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6:半分お仕事の日
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航海に出る日の3日前。
今日はカールは半日だけ仕事である。次の航海の最終打ち合わせがある。昼過ぎには終わるので、シェリーが学校から帰ってくる時間までには家に帰れるだろう。
少し久しぶりに軍服を着て、カールは出勤するセガールと一緒に家を出た。海軍の建物まで、半刻はかかる。ちょうどいい散歩になる距離だ。
春の風が心地よい中、セガールと話しながら歩く。
「シェリー、毎日飯食ってくれてますね。昨日は給食も全部食べたって自慢してましたよ」
「あぁ。カールのお陰だ」
「俺は特に何もしてないですよ。セガールさんの飯が美味いからでしょ」
「自分で作るのもよかったのかもな。嫁が出ていってからは、手伝いとかさせてなかったから」
「へぇー。そうだったんですね」
「あぁ。母親が出ていったショックが大きかったから、家事の手伝いをさせるのも気の毒で」
「あーー。なるほどです」
「一緒に家事をすれば、少しは会話が増えるんじゃないかと期待してるんだ。今はお前を間に挟まないと、まともに会話が成り立たないからな」
「あはは。ちょうど難しいお年頃の女の子ですしねぇ」
「そうなんだよ。これから多分もっと難しくなる。女親じゃないと話せないことも出てくるだろうし、再婚した方がいいんだろうが、相手が中々見つからない」
「相手が見つからないのは俺もですね。もう結婚適齢期ギリッギリですし。これ以上歳くったら、益々結婚が遠のきます」
「俺は30手前で結婚できたぞ。片足無いのに」
「セガールさん、格好いいですし。あと、高給取りで内勤っていう条件は大きいかと」
「航海に出るとなるとなぁ。どうしても長期間不在になるからな。俺もそれで船に乗っている間は結婚できなかった」
「でーすーよーねー。余程船が好きな奴以外、ある程度歳とったら内勤希望するのも分かりますしね。子供の成長を近くで見れないし、嫁に浮気されるってのも割と聞きますし」
「子供の存在は大きいな。航海から帰ってきたら、『知らないおじさんが来た』って言われた事がある奴、結構いるしな」
「そんなん言われたら泣くしかないですね」
「キツいもんがあるよな。疲れて帰ってきて、やっと家族に会えたと思ったら、それだもんな」
「俺もそーなるかもです……船は身体が動かなくなるまで乗り続けたいですし」
「まぁ、お前はまだギリギリ若いから、そのうち縁があるだろうよ」
「あるといいですねー。美人じゃなくていいから、笑うと愛嬌があって可愛い感じの子がいいです」
「愛嬌は大事だな」
「大事ですよね。ツンとした美人より、ニコニコ笑ってる普通の子の方が断然いいです」
「分かるわ。あ、そうだ」
「なんです?」
「今日、ついでにお前の住所を俺の家に変更しとけよ。まだしてないだろう?」
「あ。そうでした。何かあった時がマズいですね」
「あぁ。海は常に危険と隣り合わせだからな」
「ですね。まぁ、そこが面白いところでもあるんですけど」
「次の航海は南の方だろう?岩礁地帯を通る航路の」
「です。あそこ、何回通っても毎回ヒヤヒヤするんですよね」
「船底をやられたら一発だからな。あの辺りはまともな島もないし、通る船は海賊船くらいなもんだ」
「まぁ死にますよね」
「普通に死ぬな」
「今回は特に気合を入れないとやべぇです。まぁ、毎回そうなんですけど」
「メイン操舵手はベテランのキャンバレイさんだろ?あの人なら、まぁ大丈夫だろう。油断は禁物だが」
