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君は俺の安定剤
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初夏の爽やかな風でひらひらと木の葉が舞う様子を、パトリックは鬱屈した気分で室内から窓越しに睨んでいた。外はとても気持ちがいい天気なのに、パトリックは部屋の外に出られない。原因は、精神安定剤の過剰摂取により昏倒したからだ。隣人が早く異変に気付いて病院に運んでくれたので生命に別条はないが、暫くは入院生活である。本当に面倒極まりない。好きな煙草も吸えないし、食事も三食きっちり食べさせられる。睡眠時間まで管理され、挙句、運動や手芸等をさせられる。パトリックからすると、不快以外の何物でもない。
パトリックは魔術回路の研究をしている。歳は40になるが、鬱の気があり、20代半ば頃から精神安定剤を服用している。突然、情緒不安定になることが多く、仕事にも影響が出た為、知り合いがやっている心の病院に定期的に通っている。
突然強い不安に襲われ、いけないと分かっていたが、楽になりたくて、持っている薬を全部飲んだ。お節介な隣人によれば、まともに歩けず、呂律も回っておらず、意味の分からないことを話していたそうだ。
3日程、呂律が回っていなかったが、5日も経てば、流石に完全に落ち着いてくる。早く退院したいのだが、主治医が『ついでだから健康になろう!』とか言い出したせいで、約1ヶ月半の入院となった。呪われろ。主治医。
パトリックは看護師に声をかけられて、やる気なくたらたらと寝間着のまま歩いて、部屋から出た。今から楽しい手芸のお時間である。今日は可愛らしいくまさんのぬいぐるみを作る予定だ。やはり呪われろ。主治医。何が悲しくて40にもなるおっさんが、可愛いくまさんのぬいぐるみを作らねばならんのだ。本当に呪われてしまえ。主治医。じゅくじゅく水虫になってしまえ。
パトリックが他の入院患者である老女達に囲まれて、可愛らしいくまさんのぬいぐるみを作り終えたタイミングで、部屋に1人の大男が現れた。巨人族と人間の混血であるセルビオだ。
セルビオは黒髪黒目で、彫りが深すぎる上に三白眼なので、顔が怖い。小さな子供に泣かれることが多いかと思えば、意外とそうでもなく、怖い見た目なのに、めちゃくちゃ子供に好かれる。爺婆受けもいい。割と男前だといわれるパトリックよりも、余程人気者である。性格が朗らかで、優しいからだろう。確かに三白眼で目つきは悪いが、黒い瞳はいつだって優しい色をしている。ついでにお節介だ。
セルビオは、パトリックが住んでいる集合住宅の隣の部屋に住んでいる。5年前に引っ越してきて以来、何故かパトリックの世話を焼いてくる。食事を持ってきたり、溜め込み過ぎた洗濯物をいつの間にか洗濯していたり、足の踏み場がない程汚い部屋がいつの間にかキレイになっていたりする。別に困らないのでセルビオの行動を止めたりはしないが、不思議だとは思う。何が楽しくて、魔術回路の研究にしか興味がないパトリックの世話を焼くのか。セルビオは誰にでも親切だから、多分そういう性分なのだろう。
セルビオが部屋に顔を出すと、一緒にぬいぐるみを作っていた老女達が、『きゃあ!』と黄色い声を上げた。パトリックは露骨に顔を顰めて、近寄ってきたセルビオに声をかけた。
「おい。毎日来なくていいと言っているだろう」
「まぁまぁ。いいじゃないですか。お婆ちゃん達こんにちは~。パトリックさんがお世話になってます~」
「お前は俺のお母さんか」
「いいのよ。セルビオちゃん。あ、お菓子食べる?」
「私、飴を持ってるわ」
「私もよ。はい。セルビオちゃん。食べてね」
「いつも偉いわねぇ。セルビオちゃん。毎日会いに来てくれるだなんて、パトリックちゃんが羨ましいわ」
「……ご婦人。『ちゃん』はやめていただきたい」
「あらぁ。パトリックちゃんも私達に比べたら若いじゃなぁい。ねー?」
「「「ねー」」」
「なんだこの団結力……」
「あはは。パトリックさん。いいお知らせですよ」
「ん?」
「先生がもう退院していいって言ってました。条件付きですけど」
「本当か!? 条件ってなんだ」
「俺と暫く同居するのが条件です。薬の管理も俺がします」
「なんっでそうなる!?」
「『パトリックに入院は合わないようだから、悪いけど面倒見てくれる?』って。先生が」
「……やっぱり呪われろ主治医」
「はいはい。そんなこと言わないで。今日退院していいらしいんで、お迎えに来ました。荷物は病室ですよね? 先生から薬を預かってるんで、荷物をまとめたら帰りましょうか。俺の家に」
「……うぅ……帰る」
入院生活よりも、セルビオの家の方がまだマシな気がする。入院生活は本当に息が詰まる。折角安定してきた精神状態が、今朝くらいからまた不安定になってきている。恐らく、慣れない環境と、強要される諸々にかなりのストレスを感じているのだろう。パトリックは名残惜し気な老女達と別れて、セルビオを連れて病室に戻った。勿論、老女達が名残を惜しんでいたのは、パトリックではなくセルビオだ。『セルビオちゃんが来なくなるなんて残念だわぁ』なんて言っていたので。
パトリックはセルビオが持ってきた外着に着替えると、着替えている間に荷物を纏めていたセルビオと共に、一応主治医の元へ顔を出してから、病院を出た。
外に出た途端、爽やかな初夏の風が頬を撫でた。パトリックは、ほぅと小さく息を吐いた。パトリックは基本的に引き籠りだが、5日も不慣れな環境に閉じ込められたら、流石に外に出たくなる。パトリックが久々に太陽の光を浴びながら気持ちよく歩いていると、隣を歩くセルビオがとんでもないことを言い出した。
「パトリックさん。帰ったら俺の精気を食ってくださいね」
「……はぁぁぁぁぁぁ!?」
「パトリックさんって淫魔族の血を引いてるでしょ。精気食わなきゃ不調になるのに、ずっと精気を食ってないんですって? 先生が出した条件が、俺と一緒に生活して、俺の精気を食うことなんで」
「なっ、ちょっ、主治医ぃぃぃぃ!! 守秘義務ぅぅぅぅ!!」
「あ、パトリックさんが淫魔族の血を引いてるのは、前々からなんとなく気づいてたんで。たまにフェロモン出てましたし」
「……マジ?」
「マジですねぇ」
「クッソ!! 気をつけてたのにっ!!」
「何で精気を食わないんです? 不調になるのが分かってるのに」
「他人の精気なんぞ気持ち悪くて食えるかぁ!」
「あー。変なところで潔癖入ってるんですね」
「う、うるさい」
「俺の精気を食わないと病院に逆戻りになっちゃうんで、諦めて俺の精気を食ってくださいね。俺、巨人族の血を引いてるから頑丈だし、いっぱい食っても大丈夫ですよー」
