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51:愛おしい日常
しおりを挟む ロルフは、2日かけて、ガルバーンと一緒に、留守中にお世話になった村人達にお礼を言って回った。行きの道中で王都に寄った時に、村人達へのお土産を沢山買って、キリリク村に送ってもらった。お土産は、無事に届いていたようで、ロルフ達は皆からお礼を言われた。
旅費もお土産代も、殆どガルバーンが出してくれた。2人で頑張って1年でそこそこの額のお金を貯めたが、ダルバ村への旅では、全然足りなかった。『こういう時の為に使うものだ』と、ガルバーンが報奨金を惜しみなく使ってくれた。そのお陰で、大きな街に泊まる時は、お風呂付きのお高い宿に泊まることができたし、食べ物にも困らなかった。
ロルフは、朝日が昇る前にガルバーンに起こされると、一緒に水汲みをしてから、朝食を作り始めた。
帰ってきて数日が経つが、実はまだ髭を剃っていない。ガルバーンが、『髭を伸ばして整えてみたらどうだ』と言ったので、試しに伸ばしてみることにした。村長は、口髭を伸ばして整えていて、なんだか格好いいので、髭がある程度伸びたら、村長に髭の整え方を習いに行くつもりである。ガルバーンも髭を伸ばしていて、お揃いにする予定だ。キスをする時に髭が当たって少し擽ったいが、髭が生えているガルバーンも格好いいので、特に気にならない。ガルバーンは、仲良しの孤児院や村の子供達から、『熊が更に熊になってるー!』と言われていた。
ロルフは、ガルバーンと一緒に手早く朝食を作り上げると、朝食を居間のテーブルに運んだ。朝食を食べながら、今日やる事を話す。
「えーと、今日は、野菜を収穫して売りに行った後は、麦の収穫をやりますね」
「家畜の世話はしておく」
「お願いします。山羊達が予想外に増えてるから、そろそろ家畜小屋も改築した方がいいのかなぁ。家より年季が入ってるし」
「今より大きくして、牛も増やしたらいい。牛乳も山羊乳も欲しがる者が多いだろう」
「そうですね。野菜を売りに行った時に、大工のおじさんの所に寄ってみます」
「あぁ。オルフ達を今日は好きにさせる。そろそろ走らせないと、鬱憤が溜まって機嫌が悪くなる。森の方に行かせたらいいだろう」
「そうですね。賢い子達だから、ちゃんと家に帰ってきてくれますし」
「あぁ」
「よしっ! ご飯を食べて片付けたら、今日もいっぱい働きますよー!」
「あぁ」
なんだか、すっかり日常に戻った感じがする。ロルフは、朝からがっつり朝食を食べると、ガルバーンと一緒に後片付けをしてから、其々、やる事をやり始めた。
日が暮れる頃まで外で動き回って、ロルフはガルバーンと一緒に、家の中に入った。
大工のおじさんは、タイミングよく急ぎの仕事が無くて、家畜小屋の改築を快く引き受けてくれた。明日、家に来て、具体的にどう改築するか、話し合うことになった。
ロルフは、ハンナの家から分けてもらった干し肉を使って、根菜ゴロゴロのスープを作ると、朝に焼いたパンを軽く焼き直してから、出来上がった夕食を居間のテーブルに運んだ。
「麦の収穫が終わったら、狩りに出る」
「あ、はい。干し肉をいっぱい作らなきゃですね」
「あぁ。ハンナおばさんの干し肉も美味いが、お前が作ったやつの方が好きだ」
「え、えへっ。ありがとうございます。干し肉作りに使う香草は、庭のじゃ足りないだろうから、暇をつくって森に採りに行かないとですね」
「ん。まぁ、麦の収穫が終わってからだ」
「はい。明日も頑張りましょうね」
「あぁ」
