夏の日。僕達は大人になった

丸井まー(旧:まー)

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夏の日。僕達は大人になった。

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 夏の一際暑い日。僕達は大人になった。

 中等学校に入学して初めての夏季休暇を、エレは殆ど毎日のようにアルベーレの家で過ごしていた。エレの家は、下に兄弟が5人もいる。実家は小さな商店をしているので、家にいると、子守や店の手伝いをさせられる。アルベーレの家は、両親が2人とも魔術師で、仕事が忙しいらしく、日中は不在の時が多い。親の目が届かないところで、好きに遊べるので、エレは毎日のようにアルベーレの家に通っている。
 アルベーレとは、中等学校に入学してから仲良くなった。入学式の時、たまたま隣の席で、初等学校も一緒だったから顔と名前は知っていたけれど、話したことが無かったから、いい機会だと話しかけたのが切欠だった。アルベーレは、淡い金髪に青空のような明るい青い瞳をした美少年だ。大人しそうな印象を抱く雰囲気だが、その実、性格は自由奔放で、面白いことが大好きという楽しい子だった。エレは父親譲りの明るい赤毛に、新芽のような柔らかい緑色の瞳をしている。顔立ちは、これも父親似で、三白眼で目つきが悪い上に、眉毛が薄くて、控えめに言っても人相が悪い。先輩に生意気だと呼び出されること数回。エレは特に何もしていないのだが、何故か先輩から校舎裏に呼び出されて、集団で殴られそうになり、返り討ちにしまくった。そのお陰で、学校でついた渾名は『狂犬』。ちょっと酷いと思う。そんなエレと仲良くしてくれるのは、アルベーレくらいなものだ。

 母親には、今日もアルベーレに勉強を教えてもらいに行くと言って、エレは鞄を持って、構ってちゃんな下の子達を引き離して、アルベーレの家に向かった。
 アルベーレの家は、歩いて一刻程の街外れにある。なんでも、魔術師の両親が、魔術の練習ができるようにと、広い庭のある家が欲しかったらしい。アルベーレも魔術師になるそうで、魔術に関しては、中等学校で習う範囲をとっくに習得済みで、現在は、たまに帰ってくる両親に教えられたりしながら、殆ど独学で、高等学校で習う範囲の魔術の勉強をしているすごい奴だ。

 エレが滴る汗を拭いながら、玄関の呼び鈴を押すと、すぐにアルベーレが顔を出した。アルベーレがふわっと笑い、風の魔術で全身汗だくのエレの身体を乾かした。


「おはよう。エレ。今日も朝から暑いね」

「おはよ。アル。朝っぱらから全身汗だくだよ。アルの魔術はすごいな。全然肌がべたべたしてない」

「風の魔術に水の魔術を組み合わせて、汗を先に水で流しているからね」

「水で流された感覚なんて無かったけど」

「霧状の水を一瞬身体にまとわりつかせて、汗と一緒に風で吹き飛ばすんだ」

「へぇ。やっぱすげぇな」

「入りなよ。ふっふっふ。新作があってよ」

「あらやだ。本当?」

「すっごいの貰っちゃった」

「マジか。早く部屋で読もうぜ」

「うん」


 エレはアルベーレと顔を見合わせて、にやっと笑うと、いそいそと二階にあるアルベーレの部屋に向かった。ここ最近の2人のお気に入りは、アルベーレの従兄がこっそり送ってくる春画本を読むことである。春画本は16歳の成人からしか読んじゃいけないことになっているが、エレは11歳で精通しているし、アルベーレも10歳で精通している。お互いピチピチの13歳。スケベなことに興味津々なお年頃なのである。

 アルベーレの部屋は、壁の一面が本棚になっていて、沢山の魔術書がある。勉強机と小さめの衣装箪笥、ベッド以外には、特に何もない。アルベーレが、ベッドの下から小さなトランクを取り出し、床のラグの上で、トランクを開けた。中にはいやらしい表紙の春画本が詰まっている。男の浪漫が詰まった、親には内緒の素敵トランクだ。