のほほんと笑うセルビオを、パトリックは信じられないものを見る目で見た。普通、淫魔族に自分の精気を食わせようとするか? 確かにパトリックは淫魔族の血を引いている。母方の祖母が淫魔族だった。
パトリック達が暮らす国は様々な種族が暮らしていて、混血も多い。パトリックは孫の中でも一番祖母の血を濃く受け継いでいる。精神的に不安定になりやすいのも、生まれてこの方一度も他人の精気を食ったことがないからだ。他人の精気を食うことに、生理的嫌悪感を覚える。淫魔族を否定するわけではないが、自分が淫らな行為をしながら精気を食うことを想像するのも嫌だ。部屋がどれだけ汚くても気にしないが、そこだけは確かに若干潔癖が入っている。普通の食事だけでも一応生きていられるので、今まで一度も他人の精気を食ったことはない。ただ、精神的に不安定になりやすいだけだ。それも薬である程度は抑えられる。
パトリックはその場でバックレようと走り出したが、日ごろの運動不足のせいで、自分の足に自分の足を引っかけて、思いっきり顔面から転んだ。すぐに慌てたセルビオが倒れたパトリックを起こして、怪我がないかチェックした後で、パトリックの身体を背負ったので、逃亡は失敗した。セルビオの広い背中の安定感が半端ない。
パトリックは、この後待ち受けているであろう精気を食う事すなわちセックスを想像して、血の気が引いていった。
セルビオの部屋は、パトリックの部屋と同じ間取りだが、比べ物にならない位キレイに片付いていた。セルビオがパトリックをおんぶしたまま、ずんずんと歩いて寝室へと入った。寝室には大男のセルビオでもゆったり眠れそうな大きなベッドが、部屋の殆どのスペースを占めていた。セルビオは巨人族からすると、かなり小柄な方らしいが、パトリックからすると、本当に大きな男だ。頭三つ分くらいは余裕で身長差がある。ちなみに、パトリックは別に小柄な方じゃない。人間にしては背が高い方だ。正確に言うと混血だが、淫魔族も人間と体格は変わらないので、やはり背が高い方である。
セルビオがパトリックを優しくベッドに下ろし、カチャカチャとズボンのベルトを外し始めた。
「とりあえず、口で飲んでみてください」
「む、無理だ……」
「えーと、そうなると、下の方から飲んでもらうことになるんですけど。精気を食うのが退院の絶対条件なんで……下から飲みます? 粘膜から摂取ですよね。拡張用のスライムは一応あるし、パトリックさん淫魔族の血を引いてるから多分大丈夫だと思うけど、俺のちんこデカいんですよね。ほら」
「……っ!? ……棍棒?」
「ちんこです」
「ちんこの大きさじゃない!! それは完全に凶器だ!!」
ズボンとパンツをまとめてずり下げたセルビオの股間を反射的に見れば、そこには完全に武器としか言えないレベルの棍棒みたいな太さと長さのペニスと、ずっしりとしたかなり大きな陰嚢が見えた。パトリックは、セルビオのペニスのあまりの大きさに慄くと同時に、ふわっと香る精の匂いに、背筋がぞくっとした。
パトリックが見ている前で、セルビオが自分のペニスを片手で掴んで、しこしこと擦り始めた。萎えていた棍棒が更に太く長く大きくなる。下手すれば、パトリックの脛くらいの太さと長さがありそうだ。パトリックは痩せているので、脛も細いのだが、それでも一応成人男性らしい筋張った脛をしている。セルビオの方から、嫌でも『美味しそう』な匂いが漂ってくるのを感じてしまう。パトリックは口内に溜まってくる唾をごくっと飲み込みながら、先走りが滲み始めたセルビオの棍棒みたいなペニスから目が離せなくなった。
パトリックは掠れた声で、セルビオに問いかけた。
「何故、俺なんかの為にそこまでするんだ」
「パトリックさんが好きだからですね」
「すき……あの、あれだ。農作業に使うっていう……」
「それは鋤ですね」
「油断したら何かやられる……」
「それは隙かなぁ」
「恋人とか夫婦が唇をくっつけるやつ……」
「それはキスですね。あ、します? キス」
「し、しないっ!」
「ありゃ残念。パトリックさん。パトリックさん」
「な、なんだ」
「あーんしてください。はい。あーん」
「あー……んぶっ!?」
「う、わ……パトリックさんのお口狭くて気持ちいい」
「んーーーーっ!?」
パトリックが反射的に『あーん』と口を開けた瞬間、馬鹿デカいセルビオのペニスの亀頭を口に突っ込まれた。ふわっと鼻に抜ける精の香りに、頭がくらくらしてくる。パトリックは涙目になって、舌で口いっぱいに入り込んでいるセルビオの亀頭を押し戻そうとしたが、何故かどんどんセルビオのペニスから、青臭くて甘美なものが溢れ出てくる。普段は理性で抑えつけている淫魔族の本能が、じわじわと顔を出し始めた。パトリックは『まずい。まずい。まずい』と焦りながらも、甘露のようなセルビオのペニスから出てくる液体がもっと飲みたくて、気づけばじゅるじゅると頬を窄めるようにして、セルビオのペニスの亀頭を吸っていた。じわじわぁっと精気が飢え切った身体に染み込んでくる。でも、まだまだ全然足りない。もっと濃厚なものが、もっと沢山欲しい。
パトリックは完全に理性とオサラバして、自分のペニスを擦っているセルビオの大きな手に自分の手を添えて、目だけでセルビオを見上げた。
セルビオが嬉しそうに、ふふっと笑って、デカい亀頭をより深くパトリックの喉の方に押し込んで、喉ちんこの一歩手前くらいのところを、熱い亀頭ですりすり優しく擦り始めた。最初は嘔吐きそうだったのに、すりすりすりすりされているうちに、不思議な感覚がし始めた。腰が勝手にビクビク震えて、いつの間にか勃起していたペニスから、精液が漏れ出しそうな感覚がする。下腹部が熱くて堪らない。パトリックは息苦しさに涙目になりながら、謎の感覚と熱が身体の中で暴れ回るのを感じた。気のせいでなければ、それは自慰をする時に感じる『快感』と呼べるものだ。喉奥を亀頭ですりすりされて、パトリックは確かに快感を覚えている。快感と熱がどんどん高まり、パトリックはセルビオを見つめたまま、ビクビクビクッと全身を震わせ、パンツの中に射精した。
------
セルビオは亀頭でパトリックの喉奥を刺激しながら、シャツの上からパトリックの乳首を指で探り当て、すりすりと布越しにパトリックの乳首を擦った。パトリックがセルビオを見上げたまま、ぽろぽろと涙を溢し、痙攣するかのように全身を震わせた。どうやら、またイったようである。セルビオは興奮して荒い息を吐きながら、自分のペニスを扱く手に力を込めた。セルビオは遅漏だ。かつてない程興奮しているし、パトリックの熱い口内が気持ちよくて堪らないが、まだまだイケそうにない。そろそろ口を大きく開けっ放しのパトリックがキツいかなぁと思い、セルビオはずるぅとパトリックの口からペニスを引き抜いた。
「あっ……」
「これじゃ時間がかかってパトリックさんがキツイんで、下から飲みましょうか」
「う、うん」
