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わたしの帰る場所
244話 ゲームじゃないから
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通されたのはいつだったか、クロヴィスと真剣な話し合いをした部屋でした。それでわたしははっとしました。――用件が、思い当たって。
……前に、この部屋で話したことは。
クロヴィスは、カミーユさんへ「部屋の外で待っていてくれたまえ」と言いました。わたしは「いえ、カミーユさんにも入ってもらってください」と言いました。ちょっとだけ間があって、クロヴィスは「承知した」と言いました。
室内には執事さんやメイドさんの他に、メガネをかけた文官さんみたいな男性がいらっしゃって、クロヴィスの隣りに座ります。カミーユさんは、扉の傍に立ちました。メイドさんが「お飲み物はどうなさいますか」と尋ねてくださいます。なんだかワゴンにいろいろ用意してあったので、オレンジジュースをいただきました。クロヴィスはコーヒーでした。男性も同じく。わたしが好んでいたのを覚えていてくださったのか、テーブルに並べられているのは真ん中にジャムが乗っているクッキー。マドレーヌもある。無言で対面に座ったわたしとクロヴィスへそれぞれ飲み物を提供すると、メイドさんは壁際へ下がりました。
クロヴィスの表情はいっそ穏やかでした。少しだけためらうような時間があって、顔を上げてわたしを見ます。底冷えするような気持ちが、わたしの中にわだかまりました。
「あなたに、渡したい物がある」
控えていらした執事さんが平べったいフタ付きの黒いケースをすっと持って来て、クロヴィスの前へ置きました。一拍の後に、それは開かれます。書類です。クロヴィスはメガネの男性へ、そのまま渡しました。
「こちらは、弁護士のペロワ氏だ。資産管理を専門とされている」
「聞きたくないです」
「待ってくれ、ミタ嬢」
わたしが席を立つと、クロヴィスも立って行く手を遮りました。カミーユさんが動いた気配があります。わたしはその長い脚の膝のあたりを見て、この足をまくにはどうしたらいいかと考えました。出入り口には執事さんが立ち、わたしを部屋から出す気はないみたいで、それでも、ここから逃げたかった。
「……どうか、彼の気持ちをなかったことにしないでくれ」
「聞きたくないですってば!」
思っていたより大きな声が出ました。クロヴィスはそれについてはなにも言わず、ただ「座って、聞いてくれ。これはあなたの責務だ」と言いました。しばらく睨み合って、わたしは席へ戻りました。
弁護士のペロワさんが、柔和な瞳でわたしをご覧になり「ソノコ・ミタ様で間違いございませんね?」と尋ねて来られました。わたしは「はい」と答えます。その声がどこか、自分のものに思えませんでした。
「あらためまして。私はオドラン法律事務所レテソル支部のジョゼフ・ペロワと申します」
こういう場に慣れていらっしゃる方なんだろうな、と思います。わたしの態度は、良いものとは言えないから。座ってうつむいたまま、ペロワさんの声をなんとなく聞いていました。
「――トリスタン・ラ・サルさんから、お預かりしている遺言書があります。その中で、ラ・サルさんが指名した相続人として、あなたのお名前が記されています」
なにも言えなくて。息ができなくて。オレンジジュースのコップに触れた手が、指先から冷たくなって行く。
この話が今、わたしにされる理由。わかったからなにも言わないでほしい。
眼の前に出された書類は、思っていた以上にていねいな文字で。
----------
遺言書
私、トリスタン・ラ・サルは、精神的に健康であり、意志を明確に表明することができることを確認します。
私の全ての財産、資産、および財産権について、これを次のように遺言します。
私の全財産の相続人として、ソナコ・ミタを指名します。
私の遺産の管理および処理について、オドラン法律事務所ジョゼフ・ペロワ弁護士を遺言執行者と指名します。
彼は私の遺産の処理、遺言書の遵守、および関連する法的手続きを行う責任を負います。
私は、遺産分割や処分に関する裁判所の干渉を避けるため、遺言執行者に全面的な権限を与えるものとします。
この遺言書の有効性に関する一切の疑義は排除するものとし、以上の内容について、私、トリスタン・ラ・サルが最終意志を明確にしたものとして本遺言書を作成します。
トリスタン・ラ・サル
証人 ジョゼフ・ペロワ
----------
弁護士さんが証人として署名する正式な文書にまでソナコって書くんだな。そんなことをふと思いました。さっきペロワさんはわたしを口頭で「ソノコ・ミタ」と確認したし、きっと法律的なことは明解になっているんでしょう。
