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25:鍛錬の合間の息抜き
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ヤニクは大剣を振りかぶり、目の前の騎士に向かって全力で大剣を振り下ろした。素早くヤニクの大剣を避けた騎士が斬りかかってくるのを、なんとか大剣で受け止める。
ヤニクは昼食の時間まで、真剣に剣の稽古に励んだ。
もう季節は八の月が終わる頃だ。ヤニクは30歳になった。剣の稽古は割と順調だと思う。新人相手なら模擬戦で勝てるようになってきた。中堅くらいの騎士達にはまだ遊ばれるが、新年を迎える頃には追いついてやろうと思っている。
魔獣の繁殖期が終わるまで性行為をしないと決めたので、ヴィーターとの夜の時間がなくなり、デリークと夜の剣の稽古をするようになった。ヴィーターも一緒にやっている。基礎が大事だからと、剣の素振りから一緒にやってくれるし、デリークと一緒にガンガン扱いてくれる。
毎日へろへろになるまで扱かれて、風呂は寝ないようにとヴィーターが見張りも兼ねて一緒に入ってくれる。ヴィータ―に手を引かれてヴィータ―の寝室に入ると、もう殆ど意識が夢の中に飛んでいる。性行為はしないが、ヴィータ―と一緒のベッドで寝ている。
ヴィーターが朝稽古も一緒にしてくれているので、朝は2人揃ってデリークに叩き起こされる毎日を過ごしている。
ヤイート達と触れ合う時間が欲しいのだが、中々時間がうまくつくれない。食事の時は、がつがつと食べて、ちょっとだけ食休みをしたら、またすぐに基礎鍛錬や剣の稽古を始めるので、のんびり紅茶を飲むこともない。寝る前にヤイート達の寝顔をちょっと見ることができたら御の字という感じである。子供達ともっとちゃんと触れ合いたいが、魔獣の繁殖期まで半年をきった。自分自身が生き残るためにも、子供達を守るためにも、今が頑張り時である。
ヤニクは、今日も朝早くにデリークに叩き起こされると、同じく叩き起こされたヴィーターと一緒に、朝稽古をしに、大剣片手に訓練場へと向かった。
午前中いっぱい基礎訓練をして、ヴィーターの私室でヴィーターと一緒に昼食を食べていると、ヴィーターが、一緒に食べるようになったデリークに話しかけた。
「デリーク。午後からはヤニクを連れて遠乗りに行ってくる。早駆けの練習を兼ねて。……そうだな。最終防衛線の丘まで行ってくる」
「かしこまりました。よろしいかと存じます。そろそろ息抜きの気分転換も必要でしょう」
「早駆けってあれだろ? 馬を全力疾走させるやつ」
「そうだ。吐くなよ」
「吐くようなもんなのか」
「人による。激しく揺られて吐く者もいる」
「気合でなんとかする」
「そうしろ」
ヤニクは昼食を食べき切ると、ワクワクしながら、ちょっと遠出する準備を始めた。
少し前に、ヤニクにも馬を与えられた。栗毛の目が穏やかで可愛らしい馬だが、丈夫で肝が据わっていると聞いている。初心者のヤニクが乗るのに手間取っても、嫌がって振り落としたりしないでくれる。馬に乗る練習をして、それなりに上達してきたと思う。戦闘時は、基本的に馬から降りて魔獣と戦うが、哨戒や緊急時の連絡は馬を使う。早駆けの練習も近いうちにする予定だったので、ヴィーターと一緒にできて嬉しい。
ヴィーターは剣の稽古ではデリーク以上に容赦ないので、間違いなく早駆けもきついものになるだろうが、ヴィーターと一緒に何かできるのがすごく嬉しい。
ヤニクは準備が整うと、愛馬に乗ったヴィーターと共に、砦を飛び出し、全速力で馬を走らせた。
ヤニクは馬から降りるなり、おえぇぇっと胃の内容物を吐き出した。早駆け、予想以上にきつい。まるで本番さながらな勢いで馬をかっ飛ばし、普通に馬を歩かせたら1日はかかる距離にある丘まで、僅か二刻ちょっとで走り切った。ヤニクは早駆けは初めてなのだから、もう少し手加減してくれてもよかった気がする。が、相手はヴィーターだ。基本的にデリークよりも容赦がない。
