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グラス侯爵領編
220話 どうしたらいいだろう
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「……んんー?」
わたしは腕を組んでうなりました。ちょっとよくわからなかった。
「……それって、オリヴィエ様の意向です?」
とりあえず確認してみました。レースのベール越しにめっちゃにらまれたのがわかりました。それで違うんだなってわかったので一礼して通り過ぎようとしたんですが、腕を取られて。なのでわたしは「えーっと、ジゼルさんが、わたしとオリヴィエ様の関係を壊そうとしているのはわかりました」と言いました。
「そもそも、あなたとオリヴィエにどんな関係があるとでも? 聞いたこともないわ、こんな子どもみたいな女がいるだなんて。そんな趣味はないはずよ。知り合ったのはいつ?」
「えーっと、去年の秋くらいです」
「一年も経たないじゃない!」
ジゼルさんは笑いました。なんとなく勝利を確信した感じの笑い方っぽい気がしました。……負けた? うん? なんか勝負してたっけ? 「あたしは、彼が十五のときからの付き合いよ」と言われました。……それを言ったらわたしだってオリヴィエ様のことは十三のときから信奉しているのですが! 張り合ってそう言おうかと思いましたが、なんか違う気もしたので黙りました。代わりに「あの、過去にどうだったかって、正直わたしにはどうでもよくって。それにそもそも、あなたは長いことブリアックさんの彼女さんだったと伺っています。今さらオリヴィエ様になんの用なんですか?」と言いました。腕は放してもらえません。
「――そうよ。ブリアックはもういない。だから、オリヴィエはあたしを選ぶわ」
「なに言ってんだかわかりません」
「わからなくていい」
ぱっと放されて。ちょっとよろけました。ジゼルさんは口紅を塗ったきれいな口元をほほえませて「――安心した。どんな女かしらと思ったけれど。一時の気の迷いね。あたし、浮気には寛容なの」とおっしゃいました。……んんんん?
「じゃあ、せいぜいがんばってオリヴィエの気持ちを引き留めてね。もしあたしがグラス侯爵夫人になったときまで飽きられていなかったら、離れにでも囲ってあげる」
そしてわたしの耳元へ「――あたしとオリヴィエがいっしょに過ごした、時間の重みはあなたには越えられない」とおっしゃいました。
……一方的な勝利宣言をされて去って行かれました。なにそれ。もやもやしたまま部屋へ戻って、身支度をしました。マチルドさんが目ざとく「どうなさいました?」と尋ねてくださいました。かくかくしかじかしました。そしたら剣呑な空気になってつぶやかれます。
「……なんて厚かましい」
「……あの。なんであの方、あんなに自信満々なんでしょうか」
「ミタお嬢様が気にかける必要のないことでございます。さあ、お食事へ参りましょう」
ブランディーヌお母様は、哀悼客といっしょにお食事をされるとのことでいらっしゃいませんでした。本当はわたしがそれをやらなきゃいけない立場だったんですけれど。ドナシアンお父様も少しお食事をされたらすぐに「先に失礼するよ」と席を立たれました。たぶんブランディーヌお母様のヘルプに行かれたんだと思います。
わたしと、オリヴィエ様と、美ショタ様。三人になると、食堂がとても広く感じられました。
「――ソノコ。どうしたの」
オリヴィエ様が気遣わしげにおっしゃいました。やさしい。好き。わたしどうしたっていうんでしょうか。とくになんともないので「とくになにもないです!」と言いました。めっちゃやわらかい牛肉のサイコロステーキおいしかったです。
お風呂をいただいて、早めに寝てしまおうかと思いました。今日の哀悼客のみなさんは全員泊まって行かれるそうです。なので客室にはくれぐれも近づかないようにとめっちゃ釘を刺されました。わたしには手に負えない人たちなんだろうというのはわかったので、おとなしく従います。お庭に出ただけでなんか絡まれましたしね!
