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わたしの帰る場所
234話 とても、悲しいけれど
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考えていたことがありました。それはもしかしたら馬鹿げているのかもしれないし、当を得てもいないのかもしれない。それでも、どこか確信めいたものがあって、わたしはその件を王杯へ尋ねませんでした。
――オリヴィエ様の、ことを。
「さて、ソノコ」
長くて白い廊下を歩きながら、リシャールがわたしへ呼びかけました。わたしは考えから浮上して「はい」と答えます。
「もう遅いから、泊まって行きたまえ。部屋はミュラが用意する」
「えっ」
声をあげたのはオリヴィエ様。ミュラさんもちょっとびっくり。そして「では私も――」とおっしゃったところを、リシャールはかぶせるようにぴしゃりと「帰りたまえ、オリヴィエ。君は、いいや」と言います。
「えっ、えっ?」
戸惑い気味オリヴィエ様貴重すぎる眼福ありがとうリシャール。わたしはひとこと「わかりました」と言いました。なんとなく、そうなるかな、とも思っていました。
ミュラさんに着いて行って、急きょ王宮の端にお泊り。オリヴィエ様へは「おやすみなさい」と言って別れましたが、心配そうな、それよりも混乱しているような、そんな表情をされていました。
部屋に入ってすぐに、わたしはヒールを脱いで、ドレスもやっとのことで脱いで。
顔を洗わなくちゃ、と思いながらもベッドに倒れ込み、そのまま寝落ちました。
「おはようございます」
朝。メイドさんのノックで目が覚めて、夢も見ないくらいぐっすりだったと気づきました。王宮だからメイドさんって言わないのかな。女官さんかな。いいかどっちでも。メイドさんは着替えの服を持って来てくれていました。ありがとうございます。グラス侯爵領へ行く前に美ショタ様が教えてくださった、わたしサイズの服がある高級店『アルカンシエル』の服でした。手配が行き届いてるなあ。ミュラさんかな。
落としていなかった化粧を落として、さっと髪を整えて。さすがにお風呂に入っている時間はありません。なにせ「リシャール殿下が、朝食をともにとおっしゃっています」とのことなので。アウスリゼに来たばっかりのときにさっさと帰っちゃって食べそこねた、王宮の朝食に与れるってわけですね。あのときほどは、リシャールへ苦手意識はありませんし、カリスマオーラにも慣れました。
メイドさんから促されて部屋から出たら、ミュラさんが昨日のヨレっとした姿ではなくいつもの仕事できそうな感じで立っていました。あら、おはようございます。
「ミュラさん、こんな早くからご出勤ですか」
「むしろ一週間ほど帰宅できていません。お披露目会は王太子主催でしたので。秘書官はみんな泊まり込みです」
「おお、お疲れ様です」
お片付けとか組織した警備網の解体とか特別給与の支払いとかの作業がまだ残っているんだそうで。それ王太子秘書官がやるの? 現場レベルでできない?