「はい。今回は海賊に遭遇する確率が高い航路を行くんで、なんかあったら、俺の荷物は適当に処分してください」
「あぁ。分かった」
「帰ってくる頃には秋ですね。秋の豊穣祭に間に合うと嬉しいですねー」
「俺はその日は毎年警備に駆り出されている。警邏隊だけじゃ手が足りないんだと」
「うわぁ……じゃあ、何としてでも豊穣祭前に帰りたいですね。シェリーが折角の豊穣祭に行けないなんて可哀想なんで」
「帰ってきていたら頼むよ。去年は嫁が出ていったばっかりで、あの子は豊穣祭に行ってないから」
「あらま。天候と波がいいことを祈りますかね。秋の豊穣祭は俺も数年ぶりですし」
「いい風と波に恵まれるといいな」
「はい」
話しながら歩いていると、海軍の建物に着いた。カールはセガールと別れ、最終打ち合わせが行われる会議室へと向かった。
最終打ち合わせが終わり、ぞろぞろと一緒に航海をする面子が会議室から出ていくと、ポンポンと後ろから肩を叩かれた。顔だけで振り返れば、副隊長のアーバインだった。アーバインは同期で、特に仲がいい。上司と部下という関係だが、2人だけの時は普通に友人として接している。アーバインは既に結婚していて、2人の子持ちである。
アーバインが、がっとカールの肩に腕を回し、にやーっと笑った。
「カール。今から飲みに行こうぜ」
「お前、家で可愛い天使ちゃん達と一緒に過ごさなくていいのかよ」
「別に昔みたいに朝まで飲むわけじゃない。昼飯がてら、ちょっと飲むだけだ。たまにはいいだろー」
「じゃあ、ちょっとだけ付き合う。夕方前には帰るけどな」
「おー。そうこなくっちゃ。『至福亭』に行こうぜ。たまの贅沢ってことで」
「いいな。あ、先に事務室に寄っていいか?」
「事務室?何かあったっけ」
「俺の住所変更。まだ内々の話だけど、俺が住んでた官舎、取り壊しになるらしい。だから今はセガール隊長の家に居候してんだよ」
「へぇ!あの鬼のセガール隊長の家にか!」
「お前、あの人苦手だよな」
「だって、クッソ厳しかったじゃねぇか。訓練で何度死ぬかと思ったか」
「大袈裟な。あの人のしごきのお陰で今も生きてるんだろうが」
「まぁな。感謝はしてるけど、苦手意識は中々消えねぇのよ」
「あっそ」
カールはアーバインと一緒に事務室に行き、必要な手続きをすると、海軍の建物から出た。
街の大通りにある『至福亭』に真っ直ぐ向かい、店に入る。昼食にも酒の肴にもなりそうな料理をいくつかと酒を注文して、すぐに運ばれてきた軽めの酒で、アーバインと乾杯をした。
「こないだの婚活パーティーはどうだった?」
「はっはっは。全滅」
「おぉう……お前、顔はいいのにな」
「海軍の船乗りやってるって言った時点でお断りだぜ」
「ひでぇ。まぁ、俺も嫁から愚痴られるわ。『貴方がいない間、本当に大変だったんだから!』って。子供がまだ小さいし、嫁のお袋さん達が手伝ってくれてるけど、まぁ大変みたいでよー。下の子には帰った日にギャン泣きされたぜ。人見知りで。俺の顔忘れられてたわ」
「切ないにも程がある」
「だよなぁ!」
「でも早く結婚したいんだよなぁ。可愛い嫁さんと子供がほしい。やっぱこう……帰りを待ってくれる人がいると違うだろ?」
「まぁな。何がなんでも生きて帰ってやらぁ!って気になるな」
「はぁー。結婚したい。マジで美人とか贅沢は言わない。愛嬌があって可愛い女なら誰でもいい。浮気しないでくれるなら」
「あ、聞いたか?パーシーの奴、嫁に浮気されたらしいぞ。しかも浮気相手の子供を妊娠で発覚」
「うわ。最悪。気の毒に……」
「パーシーがめちゃくちゃ凹んでてさぁ。ありゃ離婚するな」
「あー……まぁ、離婚一択だよな。パーシーの子供はまだいなかっただろ?」
「おう。それがいいのか悪いのか。微妙なとこだな」