「アル。新作ってこれ?」

「そ。学園もの」

「へぇ。表紙の女の子が可愛いな」

「だろ? それに挿絵もドスケベの極みで、本文も抜きどころ満載という最高の一冊だよ」

「マジか。アルの従兄に心から感謝を捧げるわ」

「早速一緒に読もう」

「うん」


 エレは鞄を適当に床に放り投げ、アルベーレと一緒に、並んでベッドに寝転がり、一緒に春画本を読み始めた。確かに、初っ端から女生徒がいやらしい目に合っていて、ドスケベだし面白い。エレはすぐに夢中になって、時折アルベーレとクスクス笑いながら、感想を囁き合った。
 春画本の半ばまで読み進める頃には、エレのペニスはすっかり勃起して、パンツの中で窮屈な思いをしていた。エレがもぞもぞと身動ぎすると、アルベーレがキレイな顔には似合わないニヤニヤとした下品な笑みを浮かべて、エレにくっついてきた。


「ちんこ勃った?」

「もうガチガチ」

「あはっ。僕も。ねぇ」

「ん?」

「いつもの抜きっこもいいけど、セックスしてみない?」

「……マジで?」

「マジで。やり方は知ってる。従兄から『男色指南書』なる男同士のセックスの仕方が書いてある本も送ってもらったし。ていうか、いつもエレと一緒に読んでることを手紙に書いたら、何故か向こうから勝手に送ってきたんだよね」

「ふぅん。んー。ぶっちゃけ興味津々です。セックス」

「ですよね。魔術師って貞操観念薄いのが多いから、気軽に男同士でもセックスするんだって」

「へぇ。従兄も魔術師だっけ」

「うん。男の恋人と、女の浮気相手が3人と男の浮気相手が2人いるらしいよ」

「貞操観念がばがばじゃねぇか」

「だよねぇ。まぁ、うちの親も2人とも愛人いるし」

「マジか」

「マジマジ~。たまにしか帰らないのも、それぞれ愛人の所に泊まってるからだし。それを堂々と子供の僕に言っちゃうのは正直どうかと思うわー。慣れてるけど」

「うへぇ。アルの親、ヤバいな」

「『貴方もそろそろ遊び相手くらい見つけたら?』って、こないだ母さんに言われた」

「親が言うことかなぁ!?」

「ねー。ということで、エレ君や」

「何?」

「僕としては君は友達なんだよ。しかも、僕の見た目でちやほやしてこない貴重な普通の友達な訳。つまりは僕の一等のお気に入り。ということで、セックスしよう」

「何が『ということで』なのか分かんねぇけど、セックスには興味があります」

「エレ~。ドスケベしようぜい」

「いいとも~」


 エレはアルベーレと顔を見合わせて、悪戯っ子のように、ニッと笑った。
 汚れると面倒だから、さくっと服を脱ぎ捨て、お互い全裸になった。アルベーレは『脱がせるのが楽しそうなのになぁ』と、ちょっと残念そうにしていたが、流石にこの歳で服を脱がせてもらうのは少し気恥ずかしい。だったら、自分でさくっと脱いでしまった方がマシだ。
 エレがやる気満々でベッドのシーツの上に胡坐をかいて座っていると、真正面にアルベーレが同じように胡坐をかいて座った。アルベーレがにまーっと笑って、エレに両手を伸ばしてきた。