マチルドさんにも早めに下がっていただきました。壁のオイルランプをぜんぶ消して、ベッドサイドのやつだけ点けました。布団にもぐってもなかなか眠くならなくて、何度も寝返りをして。もやもやして。起き上がって、外の空気を吸おうと思ってバルコニーへ出ました。夏なので、夜着の上になにも羽織らなくてもあったかかったです。
夜のお庭を見渡すのは初めてでした。通路に沿って等間隔で建っているガス燈の柱が、青白い光を提供してきれいに見せてくれています。ぼーっとながめていたら、警備さん以外に動いている人影を近くにみつけました。えっ、不審者? ピエロさん? その姿がガス燈の下に来たので、それが二人組だとわかりました。
「えっ……」
ちょっとびっくりして、声が出ました。ジゼルさん。帽子をかぶっていないから、すんごい美人のお顔が浮かび上がるようにはっきり見えました。そしてもうひとりは……オリヴィエ様。
オリヴィエ様はこちらに背を向けていらっしゃいました。でもあの銀髪は見間違えません。なにかを話していらっしゃるのはわかりましたが、もちろん声は聞こえません。なにか見てはいけないものを見てしまった気分で、わたしはその場に固まってしまいました。ジゼルさんは、すごくきれいに笑っていらっしゃいました。
そして、その笑顔のままオリヴィエ様の首に腕を回して。
立ち去りたいのに、足が動きませんでした。すごく長い時間みたいで、すごく短い時間かもしれなかったです。どちらにせよ、わたしはそれを目撃してしまって。
オリヴィエ様の肩越しに、ジゼルさんがわたしを見上げました。その笑顔はきれいでした。
いつ、どんな感じで部屋に戻ったのかわかりません。オイルランプの温かい色の灯りが、ガス燈の冴え冴えとした光の記憶を消してくれないかと思いましたが、無理でした。わたしはベッドサイドに座ったまま、ランプのオイルが尽きるまでじっとしていました。なにも考えられませんでした。
灯りが、消えて。カーテン越しに外から青白い光が届いて。びっくりして、わたしは泣きました。
夕方にジゼルさんがわたしへおっしゃった言葉が、頭の中をぐるぐるします。
『あたしとオリヴィエがいっしょに過ごした、時間の重みはあなたには越えられない』
そうなのかもしれない、と思いました。わたし、なにも知らない。オリヴィエ様のこと、なにも知らない。知った気になっていただけで、なにも知らない。所詮、知っているのはゲームで見聞きしたことくらいなのに。対面で知り合った期間は、そう、一年にも満たなくて。
『オリヴィエはあたしが好きなのよ』
そうなのかもしれない、と思いました。だって、オリヴィエ様だって、わたしのことをなにも知らないから。わたしがどんなことを経験して、どんな風に考え、どう感じるか。そのすべて。なにもかもこれからだと思っていた。すべてこれから積み上げて行くんだろうとぼんやり思っていた。
オリヴィエ様とわたしの気持ちは、そもそも等価ではなくて、すれ違っているのかもしれないという考えが胸に重くのしかかって来ました。それに、わたしがオリヴィエ様を好きと感じている気持ちについても。深く考えると怖くて、でも考えることをやめられませんでした。自分が弱い人間だと気づきます。
ジゼルさんの笑顔が、目に焼きついて消えない。
怖くて。わたし、怖くて。
『そもそも、あなたとオリヴィエにどんな関係があるとでも?』
なにも。
もしかしてわたしは、いろんな思い違いをしているんでしょうか。お互いの好きって気持ちを確認したつもりでした。オリヴィエ様がわたしに結婚を望んでくれたことも、よくわかんないと思いながら、うれしかった。あの言葉は、うそじゃないと思う。
でも。わたしのことを一番好きだってわけじゃないかもしれない。
そう思ったとき、怖くて。すごく恥ずかしくて、悲しくて。わたしは泣きました。
