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第一部
その77 進出、マッキリー!
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「うん。とても綺麗だよ、ナタリー」
「本当!? えへへへへ」
父親に褒められて照れるナタリー。
耳が人間に近くなり、髪の毛はエメラと同じ金色にした。
ナタリーの特徴的なエメラルドグリーンの髪は、ハーフエルフの髪の色として人間界に浸透しているそうだ。つまり、これだけやってしまえば、ナタリーは完全に金髪ロリなのだ。ショートボブくらいの長さの髪が、とても似合っている。
「しばらくは俺が送り迎えします。急遽俺が動けなくなった場合は、二号店に泊まるって感じで問題ないですか?」
「はい、出来れば私もお供したいところですが……」
「いいんですよクロードさん。二人に帰る家は必要ですから」
「ありがとうございます。ふふふ、流石にミケラルドさんは誤魔化せませんね」
クロードが嬉しそうな表情で言った。
本当は家族でシェンドの町に住みたいのだろう。しかし、やはり迫害はある。
これを避けるためには、今のところナタリーとクロードに【チェンジ】を掛ける他ない。しかし、それでは本当に住んだとは言わない。自分を偽ってシェンドの町にいるだけなのだ。
今回のナタリーの件は、ナタリーの意思。それは、俺の手伝いをするという意思。
あくまでこれは仕事だ。ならばナタリーには帰る家が必要。
皆で帰る家ではない。自分に戻れる空間に帰るため、家で待つ人が必要なのだ。それがクロードなのだ。
優しさ半分、もう半分も優しさ。そんな配合で出来たかのようなクロードの愛には脱帽である。
……ふむ、今度ランドルフに聞いてみるか。エルフとの関係について……な。
人間が異種族に慣れるのは、魔族よりもエルフの方が先かもしれないな。
幸いリーガルはそこまで大きな国ではない。エルフの良い噂が広まれば――待てよ?
「何笑ってるんだ、ミック?」
「何で毛深いんだ、マックス?」
「男だからに決まってるだろう」
ふんと鼻息を吐くマックス。
男のなんたるかを語りそうな表情だったので、俺は振り返ってクロード宅にあったソファを【サイコキネシス】で持ち上げた。
「うぉ!?」
「凄い……!」
マックスとカミナがそれぞれ違った驚きを見せる。
クロードの家のソファは、エメラが既に新しい物を注文しているそうなので、この少しだけ古いソファはお役御免なのだそうだ。なので、これを利用して皆をシェンドの町に送ろうという考えだ。
「さぁ、乗った乗った」
「はーい」
ナタリーは慣れたようにソファに座り、エメラ、カミナ、マックスと詰めて座る。
「ほいっと」
【サイコキネシス】でソファを持ち上げ、【いつものセット】を発動すれば、
◇◆◇ ◆◇◆
「へいお待ち」
あっという間にシェンドの町の東に着く訳だ。
人気のないギリギリで皆を下ろし、そこからゆっくりと歩く。
「マックスは仕事か?」
「勿論だ。パトロールに書類整理。やる事をあげればキリがない」
「警備ってのは親元は国なの?」
「そうだ。各町に警備主任を置いてる。部下は十人前後。まぁ、リーガルはもっと多いけどな」
シェンドの町を十人で警護する。休日もあるだろうけど、いくら小さな町だとはいえ厳しいのではなかろうか? 特に警備主任なんて大変だろうに。
というか、じゃあ俺がリーガルに護送された時は、シェンドに残った警備はかなり無理をしたのだろう。ほぼ半数いなかったって事だからな。
「休みってあるの?」
「月に一回とれれば良い方だな」
「うわぁ~大変ですね」
カミナの同情するような声に、マックスが笑う。
「俺はあの町で生まれ、あの町で育った。あの町が好きだからな。仕方ない」
なるほど、だからマックスはカミナに近い戦闘力を持ちながらも冒険者をせずに警備を続けているのか。うん、これも今度ランドルフに相談しよう。
シェンドの町の東門のところでマックスと別れ、二号店の鍵を開けて二人に出店準備を任せ二人に激励を送った俺とカミナは、西門から出てマッキリーの町へ向かった。
◇◆◇ ◆◇◆
土地を売ってる国営の不動産が開くまでの間、冒険者ギルド近辺の空き地を二人で見て回る。
「カミナってこの町に住んでるの?」
「いいえ、基本的にはその日暮らしなのはどの冒険者とも変わりません」
「んじゃ、カミナの部屋も作らなくちゃね」
「よ、よろしいんですか!?」
「綺麗に使ってくれれば文句ないよ」
「ありがとうございます! 大事に使わせて頂きます!」
やはり元が良いだけに、綻んだ顔は本当に輝いて見える。
ギルドの指名依頼の仕事をしていなければ、色んなパーティから引っ張りだこだったろうに。
「……今回はギルドの真裏か。まぁ立地的に悪くないな」
「まさか一括で土地を買うとは思いませんでした。白金貨五十枚……一括…………玉の輿?」
驚くカミナの最後の言葉の意味は皆目見当も付かないが、俺はマッキリーの町の冒険者ギルドの真裏にあった空き地を購入した。土地こそシェンドほど広くないが、十分にやっていける面積はある。