ロルフは、ガルバーンと一緒に温かい夕食を食べ終えると、一緒に後片付けをしてから、風呂を沸かす準備を始めた。今日はセックスをしないが、風呂には一緒に入る。ダルバ村では、いつも一緒に温泉に入っていたので、一緒に風呂に入るのが当たり前になった。セックスがしたい時には、普通に『セックスがしたい』と言えばいいだけの話である。
ロルフは、ガルバーンと洗いっこをして、ガルバーンに抱っこされて、ゆっくりと温かいお湯で疲れた身体を温めると、ガルバーンと一緒に浴槽から出た。
脱衣所で服を着てから、台所に向かう。ハンナから、香草茶を貰っているので、ロルフは香草茶を淹れた。ロルフの母もよく作っていた、ゆっくり眠れるお茶だ。柔らかい香りに、気分がゆったりしてくる。
ガルバーンと2人で、居間のテーブルで香草茶を飲むと、ささっと使ったものを洗って片付けてから、二階のガルバーンの部屋に向かった。
ベッドに上がって、布団に潜り込むと、すかさず、ガルバーンがロルフの身体をやんわりと抱きしめてくれた。いつもの寝る体勢になると、すぐに眠気が訪れる。
明日も朝からやる事がいっぱいだ。来週頭には、収穫祭もある。今年は結婚記念日のお祝いができなかったので、来年に、2年分のお祝いをしたい。
当たり前のように、来年のことを考えている事に気づいて、ロルフは小さく口角を上げた。来年も、再来年も、そのまた次の年も、ずっとずっと、ガルバーンと一緒である。その事が、本当にとても嬉しい。
ロルフはガルバーンと足を絡めて、より密着すると、ガルバーンの唇に触れるだけのキスをした。ガルバーンもロルフの頬や唇にキスをしてくれた。
「おやすみ。ロルフ」
「おやすみなさい。ガル」
ロルフは、ガルバーンの体温と匂いに包まれて、すやぁっと寝落ちた。
翌朝。いつもの時間にガルバーンに起こされると、ロルフはベッドの上で大きく伸びをして、髭がもさっとなってきているガルバーンの唇に、『おはよう』のキスをした。ガルバーンも、ロルフの頬にキスをしてくれた。嬉しくて、朝から顔がだらしなくゆるんでしまう。
とりあえず水汲みをしたら、急いで朝食を作らねば。今日もやる事がいっぱいだ。ガルバーンと一緒だから、大変だけど、頑張れる。
ロルフは、今日もガルバーンと一緒に動き始めた。
ーーーーーー
ガルバーンが狩った鹿を担いで家に帰ると、ちょうど野菜を売りに行っていたロルフが戻ってきた。
今年の秋で、二十回目の結婚記念日を迎えた。ガルバーンは48歳、ロルフは45歳になった。2人とも、まだまだ元気で、毎日朝から晩まで働いている。
ここ10年の間に、別れも出会いも沢山あった。5年前に、ハンナが亡くなり、昨年には、ガルバーンの父の訃報が届いた。一度、里帰りしてから、ダルバ村には帰っていない。父の墓参りに行こうとロルフから言われたが、ガルバーンは首を横に振った。ダルバ村まで、キリリク村からでは遠過ぎる。また2年も家を開けるのは、あまりよろしくない。ガルバーンは、ロルフと一緒に手紙を書いて実家に送った。
出会った頃は小さかった孤児院や村の子供達は、すっかり大きくなり、皆結婚して、子供が生まれた夫婦も沢山いる。山羊乳の需要が多いので、山羊乳が搾れる時期は、毎日せっせと山羊乳を搾り、ロルフと一緒に配って回った。
鹿を家の前に置いたガルバーンの側に、ロルフがやって来て、すとんとガルバーンのすぐ隣にしゃがんだ。
「ガル。おっきな鹿ですね」
「あぁ。干し肉にする分以外は、ダナーの所に持っていく。孫ができたばかりだ。産後の嫁にしっかり食わせてやりたい」
「そうですね。ダナーも喜びます。……えへへ」
「なんだ」
「ガルは優しいです。僕の自慢の『笑顔の導き手』ですもん」
「そうか」