わたしは、彼の名前を呼んでみようとしました。返事がないことを怖れて、声が出ませんでした。こんな日がいつか来るとしたって、こんな風にではあってほしくなかった。
わたしたちの間にあるのは、紙切れ一枚でした。そうだ、そのくらい。わたしたちは、なにもわかり合えないままだった。
彼が好きだと言ってくれたわたしの手を、膝の上でぎゅっと握りしめました。どんなことを考えていたのかなんてわたしには想像だってできなくて、ただ彼がわたしに、なにかを遺そうとした事実だけがある。
ペロワさんの声が、上滑りのままわたしを通り過ぎて行きました。
わたしは、ただ自分の拳をみつめていました。
帰りの蒸気機関車へ向かう自動車の中へ乗り込み、クロヴィスとメラニーへ手を振りました。二人は少しだけ心配そうな表情をしていて、そうさせてしまったことを反省して笑顔を作りました。上手くできたかは、ちょっと自信がない。レアさんは、きっとわたしとクロヴィスがどんな話をしたのか、わかっている気がします。美ショタ様もいつものポーカーフェイスで、わたしのぎこちなさにも動じない。カミーユさんは、少しだけ戸惑うような表情を浮かべたあと、いつもの様子に戻りました。みんな、優しくて。わたしはその優しさに甘えました。
蒸気機関車に揺られていた二日間。わたしは上の空で。それでも、心を日常へ戻すために努力しました。みんなでハルハルとかして。レアさんと美ショタ様が常勝でした。……ルミエラに着いたら。また、穏やかな生活が待っている。
家に着いて荷解きをしている間に、カミーユさんがミュラさんと連絡を取り、アシモフたんをお迎えに行ってくれました。やっぱりアシモフたんと会うと、日常に戻ってきたという感触があります。わたしが、アウスリゼで過ごした期間は、もう十カ月を数えるまでになりました。その大半を、いっしょに暮らして来たから。
それは、レアさんもいっしょ。優しくて、料理上手で、キレイで、ちょっとぐーたらなレアさん。彼女がいなかったら、わたしは、きっと今のわたしじゃなかった。ずっとこんな生活が続くんだと心のどこかで考えていて、わたしは、自分が本当に楽観的すぎることを思い知らされました。
「ねえ。ソノコ。あたし、ラキルソンセンへ行こうと思うの」
少し早い秋風が吹く日でした。わたしは、オリヴィエ様から結婚式の日取りとか日取りとかスケジュールとか、かなり具体的に話を詰められている最中で。その日もカミーユさんが、メッセンジャーとして何往復もしてくれていました。レアさんはお昼になに食べる? みたいな調子でおっしゃって、わたしは「おお、いいですねえ! 南の方にあるんですよね?」と、アシモフたんのブラッシングをしながら言いました。毎回小さなアシモフたんができるくらい毛が抜けます。
「うん。それでね。アシモフをお願いしたいの」
あれ、と思いました。普通にわたしもいっしょに行く気で答えたから。えー、なんだよ。レアさんわたしを置いて行く気かよーと思って。なんか、レテソルに滞在したときみたいに、アシモフたんと三人で、また行動できると思ったんです。
「えーっ、レアさんだけで行くんですかー⁉️」
「あなた、嫁入り前に、どこ行く気なのよ!」
レアさんがからからと笑って。いつも通りのレアさんで。だから、次に言われた言葉が、いっしゅんよくわからなくて。
「お医者様にね。長く保たないだろうって言われたの」
デザートはなににしようみたいな声色で。きっと、言いながらそんなことも考えていたんだと思う。
わたしは、言葉を失いました。アシモフたんが、手が止まってるぞ、と一声鳴いてわたしのお腹へ頭突きしました。
「ルミエラの冬は、耐えられないんじゃないかって。除排雪は、市の事業としてしっかりされているから、あまり気にならないけれどね。じつはリッカー=ポルカと同じくらい雪が降るのよ」
「レアさん、レアさん、待って」
混乱して。すごく混乱して。立ち上がって、レアさんのところへ行きました。アシモフたんがブラシをくわえて着いてきます。レアさんは優しい瞳でアシモフたんに手を差し伸べて。アシモフたんは、ブラシをそこに置いて、その手へ撫でられに行きました。
「ねえ、待って。ねえ、待って」
なにを、なにを言えばいいんだろう。なにを聞けばいいんだろう。どうしたらいいのかわからなくて。リビングの中をぐるぐる回って。モアイこけしに目線を送ったけど、なにも言ってはくれない。
レアさんは、新しい入浴剤の話をするみたいに「暖かい地方に移住したら、まあちょっとは保つかしらねえ」とおっしゃいました。
どうしたらいいのかわからなくて。
どうしたらいいのかわからなくて。
悔しくて、でもなにに悔しがればいいのかわからなくて、でも悔しくて。
ただ、泣いて。バカみたいに泣いて。どうしたらいいのかわからなくて。
レアさんが両手を開いてくれました。ハグして。アシモフたんも交ざって。
