『はみ出し者』の愛の卵

丸井まー(旧:まー)

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16:誘ってみた

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 ヤイートが生まれて5日が過ぎた。ヤイートは毎日元気に泣いている。チチクルもよく飲む。目を開けたヤイートの瞳は、ヤニクと同じ薄い緑色だった。どちらかと言えば、ヴィーターに似た顔立ちな気がするのだが、ヴィーターはヤニクに似ていると言う。もう少し大きくなれば、どちらに似ているのか、はっきりするだろう。

 ヤニクは、卵を孕む前の生活に殆ど戻った。朝食前に朝稽古をして、朝食の時にはヤイートにチチクルを飲ませ、昼食まで基礎鍛錬や剣の稽古に励んでから、ヴィーターと昼食をとりつつ、ヤイートの世話をちょっとする。夕食の時間までまた剣の稽古に励んでから、騎士達の風呂の時間が終わるまで、ヴィーターと一緒にヤイートの世話をする。ヴィーターと一緒に風呂に入ったら、ヴィーターと一緒に寝る。

 ヤイートの世話は、基本的には子守として雇ったビガンドがしている。ビガンドは子守歴30年のベテランらしい。いつ見ても、手際よくヤイートの世話をしている。毎日ヤイートが元気で、少しずつぷくぷくし始めているのが、なんだかすごく嬉しい。
 本当は、ずっとヤイートの側にいて、世話をしてやりたいが、ヤニクは、魔獣の繁殖期の戦力の一つになる。ヤイートを守るためにも、益々剣の稽古に気合が入るようになった。
 どれだけへとへとに疲れていても、ヤイートの顔を見れば、気力が湧いてくる。
 ヤニクは毎日頑張る日々を送っている。

 今日もヴィーターと一緒に風呂に入りながら、ヤニクはふと思った。卵を無事に産めてから、性行為をしていない。想像以上に生まれてきたヤイートが可愛いので、早く二つ目の卵も産みたい気がする。が、そのためには、ヴィーターと性行為をしなくてはいけない。ちょっと間が空いているから、ヴィーター相手でも、性行為をするのはちょこっと怖くなっている。だが、いざ始めてしまえば、きっとヴィーターに『気持ちいい』で満たされて、怖くなくなると思う。

 ヤニクは少しだけ躊躇してから、すぐ隣でお湯に浸かっているヴィーターの手を握った。


「どうした」

「あー……あれ、したい。性行為。2人目が欲しい」

「身体は大丈夫なのか」

「全然問題ねぇ」

「そうか。では、するか」

「う、うん」


 ヴィーターがこちらを向いた気配がしたので、ヴィーターの方を向くと、唇に触れるだけのキスをされた。嫌じゃないし、怖くない。ヴィーターなら大丈夫だ。
 ヤニクは、ヴィーターに手を引かれて、お湯の中で立ち上がった。浴槽から出て、手を繋いだまま脱衣所に出る。身体を拭いて寝間着を着ると、ヴィーターに伸びてきた髪を優しく拭かれた。ヤニクの髪は、襟足が首の半ばにかかる程伸びている。
 ヤニクは、目にかかりそうな前髪を指で摘まみ、ぼそっと呟いた。


「そろそろ髪を切るかな」

「切るのか」

「え? うん。長いの、好きじゃねぇ」

「……勿体無い」

「なんで?」

「お前の髪はキレイだ」

「……どーも? でも、邪魔くせぇし、無駄に目立つ」

「目立っても問題ない。砦の騎士で私の伴侶に手を出すような者はいない。前髪は少し切るとして、もう少し伸ばしてみないか」

「えー。髪が長いとこ、見てぇの?」

「見たい」

「……むぅ。じゃあ、ちょっと伸ばす」

「そうしてくれ」


 ヴィーターに『見たい』と言われたら、不思議と見せてやりたくなる。髪を伸ばすのは正直あんまりいい気はしないが、ヴィーターが髪が長いヤニクを見たいのなら、しょうがない。
 ヤニクは、暫く髪を伸ばすことにした。

 手を繋いでヴィーターの寝室に入ると、なんだか急に緊張してきた。性行為をしたいと言い出したのはヤニクなのだが、何故かじわじわと頬が熱くなってくる。心臓がばくばく激しく動いている。怖いという感じじゃない。ただ、なんか恥ずかしいような感じがする。


