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第一部
その75 仲間?
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「ちょ、ちょっとエメラ! 何でこんなところにミケラルド様がいるの!? もしかして同棲!? くぅっ……!」
「おいミック! まさかエメラさんの旦那ってあのエルフの事じゃないよな!? もしかしてあのハーフエルフの子は!? くぅっ……!」
二人とも驚くところがちげぇよ。
二人の首元に剣を押し当ててるジェイルについて何か言えよ。
俺は二人の前に腰を下ろす。
「はぁ~……ジェイルさん。放してあげてください。この二人は敵じゃありません」
「いいのか?」
「良い魔族しなくちゃいけませんからね」
「ふむ、お前たち。ミックや私たちに何かしたり、逃げ出したりすれば……斬る」
監禁から軟禁になったな。
さすがジェイルだ。良い魔族の線引きをまだ理解していないようだ。
剣が首から離れると、二人は恐る恐る俺の前に正座した。
俺も地面に胡座をかいて座ると、隣にはエメラがちょこんと座った。
「もう、何で来たの、カミナ?」
「いや、だってせっかくシェンドの町まで来たから、ミケラルド様とエメラに会おうと思うじゃない。でも、ミケラルド商店は閉まっちゃってたし、ミケラルド様もマッキリーの町に行くって言うからエメラの家に久しぶりに行くかってなるでしょう?」
もじもじとしながら言うカミナ。
なるほど、俺の嘘もこの行動の起因の一つとなっているのか。
「ごめんエメラさん。俺のミスでもあります」
「そんな、ミケラルドさんが謝る事ありませんよ。カミナは私たち家族の事知ってますし、家も知ってます。予めカミナと来ちゃダメって約束してれば、こんな事にはなりませんでした」
「ねぇエメラ。あのリザードマンは一体何なの?」
ようやくジェイルに触れたな。
まぁしかし、カミナはエメラの友人という事もあり、偏見のない人間でもある。問題は、今ナタリーがじーっと見てるクマみたいなオッサンの方だな。
「や、やぁお嬢ちゃん」
「は、初めまして」
「お、お嬢ちゃんのお母さんはどこかな?」
「え? お母さん? ん」
言いながら、ナタリーはエメラの袖を掴む。
瞬間、クマの顔は悲しみマックスになった。
「はぁ~……」
「因みにあそこで困ってるクロードさんてエルフがナタリーのお父さんだ」
「追い打ち掛けるなよミック……そうか、ナタリーちゃんにクロードさんか。こりゃ勝てる訳ないな」
「お前は何で来ちゃったんだよ」
「いや、エメラさんの夜道の一人歩きは危ないだろう?」
……むぅ、確かにこれも俺に責任があるな。過保護にエメラに色々装着させはしたが、それをマックスが知る事はない。ならばマックスがそう思っても仕方ない。
彼は一応シェンドの町の警備主任なのだから。線引きは難しいが、好意よりも厚意や職務に近い感情で動いたのだろう。
「なぁミック。あのリザードマンは一体何なんだ? 何故ここにミックがいるんだ?」
ま、ここまできたら二人に説明しない訳にもいかないか。
「俺の友達なんだよ、彼。リザードマンのジェイルさん」
「そうだ、友達だ」
何で嬉しそうなんだよ、ジェイル。
「んでもって俺の剣の師匠でもある」
「そうだ、師匠だ」
何で嬉しそうなんだよ、ジェイル。
「「魔族がぁ?」」
当然、カミナとマックスの声も揃う。
俺は自分も指差し、二人に言うのだ。
「俺も魔族だからな」
「は?」
「へ?」
二人の頭の上にでかい?が出たところで、クロードが手を上げる。
「あの、ミケラルドさん。もしよろしければウチで話してください。食事もありますし」
ふむ、食卓を囲んだ方が話も呑み込み易いだろう。まぁ、食事が呑み込み易くなるかはわからないけどな。
◇◆◇ ◆◇◆
「さぁカミナ。マックスさん。今日はシチューですよ」
「おぉシチュー! 最高じゃないですか!」
「待てミック。エメラ殿のシチューには限りがある。じっくり味わうべきだ」
「いやいやジェイルさん。早い者勝ちですよ!」
「いや待てミック。おい、ミック。くそっ!」
結局シチューをかっこむジェイル。
もう完全に人間の舌だな、ありゃ。
しかし、この二人はずっと俺を見たまま黙ってる。まったく、そんなに珍しいかね、吸血鬼が。
「ミック……なんだよな?」
「何だよマックス。三歳児が珍しいってか?」
「た、確かにミックの生意気な口調だが、こんな事があっていいのか……」
「ミック大人の方がかっこいいのにー」
ナタリーの言葉は尤もだ。あれは俺の理想をぶち込んだ顔だからな。
そう、俺は今、完全に元の姿となって食事をしているのだ。
身体は三歳児。青白い肌も、尖った牙も、紅い瞳も、この二人には全てを見せている。
「マックス、食わないのか? エメラさんの手料理だぞ?」
「あ、いや食べる! 食べる! うん!」
言いながら、マックスはエメラのシチューを……飲み干しやがった。
「おかわり!」