朝ごはん、ミュラさんもいっしょということですね。これはちょっと意外でした。
てくてく歩いて二十分くらいでしょうか。我が心のエルドラド――中央会議室――の前を通り過ぎました。懐かしいですね。グレⅡリシャールシナリオで、オリヴィエ様が初登場される場所であり、わたしがアウスリゼに来て初めてオリヴィエ様にお会いした場所でもあり。はあー、拝んどこ。
そして、知らない部屋へ連れて来られました。王杯のお部屋みたいに白い両開き扉ですが、そのサイドに控えているのは全身よろい警備さんです。物々しい。リシャールがいるならしかたないのかな。
ミュラさんがノックをすると、応答があって内側から扉が開きました。執事さんふたりがうやうやしく迎えてくれます。
「やあ、おはよう。さわやかな朝だね」
一番奥の席でリシャールがさわやかに言いました。王太子殿下をお待たせしてしまったようですみません。わたしはミュラさんに引かれた椅子へ座って、ミュラさんはわたしの迎え側に座りました。執事さんたちがすっと朝食を用意していきます。香ばしく焼かれた厚いスライスの塊ベーコンの上に、ゆで卵みたいのが乗っています。それにポテトが添えてある。わたし知ってる、これポーチドエッグってやつだ。お貴族様の朝食で出るやつだ。わたしはくわしいんだ。ふわっふわの白パン。スープ。サラダ。コーヒー。なんか健康的。
給仕をしたら、執事さんたちは揃って一礼し退室されました。それからリシャールが「食べようか」と言ったので、わたしも「いただきます」と言います。
「さて。君の話を聞こうかな、ソノコ」
話が早くて助かるんですが、なんか見透かされているような気持ちになりますね。わたしはずっと、リシャールへ尋ねたかった。踊っていたときの質問だけではなく。
どう言葉にすればいいのかわからなくて、わたしは「こんな言い方が合っているのかわかりませんが」と白パンをむしりながら言いました。リシャールはポーチドエッグにフォークをぶっ刺してからナイフでベーコンを切り分けていました。いいんだ、そんな食べ方で。
「オリヴィエ様の交友関係を、把握していらっしゃいますか」
「もちろん」
白パンおいしい。スープもおいしい。即答されたので、わたしの確信は深まりました。リシャールも、確信している。
「怪しい人いません?」
「いないねえ」
「じゃあ、裏のある人は?」
「いるねえ」
ミュラさんの視線はわたしとリシャールの間を行ったり来たりします。なんか小動物っぽい。
わたしは「その人が、マディア領からの移動時に、オリヴィエ様を殺そうとした人だと、思います」と言いました。
リシャールは食べたものを飲み下してから「証拠がないねえ」と言いました。ミュラさんは目を真ん丸にして、口を開けてわたしを見ていました。
しばらくカトラリーの音がしていました。ベーコンおいしい。ミュラさんの食事の手が止まっています。フォークを置いて、なにか言いたいけどどうしたらいいのかわからないような表情で、コーヒーを飲まれました。
わたし、かなり前から気づいていたんです。でも、リシャールが言う通り証拠はない。そう、リシャールですら、証拠がつかめない。
もう、オリヴィエ様が暗殺されることはないと思います。なぜなら、その必要がないから。あれだけ執拗にグレⅡシナリオの中でオリヴィエ様がデッドエンドを迎えるのは、あのタイミングでのオリヴィエ様の命に意味があったから。
オリヴィエ様が、亡くなることが――戦争の引き金だったから。シナリオ上、そうなっているから。
もちろんアウスリゼに来る前は、グレⅡはただのゲームだとわたしは思っていたので、物語の進行上と、演出上しかたがないのかと考えたこともあった。