「とりあえず、ちゅーしよう。いやらしいちゅー」

「ん。よっしゃ来い!」

「あっはは! じゃあ、ちゅー」

「んー」


 アルベーレが顔を寄せてきたので、エレも身体を前に倒して、アルベーレに顔を近づけ、ふにっと唇を触れ合わせた。柔らかいアルベーレの唇の感触に、ちょっとドキッとした。ノリでお互いのペニスを扱き合うことはあっても、セックスなんて春画本の中の世界のものだ。実際にセックスをやるとなると、なんだか緊張してくる。エレはなんとなくアルベーレのほっそりとした手を握り、両手の指を絡めた。アルベーレが、くちゅっとエレの下唇を優しく吸った。春画本の内容を頭に思い浮かべながら、エレは誘うように、舌を伸ばして、ねろーっとアルベーレの下唇を舐めた。間近にあるアルベーレのキレイなアーモンド形の目が、楽しそうに細まった。アルベーレも舌を伸ばしてきて、舌同士を擦り合せるように、ぬるぬると舌を絡めあう。熱くぬるついたアルベーレの舌の感触がじんわりと気持ちよくて、腰の辺りがぞわぞわする。アルベーレの舌がぬるりとエレの口内に入ってきて、エレの口内を舐め回し始めた。アルベーレの舌が、ぎこちない動きで、歯列をなぞり、歯の裏側を擽って、上顎をねっとり舐めてくる。春画本で読んだ通りのキスに、じわじわと興奮が高まっていく。特に上顎を舐められると、背筋がゾクゾクする程気持ちがいい。エレが思わずくぅんと子犬の鳴き声のような声を上げると、アルベーレの青空みたいな瞳が輝いた。誘うように舌を絡めながら、アルベーレが口を大きく開けたので、エレもアルベーレの真似をして、アルベーレの口内を舐めまくった。いやらしいキスってすごい。それだけで気持ちがいいし、興奮する。
 エレはくちゅくちゅとアルベーレの口内に溜まった唾液を掻き混ぜるように、舌を絡め、口内を舐め回し、お互いの唾液を啜り合った。他人の唾液なんて、普段なら汚いと思う筈なのに、不思議と今は汚いと思わない。むしろ、アルベーレの唾液の味に興奮する。アルベーレの唾液は、ほんのり甘く、桃の香りがした。多分、エレが来るまで、好物の桃の飴を舐めていたのだろう。自分はどうだろう。多分、今朝歯磨きをした時に使った薄荷の歯磨き粉の味がしていそうな気がする。エレはそんなことを頭の片隅で考えながら、キスをしながらエレの身体を押し倒してきたアルベーレに逆らうことなく、素直にシーツの上に後ろ向きに倒れた。

 アルベーレの幼さが残る柔らかい手と、熱くぬるついた小さめの舌が、エレの身体中を這っている。アルベーレに触られると、どこでも気持ちがいい。アルベーレが、乳首が顔を出していないエレの淡い茶褐色の乳輪を、円を描くように舌先で舐め回し、陥没しているエレの乳首を誘い出すように、乳輪の中心の窪みに舌を突っ込んだ。窪みの中で、乳首の先っぽをチロチロ舐められると、なんだか擽ったいと同時に、じわじわ気持ちがいい。アルベーレがちゅーっと強く吸うと、エレ自身も初めて見る小さな乳首がぴょこんと顔を出した。ぴんと勃った乳首を舌で転がすように舐め回され、ちゅくちゅくと緩急をつけて吸われると、気持ちがよくて、酷く興奮する。反対側の乳首も同じようにされ、エレの陥没していた乳首は、両方とも濡れた姿を現した。
 アルベーレがエレの両方の乳首を摘まんで、くりくりと弄りながら、ふふっと楽しそうに笑った。


