよろしく頼むとマーサを抱き締めた。
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