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領境の街・リッカー=ポルカ
63話 紅葉みたいもーん
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「いーい天気ですねえ……」
「ほんとにねえ」
いやあー、雪、かけらも降りそうにないですー。
こんにちは。園子です。リッカー=ポルカに来て一週間が経ちました。今、メゾン・デ・デュという旅籠の大女将ベリテさんと、ルピナスっぽい上に向かって咲いているたくさんの色のお花がある、ステキなお庭でくつろいでいます。今年、初雪自体は早かったけれど、暖かい日が続いていて例年よりも長く咲いているんだそうです。ところでベリテさんって、カヤお嬢様のところの女性弁護士さんと同じ名前ですね。正直とか真実って意味らしいです。男性でも女性でもいける名前なんだそうな。日本語でいうところの『まこと』さんとか、そういう感じですかね。ステキです。
来てすぐに、こちらの交通局員さんたちに紹介していただきました。ここに留まって住んでいる方四名と、隣の小さい村に移動して、通われている方一名。リッカー=ポルカ事務所自体は、とても大きな建物なんです。以前は六十人以上の常勤の方がいらしたそうです。でも、みなさん二カ月ほど前に他の事務所へ異動になったとのこと。ここに残ったのは、守るべき家族がなく覚悟のある人、とのことでした。
リッカー=ポルカに残っている人は、把握できているだけで五十四名。それを、三台のバスに手分けして乗せて、逃げます。そのシミュレーションが一カ月の間にできれば。今まで蒸気バスなんて他の街からの定期便しかなかったのに、突然市内を巡るバスができるから、と言われてほとんどの方が戸惑っていらっしゃいました。市内では昔ながらの馬車移動で事足りていたようです。バスが来て喜ぶような方はもうとっくに避難されていますから、乗ってもらうの、ガチめに難しいです。
今週の三日間それぞれ三回ずつのプレ走行で、バス停まで来てくれる人は片手で数えられるくらいでした。来てくれた方も物珍しくて見に来てくれただけ。乗ってくれたのは、今いっしょにお茶しているベリテさんだけです。遠巻きに眺めていらっしゃる方はたくさんいました。届かない距離がもどかしくて、でも笑顔で「こんにちは!」とあいさつを続けました。
ベリテさんは、リッカー=ポルカにある唯一の宿泊施設の大女将さんなので、「ここを、離れるわけにはいかないわ」とおっしゃいました。蒸気バスの目的を、どうやら薄々勘づいていらっしゃるようです。ご家族や他の従業員さんたちは、みなさんすでに避難済み、とのこと。
「もしこれから外から来られる方がいらしたら、うちがなかったら、泊まる場所がなくて困ってしまうわ」
「来ませんって、来ません。この時期に人とか来ません。悪いことは言わないです、ベリテさんもはやく、息子さん夫婦のところ行ってください」
「あら、つれないわねえ。せっかくあなたとお友だちになれたのに。こうやって静かにお茶できるのも、なかなかないのよ?」
「お茶は、ここでなくてもできます! 遊びに行きますから、避難しちゃってください!」
「わたしは最後まで残ります。リッカー=ポルカにいらしたお客さまをもてなすのが、わたしの仕事よ」
もうー! バスは「あらいいわねえ、いいわねえ、乗ってみたいわわたし!」ってわっくどきで乗ってくれたのにー! 市内一周してちょうよろこんでたのにー! 変な方向に頑固ー!
なんとも言えない気持ちでどう切り口変えて説得しようかと考えていたところ、蒸気自動車のエンジン駆動音が突如近くで聞こえて、どうん、という大きな音でそれが止まりました。えっ。
「――メゾン・デ・デュはここかしら?」
聞き慣れた声が耳に届きます。そちらの方向を見たのと、視界に白いもふもふがわふっと来たのは同時でした。あーしーもーふーたーんー。
のどかな片田舎の街にはまるで似つかわしくない、ちょうモダンな冬の女王がご登場なさいました。あああああ、ベリテさんが「ほれみなさい」って感じでちょうドヤってるうううううううう。
「あーら、あなたは小間使いさん? あたしの荷物を部屋に運んでくださるかしら?」
レアさんが自動車から大きめのバッグを取り出してわたしにそうおっしゃいました。どうやらお怒りは続いているようです。すみませんおいてきて。アシモフたんはマディア父さんをくわえてもってきて「あそぶよっほらあそぶよっ」とわたしの前をうろうろします。かわいい。
「いらっしゃいませ。わたくしがこちらの女将でございます。こちらの方もお客さまでして。わたくしがご案内申し上げます」
いつもののーんびりな感じとは打って変わってベリテさんがしゃきっと背筋を伸ばして立ちおっしゃいました。女将さんって感じです。かっこいい。すてき。和服じゃないけど和服を幻視しました。すてき。
バッグを預かって先導するベリテさんにレアさんが続きました。そのときサングラスのままわたしへ、イーッてしました。かわいい。レアさんかわいい。なんか、わたしのこと知らない人扱いすることに決めたみたいです。アシモフたんはわたしを振り返り振り返り、「なに? どこ? こっち? こないの? どこ?」って感じでぐるっと回ってレアさんのあとをついていきました。まあ、レアさんといっしょじゃない方が、行動しやすいですね、今回は。
……一向に雪が降らなそうなんですけどね!