胃の中のものを吐き終えたヤニクがのろのろと立ち上がると、ヴィーターが水筒に入れていた水を金属製のカップに入れて手渡してくれた。ぐじゅぐじゅうがいをして吐き出してから、残っていた水を一気に飲み干す。休憩なしの全速力で走ってきた馬は大丈夫なのだろうか。
「慣れたら吐かなくなる。慣れるまで、数日に一度、私と早駆けするぞ」
「ど、どんどこい……なぁ。こんなに走らせて、馬は大丈夫なのか?」
「早駆け専用の馬だから問題ない。戦闘時には、乗り手が合図したら安全な場所に逃げる訓練もされている。呼び笛で呼んだら戻ってくる」
「へぇー。すげぇな。賢いんだな。馬って」
「少しだけ休憩したら、砦に向かって走るぞ」
「おう。今度は吐くものがねぇから大丈夫だ」
「安心しろ。胃液を吐く」
「安心できねぇわ。それ」
「ヤニク。この丘が私達の最終防衛線だ。魔獣にこの丘を越えさせたら、我々の負けだ。見ろ。この丘の麓に、小さな町があるだろう。ヤイート達はこの町に避難させる。死ぬ気で戦え。絶対にこの丘を越えさせるな」
「分かった」
「少し座るか」
「うん」
ヴィータ―とこうして話すのは、ちょっと久しぶりな気がする。二人っきりだし、キスをしたいが、ゲロを吐いた後なので諦める。汗がだらだら流れる身体を撫でる秋を思わせる風が心地いい。今日はよく晴れていて暑いが、そろそろ秋になるだろう。
「ヴィーター。商人が来るのって九の月の頭だっけ?」
「あぁ。皆の息抜きも兼ねている。娼婦も来るが、お前は娼婦には近づくなよ」
「アンタがいるのに近づくかよ。その日は剣の稽古はどうすんだ?」
「休みだ。商人や娼婦は3日間逗留する。その3日間は私もお前も休みだから、のんびり過ごす」
「おー! よっしゃ! 剣の稽古は好きだけど、たまには休みが欲しい」
「商人達が様々なものを持ってくる。好きなものを買え」
「食い物と酒がいい。本は読める余裕がねぇし」
「髪紐は買わねばな。まだ結べるほどの長さはないが、買っておいても構わないだろう」
「アンタ、俺の髪好きだよな」
「キレイだからな。触っていて楽しい」
「だから毎日俺の頭を洗うのかよ。気持ちいいけど、毎回寝そうになる」
「寝たら担いで運んでやる」
「流石にそれはちょっと……? 気合で寝ない」
「そうしてくれ。私もお前を寝室まで運ぶのは少々きつい。途中で階段があるからな。とはいえ、お前ももう少し鍛えろ。あと少ししたら、怪我人の搬送の訓練も始まる。鎧を着た騎士達を担いで運ぶ訓練だ」
「おぉう……ちょーがんばる……」
「死ぬ気で頑張れ」
「うん」
「ヤニク」
「なんだよ」
「子供達がある程度大きくなったら、この丘にピクニックに来よう。きっと賑やかで楽しい」
「おう! いいな! それ! ……まさか早駆けで来ないよな?」
「子連れで早駆けができるか。馬車で移動する」
「あ、よかったー」
子供達とピクニックなんて本当に楽しそうだ。想像してみたヤニクがだらしなく笑うと、ヴィーターがヤニクの頬にキスをした。ヴィーターがクッと笑って、立ち上がった。
「そろそろ戻るぞ。帰りはもっと飛ばす」
「はぁ!? あれ以上早く走らせるのか!? 大丈夫なのか? 馬達が」
「丈夫で早駆け向けの馬だから問題ない。砦に戻ったら、馬の世話をして、夕食まで私と剣の稽古だ。簡単にへばってくれるなよ?」
「上等。今度は吐かねぇ。頑張れ俺」
「その意気だ」
ヤニクは、ヴィーターとそれぞれの馬に乗り、ヴィーターの合図で馬を走らせ始めた。
砦に着いて馬から降りた瞬間、胃液を吐いたのはご愛嬌ということにしておく。慣れたら、きっと吐かなくなる。馬を早駆けする度に吐いていたら、実戦では他の者の足を引っ張ることになる。
ヤニクは、早駆けの練習を多めにして欲しいと、出迎えてくれたデリークに頼んで、よろよろと頑張ってくれた馬の世話を丁寧にやった。その後の剣の稽古では、ヴィーターからずたぼろにされた。強くなるために必要なことなのだが、もう少し手加減してくれてもいいような気もする。