現実ってどうして、こんなに残酷なんだろう。
……前に、この部屋で話したことは。
クロヴィスは、カミーユさんへ「部屋の外で待っていてくれたまえ」と言いました。わたしは「いえ、カミーユさんにも入ってもらってください」と言いました。ちょっとだけ間があって、クロヴィスは「承知した」と言いました。
室内には執事さんやメイドさんの他に、メガネをかけた文官さんみたいな男性がいらっしゃって、クロヴィスの隣りに座ります。カミーユさんは、扉の傍に立ちました。メイドさんが「お飲み物はどうなさいますか」と尋ねてくださいます。なんだかワゴンにいろいろ用意してあったので、オレンジジュースをいただきました。クロヴィスはコーヒーでした。男性も同じく。わたしが好んでいたのを覚えていてくださったのか、テーブルに並べられているのは真ん中にジャムが乗っているクッキー。マドレーヌもある。無言で対面に座ったわたしとクロヴィスへそれぞれ飲み物を提供すると、メイドさんは壁際へ下がりました。
クロヴィスの表情はいっそ穏やかでした。少しだけためらうような時間があって、顔を上げてわたしを見ます。底冷えするような気持ちが、わたしの中にわだかまりました。
「あなたに、渡したい物がある」
控えていらした執事さんが平べったいフタ付きの黒いケースをすっと持って来て、クロヴィスの前へ置きました。一拍の後に、それは開かれます。書類です。クロヴィスはメガネの男性へ、そのまま渡しました。
「こちらは、弁護士のペロワ氏だ。資産管理を専門とされている」
「聞きたくないです」
「待ってくれ、ミタ嬢」
わたしが席を立つと、クロヴィスも立って行く手を遮りました。カミーユさんが動いた気配があります。わたしはその長い脚の膝のあたりを見て、この足をまくにはどうしたらいいかと考えました。出入り口には執事さんが立ち、わたしを部屋から出す気はないみたいで、それでも、ここから逃げたかった。
「……どうか、彼の気持ちをなかったことにしないでくれ」
「聞きたくないですってば!」
思っていたより大きな声が出ました。クロヴィスはそれについてはなにも言わず、ただ「座って、聞いてくれ。これはあなたの責務だ」と言いました。しばらく睨み合って、わたしは席へ戻りました。
弁護士のペロワさんが、柔和な瞳でわたしをご覧になり「ソノコ・ミタ様で間違いございませんね?」と尋ねて来られました。わたしは「はい」と答えます。その声がどこか、自分のものに思えませんでした。
「あらためまして。私はオドラン法律事務所レテソル支部のジョゼフ・ペロワと申します」
こういう場に慣れていらっしゃる方なんだろうな、と思います。わたしの態度は、良いものとは言えないから。座ってうつむいたまま、ペロワさんの声をなんとなく聞いていました。
「――トリスタン・ラ・サルさんから、お預かりしている遺言書があります。その中で、ラ・サルさんが指名した相続人として、あなたのお名前が記されています」
なにも言えなくて。息ができなくて。オレンジジュースのコップに触れた手が、指先から冷たくなって行く。
この話が今、わたしにされる理由。わかったからなにも言わないでほしい。
眼の前に出された書類は、思っていた以上にていねいな文字で。
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遺言書
私、トリスタン・ラ・サルは、精神的に健康であり、意志を明確に表明することができることを確認します。
私の全ての財産、資産、および財産権について、これを次のように遺言します。
私の全財産の相続人として、ソナコ・ミタを指名します。
私の遺産の管理および処理について、オドラン法律事務所ジョゼフ・ペロワ弁護士を遺言執行者と指名します。
彼は私の遺産の処理、遺言書の遵守、および関連する法的手続きを行う責任を負います。
私は、遺産分割や処分に関する裁判所の干渉を避けるため、遺言執行者に全面的な権限を与えるものとします。
この遺言書の有効性に関する一切の疑義は排除するものとし、以上の内容について、私、トリスタン・ラ・サルが最終意志を明確にしたものとして本遺言書を作成します。
トリスタン・ラ・サル
証人 ジョゼフ・ペロワ
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弁護士さんが証人として署名する正式な文書にまでソナコって書くんだな。そんなことをふと思いました。さっきペロワさんはわたしを口頭で「ソノコ・ミタ」と確認したし、きっと法律的なことは明解になっているんでしょう。
わたしは、彼の名前を呼んでみようとしました。返事がないことを怖れて、声が出ませんでした。こんな日がいつか来るとしたって、こんな風にではあってほしくなかった。