パトリックが熱に浮かされたような目でセルビオを見上げた。
パトリックは淡い金髪に薄い茶色の瞳をした精悍な顔立ちの男前だが、今は淫魔族の本能が強く出ているのか、むせかえりそうな程のフェロモンが出ており、色白の目元を赤く染めてもの欲しそうな表情をしているのが、酷く色っぽい。セルビオは初めて見るパトリックの表情に興奮しながら、拡張用のスライムとローションのボトルをベッド横の小さなチェストから取り出した。拡張用のスライムは、男同士や異種族同士のセックスでよく使われている。種族によっては体格の違いから簡単にはセックスができないので、安全にセックスができるとようにと開発された人口魔物である。
セルビオはパトリックのシャツのボタンを一つずつ丁寧に外し、シャツを脱がせた。微妙に肋が浮いた痩せた身体が露わになる。セルビオはパトリックを今すぐにでも押し倒してペニスを突っ込みたいのをぐっと堪えて、パトリックのズボンとパンツも脱がせ、パトリックを生まれたままの姿にした。パトリックは既に2回パンツの中に射精しているので、ふわっと精液独特の匂いが鼻を擽る。
セルビオはパトリックの身体を優しくベッドに寝かせると、パトリックの股間に顔を近づけ、すんすんと精液塗れのペニスの匂いを嗅いだ。微かにおしっこみたいな匂いも混ざっている。セルビオは興奮するがままに、パトリックの無垢な色合いをしたペニスをぱくんと口に含んだ。パトリックが裏返った声を上げ、きゅっと柔らかい内腿でセルビオの頭を挟んだ。味わうように口内のペニスを舐め回しながら、拡張用の小さなスライムをパトリックのアナルの中に押し込んでいく。拡張用のスライムは、使用前はとても小さな球体だ。アナルや性器の中に入れると、まずは入れられた側の魔力を吸って、じわじわと膨らんでいく。ある程度膨らんだ後は、ペニスを挿れる側が、自分のペニスのサイズに合うように、魔力を注ぎこんでいく。アナルに入れた場合は、中の排泄物もキレイにしてくれるという、実に便利な代物だ。
唇でむにむにとパトリックのペニスを可愛がっていると、パトリックが身をよじって喘ぎ始めた。どうやら無事に拡張用スライムが膨らんできたらしい。喉でイクと感度が上がると下ネタ大好きな職場の先輩が言っていたので実際にやってみたのだが、どうやら本当のようである。
パトリックがセルビオの頭を両手で掴んで、泣き叫ぶような声でセルビオを呼んだ。
「せるびおっ♡ いくっ♡ またでるぅぅ♡」
「んーー」
「あぁぁぁぁっ♡」
ちょろっと勢いなく口内にパトリックの精液が飛び込んできた。既に2回出しているし、淫魔族の血が濃いとはいえ、パトリックはもう40だ。まだ28歳のセルビオ程、そう何回もは出せないのだろう。セルビオは薄くなった精液をじゅるじゅる啜り、残さず飲み込んでから、パトリックを促して、四つん這いになってもらった。パトリックは尻の肉付きが薄いから、わざわざ尻肉を広げなくても、アナルがしっかりと見える。ぽっかり小さく口を開けたアナルから、透明なスライム越しにキレイなピンク色の生々しい腸壁がよく見える。酷く興奮する光景に鼻息を荒くしながら、セルビオは微妙に弛んだ薄い尻肉を撫で回し、太い指をパトリックのアナルに突っ込んで、魔力を注ぎ込んだ。
拡張用のスライムに少しずつ魔力を注ぎ込み続けて1刻程で、漸くセルビオのペニスが挿れられそうなくらいに、パトリックのアナルが拡がった。パトリックの尻に顔を近づけて、間近でまじまじと透明なスライム越しに見えるパトリックの直腸内を観察する。ピンク色の腸壁が、微かに蠢いているのがなんとなく分かる。セルビオはアナルから少しはみ出ている拡張用のスライムを引き摺り出すと、ころんとパトリックの身体を仰向けにひっくり返した。
とろんとした表情のパトリックの両足を揃えて抱え、ぽっかりと大きく口を開けていたひくつくアナルにペニスの先っぽを押しつける。ゆっくりと腰を動かしてアナルの中にペニスを押しこんでいけば、パトリックが悲鳴じみた声を上げ、ペニスからしょろしょろとおしっこを漏らした。パトリックの中は、狭くて熱くて柔らかい。セルビオはあまりの気持ちよさに、我慢できずに腰を動かして、一気にペニスをパトリックの腹の奥深くへと押し込んだ。ペニスの先っぽが襞のようなところを通り抜け、肉の壁にぶつかると、パトリックの薄い腹が、ほんの微かにぽこっと膨れた。セルビオは、ひゅー、ひゅーと掠れた息を吐いているパトリックの薄い腹を撫で回した。
「パトリックさん。ここまで入ってるよ」
「あ♡ あ♡ あ♡ お、おいひい♡」
「もっと美味しいもの食べようね」
「あぁっ♡ あぁ♡ やぁっ♡ いくっ♡ またっ♡ いくぅぅぅぅ♡」
「あはは。何度でもイっていいよ」
「ひぃぃぃぃぃぃ♡」
パトリックがビクンビクンッと身体を大きく震わせ、きゅっときつくアナルでセルビオのペニスを締めつけてきた。気持ちよくて堪らない。パトリックのペニスを見てみれば、力なくくったりしている。どうやらもう勃たないようだ。拡張中にも4回程射精させたので、当然といえば当然なのかもしれない。それでもイっているのだから、淫魔族は本当に淫らな身体をしている。パトリックはほんのちょっと前まで処女だったのに、アナルの刺激だけでイっている。いやらしくて、可愛くて、本当に堪らない。
セルビオはビクビク震えるパトリックの両足を抱えなおして、前立腺があるという腹側を擦るように意識しながら、長いストロークで滅茶苦茶に激しく腰を振り始めた。
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パトリックはふわふわと夢の中にいるようだった。嵐のように激しくて、気持ちよくて美味しい夢だ。パトリックの腹の中で、セルビオの凶器のようなペニスが激しく暴れ回っている。気持ちよくて、気持ちよくて、じわじわ身体に染み込んでくるセルビオの精気が美味しくて、頭が馬鹿になってしまいそうだ。いや、もうなっているのかもしれない。もっと濃いものが、いっぱい欲しくて堪らない。パトリックは両足の膝裏を自分で掴み、両足を大きく広げたまま、自分の下腹部を見た。セルビオが腹の奥深くを突き上げる度に、下腹部が微かにぽこっと膨れ、目の裏がチカチカする程の強烈な快感に襲われる。
パトリックはもっともっと欲しくて、怖いくらい熱を孕んだセルビオの黒い瞳を見つめた。
「もっとっ♡ もっとっ♡ くわせろっ♡」
「あははー。もうちょっと待っててくださいねー。ちょっと体勢変えますね。よいしょっと」
「あ、ばかっ♡ ぬくなっ♡」
「はいはい。また挿れますからねー。苦しかったら言ってくださいねー。よっと」
「う、わ……」
「はい。挿れまーす」
「あぁぁぁぁっ♡ いいっ♡ おいひいっ♡」