ガルバーンは、ちょっと照れくさくて、誤魔化すように、ロルフの頬にキスをした。ロルフは、口髭を生やし始めて、そこそこの年数が経つ。元々優しい顔立ちだったが、口髭があると、更に優しい印象になった。
ガルバーンが『笑顔の導き手』なら、ロルフは『幸せの導き手』だ。ロルフと結婚してから、色んな事があったが、ガルバーンは、間違いなく自分は世界で一番幸せだと胸を張って言える。いつだって、ロルフが側にいてくれた。これからも、ずっとロルフと一緒にいる。それだけで、胸の奥がぽかぽかして、幸せな気分になる。
ガルバーンは、ロルフとお喋りしながら、手早く鹿を解体した。ロルフと一緒に、解体した鹿の肉等を家の中に運び入れると、ダナーの家に出かける準備をした。
ロルフと手を繋いで、ダナーの家に向かう。村の中心部は、ガルバーンが嫁に来た時よりも、随分と賑やかになった。数年前から、村の若い衆が近くの街に出稼ぎに行ったりするようになり、昔の活気が、完全に戻っているそうだ。
ガルバーンは、ダナーの家を訪ねて、鹿肉を渡すと、またロルフと手を繋いで家に帰った。
風呂上がりに、ロルフが甘いミルクを作ってくれた。2人で居間で甘いミルクを飲みながら、明日の話をする。
なんでもない日常がずっと続いているが、その事が、とても愛おしくて堪らない。ロルフの、のほほんとした笑みを見ているだけで、じんわりと胸の奥が温かくなる。
ガルバーンは、甘いミルクを飲み終えると、ロルフと一緒に手早く片付けてから、ロルフと手を繋いで二階の部屋に向かった。いつも通り、布団の中でロルフを抱きしめて、ガルバーンは、ほぅと小さく幸せな溜め息を吐いた。
腕の中のロルフが、もぞもぞと身動ぎして、ガルバーンの唇に触れるだけのキスをした。
「おやすみなさい。ガル。また明日も頑張りましょうね」
「あぁ。おやすみ。ロルフ」
ガルバーンは、穏やかな笑みを浮かべているロルフを見つめて、ふっと笑った。
温かい幸せな夜は、穏やかに過ぎていった。
(おしまい)
旅費もお土産代も、殆どガルバーンが出してくれた。2人で頑張って1年でそこそこの額のお金を貯めたが、ダルバ村への旅では、全然足りなかった。『こういう時の為に使うものだ』と、ガルバーンが報奨金を惜しみなく使ってくれた。そのお陰で、大きな街に泊まる時は、お風呂付きのお高い宿に泊まることができたし、食べ物にも困らなかった。
ロルフは、朝日が昇る前にガルバーンに起こされると、一緒に水汲みをしてから、朝食を作り始めた。
帰ってきて数日が経つが、実はまだ髭を剃っていない。ガルバーンが、『髭を伸ばして整えてみたらどうだ』と言ったので、試しに伸ばしてみることにした。村長は、口髭を伸ばして整えていて、なんだか格好いいので、髭がある程度伸びたら、村長に髭の整え方を習いに行くつもりである。ガルバーンも髭を伸ばしていて、お揃いにする予定だ。キスをする時に髭が当たって少し擽ったいが、髭が生えているガルバーンも格好いいので、特に気にならない。ガルバーンは、仲良しの孤児院や村の子供達から、『熊が更に熊になってるー!』と言われていた。
ロルフは、ガルバーンと一緒に手早く朝食を作り上げると、朝食を居間のテーブルに運んだ。朝食を食べながら、今日やる事を話す。
「えーと、今日は、野菜を収穫して売りに行った後は、麦の収穫をやりますね」
「家畜の世話はしておく」
「お願いします。山羊達が予想外に増えてるから、そろそろ家畜小屋も改築した方がいいのかなぁ。家より年季が入ってるし」
「今より大きくして、牛も増やしたらいい。牛乳も山羊乳も欲しがる者が多いだろう」
「そうですね。野菜を売りに行った時に、大工のおじさんの所に寄ってみます」
