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私達は魔法障壁で爆裂魔法をなんとかやり過ごしたけど、まんまとグレースお姉様を連れ去られてしまいました。
爆風が止むと、ルーナはお義母様の元に駆けて行きました。ルーナには気の毒だけど、お義母様は明らかに事切れています。
私にとっては意地悪な継母でしかなかったけど、ルーナにとっては実の母親です。「お母様……」とうなだれたルーナのすすり泣く声が謁見の間に響く中、大公様はかろうじて生きていたので、完治魔法をかけました。
大公様はすぐに目を覚まし辺りを見渡していましたが、私達には害意がないと思われたようで、安心したような表情を浮かべました。
「其方らがあの魔物を打ち倒したのか?」
私達は顔を見合わせました。最高権力者の相手はなんとなく下級貴族や平民には荷が重くて、回答すべきか戸惑っていると、エルヴィン様が対応してくれました。
「先程のモンスターは取り逃し、グレース・シリウス嬢は連れ去られました。面目次第もございません」
「そうか……其方は迷宮を探索していたパーティーの者か?」
「はい、私はそちらのクロエ・シリウス嬢の探索パーティーに参加しておりました、エルヴィン・グラジオラスと申します」
エルヴィン様がそう言うと、大公様は私の方を見ました。
「シリウスの探索隊のことは噂では聞いておる。其方がパーティーリーダーか。迷宮で何があったのか教えてくれぬか」
直接尋ねられた以上、私が受け答えするしかありません。とりあえずご挨拶させていただいてから、後は成り行きに任せるしかなさそうです。
「大公様、お初にお目にかかります。クロエ・シリウスと申します」
私は迷宮の地下8階で起こったことを大公様に説明しました。
「ファーガスという名には聞き覚えがある。すぐには思い出せぬが、歴史学者なら何かわかるかもしれぬ」
迷宮の上に首都を構えている公国には何らかの伝承が残っていてもおかしくありません。建国の際に関わりがあったのだと思います。ファーガスは自分や迷宮について私達が全くの無知であることを憤慨していましたから。
それとは別に、ここで何があったのでしょうか。グレースお姉様はあの魔物を公太子様だと言っていた気がします。ここでの出来事はファーガスの不吉な言葉と繋がっているような、なんだか嫌な予感がします。
「大公様、失礼とは存じますが、ここで何があったのか教えていただけませんか。母と姉がなぜこのような目に遭わなければならなかったのでしょうか」
大公様は私を一瞥してから目を閉じると、私達が来るまでの状況を説明してくれました。
「亡くなったシリウスの母子には申し訳ないことをした。事の発端は今日の昼過ぎ、我が息子、公太子が目を覚ましたことから始まる」
使用人による日課の体拭きの最中に公太子様が突然起き上がり、それを慌てて報告に来た使用人の言葉を受けて、大公様を含む多くの者が公太子様の寝室に駆け込みましたが、公太子様は起き上がったものの心ここに在らずといった様子で呆けていました。
公太子様の様子を見て、皆が訝しがっていましたが、誰かが、迷宮を探索していたシリウスの者に話を聞いてはどうかと言い出したので、大公様は早速シリウスの屋敷に使いを出しました。
その話になると、それまでどこを見ているのかわからない様子の公太子様が、「シリウスの者」について非常に興味を持ち、自分も話を聞きたいとはっきりと意思表示をしました。
「息子は何やら様子がおかしかった。説明し難いが、雰囲気がいつもと違うと言えばよいのか。眠りについている間のことを教えてやると、高笑いを始めたりしてな」
「グレースお姉様はあの化け物を公太子様だと言っていましたが」
私が口を挟むと、大公様は大きくうなずきました。
「奴は人払いをして、私と二人で話すことを希望してきた。言う通りにすると、突然私に襲いかかってきたのだ。どうも気を失わされていたようなのだが、気がつくと謁見の間で其方の家の者と向かい合っていた。私が注意喚起すると、奴は突如、息子の姿から禍々しい姿に変化したのだ」
そこまで話すと疲れてきたのか、大公様は椅子に深くもたれて目を閉じました。あのモンスターに魔法で虐げられていたようなので、そろそろ休ませてあげた方が良さそうです。