セルビオがパトリックの尻を掴んで腰を高く浮かせた。膝が肩につきそうなくらい身体を折り曲げられて苦しいが、上から突き刺すようにアナルに棍棒みたいなペニスを挿れられたら、苦しさなんてどうでもよくなった。美味しくて、気持ちよくて堪らない。セルビオがごすごすと腹の奥深くを突き破らんばかりの勢いで、激しくペニスを抜き差しし始めた。
「ひぃっ♡ いいっ♡ しぬっ♡ もっとっ♡ あ♡ あ♡ あーーっ♡」
「パトリックさん、自分で乳首を弄ってみて」
「ん♡ あっ♡ ちくびっ♡ きもちいいっ♡ いいっ♡ いぐっ♡ またいっくぅう♡」
「あーー。すげぇ、締まってるっ。パトリックさん、もう出すよ」
「あっ♡ あっ♡ ちょうだいっ♡ ちょうだいっ♡」
「は、は、あ、あーーっ!」
「あぁぁぁぁぁぁぁ♡」
パトリックが自分で自分の乳首を摘まんでむにーっと引っ張ると、拡張中にセルビオに弄られた後だからか、ものすごく気持ちよくて、腹の奥深くをごすごす突き下ろされるのも半端なく気持ちよくて、勝手にきゅっとアナルが締まった。セルビオが一際強くペニスで腹の奥深くを突き下ろし、そのままぐりぐりと腹の奥深くを刺激したかと思えば、ぶわっと『美味しいもの』が腹の中に満ちて、身体の中が多幸感としか言えないようなもので満たされていった。パトリックはだらしなく涎を垂らしながら、大きく喘いだ。初めて味わう濃厚な精気が、美味しくて、気持ちよくて、本当に堪らない。もっと、もっと欲しい。
パトリックは意識して下腹部に力を入れ、パトリックの腹の中で微かにピクピクと震えているセルビオのペニスをアナルで締めつけた。
「はぁっ、パトリックさん。そんなに締めたら、また勃っちゃう」
「もっと、もっと寄こせっ♡」
「あはっ。いいよー。いっぱいあげる」
「ふはっ♡ あぁ♡ 美味くて堪らないっ♡ もっと♡ もっと♡」
「はいはーい。お望みのままにー」
セルビオがにこっと笑って、ずるぅっと太くて長いペニスをパトリックのアナルから引き抜いた。セルビオに促されるままに四つん這いになると、すぐにセルビオのペニスがアナルの中に入ってきた。射精した筈なのに、セルビオのペニスは、もうガチガチに硬くなっている。腸壁を太いカリがごりごり擦りながら、腹の奥のヤバいところまでセルビオのペニスが入り込んでくる。腹の奥深くをぐりっとされると、脳みそが真っ白になる程の快感が身体中に広がっていく。パトリックが思わず喘ぐと、セルビオが何故か四つん這いのパトリックの薄い腹に腕を回し、伏せていた上体を起こさせた。
「セルビオ?」
「ちょっとやってみたいことがあって」
繋がったまま、セルビオが器用にパトリックの身体を少し浮かせ、ずりずりとベッドの端に移動して、そのままベッドから下りた。セルビオがパトリックの膝裏を持って、そのまま腰を振り始めた。不安定な体勢と自重で更に深く入り込むペニスの感触が怖くなって、パトリックは悲鳴じみた声を上げながら、後ろ手にセルビオの首に両手を絡めた。ゆさゆさと身体全体を揺さぶられながら、腹の奥深くのヤバい所をガンガン突き上げられる。喘ぎながら自分の下腹部を見れば、突き上げられる度に、薄い下腹部がぽこっぽこっと微かに膨れ、もう勃起もしなくなったパトリックのペニスが、ぶらんぶらんと間抜けに揺れている。セルビオが腰を振りながら、パトリックの耳を熱い舌で舐め回し、パトリックの耳元で囁いた。
「いっぱいいっぱい俺を食ってね」
パトリックはあまりの快感に意識を朦朧とさせながら、嬉しくて、だらしなく笑った。
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パトリックはふわふわ香る珈琲のいい匂いで目覚めた。のろのろと身体を起こしてみれば、かつてない程、心身共に絶好調である。昨日、たらふくセルビオの精気を食ったからだろう。精気を食うとここまで調子がよくなるのかと驚きながら、パトリックはいつの間にか着せられていた寝間着のまま、ベッドから下りて、寝室を出た。
台所を覗けば、セルビオが慣れた手つきでオムレツをひっくり返していた。パトリックに気がついたセルビオが、にこーっと笑った。
「おはよう。パトリックさん。身体は大丈夫?」
「おはよ。問題ない。むしろ絶好調だ」
「あはは。それはよかった。ちょっと待ってね。すぐ盛り付けるから。朝ご飯食べよう」
「うん」
セルビオが手早く皿に出来上がった料理を盛り付けると、居間のテーブルに朝食の皿を並べた。軽く焼き直したと思われる温かいパンに、キレイな形のオムレツ、野菜サラダと、デザートに林檎もあった。食前の祈りを捧げてから、早速食べ始める。ふわふわのオムレツがものすごく美味しい。が、野菜サラダに天敵を見つけて、パトリックは、塗りたてのバターがじわっと染み込んだパンをもぐもぐしながら、天敵を睨みつけた。
「トマトもちゃんと食べてくださいね」
「……トマトは嫌いだ」
「はいはい。あーん」
「……あーん」
セルビオが自分のフォークでパトリックの皿のトマトを刺し、わざわざ口元に運んできたので、パトリックは嫌々ながらに口を開けて、天敵トマトを口に含んだ。トマト特有の香りと酸味が口の中に広がり、パトリックは眉間に深い皺を寄せて高速で咀嚼すると、ごくっとトマトを飲み込み、急いで珈琲を飲んだ。セルビオがのほほんと笑って、『偉いですねぇ』とパトリックの頭を撫でた。
「お前は俺のお母さんか」
「お母さんより伴侶の方がいいです」
「……なんでだ。俺は自分の研究にしか興味がないつまらない男だぞ。しかも、もうおっさんだ」
「パトリックさんって、なんか放っておけないんですよねー。あと、淫魔族の血を引いてるお陰で、セックスしても大丈夫だし。なによりパトリックさんのことが好きなんで。老後の面倒まで責任もってやりますから、大人しく俺にお世話されてください。パトリックさんのお世話をするのが生き甲斐みたいになっちゃってるんで」
「……物好きめ。おい」
「はい?」
「近いうちにお前のご両親に挨拶に行くぞ。あと、面倒だが、俺の両親のところにも」
「はいっ! あ、結婚式はいつします?」
「恥ずかしいからしない」
「えー! しましょうよ。パトリックさんの格好いい姿が見たいです」
「……身内を呼ぶだけなら……」
「やったぁ! 式場の手配とかは任せてくださいね。あ、知り合いに服職人がいるから、とびきりパトリックさんに似合う服を作ってもらわなきゃ。へへー。楽しみですねぇ」
嬉しそうにニコニコと笑うセルビオを見て、パトリックはなんとなく口角を上げた。随分と年が離れているのが少し気がかりというか、必ずセルビオを置いて逝ってしまうのがなんとも申し訳ない気がするが、もうセルビオなしじゃ生きられない身体になってしまった。きっと他の人間では満足できない。身体も、なにより心が。