さて。ベリテさんの説得はもうむりですし。ここに来た本当の目的を、進めますか! 今日はお休みですし!
リッカー=ポルカには、警察の他に領境警備隊の派出所みたいのがあります。領境に関する市民からの通報とかを受け付けるところですね。なんか勝手に向こうから領境渡ろうとしている人がいます! みたいな。わたしとレアさんは、蒸気機関車内で領境を越えたので、そのとき車掌さんから「この人マディア領入ったよー」のハンコをいただいています。入領にもちゃんと手続きとお金が必要なんです。
行ってみたら、小さい交番みたいな感じでした。「こんにちはー」と声をかけると、中にいらした警備隊制服の茶髪男性がびくっとしました。
「えっあっはいこんにちは!」
あわてて制帽をかぶって襟元を直されます。いえべつにそのままでいいんですけど。おくつろぎのところ失礼しました。せいいっぱいお上りさんっぽく「あのー、領境警備隊基地、見学できるって聞いたんですけどー」と言ってみました。
「えっ、まじで? 今? ……ってあー、そうか。あ、ハイ」
なにかご自身で納得されていますね。たぶん、今それどころじゃないってことは、民間の人は知らないってことを思い出されたんだと思います。わたしが外国人の容姿なのもあって、状況知らずに普通に観光と思ってもらえったっぽいです。全力で困っていらっしゃいました。
「ええーっとですね。今はー、見学はちょっと……」
「ええー⁉」
こちらも全力で落ち込む演技をしました。というか断られたらまじで落ち込むので半分演技じゃありません。
「中に入れなくてもいいんですー。旅行ガイドに、今の時期めちゃくちゃ紅葉がきれいだって書いてあってー。周りとかが見られればー」
「いや来るならむしろ中の方が……じゃなくて、うーんと、すみません。今は、はい。むりです」
「平日だとだいじょうぶですー?」
「ううーんとそういうことではなくてですねー」
状況を説明しないでいかに断るか。がんばれ警備隊員さん。いやがんばらないで。わたしは考えておいたセリフのうちひとつを繰り出し、背を向けました。
「わかりましたー。じゃあガイドに書いてあったお散歩コース、自分で行ってみよー」
ものっすごいあわてて声を張り上げて、「ちょっと……ちょっとそれは待ってください」と警備隊員さんはおっしゃいました。
「ほんとにねえ」
いやあー、雪、かけらも降りそうにないですー。
こんにちは。園子です。リッカー=ポルカに来て一週間が経ちました。今、メゾン・デ・デュという旅籠の大女将ベリテさんと、ルピナスっぽい上に向かって咲いているたくさんの色のお花がある、ステキなお庭でくつろいでいます。今年、初雪自体は早かったけれど、暖かい日が続いていて例年よりも長く咲いているんだそうです。ところでベリテさんって、カヤお嬢様のところの女性弁護士さんと同じ名前ですね。正直とか真実って意味らしいです。男性でも女性でもいける名前なんだそうな。日本語でいうところの『まこと』さんとか、そういう感じですかね。ステキです。
来てすぐに、こちらの交通局員さんたちに紹介していただきました。ここに留まって住んでいる方四名と、隣の小さい村に移動して、通われている方一名。リッカー=ポルカ事務所自体は、とても大きな建物なんです。以前は六十人以上の常勤の方がいらしたそうです。でも、みなさん二カ月ほど前に他の事務所へ異動になったとのこと。ここに残ったのは、守るべき家族がなく覚悟のある人、とのことでした。
リッカー=ポルカに残っている人は、把握できているだけで五十四名。それを、三台のバスに手分けして乗せて、逃げます。そのシミュレーションが一カ月の間にできれば。今まで蒸気バスなんて他の街からの定期便しかなかったのに、突然市内を巡るバスができるから、と言われてほとんどの方が戸惑っていらっしゃいました。市内では昔ながらの馬車移動で事足りていたようです。バスが来て喜ぶような方はもうとっくに避難されていますから、乗ってもらうの、ガチめに難しいです。
今週の三日間それぞれ三回ずつのプレ走行で、バス停まで来てくれる人は片手で数えられるくらいでした。来てくれた方も物珍しくて見に来てくれただけ。乗ってくれたのは、今いっしょにお茶しているベリテさんだけです。遠巻きに眺めていらっしゃる方はたくさんいました。届かない距離がもどかしくて、でも笑顔で「こんにちは!」とあいさつを続けました。
ベリテさんは、リッカー=ポルカにある唯一の宿泊施設の大女将さんなので、「ここを、離れるわけにはいかないわ」とおっしゃいました。蒸気バスの目的を、どうやら薄々勘づいていらっしゃるようです。ご家族や他の従業員さんたちは、みなさんすでに避難済み、とのこと。
「もしこれから外から来られる方がいらしたら、うちがなかったら、泊まる場所がなくて困ってしまうわ」
「来ませんって、来ません。この時期に人とか来ません。悪いことは言わないです、ベリテさんもはやく、息子さん夫婦のところ行ってください」
「あら、つれないわねえ。せっかくあなたとお友だちになれたのに。こうやって静かにお茶できるのも、なかなかないのよ?」
「お茶は、ここでなくてもできます! 遊びに行きますから、避難しちゃってください!」
「わたしは最後まで残ります。リッカー=ポルカにいらしたお客さまをもてなすのが、わたしの仕事よ」
もうー! バスは「あらいいわねえ、いいわねえ、乗ってみたいわわたし!」ってわっくどきで乗ってくれたのにー! 市内一周してちょうよろこんでたのにー! 変な方向に頑固ー!
