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68:帰りを待つ
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春が過ぎ、季節は初夏に差し掛かろうとしている。カールはまだ帰ってこない。少なくともまだあと半月は航海の予定である。
休日。セガールが目覚めると、仰向けに寝ているセガールの身体の上で、リディオが寝ていた。シェリーはベッドの端ギリギリで寝ていた。ぶっちゃけ、2人とも寝相がいい方ではない。リディオはセガールの身体の上で寝るのが好きなのか、気づけば身体の上で寝ていることが多い。子供体温が地味に暑いが、それが愛おしい。
日課の筋トレをして、朝食を作らねばならないのだが、たまには朝寝坊をするのもいいかと思い、セガールは規則正しい寝息を立てて俯せで寝ているリディオの背中を優しく撫でた。
カールが不在になって、約5ヶ月半。本当に長かった。春先にリディオが風邪をひいて慌てたり、シェリーがついにリールと恋人になったりと色々あった。カールがいてくれたらと何度思ったか分からない。
シェリーはリールと恋人になったが、キスはシェリーが成人するまでお預けだと言われたらしい。本人は不満そうにしていたが、常識人のリールに本当に感謝である。リールとは街の図書館でよく会うし、たまに家に来るようになった。リールの人となりはそれなりに知っているので、リールならばいいかと思う反面、やはりシェリーの成長が寂しい。
リディオもリールに懐いているので、仮に2人が成人して就職して結婚しても、多分上手くやっていけるのだろうが、そこまで先のことはまだ考えたくない。カールに泣きつきたいが、そのカールは不在である。複雑なパパ心を吐き出す相手がいなくて、本当に辛い。
なにより、カールがいないと本当に寂しい。リディオがきて、家の中が賑やかになったが、やはりカールがいないと、どこか静かで物足りない。
これに慣れていかなきゃいけないのだが、まだまだ慣れるまでに時間がかかりそうだ。
セガールは小さく溜め息を吐くと、もぞもぞと動き始めたリディオの背中を優しくトントンと叩いた。
今日はリールが午後から家に来る予定である。今日はシェリーと一緒に、2人で最近趣味で調べていることをレポートにまとめるらしい。リールは好奇心旺盛で、特に歴史に関する調べものが大好きだ。本を読むだけではなく、自分なりにレポートにまとめたりしているそうだ。
マルクに聞いた話だと、どれも大変丁寧なまとめ方をしていて、リールは研究者向きらしい。リール自身は学校の先生になりたいそうで、冬にある高等学校の受験勉強に精を出しつつ、息抜きでシェリーと一緒に調べものをしてレポートにまとめて遊んでいるそうだ。
リールは穏やかで優しい性格をしているし、シェリーを大切にしていることがなんとなく分かる。礼儀正しいし、セガールとしても好感を持っている。ポッと出の誰かにとられるくらいなら、リールにお婿さんにきてほしい。
リールがお婿さんにきてくれるかは、シェリーの頑張り次第である。是非とも全力で口説き落としてほしい。シェリーがお嫁にいくのは寂し過ぎて無理だ。
身体の上にいるリディオが起きたので、ベッドから落ちそうになっているシェリーを起こし、3人で顔を洗いに階下の脱衣場にある洗面台に向かった。
顔を洗った後、運動できる服に着替えて、3人で走りに出かける。シェリーはシェリーのペースで走り、セガールはリディオと一緒に走る。シェリーが走るのが大好きで、毎日走っていることを知ると、リディオも一緒にやりたがった。シェリーは足が速い方なので、当然リディオは追いつけないし、そもそも同じ距離を走ることさえ無理である。セガールも最近はシェリーに追いつけなくなってきたので、リディオと一緒に、リディオがキツくない程度の距離をリディオと一緒に走っている。
シェリーよりも早く走り終えるので、終わったら、庭で日課の筋トレをする。