「クロエ、僕はお母様が気になるから一旦グラジオラスの屋敷に帰るよ。まさかお母様もあんな風になっていないとも限らないから」
エルヴィン様がそわそわしています。自分の母親が公太子様と同じようになっている可能性があるとなると、気が気でないのも無理はありません。
「俺たちも師匠に話を聞きに行こう。さっきのアイテムも鑑定してもらう必要があるし。でも、地下8階はまだ気になるんだ。もしかしたら、何か見落としているのかもしれない」
ルーカス君がそう言いました。私も先程からそれが気になるのです。
そもそも、この街に蔓延した病は誰によるものだったのでしょうか。ファーガスを倒したことにより眠りについていた人達が目覚めましたが、公太子様はモンスターに変貌してしまいました。
ファーガスは「後はお前たちでなんとかしろ」と言いました。まるで彼にはこうなる事が分かっていたというのは考えすぎでしょうか。
彼はあそこで何かの役目を果たしていて、その彼を倒したが為に邪悪な物が噴き出してきたかのような……。
「いずれにしても、できるだけ早急に再び迷宮に潜る必要があると思います。回復を待って明日にしますけど、エルヴィン様とルーナにも一緒に来て欲しいです」
「分かった。ではまた明日、いつも通りに合流するよ」
エルヴィン様はそう言うと、足早に去って行きました。何事も無いと良いのですが。
「クロエ、私も今日は帰るね。じゃあまた明日」
お義母様のそばにいたルーナも帰って行きました。お義母様の亡骸は城の人たちが処分を始めています。
シリウスは大変なことになってしまいました。お父様はどうするのでしょうか。
「俺たちも日が暮れる前に行こうぜ」
「うん」
リンカーン商店に向かうためにルーカス君について謁見の間を出ようとすると、大公様に呼び止められました。
「クロエ・シリウス男爵令嬢よ。ファーガスの件はこちらでも調べておこう。申し訳無いが其方に頼る他はない。解決した暁には、あらかじめ約束したもの以上に恩には報いるから、どうか力を貸して欲しい」
なんだかいくらお金をいただいても割に合わないくらいキナ臭い状況になってきましたが、放ってもおけませんし私はそれを了承しました。
「かしこまりました。何かわかったら冒険者協会を通じてお知らせください」
それだけ言うと、私達も王宮を後にしました。
爆風が止むと、ルーナはお義母様の元に駆けて行きました。ルーナには気の毒だけど、お義母様は明らかに事切れています。
私にとっては意地悪な継母でしかなかったけど、ルーナにとっては実の母親です。「お母様……」とうなだれたルーナのすすり泣く声が謁見の間に響く中、大公様はかろうじて生きていたので、完治魔法をかけました。
大公様はすぐに目を覚まし辺りを見渡していましたが、私達には害意がないと思われたようで、安心したような表情を浮かべました。
「其方らがあの魔物を打ち倒したのか?」
私達は顔を見合わせました。最高権力者の相手はなんとなく下級貴族や平民には荷が重くて、回答すべきか戸惑っていると、エルヴィン様が対応してくれました。
「先程のモンスターは取り逃し、グレース・シリウス嬢は連れ去られました。面目次第もございません」
「そうか……其方は迷宮を探索していたパーティーの者か?」
「はい、私はそちらのクロエ・シリウス嬢の探索パーティーに参加しておりました、エルヴィン・グラジオラスと申します」
エルヴィン様がそう言うと、大公様は私の方を見ました。
「シリウスの探索隊のことは噂では聞いておる。其方がパーティーリーダーか。迷宮で何があったのか教えてくれぬか」
直接尋ねられた以上、私が受け答えするしかありません。とりあえずご挨拶させていただいてから、後は成り行きに任せるしかなさそうです。
「大公様、お初にお目にかかります。クロエ・シリウスと申します」
私は迷宮の地下8階で起こったことを大公様に説明しました。
「ファーガスという名には聞き覚えがある。すぐには思い出せぬが、歴史学者なら何かわかるかもしれぬ」
迷宮の上に首都を構えている公国には何らかの伝承が残っていてもおかしくありません。建国の際に関わりがあったのだと思います。ファーガスは自分や迷宮について私達が全くの無知であることを憤慨していましたから。
それとは別に、ここで何があったのでしょうか。グレースお姉様はあの魔物を公太子様だと言っていた気がします。ここでの出来事はファーガスの不吉な言葉と繋がっているような、なんだか嫌な予感がします。