わたしは腕を組んでうなりました。ちょっとよくわからなかった。
「……それって、オリヴィエ様の意向です?」
とりあえず確認してみました。レースのベール越しにめっちゃにらまれたのがわかりました。それで違うんだなってわかったので一礼して通り過ぎようとしたんですが、腕を取られて。なのでわたしは「えーっと、ジゼルさんが、わたしとオリヴィエ様の関係を壊そうとしているのはわかりました」と言いました。
「そもそも、あなたとオリヴィエにどんな関係があるとでも? 聞いたこともないわ、こんな子どもみたいな女がいるだなんて。そんな趣味はないはずよ。知り合ったのはいつ?」
「えーっと、去年の秋くらいです」
「一年も経たないじゃない!」
ジゼルさんは笑いました。なんとなく勝利を確信した感じの笑い方っぽい気がしました。……負けた? うん? なんか勝負してたっけ? 「あたしは、彼が十五のときからの付き合いよ」と言われました。……それを言ったらわたしだってオリヴィエ様のことは十三のときから信奉しているのですが! 張り合ってそう言おうかと思いましたが、なんか違う気もしたので黙りました。代わりに「あの、過去にどうだったかって、正直わたしにはどうでもよくって。それにそもそも、あなたは長いことブリアックさんの彼女さんだったと伺っています。今さらオリヴィエ様になんの用なんですか?」と言いました。腕は放してもらえません。
「――そうよ。ブリアックはもういない。だから、オリヴィエはあたしを選ぶわ」
「なに言ってんだかわかりません」
「わからなくていい」
ぱっと放されて。ちょっとよろけました。ジゼルさんは口紅を塗ったきれいな口元をほほえませて「――安心した。どんな女かしらと思ったけれど。一時の気の迷いね。あたし、浮気には寛容なの」とおっしゃいました。……んんんん?
「じゃあ、せいぜいがんばってオリヴィエの気持ちを引き留めてね。もしあたしがグラス侯爵夫人になったときまで飽きられていなかったら、離れにでも囲ってあげる」
そしてわたしの耳元へ「――あたしとオリヴィエがいっしょに過ごした、時間の重みはあなたには越えられない」とおっしゃいました。
……一方的な勝利宣言をされて去って行かれました。なにそれ。もやもやしたまま部屋へ戻って、身支度をしました。マチルドさんが目ざとく「どうなさいました?」と尋ねてくださいました。かくかくしかじかしました。そしたら剣呑な空気になってつぶやかれます。
「……なんて厚かましい」
「……あの。なんであの方、あんなに自信満々なんでしょうか」
「ミタお嬢様が気にかける必要のないことでございます。さあ、お食事へ参りましょう」
ブランディーヌお母様は、哀悼客といっしょにお食事をされるとのことでいらっしゃいませんでした。本当はわたしがそれをやらなきゃいけない立場だったんですけれど。ドナシアンお父様も少しお食事をされたらすぐに「先に失礼するよ」と席を立たれました。たぶんブランディーヌお母様のヘルプに行かれたんだと思います。
わたしと、オリヴィエ様と、美ショタ様。三人になると、食堂がとても広く感じられました。
「――ソノコ。どうしたの」
オリヴィエ様が気遣わしげにおっしゃいました。やさしい。好き。わたしどうしたっていうんでしょうか。とくになんともないので「とくになにもないです!」と言いました。めっちゃやわらかい牛肉のサイコロステーキおいしかったです。
お風呂をいただいて、早めに寝てしまおうかと思いました。今日の哀悼客のみなさんは全員泊まって行かれるそうです。なので客室にはくれぐれも近づかないようにとめっちゃ釘を刺されました。わたしには手に負えない人たちなんだろうというのはわかったので、おとなしく従います。お庭に出ただけでなんか絡まれましたしね!