「可愛いね。エレ」

「可愛くはない」

「可愛いよ。エレ」

「可愛くはない。んっ。アル。それ気持ちいい」

「ふふーっ。ちんちんも舐めてあげる」

「僕も舐める」

「じゃあ、舐めっこしよう」

「うん」


 アルベーレが体勢を変え、頭が上下逆になるように、エレの身体を跨いで、エレの身体の上で四つん這いになった。上を見上げれば、アルベーレの勃起してもまだ半分皮を被っているペニスが見える。エレのペニスも、いつもはすっぽり亀頭が皮に包まれていて、勃起すると、半分くらい自然に皮が剥ける。皮を剥いて洗うということは、精通する少し前に、父親から風呂で習った。エレはドキドキしながら、アルベーレの柔らかい尻肉を両手で掴み、大きく口を開けて、半分皮を被っているアルベーレのペニスを口に含んだ。ふわっと微かにおしっこの匂いと精液っぽい匂いが鼻に抜ける。抜きっこは何度もしているが、流石にお互いのペニスを舐めたことはない。アルベーレの熱い亀頭と皮の隙間に舌を潜り込ませると、アルベーレの尻がびくんっと震え、アルベーレがいつもより高い声を出した。エレが美味しくない先走りの味がする亀頭をぺろぺろと舐めていると、エレのペニスが熱くて柔らかいものに包まれた。アルベーレにペニスを咥えられている。エレを真似するように、亀頭と完全に剝けていない皮の隙間に舌先を突っ込まれ、そのまま円を描くようにして、敏感な亀頭を舐め回される。気持ちよくて、気持ちよくて、本当に堪らない。エレはじゅるっと溢れ出るアルベーレの先走りを啜りながら、込み上げてくる射精感に抗えずに、そのままアルベーレの口内に精液をぶちまけた。射精しているペニスを、ちゅーっと吸われると目の裏がチカチカする程気持ちがいい。エレが堪らずアルベーレのペニスから口を離し、腰を震わせながら意味のない声を上げると、エレの精液を吸い取ったアルベーレが、エレのペニスから口を離し、伏せていた身体を上げ、エレの身体の上で方向転換して、エレを見下ろした。

 アルベーレが、口を小さく開け、つーっとエレの白い精液を口から垂らした。腹のあたりに熱い精液が垂れ落ちてくる。アルベーレが、荒い息を吐くエレの腹を精液を塗り込めるように撫で回しながら、ニヤニヤと笑った。


「気持ちよかった?」

「めちゃくちゃよかった」

「ははっ。もっと気持ちいことしよう」

「うん」


 エレは、エレの身体の上からどいたアルベーレに言われて、四つん這いになった。腰から尻に向けてやんわりと撫でられる。なんとなく魔術を使われた感覚がしたので、不思議に思って、アルベーレの名前を呼ぶと、『浄化魔術をかけただけ』と答えが返ってきた。アルベーレが肉付きが薄い柔らかいエレの尻をふにふにと揉みながら、尻肉をぐいっと大きく広げた。アナルに直接外気が触れる感覚がして、エレは少し恥ずかしくなって、枕を引き寄せ、枕に顔を埋めるように、上体を伏せた。
 アナルなんて、親にだって見せたことが無い。いや、赤ん坊の頃はおむつを替える時に親は見ていたのだろうが、物心ついてから誰かに自分のアナルを見せるのは初めてだ。恥ずかしさが半端ない。
 アルベーレが興奮したような上擦った声で話しかけてきた。


「エレのアナル、可愛いね」

「……可愛くはない」

「可愛いよ。ピンク色で、きゅって締まってる。お尻に力入れて。力抜いて。ふふっ。いやらしい。アナルがひくひくしてる」


 アルベーレに言われるがままに、アナルに力を入れたり抜いたりすると、自分でもアナルがひくひく動くのが分かる。いやらしいことをしているんだなぁと改めて思って、エレは興奮して、再びペニスを勃起させた。
 アナルにぬるりと熱くぬるついたものが触れた。それがアルベーレの舌だと分かって、エレはかっと顔が熱くなった。恥ずかしい。でも、気持ちがいい。アルベーレの舌は不思議と気持ちよくて、アナルの皺を伸ばすように丁寧に舐められると、自然と腰をくねらせてしまう。エレは喘ぎ混じりの荒い息を吐きながら、アルベーレにされるがままになった。