「大公様、失礼とは存じますが、ここで何があったのか教えていただけませんか。母と姉がなぜこのような目に遭わなければならなかったのでしょうか」
大公様は私を一瞥してから目を閉じると、私達が来るまでの状況を説明してくれました。
「亡くなったシリウスの母子には申し訳ないことをした。事の発端は今日の昼過ぎ、我が息子、公太子が目を覚ましたことから始まる」
使用人による日課の体拭きの最中に公太子様が突然起き上がり、それを慌てて報告に来た使用人の言葉を受けて、大公様を含む多くの者が公太子様の寝室に駆け込みましたが、公太子様は起き上がったものの心ここに在らずといった様子で呆けていました。
公太子様の様子を見て、皆が訝しがっていましたが、誰かが、迷宮を探索していたシリウスの者に話を聞いてはどうかと言い出したので、大公様は早速シリウスの屋敷に使いを出しました。
その話になると、それまでどこを見ているのかわからない様子の公太子様が、「シリウスの者」について非常に興味を持ち、自分も話を聞きたいとはっきりと意思表示をしました。
「息子は何やら様子がおかしかった。説明し難いが、雰囲気がいつもと違うと言えばよいのか。眠りについている間のことを教えてやると、高笑いを始めたりしてな」
「グレースお姉様はあの化け物を公太子様だと言っていましたが」
私が口を挟むと、大公様は大きくうなずきました。
「奴は人払いをして、私と二人で話すことを希望してきた。言う通りにすると、突然私に襲いかかってきたのだ。どうも気を失わされていたようなのだが、気がつくと謁見の間で其方の家の者と向かい合っていた。私が注意喚起すると、奴は突如、息子の姿から禍々しい姿に変化したのだ」
そこまで話すと疲れてきたのか、大公様は椅子に深くもたれて目を閉じました。あのモンスターに魔法で虐げられていたようなので、そろそろ休ませてあげた方が良さそうです。
「クロエ、僕はお母様が気になるから一旦グラジオラスの屋敷に帰るよ。まさかお母様もあんな風になっていないとも限らないから」
エルヴィン様がそわそわしています。自分の母親が公太子様と同じようになっている可能性があるとなると、気が気でないのも無理はありません。
「俺たちも師匠に話を聞きに行こう。さっきのアイテムも鑑定してもらう必要があるし。でも、地下8階はまだ気になるんだ。もしかしたら、何か見落としているのかもしれない」
ルーカス君がそう言いました。私も先程からそれが気になるのです。
そもそも、この街に蔓延した病は誰によるものだったのでしょうか。ファーガスを倒したことにより眠りについていた人達が目覚めましたが、公太子様はモンスターに変貌してしまいました。
ファーガスは「後はお前たちでなんとかしろ」と言いました。まるで彼にはこうなる事が分かっていたというのは考えすぎでしょうか。
彼はあそこで何かの役目を果たしていて、その彼を倒したが為に邪悪な物が噴き出してきたかのような……。
「いずれにしても、できるだけ早急に再び迷宮に潜る必要があると思います。回復を待って明日にしますけど、エルヴィン様とルーナにも一緒に来て欲しいです」
「分かった。ではまた明日、いつも通りに合流するよ」
エルヴィン様はそう言うと、足早に去って行きました。何事も無いと良いのですが。
「クロエ、私も今日は帰るね。じゃあまた明日」
お義母様のそばにいたルーナも帰って行きました。お義母様の亡骸は城の人たちが処分を始めています。
シリウスは大変なことになってしまいました。お父様はどうするのでしょうか。
「俺たちも日が暮れる前に行こうぜ」
「うん」
リンカーン商店に向かうためにルーカス君について謁見の間を出ようとすると、大公様に呼び止められました。
「クロエ・シリウス男爵令嬢よ。ファーガスの件はこちらでも調べておこう。申し訳無いが其方に頼る他はない。解決した暁には、あらかじめ約束したもの以上に恩には報いるから、どうか力を貸して欲しい」
なんだかいくらお金をいただいても割に合わないくらいキナ臭い状況になってきましたが、放ってもおけませんし私はそれを了承しました。
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