「おし、造るぞ! 三号店!」
俺は気合いを入れて、土塊操作の魔法を発動するのだった。
「本当!? えへへへへ」
父親に褒められて照れるナタリー。
耳が人間に近くなり、髪の毛はエメラと同じ金色にした。
ナタリーの特徴的なエメラルドグリーンの髪は、ハーフエルフの髪の色として人間界に浸透しているそうだ。つまり、これだけやってしまえば、ナタリーは完全に金髪ロリなのだ。ショートボブくらいの長さの髪が、とても似合っている。
「しばらくは俺が送り迎えします。急遽俺が動けなくなった場合は、二号店に泊まるって感じで問題ないですか?」
「はい、出来れば私もお供したいところですが……」
「いいんですよクロードさん。二人に帰る家は必要ですから」
「ありがとうございます。ふふふ、流石にミケラルドさんは誤魔化せませんね」
クロードが嬉しそうな表情で言った。
本当は家族でシェンドの町に住みたいのだろう。しかし、やはり迫害はある。
これを避けるためには、今のところナタリーとクロードに【チェンジ】を掛ける他ない。しかし、それでは本当に住んだとは言わない。自分を偽ってシェンドの町にいるだけなのだ。
今回のナタリーの件は、ナタリーの意思。それは、俺の手伝いをするという意思。
あくまでこれは仕事だ。ならばナタリーには帰る家が必要。
皆で帰る家ではない。自分に戻れる空間に帰るため、家で待つ人が必要なのだ。それがクロードなのだ。
優しさ半分、もう半分も優しさ。そんな配合で出来たかのようなクロードの愛には脱帽である。
……ふむ、今度ランドルフに聞いてみるか。エルフとの関係について……な。
人間が異種族に慣れるのは、魔族よりもエルフの方が先かもしれないな。
幸いリーガルはそこまで大きな国ではない。エルフの良い噂が広まれば――待てよ?
「何笑ってるんだ、ミック?」
「何で毛深いんだ、マックス?」
「男だからに決まってるだろう」
ふんと鼻息を吐くマックス。
男のなんたるかを語りそうな表情だったので、俺は振り返ってクロード宅にあったソファを【サイコキネシス】で持ち上げた。
「うぉ!?」
「凄い……!」
マックスとカミナがそれぞれ違った驚きを見せる。
クロードの家のソファは、エメラが既に新しい物を注文しているそうなので、この少しだけ古いソファはお役御免なのだそうだ。なので、これを利用して皆をシェンドの町に送ろうという考えだ。
「さぁ、乗った乗った」
「はーい」
ナタリーは慣れたようにソファに座り、エメラ、カミナ、マックスと詰めて座る。
「ほいっと」
【サイコキネシス】でソファを持ち上げ、【いつものセット】を発動すれば、
◇◆◇ ◆◇◆
「へいお待ち」
あっという間にシェンドの町の東に着く訳だ。
人気のないギリギリで皆を下ろし、そこからゆっくりと歩く。
「マックスは仕事か?」
「勿論だ。パトロールに書類整理。やる事をあげればキリがない」
「警備ってのは親元は国なの?」
「そうだ。各町に警備主任を置いてる。部下は十人前後。まぁ、リーガルはもっと多いけどな」
シェンドの町を十人で警護する。休日もあるだろうけど、いくら小さな町だとはいえ厳しいのではなかろうか? 特に警備主任なんて大変だろうに。
というか、じゃあ俺がリーガルに護送された時は、シェンドに残った警備はかなり無理をしたのだろう。ほぼ半数いなかったって事だからな。
「休みってあるの?」
「月に一回とれれば良い方だな」
「うわぁ~大変ですね」
カミナの同情するような声に、マックスが笑う。
「俺はあの町で生まれ、あの町で育った。あの町が好きだからな。仕方ない」
なるほど、だからマックスはカミナに近い戦闘力を持ちながらも冒険者をせずに警備を続けているのか。うん、これも今度ランドルフに相談しよう。
シェンドの町の東門のところでマックスと別れ、二号店の鍵を開けて二人に出店準備を任せ二人に激励を送った俺とカミナは、西門から出てマッキリーの町へ向かった。
◇◆◇ ◆◇◆
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「カミナってこの町に住んでるの?」
「いいえ、基本的にはその日暮らしなのはどの冒険者とも変わりません」
「んじゃ、カミナの部屋も作らなくちゃね」
「よ、よろしいんですか!?」
「綺麗に使ってくれれば文句ないよ」
「ありがとうございます! 大事に使わせて頂きます!」
やはり元が良いだけに、綻んだ顔は本当に輝いて見える。
ギルドの指名依頼の仕事をしていなければ、色んなパーティから引っ張りだこだったろうに。
「……今回はギルドの真裏か。まぁ立地的に悪くないな」
「まさか一括で土地を買うとは思いませんでした。白金貨五十枚……一括…………玉の輿?」
驚くカミナの最後の言葉の意味は皆目見当も付かないが、俺はマッキリーの町の冒険者ギルドの真裏にあった空き地を購入した。土地こそシェンドほど広くないが、十分にやっていける面積はある。
「おし、造るぞ! 三号店!」
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