 アルベーレが好き放題にエレのアナルを舐めまくった後、今はアルベーレのほっそりとした指を3本もアナルで咥えこんでいる。アルベーレが水の魔術で出したぬるぬるの粘度が高い液体を、たっぷりとアナルの中に出されており、痛みは無く、腸壁を擦られるのも、前立腺とかいう男の気持ちがいいところを擦られるのも、酷く気持ちがいい。エレは初めての快感に、情けなく涙も鼻水も涎も垂れ流しながら、ひたすら喘ぎまくっていた。

 ぬるぅっとアルベーレの指がアナルの中から抜け出ていった。もっとアルベーレにアナルを弄って欲しくて、抜け出ようとするアルベーレの指を意識してきゅっとアナルで締めつけたが、アルベーレは楽しそうに笑って、エレのアナルから完全に指を引き抜いた。

 アルベーレに言われて、今度は仰向けになり、自分で両足の太腿を握って、足を大きく広げる。エレの色んな液体が染み込んだ枕をアルベーレが手に取り、エレの腰の下に置いた。アルベーレが自分のペニスをぬちぬちと粘着質な水音をさせながら擦り、エレの大きく開いた足の間を陣取った。涙が滲む目でアルベーレを見上げれば、アルベーレが色白の頬を赤らめたうっとりとした顔で、エレに見せつけるように、ゆっくりと自分のペニスを擦った。


「エレ。今からこれが入るよ」

「うん。早く」

「あはっ。エレにアナルの才能があってよかった。ダメな人は本当にダメらしいから」

「ふぅん。どうもでもいいいから早くちょうだい」

「うん」


 アルベーレが楽しそうに笑って、エレの柔らかい内腿を濡れた手で押さえ、自分のペニスをエレのアナルの表面に擦りつけた。アルベーレの指でとろとろに蕩けたアナルに、熱くて硬いものが触れただけで、いっそ射精しちゃいそうなくらい興奮する。アルベーレのペニスは、きっとアルベーレの指よりも気持ちがいい。何故か、確信のようにそう思って、エレは期待で熱く震える息を吐いた。
 アルベーレの硬いペニスが、エレのアナルを抉じ開けるようにして、ゆっくりとアナルの中に入ってくる。鈍い痛みと共に、敏感な粘膜同士が擦れ合う快感が襲ってきて、エレは堪らず声をもらしながら、我慢できずに、ぴゅっと少量の精液を吐き出した。アルベーレのペニスが、ちょうど一番気持ちがいい前立腺の辺りで進むのを止めた。はぁはぁと荒い息を吐きながら、アルベーレを見上げれば、アルベーレがとろんと蕩けた顔をして、はっはっと獣のような息を吐いていた。


「エレ。エレ。すごい。きもちいい」

「ぼくも、きもちいい。ねぇ。うごいて」

「うん。はっ、あぁっ、すごいっ、すごいよ、エレ」

「あっあっあっあっあっ! すごいっ! すごいっ! アルゥ! きもちいい! きもちいいっ! もっとっ! もっとぉ!!」


 アルベーレが腰を激しく振り始め、エレの前立腺をごりごりと突き上げ始めた。目の裏が真っ白になるような強烈な快感が堪らなくいい。アルベーレのペニスが、気持ちよくて、気持ちよくて、このまま一つに溶け合ってしまいそうだ。
 エレはあまりの気持ちよさに泣きじゃくりながら、アルベーレに両手を伸ばした。アルベーレがエレの両手を握り、指を絡めた。両手の指を絡め、ぎゅっとお互いに手に力を入れたまま、アルベーレが気持ちよさそうな顔で、より激しく腰を振りだした。エレは無意識のうちにアルベーレの腰に両足を絡めながら、大きく喘いだ。高まり続け、身体の中を暴れ回っている激しい熱と快感が弾け飛ぶ瞬間が、もうすぐそこまできている。エレは更なる高みに飛びそうな予感に、口角を上げて、喘ぎながら笑った。