マチルドさんにも早めに下がっていただきました。壁のオイルランプをぜんぶ消して、ベッドサイドのやつだけ点けました。布団にもぐってもなかなか眠くならなくて、何度も寝返りをして。もやもやして。起き上がって、外の空気を吸おうと思ってバルコニーへ出ました。夏なので、夜着の上になにも羽織らなくてもあったかかったです。
夜のお庭を見渡すのは初めてでした。通路に沿って等間隔で建っているガス燈の柱が、青白い光を提供してきれいに見せてくれています。ぼーっとながめていたら、警備さん以外に動いている人影を近くにみつけました。えっ、不審者? ピエロさん? その姿がガス燈の下に来たので、それが二人組だとわかりました。
「えっ……」
ちょっとびっくりして、声が出ました。ジゼルさん。帽子をかぶっていないから、すんごい美人のお顔が浮かび上がるようにはっきり見えました。そしてもうひとりは……オリヴィエ様。
オリヴィエ様はこちらに背を向けていらっしゃいました。でもあの銀髪は見間違えません。なにかを話していらっしゃるのはわかりましたが、もちろん声は聞こえません。なにか見てはいけないものを見てしまった気分で、わたしはその場に固まってしまいました。ジゼルさんは、すごくきれいに笑っていらっしゃいました。
そして、その笑顔のままオリヴィエ様の首に腕を回して。
立ち去りたいのに、足が動きませんでした。すごく長い時間みたいで、すごく短い時間かもしれなかったです。どちらにせよ、わたしはそれを目撃してしまって。
オリヴィエ様の肩越しに、ジゼルさんがわたしを見上げました。その笑顔はきれいでした。
いつ、どんな感じで部屋に戻ったのかわかりません。オイルランプの温かい色の灯りが、ガス燈の冴え冴えとした光の記憶を消してくれないかと思いましたが、無理でした。わたしはベッドサイドに座ったまま、ランプのオイルが尽きるまでじっとしていました。なにも考えられませんでした。
灯りが、消えて。カーテン越しに外から青白い光が届いて。びっくりして、わたしは泣きました。
夕方にジゼルさんがわたしへおっしゃった言葉が、頭の中をぐるぐるします。
『あたしとオリヴィエがいっしょに過ごした、時間の重みはあなたには越えられない』
そうなのかもしれない、と思いました。わたし、なにも知らない。オリヴィエ様のこと、なにも知らない。知った気になっていただけで、なにも知らない。所詮、知っているのはゲームで見聞きしたことくらいなのに。対面で知り合った期間は、そう、一年にも満たなくて。
『オリヴィエはあたしが好きなのよ』
そうなのかもしれない、と思いました。だって、オリヴィエ様だって、わたしのことをなにも知らないから。わたしがどんなことを経験して、どんな風に考え、どう感じるか。そのすべて。なにもかもこれからだと思っていた。すべてこれから積み上げて行くんだろうとぼんやり思っていた。
オリヴィエ様とわたしの気持ちは、そもそも等価ではなくて、すれ違っているのかもしれないという考えが胸に重くのしかかって来ました。それに、わたしがオリヴィエ様を好きと感じている気持ちについても。深く考えると怖くて、でも考えることをやめられませんでした。自分が弱い人間だと気づきます。
ジゼルさんの笑顔が、目に焼きついて消えない。
怖くて。わたし、怖くて。
『そもそも、あなたとオリヴィエにどんな関係があるとでも?』
なにも。
もしかしてわたしは、いろんな思い違いをしているんでしょうか。お互いの好きって気持ちを確認したつもりでした。オリヴィエ様がわたしに結婚を望んでくれたことも、よくわかんないと思いながら、うれしかった。あの言葉は、うそじゃないと思う。
でも。わたしのことを一番好きだってわけじゃないかもしれない。
そう思ったとき、怖くて。すごく恥ずかしくて、悲しくて。わたしは泣きました。
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