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8:戯れ

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シュタインは読んでいた本から顔を上げ、拳2つ分くらい開けた位置に座っているバルトロの横顔を見た。
一緒に暮らし始めたのは春真っ盛りの頃だったが、もう夏も終わりに近づいている。まだまだ暑く、窓を開けていても生ぬるい風しか入ってこず、次から次へと汗が吹き出てくる。本を読んでいるバルトロの頬を、汗が伝った。太い首筋も汗で濡れている。

毎日が同じような日々の繰り返しである。
バルトロの筋トレが終わってから一緒に朝食を食べ、午前中は書斎で本を読み、昼食の後は2人で庭を歩いて、後は本を読んだり筋トレをしたり昼寝をしたりと好きに過ごす。夕食をとり、2人で風呂に入って、夜はセックスをする。シュタインが読みたくて堪らなかった魔術書は粗方読み終えてしまった。

シュタインはソファーの上で身体を横に倒して、バルトロのぶっとく固い太腿に頭を乗せた。


「なんだ」

「暇だ」

「本を読んでいるだろう」

「飽きた」


身体を捻ってバルトロの顔を見上げれば、ポタッとバルトロの顎髭から汗が滴り落ちてきた。シュタインは意味もなくバルトロの顎髭をじょりじょりと指先で撫でた。
バルトロが小さく溜め息を吐いて、読んでいた本を閉じ、身体の横に置いた。


「構ってほしいのか」

「別に」

「ふーん」


バルトロのゴツくて固い指が、シュタインの頭を撫でた。本当にたまにだが、バルトロはシュタインの頭を撫でる。別に悪い気はしない。バルトロは厳つい見た目に反して意外と器用で、シュタインの髪を洗うのも上手だ。1度髪を洗わせてから、気に入ったので毎日洗ってもらっている。
ソファーの上でごろんと寝返りをうち、バルトロの下腹部に鼻を擦りつけるように、顔をバルトロの服に埋める。多少筋肉が落ち、脂肪がついたが、バルトロは未だに筋肉だるまだ。痩せているシュタインよりも代謝がいいのだろう。バルトロは体温が高く、くっついていると暑くて堪らない。


「あつい」

「離れろよ」

「断る」

「あっそ」


意外な程優しく頭を撫でてくるバルトロの手が存外心地よくて、なんだか眠気に誘われてしまいそうになる。上からバルトロの低くて渋い声が降ってきた。


「いい加減外に出たい」

「毎日庭を走っているじゃないか」

「ちげぇ。屋敷の外にだ」

「護衛に取り囲まれて街に行くか、有象無象の連中に取り囲まれる神殿もしくは王宮に行くか、だな」

「なんだ。その嫌な2択」

「仕方がないだろう。お前は『神様からの贈り物』の宿主なんだから」

「仕事がない生活にはもう飽きた」

「それな。メリハリが無くなる」

「だらけた生活のせいで太った」

「毎日筋トレを欠かさない癖に」

「1人で筋トレをしてもたかが知れてる。軍の訓練には程遠い」

「ふーん。私は体力がついた気がする」

「散歩とストレッチしかしてねぇじゃねぇか。お前、どんだけ日頃運動してなかったんだよ」

「運動は嫌いだ」

「知ってる」


シュタインはもぞもぞと動き、バルトロの股間に鼻先を埋めた。鼻で股間をぐりぐりするように顔を動かすと、バルトロがガッとシュタインの後頭部を鷲掴んだ。


「何してんだ」

「暇だからヤリたい」

「昼間だ」

「いいんじゃないか?別に。自堕落ばんざい」

「阿呆」


ペシンと軽く頭を叩かれた。シュタインはあることを思い立って、身体を起こし、ソファーから立ち上がった。ソファーに座るバルトロの正面に立ち、その場で膝をつく。
バルトロが訝しそうな顔でシュタインを見た。


「おい?」

「ちょっとした戯れだ」


シュタインはバルトロのズボンのベルトを外し、バルトロに止められる前に、ささっとズボンと下着をまとめてずらして、バルトロの萎えていても無駄に大きいぺニスを取り出した。