わたしたちの間にあるのは、紙切れ一枚でした。そうだ、そのくらい。わたしたちは、なにもわかり合えないままだった。
彼が好きだと言ってくれたわたしの手を、膝の上でぎゅっと握りしめました。どんなことを考えていたのかなんてわたしには想像だってできなくて、ただ彼がわたしに、なにかを遺そうとした事実だけがある。
ペロワさんの声が、上滑りのままわたしを通り過ぎて行きました。
わたしは、ただ自分の拳をみつめていました。
帰りの蒸気機関車へ向かう自動車の中へ乗り込み、クロヴィスとメラニーへ手を振りました。二人は少しだけ心配そうな表情をしていて、そうさせてしまったことを反省して笑顔を作りました。上手くできたかは、ちょっと自信がない。レアさんは、きっとわたしとクロヴィスがどんな話をしたのか、わかっている気がします。美ショタ様もいつものポーカーフェイスで、わたしのぎこちなさにも動じない。カミーユさんは、少しだけ戸惑うような表情を浮かべたあと、いつもの様子に戻りました。みんな、優しくて。わたしはその優しさに甘えました。
蒸気機関車に揺られていた二日間。わたしは上の空で。それでも、心を日常へ戻すために努力しました。みんなでハルハルとかして。レアさんと美ショタ様が常勝でした。……ルミエラに着いたら。また、穏やかな生活が待っている。
家に着いて荷解きをしている間に、カミーユさんがミュラさんと連絡を取り、アシモフたんをお迎えに行ってくれました。やっぱりアシモフたんと会うと、日常に戻ってきたという感触があります。わたしが、アウスリゼで過ごした期間は、もう十カ月を数えるまでになりました。その大半を、いっしょに暮らして来たから。
それは、レアさんもいっしょ。優しくて、料理上手で、キレイで、ちょっとぐーたらなレアさん。彼女がいなかったら、わたしは、きっと今のわたしじゃなかった。ずっとこんな生活が続くんだと心のどこかで考えていて、わたしは、自分が本当に楽観的すぎることを思い知らされました。
「ねえ。ソノコ。あたし、ラキルソンセンへ行こうと思うの」
少し早い秋風が吹く日でした。わたしは、オリヴィエ様から結婚式の日取りとか日取りとかスケジュールとか、かなり具体的に話を詰められている最中で。その日もカミーユさんが、メッセンジャーとして何往復もしてくれていました。レアさんはお昼になに食べる? みたいな調子でおっしゃって、わたしは「おお、いいですねえ! 南の方にあるんですよね?」と、アシモフたんのブラッシングをしながら言いました。毎回小さなアシモフたんができるくらい毛が抜けます。
「うん。それでね。アシモフをお願いしたいの」
あれ、と思いました。普通にわたしもいっしょに行く気で答えたから。えー、なんだよ。レアさんわたしを置いて行く気かよーと思って。なんか、レテソルに滞在したときみたいに、アシモフたんと三人で、また行動できると思ったんです。
「えーっ、レアさんだけで行くんですかー⁉️」
「あなた、嫁入り前に、どこ行く気なのよ!」
レアさんがからからと笑って。いつも通りのレアさんで。だから、次に言われた言葉が、いっしゅんよくわからなくて。
「お医者様にね。長く保たないだろうって言われたの」
デザートはなににしようみたいな声色で。きっと、言いながらそんなことも考えていたんだと思う。
わたしは、言葉を失いました。アシモフたんが、手が止まってるぞ、と一声鳴いてわたしのお腹へ頭突きしました。
「ルミエラの冬は、耐えられないんじゃないかって。除排雪は、市の事業としてしっかりされているから、あまり気にならないけれどね。じつはリッカー=ポルカと同じくらい雪が降るのよ」
「レアさん、レアさん、待って」
混乱して。すごく混乱して。立ち上がって、レアさんのところへ行きました。アシモフたんがブラシをくわえて着いてきます。レアさんは優しい瞳でアシモフたんに手を差し伸べて。アシモフたんは、ブラシをそこに置いて、その手へ撫でられに行きました。
「ねえ、待って。ねえ、待って」
なにを、なにを言えばいいんだろう。なにを聞けばいいんだろう。どうしたらいいのかわからなくて。リビングの中をぐるぐる回って。モアイこけしに目線を送ったけど、なにも言ってはくれない。
レアさんは、新しい入浴剤の話をするみたいに「暖かい地方に移住したら、まあちょっとは保つかしらねえ」とおっしゃいました。
どうしたらいいのかわからなくて。
どうしたらいいのかわからなくて。
悔しくて、でもなにに悔しがればいいのかわからなくて、でも悔しくて。
ただ、泣いて。バカみたいに泣いて。どうしたらいいのかわからなくて。
レアさんが両手を開いてくれました。ハグして。アシモフたんも交ざって。
現実ってどうして、こんなに残酷なんだろう。
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