パトリックはその後、ずっと安定した状態が続いたので、長く飲んでいた精神安定剤を飲むのを止めた。セルビオがいてくれるから、パトリックの心はいつだって穏やかだ。
セルビオと一緒になって何年経っても、パトリックは変わらず研究馬鹿だが、セルビオとちょっとしたことで笑い合い、寝食を共にして、パトリックは確かに幸せだった。
小さな愛がどんどん積み重なっていって、パトリックは最後の一瞬まで、セルビオを心から愛して、別れの瞬間に、ありったけの思いを初めて口にした。
(おしまい)
パトリックは魔術回路の研究をしている。歳は40になるが、鬱の気があり、20代半ば頃から精神安定剤を服用している。突然、情緒不安定になることが多く、仕事にも影響が出た為、知り合いがやっている心の病院に定期的に通っている。
突然強い不安に襲われ、いけないと分かっていたが、楽になりたくて、持っている薬を全部飲んだ。お節介な隣人によれば、まともに歩けず、呂律も回っておらず、意味の分からないことを話していたそうだ。
3日程、呂律が回っていなかったが、5日も経てば、流石に完全に落ち着いてくる。早く退院したいのだが、主治医が『ついでだから健康になろう!』とか言い出したせいで、約1ヶ月半の入院となった。呪われろ。主治医。
パトリックは看護師に声をかけられて、やる気なくたらたらと寝間着のまま歩いて、部屋から出た。今から楽しい手芸のお時間である。今日は可愛らしいくまさんのぬいぐるみを作る予定だ。やはり呪われろ。主治医。何が悲しくて40にもなるおっさんが、可愛いくまさんのぬいぐるみを作らねばならんのだ。本当に呪われてしまえ。主治医。じゅくじゅく水虫になってしまえ。
パトリックが他の入院患者である老女達に囲まれて、可愛らしいくまさんのぬいぐるみを作り終えたタイミングで、部屋に1人の大男が現れた。巨人族と人間の混血であるセルビオだ。
セルビオは黒髪黒目で、彫りが深すぎる上に三白眼なので、顔が怖い。小さな子供に泣かれることが多いかと思えば、意外とそうでもなく、怖い見た目なのに、めちゃくちゃ子供に好かれる。爺婆受けもいい。割と男前だといわれるパトリックよりも、余程人気者である。性格が朗らかで、優しいからだろう。確かに三白眼で目つきは悪いが、黒い瞳はいつだって優しい色をしている。ついでにお節介だ。
セルビオは、パトリックが住んでいる集合住宅の隣の部屋に住んでいる。5年前に引っ越してきて以来、何故かパトリックの世話を焼いてくる。食事を持ってきたり、溜め込み過ぎた洗濯物をいつの間にか洗濯していたり、足の踏み場がない程汚い部屋がいつの間にかキレイになっていたりする。別に困らないのでセルビオの行動を止めたりはしないが、不思議だとは思う。何が楽しくて、魔術回路の研究にしか興味がないパトリックの世話を焼くのか。セルビオは誰にでも親切だから、多分そういう性分なのだろう。
セルビオが部屋に顔を出すと、一緒にぬいぐるみを作っていた老女達が、『きゃあ!』と黄色い声を上げた。パトリックは露骨に顔を顰めて、近寄ってきたセルビオに声をかけた。
「おい。毎日来なくていいと言っているだろう」
「まぁまぁ。いいじゃないですか。お婆ちゃん達こんにちは~。パトリックさんがお世話になってます~」
「お前は俺のお母さんか」
「いいのよ。セルビオちゃん。あ、お菓子食べる?」
「私、飴を持ってるわ」
「私もよ。はい。セルビオちゃん。食べてね」
「いつも偉いわねぇ。セルビオちゃん。毎日会いに来てくれるだなんて、パトリックちゃんが羨ましいわ」
「……ご婦人。『ちゃん』はやめていただきたい」
「あらぁ。パトリックちゃんも私達に比べたら若いじゃなぁい。ねー?」
「「「ねー」」」
「なんだこの団結力……」
「あはは。パトリックさん。いいお知らせですよ」
「ん?」
「先生がもう退院していいって言ってました。条件付きですけど」
「本当か!? 条件ってなんだ」
「俺と暫く同居するのが条件です。薬の管理も俺がします」
「なんっでそうなる!?」
「『パトリックに入院は合わないようだから、悪いけど面倒見てくれる?』って。先生が」
「……やっぱり呪われろ主治医」
「はいはい。そんなこと言わないで。今日退院していいらしいんで、お迎えに来ました。荷物は病室ですよね? 先生から薬を預かってるんで、荷物をまとめたら帰りましょうか。俺の家に」
「……うぅ……帰る」
入院生活よりも、セルビオの家の方がまだマシな気がする。入院生活は本当に息が詰まる。折角安定してきた精神状態が、今朝くらいからまた不安定になってきている。恐らく、慣れない環境と、強要される諸々にかなりのストレスを感じているのだろう。パトリックは名残惜し気な老女達と別れて、セルビオを連れて病室に戻った。勿論、老女達が名残を惜しんでいたのは、パトリックではなくセルビオだ。『セルビオちゃんが来なくなるなんて残念だわぁ』なんて言っていたので。
パトリックはセルビオが持ってきた外着に着替えると、着替えている間に荷物を纏めていたセルビオと共に、一応主治医の元へ顔を出してから、病院を出た。
外に出た途端、爽やかな初夏の風が頬を撫でた。パトリックは、ほぅと小さく息を吐いた。パトリックは基本的に引き籠りだが、5日も不慣れな環境に閉じ込められたら、流石に外に出たくなる。パトリックが久々に太陽の光を浴びながら気持ちよく歩いていると、隣を歩くセルビオがとんでもないことを言い出した。
「パトリックさん。帰ったら俺の精気を食ってくださいね」
「……はぁぁぁぁぁぁ!?」
「パトリックさんって淫魔族の血を引いてるでしょ。精気食わなきゃ不調になるのに、ずっと精気を食ってないんですって? 先生が出した条件が、俺と一緒に生活して、俺の精気を食うことなんで」
「なっ、ちょっ、主治医ぃぃぃぃ!! 守秘義務ぅぅぅぅ!!」
「あ、パトリックさんが淫魔族の血を引いてるのは、前々からなんとなく気づいてたんで。たまにフェロモン出てましたし」
「……マジ?」
「マジですねぇ」
「クッソ!! 気をつけてたのにっ!!」
「何で精気を食わないんです? 不調になるのが分かってるのに」
「他人の精気なんぞ気持ち悪くて食えるかぁ!」
「あー。変なところで潔癖入ってるんですね」
「う、うるさい」
「俺の精気を食わないと病院に逆戻りになっちゃうんで、諦めて俺の精気を食ってくださいね。俺、巨人族の血を引いてるから頑丈だし、いっぱい食っても大丈夫ですよー」
のほほんと笑うセルビオを、パトリックは信じられないものを見る目で見た。普通、淫魔族に自分の精気を食わせようとするか? 確かにパトリックは淫魔族の血を引いている。母方の祖母が淫魔族だった。