リディオはいつも筋トレをするセガールの側で、筋トレをするセガールを眺めている。もっと大きくなったら、一緒にやると約束している。リディオが筋トレをするようになるくらいまで、筋肉を維持する必要ができた。セガールは前以上に毎日の筋トレを頑張っている。
満足するまで走り終えたシェリーが戻ると、順番にシャワーを浴びて、お揃いのエプロンを着けて朝食を作る。リディオにもお手伝いをしてもらう。今時、男でも料理ができた方がいいので、お手伝いをさせつつ、少しずつ料理を教えていくつもりである。最近は、シェリーに単なるお手伝いだけでなく、本格的に料理を教え始めた。セガールがシェリーに教えてやれることは少ないが、シェリーもいつかは結婚をして子供を育てるようになるので、セガールが教えてやれることは全て教えてやりたい。
勉強は放っておいても自分から進んでやるし、洗濯や掃除はカールと一緒にやっていたら自然と覚えていたので、本当に料理くらいしか教えられることがない。それでも、料理だけでも教えてやれることが嬉しい。
3人で他愛のないお喋りをしながら朝食を作り、賑やかな朝食を終えると、3人で後片付けをして、手分けをして朝の家事を済ませる。リディオはセガールと一緒に掃除をして、シェリーは洗濯物を干す。シェリーは几帳面な性格をしているので、洗い皺が残らないように、いつも丁寧に干してくれる。洗濯物を畳むのも丁寧でキレイだ。
朝の家事を終える頃には午前のお茶の時間になったので、珈琲を淹れて、ホットミルクを作り、3人でまったりとおやつのクッキーを食べた。
シェリーがマルクから習ったクッキーを作りたいと言い出したので、昼食を作るまでの間に、クッキーを作ることになった。リールに食べさせたいらしい。
セガールもシェリーと一緒に何度かクッキーを作っているので、クッキーなら作れるようになった。リディオもクッキー作りが大好きなので、材料を常備するようになった。
手早くおやつの後片付けをした後、お揃いのエプロンを着けて、クッキーを作る。買い物は午後からリディオと2人で行く予定である。リールは常識人なので、シェリーと2人きりにさせても、そんなに心配ない。リディオがいたら、多分2人の邪魔をしちゃうので、午後はリディオを連れて出かけてやるつもりだ。
リールをシェリーの恋人と認めてやりたくはないが、2人ともいつも真面目にレポートを作成しているだけなので、邪魔をするのも気が咎める。セガールも本を読むのが好きだが、レポート作成等を含めた勉強は面倒で好きじゃなかった。楽しそうに趣味でレポートを書く若い2人に、素直に感心する。
児童書ばかりを読んでいたシェリーも、最近は読む本の幅が広がりつつあり、色んなことに興味を持つようになった。とてもいいことだと思う。知識や教養はあった方がいい。色んな物事の捉え方をできるようになる。その方が、きっと色んな事を楽しめるようになるだろう。
シェリーの人生が楽しいものになる手伝いをしてくれていると思うと、素直にリールに感謝したくなる。まだ恋人とは認めたくないが。
クッキーが焼きあがると、甘い匂いが台所に広がった。1枚ずつ焼き立てを味見して、今度は昼食を作る。
シェリーに挽肉のオムレツの作り方を教えながら、リディオにはサラダを作ってもらう。野菜を洗って千切るだけのものだ。魚が好きなリディオだが、挽肉のオムレツに最近ハマっており、よくねだられる。シェリーが器用に形のいいオムレツを焼き上げると、リディオが歓声を上げて、キラキラした目でシェリーを見た。シェリーが照れくさそうに、嬉しそうに笑った。
シェリーが作ったオムレツも、リディオが頑張ってくれたサラダも美味しく出来た。
早くカールにも食べさせてやりたい。きっと驚いた後で、満面の笑みで2人を褒めまくるのだろう。
その様子が簡単に想像できて、セガールは子供達に見られないように、小さく笑った。
カールが帰ってくるまで、あと約半月。
カールに話したいことが沢山ある。カールの帰りが本当に待ち遠しい。