「あぁ。オルフ達を今日は好きにさせる。そろそろ走らせないと、鬱憤が溜まって機嫌が悪くなる。森の方に行かせたらいいだろう」
「そうですね。賢い子達だから、ちゃんと家に帰ってきてくれますし」
「あぁ」
「よしっ! ご飯を食べて片付けたら、今日もいっぱい働きますよー!」
「あぁ」
なんだか、すっかり日常に戻った感じがする。ロルフは、朝からがっつり朝食を食べると、ガルバーンと一緒に後片付けをしてから、其々、やる事をやり始めた。
日が暮れる頃まで外で動き回って、ロルフはガルバーンと一緒に、家の中に入った。
大工のおじさんは、タイミングよく急ぎの仕事が無くて、家畜小屋の改築を快く引き受けてくれた。明日、家に来て、具体的にどう改築するか、話し合うことになった。
ロルフは、ハンナの家から分けてもらった干し肉を使って、根菜ゴロゴロのスープを作ると、朝に焼いたパンを軽く焼き直してから、出来上がった夕食を居間のテーブルに運んだ。
「麦の収穫が終わったら、狩りに出る」
「あ、はい。干し肉をいっぱい作らなきゃですね」
「あぁ。ハンナおばさんの干し肉も美味いが、お前が作ったやつの方が好きだ」
「え、えへっ。ありがとうございます。干し肉作りに使う香草は、庭のじゃ足りないだろうから、暇をつくって森に採りに行かないとですね」
「ん。まぁ、麦の収穫が終わってからだ」
「はい。明日も頑張りましょうね」
「あぁ」
ロルフは、ガルバーンと一緒に温かい夕食を食べ終えると、一緒に後片付けをしてから、風呂を沸かす準備を始めた。今日はセックスをしないが、風呂には一緒に入る。ダルバ村では、いつも一緒に温泉に入っていたので、一緒に風呂に入るのが当たり前になった。セックスがしたい時には、普通に『セックスがしたい』と言えばいいだけの話である。
ロルフは、ガルバーンと洗いっこをして、ガルバーンに抱っこされて、ゆっくりと温かいお湯で疲れた身体を温めると、ガルバーンと一緒に浴槽から出た。
脱衣所で服を着てから、台所に向かう。ハンナから、香草茶を貰っているので、ロルフは香草茶を淹れた。ロルフの母もよく作っていた、ゆっくり眠れるお茶だ。柔らかい香りに、気分がゆったりしてくる。
ガルバーンと2人で、居間のテーブルで香草茶を飲むと、ささっと使ったものを洗って片付けてから、二階のガルバーンの部屋に向かった。
ベッドに上がって、布団に潜り込むと、すかさず、ガルバーンがロルフの身体をやんわりと抱きしめてくれた。いつもの寝る体勢になると、すぐに眠気が訪れる。
明日も朝からやる事がいっぱいだ。来週頭には、収穫祭もある。今年は結婚記念日のお祝いができなかったので、来年に、2年分のお祝いをしたい。
当たり前のように、来年のことを考えている事に気づいて、ロルフは小さく口角を上げた。来年も、再来年も、そのまた次の年も、ずっとずっと、ガルバーンと一緒である。その事が、本当にとても嬉しい。
ロルフはガルバーンと足を絡めて、より密着すると、ガルバーンの唇に触れるだけのキスをした。ガルバーンもロルフの頬や唇にキスをしてくれた。
「おやすみ。ロルフ」
「おやすみなさい。ガル」
ロルフは、ガルバーンの体温と匂いに包まれて、すやぁっと寝落ちた。
翌朝。いつもの時間にガルバーンに起こされると、ロルフはベッドの上で大きく伸びをして、髭がもさっとなってきているガルバーンの唇に、『おはよう』のキスをした。ガルバーンも、ロルフの頬にキスをしてくれた。嬉しくて、朝から顔がだらしなくゆるんでしまう。
とりあえず水汲みをしたら、急いで朝食を作らねば。今日もやる事がいっぱいだ。ガルバーンと一緒だから、大変だけど、頑張れる。