パトリック達が暮らす国は様々な種族が暮らしていて、混血も多い。パトリックは孫の中でも一番祖母の血を濃く受け継いでいる。精神的に不安定になりやすいのも、生まれてこの方一度も他人の精気を食ったことがないからだ。他人の精気を食うことに、生理的嫌悪感を覚える。淫魔族を否定するわけではないが、自分が淫らな行為をしながら精気を食うことを想像するのも嫌だ。部屋がどれだけ汚くても気にしないが、そこだけは確かに若干潔癖が入っている。普通の食事だけでも一応生きていられるので、今まで一度も他人の精気を食ったことはない。ただ、精神的に不安定になりやすいだけだ。それも薬である程度は抑えられる。
パトリックはその場でバックレようと走り出したが、日ごろの運動不足のせいで、自分の足に自分の足を引っかけて、思いっきり顔面から転んだ。すぐに慌てたセルビオが倒れたパトリックを起こして、怪我がないかチェックした後で、パトリックの身体を背負ったので、逃亡は失敗した。セルビオの広い背中の安定感が半端ない。
パトリックは、この後待ち受けているであろう精気を食う事すなわちセックスを想像して、血の気が引いていった。
セルビオの部屋は、パトリックの部屋と同じ間取りだが、比べ物にならない位キレイに片付いていた。セルビオがパトリックをおんぶしたまま、ずんずんと歩いて寝室へと入った。寝室には大男のセルビオでもゆったり眠れそうな大きなベッドが、部屋の殆どのスペースを占めていた。セルビオは巨人族からすると、かなり小柄な方らしいが、パトリックからすると、本当に大きな男だ。頭三つ分くらいは余裕で身長差がある。ちなみに、パトリックは別に小柄な方じゃない。人間にしては背が高い方だ。正確に言うと混血だが、淫魔族も人間と体格は変わらないので、やはり背が高い方である。
セルビオがパトリックを優しくベッドに下ろし、カチャカチャとズボンのベルトを外し始めた。
「とりあえず、口で飲んでみてください」
「む、無理だ……」
「えーと、そうなると、下の方から飲んでもらうことになるんですけど。精気を食うのが退院の絶対条件なんで……下から飲みます? 粘膜から摂取ですよね。拡張用のスライムは一応あるし、パトリックさん淫魔族の血を引いてるから多分大丈夫だと思うけど、俺のちんこデカいんですよね。ほら」
「……っ!? ……棍棒?」
「ちんこです」
「ちんこの大きさじゃない!! それは完全に凶器だ!!」
ズボンとパンツをまとめてずり下げたセルビオの股間を反射的に見れば、そこには完全に武器としか言えないレベルの棍棒みたいな太さと長さのペニスと、ずっしりとしたかなり大きな陰嚢が見えた。パトリックは、セルビオのペニスのあまりの大きさに慄くと同時に、ふわっと香る精の匂いに、背筋がぞくっとした。
パトリックが見ている前で、セルビオが自分のペニスを片手で掴んで、しこしこと擦り始めた。萎えていた棍棒が更に太く長く大きくなる。下手すれば、パトリックの脛くらいの太さと長さがありそうだ。パトリックは痩せているので、脛も細いのだが、それでも一応成人男性らしい筋張った脛をしている。セルビオの方から、嫌でも『美味しそう』な匂いが漂ってくるのを感じてしまう。パトリックは口内に溜まってくる唾をごくっと飲み込みながら、先走りが滲み始めたセルビオの棍棒みたいなペニスから目が離せなくなった。
パトリックは掠れた声で、セルビオに問いかけた。
「何故、俺なんかの為にそこまでするんだ」
「パトリックさんが好きだからですね」
「すき……あの、あれだ。農作業に使うっていう……」
「それは鋤ですね」
「油断したら何かやられる……」
「それは隙かなぁ」
「恋人とか夫婦が唇をくっつけるやつ……」
「それはキスですね。あ、します? キス」
「し、しないっ!」
「ありゃ残念。パトリックさん。パトリックさん」
「な、なんだ」
「あーんしてください。はい。あーん」
「あー……んぶっ!?」
「う、わ……パトリックさんのお口狭くて気持ちいい」
「んーーーーっ!?」
パトリックが反射的に『あーん』と口を開けた瞬間、馬鹿デカいセルビオのペニスの亀頭を口に突っ込まれた。ふわっと鼻に抜ける精の香りに、頭がくらくらしてくる。パトリックは涙目になって、舌で口いっぱいに入り込んでいるセルビオの亀頭を押し戻そうとしたが、何故かどんどんセルビオのペニスから、青臭くて甘美なものが溢れ出てくる。普段は理性で抑えつけている淫魔族の本能が、じわじわと顔を出し始めた。パトリックは『まずい。まずい。まずい』と焦りながらも、甘露のようなセルビオのペニスから出てくる液体がもっと飲みたくて、気づけばじゅるじゅると頬を窄めるようにして、セルビオのペニスの亀頭を吸っていた。じわじわぁっと精気が飢え切った身体に染み込んでくる。でも、まだまだ全然足りない。もっと濃厚なものが、もっと沢山欲しい。
パトリックは完全に理性とオサラバして、自分のペニスを擦っているセルビオの大きな手に自分の手を添えて、目だけでセルビオを見上げた。
セルビオが嬉しそうに、ふふっと笑って、デカい亀頭をより深くパトリックの喉の方に押し込んで、喉ちんこの一歩手前くらいのところを、熱い亀頭ですりすり優しく擦り始めた。最初は嘔吐きそうだったのに、すりすりすりすりされているうちに、不思議な感覚がし始めた。腰が勝手にビクビク震えて、いつの間にか勃起していたペニスから、精液が漏れ出しそうな感覚がする。下腹部が熱くて堪らない。パトリックは息苦しさに涙目になりながら、謎の感覚と熱が身体の中で暴れ回るのを感じた。気のせいでなければ、それは自慰をする時に感じる『快感』と呼べるものだ。喉奥を亀頭ですりすりされて、パトリックは確かに快感を覚えている。快感と熱がどんどん高まり、パトリックはセルビオを見つめたまま、ビクビクビクッと全身を震わせ、パンツの中に射精した。
------
セルビオは亀頭でパトリックの喉奥を刺激しながら、シャツの上からパトリックの乳首を指で探り当て、すりすりと布越しにパトリックの乳首を擦った。パトリックがセルビオを見上げたまま、ぽろぽろと涙を溢し、痙攣するかのように全身を震わせた。どうやら、またイったようである。セルビオは興奮して荒い息を吐きながら、自分のペニスを扱く手に力を込めた。セルビオは遅漏だ。かつてない程興奮しているし、パトリックの熱い口内が気持ちよくて堪らないが、まだまだイケそうにない。そろそろ口を大きく開けっ放しのパトリックがキツいかなぁと思い、セルビオはずるぅとパトリックの口からペニスを引き抜いた。
「あっ……」
「これじゃ時間がかかってパトリックさんがキツイんで、下から飲みましょうか」
「う、うん」
パトリックが熱に浮かされたような目でセルビオを見上げた。
パトリックは淡い金髪に薄い茶色の瞳をした精悍な顔立ちの男前だが、今は淫魔族の本能が強く出ているのか、むせかえりそうな程のフェロモンが出ており、色白の目元を赤く染めてもの欲しそうな表情をしているのが、酷く色っぽい。セルビオは初めて見るパトリックの表情に興奮しながら、拡張用のスライムとローションのボトルをベッド横の小さなチェストから取り出した。拡張用のスライムは、男同士や異種族同士のセックスでよく使われている。種族によっては体格の違いから簡単にはセックスができないので、安全にセックスができるとようにと開発された人口魔物である。