セガールは子供達と後片付けをすると、家にやって来たリールに挨拶をしてから、リディオを連れて、街へと出かけた。
休日。セガールが目覚めると、仰向けに寝ているセガールの身体の上で、リディオが寝ていた。シェリーはベッドの端ギリギリで寝ていた。ぶっちゃけ、2人とも寝相がいい方ではない。リディオはセガールの身体の上で寝るのが好きなのか、気づけば身体の上で寝ていることが多い。子供体温が地味に暑いが、それが愛おしい。
日課の筋トレをして、朝食を作らねばならないのだが、たまには朝寝坊をするのもいいかと思い、セガールは規則正しい寝息を立てて俯せで寝ているリディオの背中を優しく撫でた。
カールが不在になって、約5ヶ月半。本当に長かった。春先にリディオが風邪をひいて慌てたり、シェリーがついにリールと恋人になったりと色々あった。カールがいてくれたらと何度思ったか分からない。
シェリーはリールと恋人になったが、キスはシェリーが成人するまでお預けだと言われたらしい。本人は不満そうにしていたが、常識人のリールに本当に感謝である。リールとは街の図書館でよく会うし、たまに家に来るようになった。リールの人となりはそれなりに知っているので、リールならばいいかと思う反面、やはりシェリーの成長が寂しい。
リディオもリールに懐いているので、仮に2人が成人して就職して結婚しても、多分上手くやっていけるのだろうが、そこまで先のことはまだ考えたくない。カールに泣きつきたいが、そのカールは不在である。複雑なパパ心を吐き出す相手がいなくて、本当に辛い。
なにより、カールがいないと本当に寂しい。リディオがきて、家の中が賑やかになったが、やはりカールがいないと、どこか静かで物足りない。
これに慣れていかなきゃいけないのだが、まだまだ慣れるまでに時間がかかりそうだ。
セガールは小さく溜め息を吐くと、もぞもぞと動き始めたリディオの背中を優しくトントンと叩いた。
今日はリールが午後から家に来る予定である。今日はシェリーと一緒に、2人で最近趣味で調べていることをレポートにまとめるらしい。リールは好奇心旺盛で、特に歴史に関する調べものが大好きだ。本を読むだけではなく、自分なりにレポートにまとめたりしているそうだ。
マルクに聞いた話だと、どれも大変丁寧なまとめ方をしていて、リールは研究者向きらしい。リール自身は学校の先生になりたいそうで、冬にある高等学校の受験勉強に精を出しつつ、息抜きでシェリーと一緒に調べものをしてレポートにまとめて遊んでいるそうだ。
リールは穏やかで優しい性格をしているし、シェリーを大切にしていることがなんとなく分かる。礼儀正しいし、セガールとしても好感を持っている。ポッと出の誰かにとられるくらいなら、リールにお婿さんにきてほしい。
リールがお婿さんにきてくれるかは、シェリーの頑張り次第である。是非とも全力で口説き落としてほしい。シェリーがお嫁にいくのは寂し過ぎて無理だ。
身体の上にいるリディオが起きたので、ベッドから落ちそうになっているシェリーを起こし、3人で顔を洗いに階下の脱衣場にある洗面台に向かった。
顔を洗った後、運動できる服に着替えて、3人で走りに出かける。シェリーはシェリーのペースで走り、セガールはリディオと一緒に走る。シェリーが走るのが大好きで、毎日走っていることを知ると、リディオも一緒にやりたがった。シェリーは足が速い方なので、当然リディオは追いつけないし、そもそも同じ距離を走ることさえ無理である。セガールも最近はシェリーに追いつけなくなってきたので、リディオと一緒に、リディオがキツくない程度の距離をリディオと一緒に走っている。
シェリーよりも早く走り終えるので、終わったら、庭で日課の筋トレをする。
リディオはいつも筋トレをするセガールの側で、筋トレをするセガールを眺めている。もっと大きくなったら、一緒にやると約束している。リディオが筋トレをするようになるくらいまで、筋肉を維持する必要ができた。セガールは前以上に毎日の筋トレを頑張っている。