ヤニクはヴィータ―に引き摺られるようにして、夕食を食べるためにヴィータ―の私室へと向かった。
ヤニクは昼食の時間まで、真剣に剣の稽古に励んだ。
もう季節は八の月が終わる頃だ。ヤニクは30歳になった。剣の稽古は割と順調だと思う。新人相手なら模擬戦で勝てるようになってきた。中堅くらいの騎士達にはまだ遊ばれるが、新年を迎える頃には追いついてやろうと思っている。
魔獣の繁殖期が終わるまで性行為をしないと決めたので、ヴィーターとの夜の時間がなくなり、デリークと夜の剣の稽古をするようになった。ヴィーターも一緒にやっている。基礎が大事だからと、剣の素振りから一緒にやってくれるし、デリークと一緒にガンガン扱いてくれる。
毎日へろへろになるまで扱かれて、風呂は寝ないようにとヴィーターが見張りも兼ねて一緒に入ってくれる。ヴィータ―に手を引かれてヴィータ―の寝室に入ると、もう殆ど意識が夢の中に飛んでいる。性行為はしないが、ヴィータ―と一緒のベッドで寝ている。
ヴィーターが朝稽古も一緒にしてくれているので、朝は2人揃ってデリークに叩き起こされる毎日を過ごしている。
ヤイート達と触れ合う時間が欲しいのだが、中々時間がうまくつくれない。食事の時は、がつがつと食べて、ちょっとだけ食休みをしたら、またすぐに基礎鍛錬や剣の稽古を始めるので、のんびり紅茶を飲むこともない。寝る前にヤイート達の寝顔をちょっと見ることができたら御の字という感じである。子供達ともっとちゃんと触れ合いたいが、魔獣の繁殖期まで半年をきった。自分自身が生き残るためにも、子供達を守るためにも、今が頑張り時である。
ヤニクは、今日も朝早くにデリークに叩き起こされると、同じく叩き起こされたヴィーターと一緒に、朝稽古をしに、大剣片手に訓練場へと向かった。
午前中いっぱい基礎訓練をして、ヴィーターの私室でヴィーターと一緒に昼食を食べていると、ヴィーターが、一緒に食べるようになったデリークに話しかけた。
「デリーク。午後からはヤニクを連れて遠乗りに行ってくる。早駆けの練習を兼ねて。……そうだな。最終防衛線の丘まで行ってくる」
「かしこまりました。よろしいかと存じます。そろそろ息抜きの気分転換も必要でしょう」
「早駆けってあれだろ? 馬を全力疾走させるやつ」
「そうだ。吐くなよ」
「吐くようなもんなのか」
「人による。激しく揺られて吐く者もいる」
「気合でなんとかする」
「そうしろ」
ヤニクは昼食を食べき切ると、ワクワクしながら、ちょっと遠出する準備を始めた。
少し前に、ヤニクにも馬を与えられた。栗毛の目が穏やかで可愛らしい馬だが、丈夫で肝が据わっていると聞いている。初心者のヤニクが乗るのに手間取っても、嫌がって振り落としたりしないでくれる。馬に乗る練習をして、それなりに上達してきたと思う。戦闘時は、基本的に馬から降りて魔獣と戦うが、哨戒や緊急時の連絡は馬を使う。早駆けの練習も近いうちにする予定だったので、ヴィーターと一緒にできて嬉しい。
ヴィーターは剣の稽古ではデリーク以上に容赦ないので、間違いなく早駆けもきついものになるだろうが、ヴィーターと一緒に何かできるのがすごく嬉しい。
ヤニクは準備が整うと、愛馬に乗ったヴィーターと共に、砦を飛び出し、全速力で馬を走らせた。
ヤニクは馬から降りるなり、おえぇぇっと胃の内容物を吐き出した。早駆け、予想以上にきつい。まるで本番さながらな勢いで馬をかっ飛ばし、普通に馬を歩かせたら1日はかかる距離にある丘まで、僅か二刻ちょっとで走り切った。ヤニクは早駆けは初めてなのだから、もう少し手加減してくれてもよかった気がする。が、相手はヴィーターだ。基本的にデリークよりも容赦がない。
胃の中のものを吐き終えたヤニクがのろのろと立ち上がると、ヴィーターが水筒に入れていた水を金属製のカップに入れて手渡してくれた。ぐじゅぐじゅうがいをして吐き出してから、残っていた水を一気に飲み干す。休憩なしの全速力で走ってきた馬は大丈夫なのだろうか。