セルビオはパトリックのシャツのボタンを一つずつ丁寧に外し、シャツを脱がせた。微妙に肋が浮いた痩せた身体が露わになる。セルビオはパトリックを今すぐにでも押し倒してペニスを突っ込みたいのをぐっと堪えて、パトリックのズボンとパンツも脱がせ、パトリックを生まれたままの姿にした。パトリックは既に2回パンツの中に射精しているので、ふわっと精液独特の匂いが鼻を擽る。
セルビオはパトリックの身体を優しくベッドに寝かせると、パトリックの股間に顔を近づけ、すんすんと精液塗れのペニスの匂いを嗅いだ。微かにおしっこみたいな匂いも混ざっている。セルビオは興奮するがままに、パトリックの無垢な色合いをしたペニスをぱくんと口に含んだ。パトリックが裏返った声を上げ、きゅっと柔らかい内腿でセルビオの頭を挟んだ。味わうように口内のペニスを舐め回しながら、拡張用の小さなスライムをパトリックのアナルの中に押し込んでいく。拡張用のスライムは、使用前はとても小さな球体だ。アナルや性器の中に入れると、まずは入れられた側の魔力を吸って、じわじわと膨らんでいく。ある程度膨らんだ後は、ペニスを挿れる側が、自分のペニスのサイズに合うように、魔力を注ぎこんでいく。アナルに入れた場合は、中の排泄物もキレイにしてくれるという、実に便利な代物だ。
唇でむにむにとパトリックのペニスを可愛がっていると、パトリックが身をよじって喘ぎ始めた。どうやら無事に拡張用スライムが膨らんできたらしい。喉でイクと感度が上がると下ネタ大好きな職場の先輩が言っていたので実際にやってみたのだが、どうやら本当のようである。
パトリックがセルビオの頭を両手で掴んで、泣き叫ぶような声でセルビオを呼んだ。
「せるびおっ♡ いくっ♡ またでるぅぅ♡」
「んーー」
「あぁぁぁぁっ♡」
ちょろっと勢いなく口内にパトリックの精液が飛び込んできた。既に2回出しているし、淫魔族の血が濃いとはいえ、パトリックはもう40だ。まだ28歳のセルビオ程、そう何回もは出せないのだろう。セルビオは薄くなった精液をじゅるじゅる啜り、残さず飲み込んでから、パトリックを促して、四つん這いになってもらった。パトリックは尻の肉付きが薄いから、わざわざ尻肉を広げなくても、アナルがしっかりと見える。ぽっかり小さく口を開けたアナルから、透明なスライム越しにキレイなピンク色の生々しい腸壁がよく見える。酷く興奮する光景に鼻息を荒くしながら、セルビオは微妙に弛んだ薄い尻肉を撫で回し、太い指をパトリックのアナルに突っ込んで、魔力を注ぎ込んだ。
拡張用のスライムに少しずつ魔力を注ぎ込み続けて1刻程で、漸くセルビオのペニスが挿れられそうなくらいに、パトリックのアナルが拡がった。パトリックの尻に顔を近づけて、間近でまじまじと透明なスライム越しに見えるパトリックの直腸内を観察する。ピンク色の腸壁が、微かに蠢いているのがなんとなく分かる。セルビオはアナルから少しはみ出ている拡張用のスライムを引き摺り出すと、ころんとパトリックの身体を仰向けにひっくり返した。
とろんとした表情のパトリックの両足を揃えて抱え、ぽっかりと大きく口を開けていたひくつくアナルにペニスの先っぽを押しつける。ゆっくりと腰を動かしてアナルの中にペニスを押しこんでいけば、パトリックが悲鳴じみた声を上げ、ペニスからしょろしょろとおしっこを漏らした。パトリックの中は、狭くて熱くて柔らかい。セルビオはあまりの気持ちよさに、我慢できずに腰を動かして、一気にペニスをパトリックの腹の奥深くへと押し込んだ。ペニスの先っぽが襞のようなところを通り抜け、肉の壁にぶつかると、パトリックの薄い腹が、ほんの微かにぽこっと膨れた。セルビオは、ひゅー、ひゅーと掠れた息を吐いているパトリックの薄い腹を撫で回した。
「パトリックさん。ここまで入ってるよ」
「あ♡ あ♡ あ♡ お、おいひい♡」
「もっと美味しいもの食べようね」
「あぁっ♡ あぁ♡ やぁっ♡ いくっ♡ またっ♡ いくぅぅぅぅ♡」
「あはは。何度でもイっていいよ」
「ひぃぃぃぃぃぃ♡」
パトリックがビクンビクンッと身体を大きく震わせ、きゅっときつくアナルでセルビオのペニスを締めつけてきた。気持ちよくて堪らない。パトリックのペニスを見てみれば、力なくくったりしている。どうやらもう勃たないようだ。拡張中にも4回程射精させたので、当然といえば当然なのかもしれない。それでもイっているのだから、淫魔族は本当に淫らな身体をしている。パトリックはほんのちょっと前まで処女だったのに、アナルの刺激だけでイっている。いやらしくて、可愛くて、本当に堪らない。
セルビオはビクビク震えるパトリックの両足を抱えなおして、前立腺があるという腹側を擦るように意識しながら、長いストロークで滅茶苦茶に激しく腰を振り始めた。
------
パトリックはふわふわと夢の中にいるようだった。嵐のように激しくて、気持ちよくて美味しい夢だ。パトリックの腹の中で、セルビオの凶器のようなペニスが激しく暴れ回っている。気持ちよくて、気持ちよくて、じわじわ身体に染み込んでくるセルビオの精気が美味しくて、頭が馬鹿になってしまいそうだ。いや、もうなっているのかもしれない。もっと濃いものが、いっぱい欲しくて堪らない。パトリックは両足の膝裏を自分で掴み、両足を大きく広げたまま、自分の下腹部を見た。セルビオが腹の奥深くを突き上げる度に、下腹部が微かにぽこっと膨れ、目の裏がチカチカする程の強烈な快感に襲われる。
パトリックはもっともっと欲しくて、怖いくらい熱を孕んだセルビオの黒い瞳を見つめた。
「もっとっ♡ もっとっ♡ くわせろっ♡」
「あははー。もうちょっと待っててくださいねー。ちょっと体勢変えますね。よいしょっと」
「あ、ばかっ♡ ぬくなっ♡」
「はいはい。また挿れますからねー。苦しかったら言ってくださいねー。よっと」
「う、わ……」
「はい。挿れまーす」
「あぁぁぁぁっ♡ いいっ♡ おいひいっ♡」
セルビオがパトリックの尻を掴んで腰を高く浮かせた。膝が肩につきそうなくらい身体を折り曲げられて苦しいが、上から突き刺すようにアナルに棍棒みたいなペニスを挿れられたら、苦しさなんてどうでもよくなった。美味しくて、気持ちよくて堪らない。セルビオがごすごすと腹の奥深くを突き破らんばかりの勢いで、激しくペニスを抜き差しし始めた。
「ひぃっ♡ いいっ♡ しぬっ♡ もっとっ♡ あ♡ あ♡ あーーっ♡」
「パトリックさん、自分で乳首を弄ってみて」