満足するまで走り終えたシェリーが戻ると、順番にシャワーを浴びて、お揃いのエプロンを着けて朝食を作る。リディオにもお手伝いをしてもらう。今時、男でも料理ができた方がいいので、お手伝いをさせつつ、少しずつ料理を教えていくつもりである。最近は、シェリーに単なるお手伝いだけでなく、本格的に料理を教え始めた。セガールがシェリーに教えてやれることは少ないが、シェリーもいつかは結婚をして子供を育てるようになるので、セガールが教えてやれることは全て教えてやりたい。
勉強は放っておいても自分から進んでやるし、洗濯や掃除はカールと一緒にやっていたら自然と覚えていたので、本当に料理くらいしか教えられることがない。それでも、料理だけでも教えてやれることが嬉しい。
3人で他愛のないお喋りをしながら朝食を作り、賑やかな朝食を終えると、3人で後片付けをして、手分けをして朝の家事を済ませる。リディオはセガールと一緒に掃除をして、シェリーは洗濯物を干す。シェリーは几帳面な性格をしているので、洗い皺が残らないように、いつも丁寧に干してくれる。洗濯物を畳むのも丁寧でキレイだ。
朝の家事を終える頃には午前のお茶の時間になったので、珈琲を淹れて、ホットミルクを作り、3人でまったりとおやつのクッキーを食べた。
シェリーがマルクから習ったクッキーを作りたいと言い出したので、昼食を作るまでの間に、クッキーを作ることになった。リールに食べさせたいらしい。
セガールもシェリーと一緒に何度かクッキーを作っているので、クッキーなら作れるようになった。リディオもクッキー作りが大好きなので、材料を常備するようになった。
手早くおやつの後片付けをした後、お揃いのエプロンを着けて、クッキーを作る。買い物は午後からリディオと2人で行く予定である。リールは常識人なので、シェリーと2人きりにさせても、そんなに心配ない。リディオがいたら、多分2人の邪魔をしちゃうので、午後はリディオを連れて出かけてやるつもりだ。
リールをシェリーの恋人と認めてやりたくはないが、2人ともいつも真面目にレポートを作成しているだけなので、邪魔をするのも気が咎める。セガールも本を読むのが好きだが、レポート作成等を含めた勉強は面倒で好きじゃなかった。楽しそうに趣味でレポートを書く若い2人に、素直に感心する。
児童書ばかりを読んでいたシェリーも、最近は読む本の幅が広がりつつあり、色んなことに興味を持つようになった。とてもいいことだと思う。知識や教養はあった方がいい。色んな物事の捉え方をできるようになる。その方が、きっと色んな事を楽しめるようになるだろう。
シェリーの人生が楽しいものになる手伝いをしてくれていると思うと、素直にリールに感謝したくなる。まだ恋人とは認めたくないが。
クッキーが焼きあがると、甘い匂いが台所に広がった。1枚ずつ焼き立てを味見して、今度は昼食を作る。
シェリーに挽肉のオムレツの作り方を教えながら、リディオにはサラダを作ってもらう。野菜を洗って千切るだけのものだ。魚が好きなリディオだが、挽肉のオムレツに最近ハマっており、よくねだられる。シェリーが器用に形のいいオムレツを焼き上げると、リディオが歓声を上げて、キラキラした目でシェリーを見た。シェリーが照れくさそうに、嬉しそうに笑った。
シェリーが作ったオムレツも、リディオが頑張ってくれたサラダも美味しく出来た。
早くカールにも食べさせてやりたい。きっと驚いた後で、満面の笑みで2人を褒めまくるのだろう。
その様子が簡単に想像できて、セガールは子供達に見られないように、小さく笑った。
カールが帰ってくるまで、あと約半月。
カールに話したいことが沢山ある。カールの帰りが本当に待ち遠しい。
セガールは子供達と後片付けをすると、家にやって来たリールに挨拶をしてから、リディオを連れて、街へと出かけた。
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