「ヤニク。少し酒を飲むか」

「飲む」


 酒を飲んだら、きっとこの緊張がなくなる筈である。ヤニクはヴィーターの問いかけに即答で答えた。
 ベッドに腰かけて、酒を取りに行ったヴィーターを待つ。特に深く考えずに性行為がしたいと言ったが、もしかして、自分はかなり大胆なことを言ってしまったのではないだろうか。
 ヤニクが熱くなった頬を両手で擦っていると、ヴィーターが戻ってきた。

 いつもの酒を注いだグラスを渡されたので、ちびちびと飲み始める。ほんのり甘くて美味しい酒を飲んでいると、そのうち、じわじわと身体がぽかぽかしてきて、頭がふわふわしてきた。
 ヤニクは、二杯の酒を飲み干すと、へらへら笑いながら、隣で酒を飲んでいるヴィーターに寄りかかった。


「ふわふわするー」

「二杯は多かったか。寝るか」

「ねない。『気持ちいい』がほしい」

「そうか。グラスを」

「んー」


 ヴィーターに空になったグラスを渡すと、ヴィーターが酒の瓶やグラスを床に置いた。ヴィーターに寝間着を脱がされる。ぽかぽかする身体が外気に触れて、心地いい。全裸になったヤニクは、ころんと仰向けに寝転がり、膝を立てて、足を広げた。足の間を陣取った全裸のヴィーターが、少し考えるように、自分の顎を手で擦った。


「ヴィーター?」

「少し、趣向を変えてみるか。ヤニク。私が寝転がるから、私を跨げ」

「うん?」


 趣向を変えるとは、どういうことだろうか。よく分からないが、ヤニクは大人しく身体を起こし、仰向けに寝転がったヴィーターを跨いだ。ヴィーターを見下ろせば、いつもの無表情である。ヴィーターの両手が、ヤニクの尻をやんわりと撫でた。


「これは嫌か」

「いやじゃない」

「身体を伏せろ。私にキスをしていろ」

「んー」


 ヤニクは言われた通りに身体を伏せ、ヴィーターの唇に吸いついた。いつもヴィーターがしているように、優しく何度もヴィーターの唇を吸う。ヴィーターが口を開けて舌を伸ばしてきたので、ヤニクは自分からヴィーターの舌に舌を絡めた。下腹部がじわじわ熱くなってくる。ヤニクの尻をやんわりと撫でていたヴィーターの手が、むにむにとヤニクの尻を揉み始めた。
 唇を触れ合わせたまま、ヴィーターが囁いた。


「これは嫌か」

「いやじゃない」

「このまま浄化球を入れる。もう少し上に上がれ。乳首を私の口元に」

「うん」


 ヤニクはふわふわしたまま、ヴィーターの言う通りにした。乳首をヴィーターの口元に寄せると、ヴィーターがすぐにヤニクの乳首を咥えて、舐め回し始めた。久しぶりに乳首を弄られて、『気持ちいい』がじわじわ身体の中を巡り始める。乳首を吸いながら、ヴィーターの指がアナルの表面をやんわりと撫で、片手で尻肉を揉まれながら、ひんやりする球体をアナルの中に入れられた。
 更なる『気持ちいい』への期待で、下腹部が熱くなり、早くも出したい欲求が出てくる。ヴィーターが乳首を舐めて吸って、舌で転がしながら、ヤニクの尻から手を離した。反対側の乳首を差し出せば、反対側も乳首も弄ってくれる。『気持ちいい』。でも、まだ足りない。

 ちゅぽっと乳首から口を離したヴィーターが、ヤニクの尻を撫で回しながら、声をかけてきた。


「ヤニク。身体を起こせ」

「うん」


 ヤニクは素直に熱くなった身体を起こした。ヴィーターが潤滑油の瓶を手に取り、器用に自分の手に潤滑油を垂らした。両手を擦り合わせたヴィーターが、身体を起こしているヤニクの尻に触れた。ぬるぬるした潤滑油がついた手で尻を撫で回されると、不思議と『気持ちいい』。腰のあたりがぞわぞわする感覚に、ヤニクは腰をくねらせた。

 尻を撫で回していたヴィーターに声をかけられて、ヤニクは再びヴィーターに覆いかぶさり、ヴィーターの唾液で濡れた乳首をヴィーターの口元に寄せた。
 ヴィーターがヤニクの乳首を咥えながら、ぬるぬるの手で尻を撫で回し、アナルの表面も撫でてから、ゆっくりとヤニクのアナルの中に指を入れ始めた。
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