ロルフは、今日もガルバーンと一緒に動き始めた。
ーーーーーー
ガルバーンが狩った鹿を担いで家に帰ると、ちょうど野菜を売りに行っていたロルフが戻ってきた。
今年の秋で、二十回目の結婚記念日を迎えた。ガルバーンは48歳、ロルフは45歳になった。2人とも、まだまだ元気で、毎日朝から晩まで働いている。
ここ10年の間に、別れも出会いも沢山あった。5年前に、ハンナが亡くなり、昨年には、ガルバーンの父の訃報が届いた。一度、里帰りしてから、ダルバ村には帰っていない。父の墓参りに行こうとロルフから言われたが、ガルバーンは首を横に振った。ダルバ村まで、キリリク村からでは遠過ぎる。また2年も家を開けるのは、あまりよろしくない。ガルバーンは、ロルフと一緒に手紙を書いて実家に送った。
出会った頃は小さかった孤児院や村の子供達は、すっかり大きくなり、皆結婚して、子供が生まれた夫婦も沢山いる。山羊乳の需要が多いので、山羊乳が搾れる時期は、毎日せっせと山羊乳を搾り、ロルフと一緒に配って回った。
鹿を家の前に置いたガルバーンの側に、ロルフがやって来て、すとんとガルバーンのすぐ隣にしゃがんだ。
「ガル。おっきな鹿ですね」
「あぁ。干し肉にする分以外は、ダナーの所に持っていく。孫ができたばかりだ。産後の嫁にしっかり食わせてやりたい」
「そうですね。ダナーも喜びます。……えへへ」
「なんだ」
「ガルは優しいです。僕の自慢の『笑顔の導き手』ですもん」
「そうか」
ガルバーンは、ちょっと照れくさくて、誤魔化すように、ロルフの頬にキスをした。ロルフは、口髭を生やし始めて、そこそこの年数が経つ。元々優しい顔立ちだったが、口髭があると、更に優しい印象になった。
ガルバーンが『笑顔の導き手』なら、ロルフは『幸せの導き手』だ。ロルフと結婚してから、色んな事があったが、ガルバーンは、間違いなく自分は世界で一番幸せだと胸を張って言える。いつだって、ロルフが側にいてくれた。これからも、ずっとロルフと一緒にいる。それだけで、胸の奥がぽかぽかして、幸せな気分になる。
ガルバーンは、ロルフとお喋りしながら、手早く鹿を解体した。ロルフと一緒に、解体した鹿の肉等を家の中に運び入れると、ダナーの家に出かける準備をした。
ロルフと手を繋いで、ダナーの家に向かう。村の中心部は、ガルバーンが嫁に来た時よりも、随分と賑やかになった。数年前から、村の若い衆が近くの街に出稼ぎに行ったりするようになり、昔の活気が、完全に戻っているそうだ。
ガルバーンは、ダナーの家を訪ねて、鹿肉を渡すと、またロルフと手を繋いで家に帰った。
風呂上がりに、ロルフが甘いミルクを作ってくれた。2人で居間で甘いミルクを飲みながら、明日の話をする。
なんでもない日常がずっと続いているが、その事が、とても愛おしくて堪らない。ロルフの、のほほんとした笑みを見ているだけで、じんわりと胸の奥が温かくなる。
ガルバーンは、甘いミルクを飲み終えると、ロルフと一緒に手早く片付けてから、ロルフと手を繋いで二階の部屋に向かった。いつも通り、布団の中でロルフを抱きしめて、ガルバーンは、ほぅと小さく幸せな溜め息を吐いた。
腕の中のロルフが、もぞもぞと身動ぎして、ガルバーンの唇に触れるだけのキスをした。
「おやすみなさい。ガル。また明日も頑張りましょうね」
「あぁ。おやすみ。ロルフ」
ガルバーンは、穏やかな笑みを浮かべているロルフを見つめて、ふっと笑った。
温かい幸せな夜は、穏やかに過ぎていった。
(おしまい)
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全力で!ありがとうございますっ!!!!