でも、違うんですよ。ずっと違和感があって。どうしてそんなシナリオにしたのか。ただSRPGとして戦争シミュレーションをしたいのであれば、オリヴィエ様を排除する必要なんてないはず。たしかにドラマチックかもしれない。大勢のユーザー同様わたしも、何回もガチ泣きした。それくらい最初から、重要人物として扱われていたのがオリヴィエ様だった。実際に亡くなるまでの間、ゲームを進める上でのリシャール側の駒のひとつとして動く。なので、戦争が始まったとき、リシャールは重要な駒をひとつ失っているという大きすぎるハンデが生じている。
どうしてそんな、ゲームバランスがおかしい設計にしたのか? そもそも、戦争に突入させたいなら、和平交渉を決裂させればいい。なんなら、和平交渉そのものに進まなければいい。
そして、昨日の王杯のグレⅡへの言葉。『あの流れになるのはわかりきっていた』と、王杯は言っていたんです。
だから――王杯が、シナリオを書いたのではないとわかりました。王杯は、起こりうることを、そのままゲームに落とし込んだだけなんだ。それで、わたしは腹落ちしました。
アウスリゼに、戦争を起こしたかった人がいる。
そして、それはゲームのキャラではなくて、現実の存在。
――オリヴィエ様の、ことを。
「さて、ソノコ」
長くて白い廊下を歩きながら、リシャールがわたしへ呼びかけました。わたしは考えから浮上して「はい」と答えます。
「もう遅いから、泊まって行きたまえ。部屋はミュラが用意する」
「えっ」
声をあげたのはオリヴィエ様。ミュラさんもちょっとびっくり。そして「では私も――」とおっしゃったところを、リシャールはかぶせるようにぴしゃりと「帰りたまえ、オリヴィエ。君は、いいや」と言います。
「えっ、えっ?」
戸惑い気味オリヴィエ様貴重すぎる眼福ありがとうリシャール。わたしはひとこと「わかりました」と言いました。なんとなく、そうなるかな、とも思っていました。
ミュラさんに着いて行って、急きょ王宮の端にお泊り。オリヴィエ様へは「おやすみなさい」と言って別れましたが、心配そうな、それよりも混乱しているような、そんな表情をされていました。
部屋に入ってすぐに、わたしはヒールを脱いで、ドレスもやっとのことで脱いで。
顔を洗わなくちゃ、と思いながらもベッドに倒れ込み、そのまま寝落ちました。
「おはようございます」
朝。メイドさんのノックで目が覚めて、夢も見ないくらいぐっすりだったと気づきました。王宮だからメイドさんって言わないのかな。女官さんかな。いいかどっちでも。メイドさんは着替えの服を持って来てくれていました。ありがとうございます。グラス侯爵領へ行く前に美ショタ様が教えてくださった、わたしサイズの服がある高級店『アルカンシエル』の服でした。手配が行き届いてるなあ。ミュラさんかな。
落としていなかった化粧を落として、さっと髪を整えて。さすがにお風呂に入っている時間はありません。なにせ「リシャール殿下が、朝食をともにとおっしゃっています」とのことなので。アウスリゼに来たばっかりのときにさっさと帰っちゃって食べそこねた、王宮の朝食に与れるってわけですね。あのときほどは、リシャールへ苦手意識はありませんし、カリスマオーラにも慣れました。
メイドさんから促されて部屋から出たら、ミュラさんが昨日のヨレっとした姿ではなくいつもの仕事できそうな感じで立っていました。あら、おはようございます。
「ミュラさん、こんな早くからご出勤ですか」
「むしろ一週間ほど帰宅できていません。お披露目会は王太子主催でしたので。秘書官はみんな泊まり込みです」
「おお、お疲れ様です」
お片付けとか組織した警備網の解体とか特別給与の支払いとかの作業がまだ残っているんだそうで。それ王太子秘書官がやるの? 現場レベルでできない?