「慣れたら吐かなくなる。慣れるまで、数日に一度、私と早駆けするぞ」
「ど、どんどこい……なぁ。こんなに走らせて、馬は大丈夫なのか?」
「早駆け専用の馬だから問題ない。戦闘時には、乗り手が合図したら安全な場所に逃げる訓練もされている。呼び笛で呼んだら戻ってくる」
「へぇー。すげぇな。賢いんだな。馬って」
「少しだけ休憩したら、砦に向かって走るぞ」
「おう。今度は吐くものがねぇから大丈夫だ」
「安心しろ。胃液を吐く」
「安心できねぇわ。それ」
「ヤニク。この丘が私達の最終防衛線だ。魔獣にこの丘を越えさせたら、我々の負けだ。見ろ。この丘の麓に、小さな町があるだろう。ヤイート達はこの町に避難させる。死ぬ気で戦え。絶対にこの丘を越えさせるな」
「分かった」
「少し座るか」
「うん」
ヴィータ―とこうして話すのは、ちょっと久しぶりな気がする。二人っきりだし、キスをしたいが、ゲロを吐いた後なので諦める。汗がだらだら流れる身体を撫でる秋を思わせる風が心地いい。今日はよく晴れていて暑いが、そろそろ秋になるだろう。
「ヴィーター。商人が来るのって九の月の頭だっけ?」
「あぁ。皆の息抜きも兼ねている。娼婦も来るが、お前は娼婦には近づくなよ」
「アンタがいるのに近づくかよ。その日は剣の稽古はどうすんだ?」
「休みだ。商人や娼婦は3日間逗留する。その3日間は私もお前も休みだから、のんびり過ごす」
「おー! よっしゃ! 剣の稽古は好きだけど、たまには休みが欲しい」
「商人達が様々なものを持ってくる。好きなものを買え」
「食い物と酒がいい。本は読める余裕がねぇし」
「髪紐は買わねばな。まだ結べるほどの長さはないが、買っておいても構わないだろう」
「アンタ、俺の髪好きだよな」
「キレイだからな。触っていて楽しい」
「だから毎日俺の頭を洗うのかよ。気持ちいいけど、毎回寝そうになる」
「寝たら担いで運んでやる」
「流石にそれはちょっと……? 気合で寝ない」
「そうしてくれ。私もお前を寝室まで運ぶのは少々きつい。途中で階段があるからな。とはいえ、お前ももう少し鍛えろ。あと少ししたら、怪我人の搬送の訓練も始まる。鎧を着た騎士達を担いで運ぶ訓練だ」
「おぉう……ちょーがんばる……」
「死ぬ気で頑張れ」
「うん」
「ヤニク」
「なんだよ」
「子供達がある程度大きくなったら、この丘にピクニックに来よう。きっと賑やかで楽しい」
「おう! いいな! それ! ……まさか早駆けで来ないよな?」
「子連れで早駆けができるか。馬車で移動する」
「あ、よかったー」
子供達とピクニックなんて本当に楽しそうだ。想像してみたヤニクがだらしなく笑うと、ヴィーターがヤニクの頬にキスをした。ヴィーターがクッと笑って、立ち上がった。
「そろそろ戻るぞ。帰りはもっと飛ばす」
「はぁ!? あれ以上早く走らせるのか!? 大丈夫なのか? 馬達が」
「丈夫で早駆け向けの馬だから問題ない。砦に戻ったら、馬の世話をして、夕食まで私と剣の稽古だ。簡単にへばってくれるなよ?」
「上等。今度は吐かねぇ。頑張れ俺」
「その意気だ」
ヤニクは、ヴィーターとそれぞれの馬に乗り、ヴィーターの合図で馬を走らせ始めた。
砦に着いて馬から降りた瞬間、胃液を吐いたのはご愛嬌ということにしておく。慣れたら、きっと吐かなくなる。馬を早駆けする度に吐いていたら、実戦では他の者の足を引っ張ることになる。
ヤニクは、早駆けの練習を多めにして欲しいと、出迎えてくれたデリークに頼んで、よろよろと頑張ってくれた馬の世話を丁寧にやった。その後の剣の稽古では、ヴィーターからずたぼろにされた。強くなるために必要なことなのだが、もう少し手加減してくれてもいいような気もする。
ヤニクはヴィータ―に引き摺られるようにして、夕食を食べるためにヴィータ―の私室へと向かった。
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