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32:いち、じぜんじゅんび

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 いつもより少し軽めの昼食をとって、後片付けをした後。
 ロルフは、ガルバーンと手を繋いで、二階のガルバーンの部屋に行き、ベッドの下から皮袋を取り出した。
 布に巻かれたローションの瓶を3本と、細長い箱、それから『だんしょくしなんしょ』を取り出す。ベッドのヘッドボードにそれらを置いて、ロルフはベッドに上がって、掛け布団を足元にずらした。


「ガル。まずは『だんしょくしなんしょ』を読み直しましょう」

「あ、あぁ」


 真っ赤な顔をしたガルバーンが、おずおずとベッドに上がり、足を伸ばして座っているロルフの隣にきた。2人で読めるように、『だんしょくしなんしょ』を2人の太腿を跨ぐようにして置き、目次の次の頁から開いていく。


「いち、じぜんじゅんび。おとこどうしの……」

「ロ、ロルフ。声に出さなくてもいい」

「そうですか?」

「あ、あぁ」

「じゃあ、読み終わったら教えてください。次の頁にいくんで」

「あぁ」


 ロルフは、無言で『だんしょくしなんしょ』を読み始めた。一度は読んでいるし、分からない単語はその時にガルバーンに聞いたので、うっすら内容は覚えている。しかし、ちゃんとセックスをする為にも、しっかり内容を理解しなければ。ロルフは、真剣に、『だんしょくしなんしょ』を読んだ。

 一刻程で、『だんしょくしなんしょ』を読み終えた。そろそろ午後のお茶の時間である。セックスをする為には、まずは風呂に入って、身体を清潔にしなければならない。

 ロルフは、ぱたんと本を閉じると、隣のガルバーンに声をかけた。ガルバーンの厳つい横顔は、真っ赤に染まったままだ。


「ガル。僕、お風呂沸かしてきますね!」

「……一緒にやる」

「あ、はい。んー。どうせなら、一緒に入ります?」

「えっ!? あ、いや、う、い、いいぞ」

「はぁーい。じゃあ、動きましょうか」

「あ、あぁ」


 ロルフは、ガルバーンとベッドから下りると、風呂を沸かす為に階下の風呂場に向かった。
 風呂場にあるドアを開け、井戸から水を汲み、浴槽に溜めていく。2人がかりでやれば、すぐに浴槽が水でいっぱいになった。ロルフが薪を持ってくると、ガルバーンが火を起こし、薪を何本も入れた。

 薪が燃えるのを眺めながら、ロルフは、これからセックスをするのかぁと、暢気に思った。『だんしょくしなんしょ』を読み直したが、まだ現実味が無くて、『だんしょくしなんしょ』に載っていた事を本当に自分がするというのが、いまいち想像ができない。
 ロルフは、隣のガルバーンに軽く寄りかかった。


「ガル。セックス、楽しいといいですね」

「……そうだな」


 ガルバーンが、ロルフの方を向いて、唇に触れるだけのキスをしてくれた。ロルフは、なんとなく照れくさくなって、お返しにガルバーンの唇に自分の唇をくっつけて、ちゅくっと優しくガルバーンの下唇を吸った。

 なんとなーく気恥ずかしいような空気の中、2人で無言で火を眺めていると、そろそろ風呂が沸く感じになったきた。
 2人で風呂場のドアから風呂場に入り、浴槽のお湯の温度を確かめてから、脱衣場に移動した。

 脱衣場で服を脱ぎながら、ロルフはじっと服を脱ぐガルバーンを見つめた。のろのろと服を脱ぐガルバーンの身体は、全身筋肉でムッキムキな上に、胸毛や腹毛がもっさもさ生えている。身体の色んなところに傷痕が沢山あり、魔王討伐の過酷さが垣間見えた気がした。

 ロルフは、さくっと全裸になると、ガルバーンが全裸になるのを大人しく待ち、ガルバーンの大きなゴツい手を握って、風呂場に入った。
 少し熱めのお湯を木桶で掬って、2人の身体にかける。ロルフは、ふと思い立って、石鹸を手に取り、手で石鹸をもこもこに泡立てた。