「アルッ! いくっ! いくいくいくいくぅ!!」

「あっは! ぼくもっ、も、むりっ! あーーっ、いくっ! でるっ!」

「あ、あ、あーーーーっ!!」

「あぁっ!!」


 一際強く前立腺を突き上げられて、エレは仰け反るようにシーツに後頭部を擦りつけながら、びくんびくんと身体を大きく震わせ、触れられていないペニスから、びゅるるるるっと精液を飛ばした。アルベーレがつないだ手に更に力を込めて、だらしなく開けっ放しの口から涎を垂らしながら、ゆるゆると腰を振り、ふーっと大きく息を吐いた。
 はぁはぁと荒い2人分の息遣いが、静かな室内に響いている。アルベーレが、繋いでいた手を離して、『むぎゅー』と言いながら、エレの汗だくの身体に抱きついてきた。エレはアルベーレの汗で濡れた身体を抱きしめ返しながら、まだアナルに入ったままのアルベーレのペニスを、意識してきゅっとアナルで締めつけた。


「うあっ!? ちょっ、エレ! 今はヤバいって!」

「アール。もっかいして」

「あはっ! 気に入った?」

「めちゃくちゃ気に入った」

「ははっ! 僕も。エレの中は気持ちがいい」


 至近距離で楽しそうに笑ったアルベーレと、舌を絡めるいやらしいキスをして、エレは再び、アルベーレの熱と快感によがり狂った。




------
 エレが自分の家の店で、店番をしていると、ふらっとアルベーレが訪れた。2ヶ月前から、仕事で遠方に行っていたのだが、もう帰ってきたようである。美しく成長したアルベーレが、よっと軽く手を上げて、カウンターの中の椅子に座っているエレの元に近寄り、触れるだけのキスをした。


「ただいま。エレ」

「おかえり。アル」

「閉店したら、うちに来てよ」

「いいよ。来たついでに計算手伝ってくれよ。帳簿が何回計算しても合わないんだ」

「相変わらず計算が苦手だねぇ」

「まぁね。僕が苦手なの分かってるんだから、父さん達も任せなければいいのに」

「そのうち店を継ぐから、仕事を覚えさせたいんでしょ」

「かもね」


 エレもアルベーレも、そろそろ30が近い。2人とも結婚はしておらず、ずっと友達のままだ。恋人にはならない。恋人になったら、いつか終わりが来るから嫌だと、アルベーレがずっと昔に言ったから。エレはアルベーレと時々セックスをしながら、穏やかな生活をしている。親からはいい加減結婚しろと言われているが、聞き流している。アルベーレの相手をするのに精一杯で、他の人を見る余裕なんてない。アルベーレは、貞操観念が薄い上に浮気性が多い魔術師にしては珍しく、エレ以外とはセックスをしていない。『エレがいればいいよ』と、いつものほほんと笑っている。

 店仕舞いが終わると、エレは両親に声をかけて、待ってくれていたアルベーレと一緒に、街はずれのアルベーレの家に向かった。アルベーレの部屋で、貪るようなキスをしながら性急に服を脱がせあい、生まれたままの姿で、絡み合うようにしてベッドに倒れ込む。
 アルベーレが、唇を触れ合わせたまま囁いた。


「エレ。ずっと僕の帰る場所になってよ」

「もうとっくになってるよ」

「あはっ。エレ。可愛い」

「可愛くはない」

「エレは可愛いよ。ずっと。お爺ちゃんになっても可愛い」

「アルはお爺ちゃんになってもキレイだろうね」

「皺くちゃの爺がキレイな訳ないじゃない」

「アルはキレイだよ。ずっと」

「そうかな」

「そうだよ」


 エレはアルベーレと一緒にクスクス笑いながら、絡まり合って、熱を分け合った。
 あの夏の日。エレとアルベーレは、少しだけ大人になった。2人は『友達』のままだし、きっと死ぬまで『友達』のままだけど、深いところでは、違う名前の絆がある。それをお互いに口に出すことはない。
 エレは、一緒にお爺ちゃんになって、アルベーレとのほほんと笑い合う未来を想像して、上機嫌にクスクス笑った。



(おしまい)
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