なんとも言えない気持ちでどう切り口変えて説得しようかと考えていたところ、蒸気自動車のエンジン駆動音が突如近くで聞こえて、どうん、という大きな音でそれが止まりました。えっ。
「――メゾン・デ・デュはここかしら?」
聞き慣れた声が耳に届きます。そちらの方向を見たのと、視界に白いもふもふがわふっと来たのは同時でした。あーしーもーふーたーんー。
のどかな片田舎の街にはまるで似つかわしくない、ちょうモダンな冬の女王がご登場なさいました。あああああ、ベリテさんが「ほれみなさい」って感じでちょうドヤってるうううううううう。
「あーら、あなたは小間使いさん? あたしの荷物を部屋に運んでくださるかしら?」
レアさんが自動車から大きめのバッグを取り出してわたしにそうおっしゃいました。どうやらお怒りは続いているようです。すみませんおいてきて。アシモフたんはマディア父さんをくわえてもってきて「あそぶよっほらあそぶよっ」とわたしの前をうろうろします。かわいい。
「いらっしゃいませ。わたくしがこちらの女将でございます。こちらの方もお客さまでして。わたくしがご案内申し上げます」
いつもののーんびりな感じとは打って変わってベリテさんがしゃきっと背筋を伸ばして立ちおっしゃいました。女将さんって感じです。かっこいい。すてき。和服じゃないけど和服を幻視しました。すてき。
バッグを預かって先導するベリテさんにレアさんが続きました。そのときサングラスのままわたしへ、イーッてしました。かわいい。レアさんかわいい。なんか、わたしのこと知らない人扱いすることに決めたみたいです。アシモフたんはわたしを振り返り振り返り、「なに? どこ? こっち? こないの? どこ?」って感じでぐるっと回ってレアさんのあとをついていきました。まあ、レアさんといっしょじゃない方が、行動しやすいですね、今回は。
……一向に雪が降らなそうなんですけどね!
さて。ベリテさんの説得はもうむりですし。ここに来た本当の目的を、進めますか! 今日はお休みですし!
リッカー=ポルカには、警察の他に領境警備隊の派出所みたいのがあります。領境に関する市民からの通報とかを受け付けるところですね。なんか勝手に向こうから領境渡ろうとしている人がいます! みたいな。わたしとレアさんは、蒸気機関車内で領境を越えたので、そのとき車掌さんから「この人マディア領入ったよー」のハンコをいただいています。入領にもちゃんと手続きとお金が必要なんです。
行ってみたら、小さい交番みたいな感じでした。「こんにちはー」と声をかけると、中にいらした警備隊制服の茶髪男性がびくっとしました。
「えっあっはいこんにちは!」
あわてて制帽をかぶって襟元を直されます。いえべつにそのままでいいんですけど。おくつろぎのところ失礼しました。せいいっぱいお上りさんっぽく「あのー、領境警備隊基地、見学できるって聞いたんですけどー」と言ってみました。
「えっ、まじで? 今? ……ってあー、そうか。あ、ハイ」
なにかご自身で納得されていますね。たぶん、今それどころじゃないってことは、民間の人は知らないってことを思い出されたんだと思います。わたしが外国人の容姿なのもあって、状況知らずに普通に観光と思ってもらえったっぽいです。全力で困っていらっしゃいました。
「ええーっとですね。今はー、見学はちょっと……」
「ええー⁉」
こちらも全力で落ち込む演技をしました。というか断られたらまじで落ち込むので半分演技じゃありません。
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「いや来るならむしろ中の方が……じゃなくて、うーんと、すみません。今は、はい。むりです」
「平日だとだいじょうぶですー?」
「ううーんとそういうことではなくてですねー」
状況を説明しないでいかに断るか。がんばれ警備隊員さん。いやがんばらないで。わたしは考えておいたセリフのうちひとつを繰り出し、背を向けました。
「わかりましたー。じゃあガイドに書いてあったお散歩コース、自分で行ってみよー」
ものっすごいあわてて声を張り上げて、「ちょっと……ちょっとそれは待ってください」と警備隊員さんはおっしゃいました。
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