「……おい」

「呼ばなければ誰も来ない」

「何をする気だ」

「舐めてみる。まだやったことがない」

「汚ぇだろ」

「お前の尻の穴だって毎日のように舐めてるだろ」

「……そうだけど」


シュタインはバルトロのぺニスに鼻を近づけた。すんすんと匂いを嗅げば、汗の匂いと微かにおしっこのような匂いがする。ぺニスを舐めたことも、舐められたこともない。別に舐めたい訳ではないが、暇潰しの戯れに、いつもやらないことをやってみるのも一興だ。昨夜はセックスをしない日だった。年を食ってるバルトロはどうか分からないが、若いシュタインはヤろうと思えば全然ヤれる。

媚薬を飲まずに性的な触れあいをするのは初めてだ。シュタインは舌を伸ばし、ねろーっとバルトロのぺニスの裏筋を根元から先っぽに向けて舐め上げた。嫌悪感は意外とない。肉の感触が、なんだか舌に楽しい。ペロペロとバルトロのぺニスのあちこちを舐めていると、バルトロのぺニスが熱く固くなり、大きくなった。
シュタインはぺニスに舌を這わせたまま、目だけでバルトロの顔を見上げた。バルトロの眉間にいつもより深い皺が寄っている。


「気持ちいいか?」

「……まぁ」

「ふーん」

「……はぁ……」


シュタインがパクンとバルトロのぺニスの先っぽを咥えると、バルトロが溜め息を吐いて、シュタインの頭を撫でた。口内で舌をくるりと円を描くように動かして先っぽを舐め回すと、バルトロが堪えるような息を吐いた。じんわりと微かに青臭いような匂いと、しょっぱいようなエグいような、初めて感じる味がしてきた。多分、先走りだろう。
暫く好き勝手にバルトロのぺニスを舐め回し、ぷはぁと口を離した。バルトロのぺニスが大きすぎて、咥えると顎が怠くなる。先走りと自分の唾液で濡れた先っぽを指先でくるくる撫でると、ぬるぬるする感触が少し楽しい。


「どうする?」

「……なにが?」

「このまま出すか?それとも、私のを尻に挿れる?」

「……お前の、挿れろ」

「分かった。……あ、潤滑油がない。寝室に行くぞ」

「……勃起したまま移動しろと?」

「がんばれ」

「叩くぞ」


ペシンと軽く頭を叩かれた。バルトロはむすっとした顔をしているが、微かに目元が赤くなっている。バルトロは快感に従順だ。初めてセックスをするまでは本当に嫌がっていた様子だったのに、1度してしまえば貪欲に求めてくる。なんだか少しおかしくなって、シュタインは小さく笑った。
慣れきったからかもしれないが、何故だか今なら媚薬の力を借りなくてもバルトロを抱けそうな気がする。

シュタインは勃起したぺニスを無理矢理服の中に押し込んだバルトロの手を引き、軽い足取りで寝室へと向かった。







ーーーーーー
寝室で汗にまみれながら、全裸の状態で絡み合う。シュタインが再びバルトロのぺニスを舐めれば、今度はバルトロもシュタインのぺニスを舐めた。お互いにぺニスを舐めあい、シュタインは初めて、バルトロの精液を口で受け止め、自身もバルトロの口内に射精した。精液の味は不味くて、喉に絡む感じがして飲みにくい。だというのに、バルトロはシュタインの精液を美味しそうに飲み込んでいた。

四つん這いになったバルトロのアナルを舐め回し、指で中をかき回して、バルトロにまた舐めてもらって勃起したぺニスをバルトロのアナルに押し込む。
バルトロが仰向けに寝転がって、自分で膝裏を持ち、足を大きく広げた状態でぺニスを挿入している。こんな体位は初めてかもしれない。バルトロに覆い被さって、夢中で腰を振る。シュタインの精液を飲んだからか、興奮しているからか、バルトロが中出しをしなくても、シュタインが奥を突き上げる度に喘いでいる。
シュタインは腰を激しく動かしながら、何気なく汗が流れる太い首筋に舌を這わせた。バルトロが声を上げ、アナルでぺニスを締めつけてくる。どうやら気持ちがいいらしい。アナルでキツく締めつけられると、シュタインも気持ちがいい。
シュタインはねっとりとバルトロの首筋を舐め回しながら、熱と快感に溺れ、バルトロの奥深くへと思う存分精液を吐き出した。

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