「アーバイン。知り合いの女に誰かいい人いないか?」
「いたら、とっくの昔に紹介してるっつの。性格とかいい女から先に売れていくんだよ」
「まぁ、そうだよなー。次、帰ってきたら、また婚活パーティーに行くかね」
「そうしろよ。出会いはどこに転がってるか分からんぞ」
「おーう」
カールはアーバインに慰めてもらいながら、アーバインの家族の話を聞いたりして、夕方近くまで酒を楽しんだ。
夕暮れ時が近くなり、カールは少し慌てて、丘の上の家を目指して、早歩きで歩いていた。後ろから、カールの名前を呼ぶ声が聞こえて、振り返れば、シェリーが走ってきていた。
立ち止まってシェリーを待つと、シェリーはすぐにカールの側にやって来た。
「おかえり。シェリー」
「ただいま。まだ家じゃないけど。今日仕事じゃなかったの?酒臭いわ」
「あり?そんなに臭う?」
「ちょっと臭い」
「ひどい。仕事終わりに友達と少しだけ飲んだだけだよ」
「ふーん」
「チョコレート菓子を買ってきたから、デザートに食おう。オレンジピールをチョコレートでコーティングしてあって、美味いんだな。これが」
「やった!!早く帰ろう!洗濯物片付けて、早くご飯作ろう!早く食べたい!」
「あははっ!慌てなくてもチョコレート菓子は逃げないよ。でも、洗濯物取り込まなきゃいけないから、少しだけ急ごうか」
「うん」
カールは走り出したシェリーを追って、小走りで駆け出した。2人で走って家まで帰り、洗濯物を取り込んで畳んでいると、セガールが帰ってきた。
シェリーがセガールを急かして、今日は少し早めの夕食になった。
デザートに、お待ちかねのチョコレート菓子を食べたシェリーは、とても幸せそうに美味しそうに食べていた。
そんなシェリーを見て、セガールが嬉しそうな、とても穏やかな顔をしていた。
やっぱり自分の家族がいるって羨ましい。カールは自分の父親と仲が悪く、ほぼ完全に絶縁状態だ。
こういう温かい自分だけの家族が欲しいなぁと、カールは染み染み思った。
今日はカールは半日だけ仕事である。次の航海の最終打ち合わせがある。昼過ぎには終わるので、シェリーが学校から帰ってくる時間までには家に帰れるだろう。
少し久しぶりに軍服を着て、カールは出勤するセガールと一緒に家を出た。海軍の建物まで、半刻はかかる。ちょうどいい散歩になる距離だ。
春の風が心地よい中、セガールと話しながら歩く。
「シェリー、毎日飯食ってくれてますね。昨日は給食も全部食べたって自慢してましたよ」
「あぁ。カールのお陰だ」
「俺は特に何もしてないですよ。セガールさんの飯が美味いからでしょ」
「自分で作るのもよかったのかもな。嫁が出ていってからは、手伝いとかさせてなかったから」
「へぇー。そうだったんですね」
「あぁ。母親が出ていったショックが大きかったから、家事の手伝いをさせるのも気の毒で」
「あーー。なるほどです」
「一緒に家事をすれば、少しは会話が増えるんじゃないかと期待してるんだ。今はお前を間に挟まないと、まともに会話が成り立たないからな」
「あはは。ちょうど難しいお年頃の女の子ですしねぇ」
「そうなんだよ。これから多分もっと難しくなる。女親じゃないと話せないことも出てくるだろうし、再婚した方がいいんだろうが、相手が中々見つからない」
「相手が見つからないのは俺もですね。もう結婚適齢期ギリッギリですし。これ以上歳くったら、益々結婚が遠のきます」
「俺は30手前で結婚できたぞ。片足無いのに」
「セガールさん、格好いいですし。あと、高給取りで内勤っていう条件は大きいかと」
「航海に出るとなるとなぁ。どうしても長期間不在になるからな。俺もそれで船に乗っている間は結婚できなかった」