「ん♡ あっ♡ ちくびっ♡ きもちいいっ♡ いいっ♡ いぐっ♡ またいっくぅう♡」
「あーー。すげぇ、締まってるっ。パトリックさん、もう出すよ」
「あっ♡ あっ♡ ちょうだいっ♡ ちょうだいっ♡」
「は、は、あ、あーーっ!」
「あぁぁぁぁぁぁぁ♡」
パトリックが自分で自分の乳首を摘まんでむにーっと引っ張ると、拡張中にセルビオに弄られた後だからか、ものすごく気持ちよくて、腹の奥深くをごすごす突き下ろされるのも半端なく気持ちよくて、勝手にきゅっとアナルが締まった。セルビオが一際強くペニスで腹の奥深くを突き下ろし、そのままぐりぐりと腹の奥深くを刺激したかと思えば、ぶわっと『美味しいもの』が腹の中に満ちて、身体の中が多幸感としか言えないようなもので満たされていった。パトリックはだらしなく涎を垂らしながら、大きく喘いだ。初めて味わう濃厚な精気が、美味しくて、気持ちよくて、本当に堪らない。もっと、もっと欲しい。
パトリックは意識して下腹部に力を入れ、パトリックの腹の中で微かにピクピクと震えているセルビオのペニスをアナルで締めつけた。
「はぁっ、パトリックさん。そんなに締めたら、また勃っちゃう」
「もっと、もっと寄こせっ♡」
「あはっ。いいよー。いっぱいあげる」
「ふはっ♡ あぁ♡ 美味くて堪らないっ♡ もっと♡ もっと♡」
「はいはーい。お望みのままにー」
セルビオがにこっと笑って、ずるぅっと太くて長いペニスをパトリックのアナルから引き抜いた。セルビオに促されるままに四つん這いになると、すぐにセルビオのペニスがアナルの中に入ってきた。射精した筈なのに、セルビオのペニスは、もうガチガチに硬くなっている。腸壁を太いカリがごりごり擦りながら、腹の奥のヤバいところまでセルビオのペニスが入り込んでくる。腹の奥深くをぐりっとされると、脳みそが真っ白になる程の快感が身体中に広がっていく。パトリックが思わず喘ぐと、セルビオが何故か四つん這いのパトリックの薄い腹に腕を回し、伏せていた上体を起こさせた。
「セルビオ?」
「ちょっとやってみたいことがあって」
繋がったまま、セルビオが器用にパトリックの身体を少し浮かせ、ずりずりとベッドの端に移動して、そのままベッドから下りた。セルビオがパトリックの膝裏を持って、そのまま腰を振り始めた。不安定な体勢と自重で更に深く入り込むペニスの感触が怖くなって、パトリックは悲鳴じみた声を上げながら、後ろ手にセルビオの首に両手を絡めた。ゆさゆさと身体全体を揺さぶられながら、腹の奥深くのヤバい所をガンガン突き上げられる。喘ぎながら自分の下腹部を見れば、突き上げられる度に、薄い下腹部がぽこっぽこっと微かに膨れ、もう勃起もしなくなったパトリックのペニスが、ぶらんぶらんと間抜けに揺れている。セルビオが腰を振りながら、パトリックの耳を熱い舌で舐め回し、パトリックの耳元で囁いた。
「いっぱいいっぱい俺を食ってね」
パトリックはあまりの快感に意識を朦朧とさせながら、嬉しくて、だらしなく笑った。
------
パトリックはふわふわ香る珈琲のいい匂いで目覚めた。のろのろと身体を起こしてみれば、かつてない程、心身共に絶好調である。昨日、たらふくセルビオの精気を食ったからだろう。精気を食うとここまで調子がよくなるのかと驚きながら、パトリックはいつの間にか着せられていた寝間着のまま、ベッドから下りて、寝室を出た。
台所を覗けば、セルビオが慣れた手つきでオムレツをひっくり返していた。パトリックに気がついたセルビオが、にこーっと笑った。
「おはよう。パトリックさん。身体は大丈夫?」
「おはよ。問題ない。むしろ絶好調だ」
「あはは。それはよかった。ちょっと待ってね。すぐ盛り付けるから。朝ご飯食べよう」
「うん」
セルビオが手早く皿に出来上がった料理を盛り付けると、居間のテーブルに朝食の皿を並べた。軽く焼き直したと思われる温かいパンに、キレイな形のオムレツ、野菜サラダと、デザートに林檎もあった。食前の祈りを捧げてから、早速食べ始める。ふわふわのオムレツがものすごく美味しい。が、野菜サラダに天敵を見つけて、パトリックは、塗りたてのバターがじわっと染み込んだパンをもぐもぐしながら、天敵を睨みつけた。
「トマトもちゃんと食べてくださいね」
「……トマトは嫌いだ」
「はいはい。あーん」
「……あーん」
セルビオが自分のフォークでパトリックの皿のトマトを刺し、わざわざ口元に運んできたので、パトリックは嫌々ながらに口を開けて、天敵トマトを口に含んだ。トマト特有の香りと酸味が口の中に広がり、パトリックは眉間に深い皺を寄せて高速で咀嚼すると、ごくっとトマトを飲み込み、急いで珈琲を飲んだ。セルビオがのほほんと笑って、『偉いですねぇ』とパトリックの頭を撫でた。
「お前は俺のお母さんか」
「お母さんより伴侶の方がいいです」
「……なんでだ。俺は自分の研究にしか興味がないつまらない男だぞ。しかも、もうおっさんだ」
「パトリックさんって、なんか放っておけないんですよねー。あと、淫魔族の血を引いてるお陰で、セックスしても大丈夫だし。なによりパトリックさんのことが好きなんで。老後の面倒まで責任もってやりますから、大人しく俺にお世話されてください。パトリックさんのお世話をするのが生き甲斐みたいになっちゃってるんで」
「……物好きめ。おい」
「はい?」
「近いうちにお前のご両親に挨拶に行くぞ。あと、面倒だが、俺の両親のところにも」
「はいっ! あ、結婚式はいつします?」
「恥ずかしいからしない」
「えー! しましょうよ。パトリックさんの格好いい姿が見たいです」
「……身内を呼ぶだけなら……」
「やったぁ! 式場の手配とかは任せてくださいね。あ、知り合いに服職人がいるから、とびきりパトリックさんに似合う服を作ってもらわなきゃ。へへー。楽しみですねぇ」
嬉しそうにニコニコと笑うセルビオを見て、パトリックはなんとなく口角を上げた。随分と年が離れているのが少し気がかりというか、必ずセルビオを置いて逝ってしまうのがなんとも申し訳ない気がするが、もうセルビオなしじゃ生きられない身体になってしまった。きっと他の人間では満足できない。身体も、なにより心が。
パトリックはその後、ずっと安定した状態が続いたので、長く飲んでいた精神安定剤を飲むのを止めた。セルビオがいてくれるから、パトリックの心はいつだって穏やかだ。
セルビオと一緒になって何年経っても、パトリックは変わらず研究馬鹿だが、セルビオとちょっとしたことで笑い合い、寝食を共にして、パトリックは確かに幸せだった。
小さな愛がどんどん積み重なっていって、パトリックは最後の一瞬まで、セルビオを心から愛して、別れの瞬間に、ありったけの思いを初めて口にした。
(おしまい)
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