「ロルフ?」

「折角なので、洗いっこしましょうよ」

「お、おぅ……」


 ロルフは、もこもこに泡立てた石鹸まみれの手で、とりあえずガルバーンのムッキリと盛り上がった胸元を撫で回した。もさもさの胸毛のお蔭か、石鹸が更にもっこもこになっていく。ロルフは、面白くなって、石鹸を直接、ガルバーンの胸毛もさもさの胸元に擦りつけ、ガルバーンの意外と柔らかい胸筋を撫で回した。石鹸の泡が、面白いくらい、もっこもこになる。ロルフは、地味に楽しくなってきて、そのまま、ガルバーンの腹毛ふさふさの割れた腹筋にも石鹸を擦りつけて、泡をもっこもこにしたりして、ガルバーンの全身を洗うもとい、もこもこ泡だらけにした。ちなみに、ペニスと陰嚢と尻は、ガルバーンから駄目って言われたので、触っていない。ペニスと陰嚢と尻は、ガルバーンが自分で洗った。

 ガルバーンを全身、泡でもこもこにすると、ロルフはやりきった気分で、ガルバーンに石鹸を手渡した。ガルバーンが石鹸を手で泡立てて、ロルフの肌に触れた。ロルフは、残念ながら、胸毛も腹毛も生えていない。ガルバーンのように、もさもさなら格好よかったのに。陰毛も薄いので、ちょっとだけ恥ずかしい。
 ガルバーンの剣胼胝のある硬く温かい手が、優しくロルフの肌を撫で回していく。少し擽ったくて、なんだかちょっとだけムラッとする。じわーっと下腹部に熱が溜まる感じがして、ロルフは、ガルバーンに背中を洗ってもらいながら、自分のペニスを皮もしっかり剥いて、いつもより丁寧に洗った。

 身体の泡を流してから、身体の芯まで温もるまでお湯に浸かると、ほこほこの状態で、身体を拭いただけの全裸のまま、手を繋いで二階に移動した。
 ガルバーンの部屋のベッドに上がり、ロルフは、向かい合って胡座をかいて座っているガルバーンの唇に、触れるだけのキスをした。


「えーと、次は浄化棒ですね」

「……ロルフ」

「なんです?」

「恥ずかしくて死にそう」

「うえっ!? だ、大丈夫です! 多分!」

「その……俺は尻にも毛が生えているんだが……」

「格好よくて羨ましいです」

「格好いいか!?」

「格好いいじゃないですかー。大人の男! みたいな感じで。僕、毛が薄いから、羨ましいです」

「そ、そうか」

「それじゃあ、浄化棒を入れるので、えーと、四つん這い? になってください」

「あ、あぁ」


 ロルフが、浄化棒が入った箱とローションの瓶を手に取り、ガルバーンの頬にキスをすると、ガルバーンがのろのろと四つん這いになった。ロルフはガルバーンの尻の方に移動した。

 箱から細長い浄化棒を取り出し、ローションの瓶を開けて、掌にローションを垂らす。ぬるっぬるしているローションから、ふわっと花のような匂いがした。浄化棒にローションをしっかり塗ると、ロルフはガルバーンに声をかけた。


「お尻を開いてもらってもいいですか?」

「……分かった」


 ガルバーンが上体を伏せ、両手で尻たぶにも毛が生えているムッキリした尻肉を掴み、一拍置いた後で、ぐにぃっと尻肉を広げた。ガルバーンのアナルが丸見えになる。ガルバーンのアナルは、周りに黒い縮れた毛がもさっと生えていて、赤黒いアナルは、皺が細かく、きゅっと閉じている感じがした。他人の尻の穴を見るのは、子供の頃に妹のオムツを替えていた時以来である。うんこを出す穴だが、意外とキレイなもんだなぁと、ロルフは思った。

 ロルフは、ガルバーンのアナルをつんつんと指先で突いてから、ローションでぬるぬるしている浄化棒の先端を、ガルバーンのアナルにくっつけ、ゆっくりと浄化棒を押し込んでいった。


「痛いですか?」

「……痛くはない」

「えーと、30数えるんですよね。いーち、にー、さーん、よーん……」


 ロルフは、『だんしょくしなんしょ』に書いてあった通りに、浄化棒を根元近くまで入れると、30数え始めた。浄化棒は、アナルの中に入れると、中をキレイにしてくれるというものらしい。浄化棒を入れた後なら、アナルを舐めても大丈夫なんだとか。

 ロルフは、30数え終えると、ゆっくりと浄化棒をガルバーンのアナルから引き抜いた。
 これで、『じぜんじゅんび』は完了である。次は、『ぜんぎ』だ。
 ロルフは、ガルバーンに声をかけ、仰向けに寝転がってもらった。

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