「でーすーよーねー。余程船が好きな奴以外、ある程度歳とったら内勤希望するのも分かりますしね。子供の成長を近くで見れないし、嫁に浮気されるってのも割と聞きますし」
「子供の存在は大きいな。航海から帰ってきたら、『知らないおじさんが来た』って言われた事がある奴、結構いるしな」
「そんなん言われたら泣くしかないですね」
「キツいもんがあるよな。疲れて帰ってきて、やっと家族に会えたと思ったら、それだもんな」
「俺もそーなるかもです……船は身体が動かなくなるまで乗り続けたいですし」
「まぁ、お前はまだギリギリ若いから、そのうち縁があるだろうよ」
「あるといいですねー。美人じゃなくていいから、笑うと愛嬌があって可愛い感じの子がいいです」
「愛嬌は大事だな」
「大事ですよね。ツンとした美人より、ニコニコ笑ってる普通の子の方が断然いいです」
「分かるわ。あ、そうだ」
「なんです?」
「今日、ついでにお前の住所を俺の家に変更しとけよ。まだしてないだろう?」
「あ。そうでした。何かあった時がマズいですね」
「あぁ。海は常に危険と隣り合わせだからな」
「ですね。まぁ、そこが面白いところでもあるんですけど」
「次の航海は南の方だろう?岩礁地帯を通る航路の」
「です。あそこ、何回通っても毎回ヒヤヒヤするんですよね」
「船底をやられたら一発だからな。あの辺りはまともな島もないし、通る船は海賊船くらいなもんだ」
「まぁ死にますよね」
「普通に死ぬな」
「今回は特に気合を入れないとやべぇです。まぁ、毎回そうなんですけど」
「メイン操舵手はベテランのキャンバレイさんだろ?あの人なら、まぁ大丈夫だろう。油断は禁物だが」
「はい。今回は海賊に遭遇する確率が高い航路を行くんで、なんかあったら、俺の荷物は適当に処分してください」
「あぁ。分かった」
「帰ってくる頃には秋ですね。秋の豊穣祭に間に合うと嬉しいですねー」
「俺はその日は毎年警備に駆り出されている。警邏隊だけじゃ手が足りないんだと」
「うわぁ……じゃあ、何としてでも豊穣祭前に帰りたいですね。シェリーが折角の豊穣祭に行けないなんて可哀想なんで」
「帰ってきていたら頼むよ。去年は嫁が出ていったばっかりで、あの子は豊穣祭に行ってないから」
「あらま。天候と波がいいことを祈りますかね。秋の豊穣祭は俺も数年ぶりですし」
「いい風と波に恵まれるといいな」
「はい」
話しながら歩いていると、海軍の建物に着いた。カールはセガールと別れ、最終打ち合わせが行われる会議室へと向かった。
最終打ち合わせが終わり、ぞろぞろと一緒に航海をする面子が会議室から出ていくと、ポンポンと後ろから肩を叩かれた。顔だけで振り返れば、副隊長のアーバインだった。アーバインは同期で、特に仲がいい。上司と部下という関係だが、2人だけの時は普通に友人として接している。アーバインは既に結婚していて、2人の子持ちである。
アーバインが、がっとカールの肩に腕を回し、にやーっと笑った。
「カール。今から飲みに行こうぜ」
「お前、家で可愛い天使ちゃん達と一緒に過ごさなくていいのかよ」
「別に昔みたいに朝まで飲むわけじゃない。昼飯がてら、ちょっと飲むだけだ。たまにはいいだろー」
「じゃあ、ちょっとだけ付き合う。夕方前には帰るけどな」
「おー。そうこなくっちゃ。『至福亭』に行こうぜ。たまの贅沢ってことで」
「いいな。あ、先に事務室に寄っていいか?」
「事務室?何かあったっけ」
「俺の住所変更。まだ内々の話だけど、俺が住んでた官舎、取り壊しになるらしい。だから今はセガール隊長の家に居候してんだよ」
「へぇ!あの鬼のセガール隊長の家にか!」
「お前、あの人苦手だよな」
「だって、クッソ厳しかったじゃねぇか。訓練で何度死ぬかと思ったか」