朝ごはん、ミュラさんもいっしょということですね。これはちょっと意外でした。
てくてく歩いて二十分くらいでしょうか。我が心のエルドラド――中央会議室――の前を通り過ぎました。懐かしいですね。グレⅡリシャールシナリオで、オリヴィエ様が初登場される場所であり、わたしがアウスリゼに来て初めてオリヴィエ様にお会いした場所でもあり。はあー、拝んどこ。
そして、知らない部屋へ連れて来られました。王杯のお部屋みたいに白い両開き扉ですが、そのサイドに控えているのは全身よろい警備さんです。物々しい。リシャールがいるならしかたないのかな。
ミュラさんがノックをすると、応答があって内側から扉が開きました。執事さんふたりがうやうやしく迎えてくれます。
「やあ、おはよう。さわやかな朝だね」
一番奥の席でリシャールがさわやかに言いました。王太子殿下をお待たせしてしまったようですみません。わたしはミュラさんに引かれた椅子へ座って、ミュラさんはわたしの迎え側に座りました。執事さんたちがすっと朝食を用意していきます。香ばしく焼かれた厚いスライスの塊ベーコンの上に、ゆで卵みたいのが乗っています。それにポテトが添えてある。わたし知ってる、これポーチドエッグってやつだ。お貴族様の朝食で出るやつだ。わたしはくわしいんだ。ふわっふわの白パン。スープ。サラダ。コーヒー。なんか健康的。
給仕をしたら、執事さんたちは揃って一礼し退室されました。それからリシャールが「食べようか」と言ったので、わたしも「いただきます」と言います。
「さて。君の話を聞こうかな、ソノコ」
話が早くて助かるんですが、なんか見透かされているような気持ちになりますね。わたしはずっと、リシャールへ尋ねたかった。踊っていたときの質問だけではなく。
どう言葉にすればいいのかわからなくて、わたしは「こんな言い方が合っているのかわかりませんが」と白パンをむしりながら言いました。リシャールはポーチドエッグにフォークをぶっ刺してからナイフでベーコンを切り分けていました。いいんだ、そんな食べ方で。
「オリヴィエ様の交友関係を、把握していらっしゃいますか」
「もちろん」
白パンおいしい。スープもおいしい。即答されたので、わたしの確信は深まりました。リシャールも、確信している。
「怪しい人いません?」
「いないねえ」
「じゃあ、裏のある人は?」
「いるねえ」
ミュラさんの視線はわたしとリシャールの間を行ったり来たりします。なんか小動物っぽい。
わたしは「その人が、マディア領からの移動時に、オリヴィエ様を殺そうとした人だと、思います」と言いました。
リシャールは食べたものを飲み下してから「証拠がないねえ」と言いました。ミュラさんは目を真ん丸にして、口を開けてわたしを見ていました。
しばらくカトラリーの音がしていました。ベーコンおいしい。ミュラさんの食事の手が止まっています。フォークを置いて、なにか言いたいけどどうしたらいいのかわからないような表情で、コーヒーを飲まれました。
わたし、かなり前から気づいていたんです。でも、リシャールが言う通り証拠はない。そう、リシャールですら、証拠がつかめない。
もう、オリヴィエ様が暗殺されることはないと思います。なぜなら、その必要がないから。あれだけ執拗にグレⅡシナリオの中でオリヴィエ様がデッドエンドを迎えるのは、あのタイミングでのオリヴィエ様の命に意味があったから。
オリヴィエ様が、亡くなることが――戦争の引き金だったから。シナリオ上、そうなっているから。
もちろんアウスリゼに来る前は、グレⅡはただのゲームだとわたしは思っていたので、物語の進行上と、演出上しかたがないのかと考えたこともあった。
でも、違うんですよ。ずっと違和感があって。どうしてそんなシナリオにしたのか。ただSRPGとして戦争シミュレーションをしたいのであれば、オリヴィエ様を排除する必要なんてないはず。たしかにドラマチックかもしれない。大勢のユーザー同様わたしも、何回もガチ泣きした。それくらい最初から、重要人物として扱われていたのがオリヴィエ様だった。実際に亡くなるまでの間、ゲームを進める上でのリシャール側の駒のひとつとして動く。なので、戦争が始まったとき、リシャールは重要な駒をひとつ失っているという大きすぎるハンデが生じている。
どうしてそんな、ゲームバランスがおかしい設計にしたのか? そもそも、戦争に突入させたいなら、和平交渉を決裂させればいい。なんなら、和平交渉そのものに進まなければいい。
そして、昨日の王杯のグレⅡへの言葉。『あの流れになるのはわかりきっていた』と、王杯は言っていたんです。
だから――王杯が、シナリオを書いたのではないとわかりました。王杯は、起こりうることを、そのままゲームに落とし込んだだけなんだ。それで、わたしは腹落ちしました。
アウスリゼに、戦争を起こしたかった人がいる。
そして、それはゲームのキャラではなくて、現実の存在。
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