「大袈裟な。あの人のしごきのお陰で今も生きてるんだろうが」
「まぁな。感謝はしてるけど、苦手意識は中々消えねぇのよ」
「あっそ」
カールはアーバインと一緒に事務室に行き、必要な手続きをすると、海軍の建物から出た。
街の大通りにある『至福亭』に真っ直ぐ向かい、店に入る。昼食にも酒の肴にもなりそうな料理をいくつかと酒を注文して、すぐに運ばれてきた軽めの酒で、アーバインと乾杯をした。
「こないだの婚活パーティーはどうだった?」
「はっはっは。全滅」
「おぉう……お前、顔はいいのにな」
「海軍の船乗りやってるって言った時点でお断りだぜ」
「ひでぇ。まぁ、俺も嫁から愚痴られるわ。『貴方がいない間、本当に大変だったんだから!』って。子供がまだ小さいし、嫁のお袋さん達が手伝ってくれてるけど、まぁ大変みたいでよー。下の子には帰った日にギャン泣きされたぜ。人見知りで。俺の顔忘れられてたわ」
「切ないにも程がある」
「だよなぁ!」
「でも早く結婚したいんだよなぁ。可愛い嫁さんと子供がほしい。やっぱこう……帰りを待ってくれる人がいると違うだろ?」
「まぁな。何がなんでも生きて帰ってやらぁ!って気になるな」
「はぁー。結婚したい。マジで美人とか贅沢は言わない。愛嬌があって可愛い女なら誰でもいい。浮気しないでくれるなら」
「あ、聞いたか?パーシーの奴、嫁に浮気されたらしいぞ。しかも浮気相手の子供を妊娠で発覚」
「うわ。最悪。気の毒に……」
「パーシーがめちゃくちゃ凹んでてさぁ。ありゃ離婚するな」
「あー……まぁ、離婚一択だよな。パーシーの子供はまだいなかっただろ?」
「おう。それがいいのか悪いのか。微妙なとこだな」
「アーバイン。知り合いの女に誰かいい人いないか?」
「いたら、とっくの昔に紹介してるっつの。性格とかいい女から先に売れていくんだよ」
「まぁ、そうだよなー。次、帰ってきたら、また婚活パーティーに行くかね」
「そうしろよ。出会いはどこに転がってるか分からんぞ」
「おーう」
カールはアーバインに慰めてもらいながら、アーバインの家族の話を聞いたりして、夕方近くまで酒を楽しんだ。
夕暮れ時が近くなり、カールは少し慌てて、丘の上の家を目指して、早歩きで歩いていた。後ろから、カールの名前を呼ぶ声が聞こえて、振り返れば、シェリーが走ってきていた。
立ち止まってシェリーを待つと、シェリーはすぐにカールの側にやって来た。
「おかえり。シェリー」
「ただいま。まだ家じゃないけど。今日仕事じゃなかったの?酒臭いわ」
「あり?そんなに臭う?」
「ちょっと臭い」
「ひどい。仕事終わりに友達と少しだけ飲んだだけだよ」
「ふーん」
「チョコレート菓子を買ってきたから、デザートに食おう。オレンジピールをチョコレートでコーティングしてあって、美味いんだな。これが」
「やった!!早く帰ろう!洗濯物片付けて、早くご飯作ろう!早く食べたい!」
「あははっ!慌てなくてもチョコレート菓子は逃げないよ。でも、洗濯物取り込まなきゃいけないから、少しだけ急ごうか」
「うん」
カールは走り出したシェリーを追って、小走りで駆け出した。2人で走って家まで帰り、洗濯物を取り込んで畳んでいると、セガールが帰ってきた。
シェリーがセガールを急かして、今日は少し早めの夕食になった。
デザートに、お待ちかねのチョコレート菓子を食べたシェリーは、とても幸せそうに美味しそうに食べていた。
そんなシェリーを見て、セガールが嬉しそうな、とても穏やかな顔をしていた。
やっぱり自分の家族がいるって羨ましい。カールは自分の父親と仲が悪く、ほぼ完全に絶縁状態だ。
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