「おい! 少しは遠慮しろよ!」
「何言ってる! ミック、これは戦争だ!」
「おかわりだ」
くそ、ジェイルも食べきりやがった。
口元にシチューべったり付けやがって。全然可愛くねぇぞあのトカゲ。
しかし、カミナは大丈夫だろうか? 先程から黙ってばかりいるが、もしかして魔族を受け入れるのは無理という事なのか? もしそうなった場合、カミナには悪いが血を一滴――
「――可愛い」
全然大丈夫そうだ。
「おいミック! まさかエメラさんの旦那ってあのエルフの事じゃないよな!? もしかしてあのハーフエルフの子は!? くぅっ……!」
二人とも驚くところがちげぇよ。
二人の首元に剣を押し当ててるジェイルについて何か言えよ。
俺は二人の前に腰を下ろす。
「はぁ~……ジェイルさん。放してあげてください。この二人は敵じゃありません」
「いいのか?」
「良い魔族しなくちゃいけませんからね」
「ふむ、お前たち。ミックや私たちに何かしたり、逃げ出したりすれば……斬る」
監禁から軟禁になったな。
さすがジェイルだ。良い魔族の線引きをまだ理解していないようだ。
剣が首から離れると、二人は恐る恐る俺の前に正座した。
俺も地面に胡座をかいて座ると、隣にはエメラがちょこんと座った。
「もう、何で来たの、カミナ?」
「いや、だってせっかくシェンドの町まで来たから、ミケラルド様とエメラに会おうと思うじゃない。でも、ミケラルド商店は閉まっちゃってたし、ミケラルド様もマッキリーの町に行くって言うからエメラの家に久しぶりに行くかってなるでしょう?」
もじもじとしながら言うカミナ。
なるほど、俺の嘘もこの行動の起因の一つとなっているのか。
「ごめんエメラさん。俺のミスでもあります」
「そんな、ミケラルドさんが謝る事ありませんよ。カミナは私たち家族の事知ってますし、家も知ってます。予めカミナと来ちゃダメって約束してれば、こんな事にはなりませんでした」
「ねぇエメラ。あのリザードマンは一体何なの?」
ようやくジェイルに触れたな。
まぁしかし、カミナはエメラの友人という事もあり、偏見のない人間でもある。問題は、今ナタリーがじーっと見てるクマみたいなオッサンの方だな。
「や、やぁお嬢ちゃん」
「は、初めまして」
「お、お嬢ちゃんのお母さんはどこかな?」
「え? お母さん? ん」
言いながら、ナタリーはエメラの袖を掴む。
瞬間、クマの顔は悲しみマックスになった。
「はぁ~……」
「因みにあそこで困ってるクロードさんてエルフがナタリーのお父さんだ」
「追い打ち掛けるなよミック……そうか、ナタリーちゃんにクロードさんか。こりゃ勝てる訳ないな」
「お前は何で来ちゃったんだよ」
「いや、エメラさんの夜道の一人歩きは危ないだろう?」
……むぅ、確かにこれも俺に責任があるな。過保護にエメラに色々装着させはしたが、それをマックスが知る事はない。ならばマックスがそう思っても仕方ない。
彼は一応シェンドの町の警備主任なのだから。線引きは難しいが、好意よりも厚意や職務に近い感情で動いたのだろう。
「なぁミック。あのリザードマンは一体何なんだ? 何故ここにミックがいるんだ?」
ま、ここまできたら二人に説明しない訳にもいかないか。
「俺の友達なんだよ、彼。リザードマンのジェイルさん」
「そうだ、友達だ」
何で嬉しそうなんだよ、ジェイル。
「んでもって俺の剣の師匠でもある」
「そうだ、師匠だ」
何で嬉しそうなんだよ、ジェイル。
「「魔族がぁ?」」
当然、カミナとマックスの声も揃う。
俺は自分も指差し、二人に言うのだ。
「俺も魔族だからな」
「は?」
「へ?」
二人の頭の上にでかい?が出たところで、クロードが手を上げる。
「あの、ミケラルドさん。もしよろしければウチで話してください。食事もありますし」
ふむ、食卓を囲んだ方が話も呑み込み易いだろう。まぁ、食事が呑み込み易くなるかはわからないけどな。
◇◆◇ ◆◇◆
「さぁカミナ。マックスさん。今日はシチューですよ」
「おぉシチュー! 最高じゃないですか!」
「待てミック。エメラ殿のシチューには限りがある。じっくり味わうべきだ」
「いやいやジェイルさん。早い者勝ちですよ!」
「いや待てミック。おい、ミック。くそっ!」
結局シチューをかっこむジェイル。
もう完全に人間の舌だな、ありゃ。
しかし、この二人はずっと俺を見たまま黙ってる。まったく、そんなに珍しいかね、吸血鬼が。
「ミック……なんだよな?」
「何だよマックス。三歳児が珍しいってか?」
「た、確かにミックの生意気な口調だが、こんな事があっていいのか……」
「ミック大人の方がかっこいいのにー」
ナタリーの言葉は尤もだ。あれは俺の理想をぶち込んだ顔だからな。
そう、俺は今、完全に元の姿となって食事をしているのだ。
身体は三歳児。青白い肌も、尖った牙も、紅い瞳も、この二人には全てを見せている。
「マックス、食わないのか? エメラさんの手料理だぞ?」
「あ、いや食べる! 食べる! うん!」
言いながら、マックスはエメラのシチューを……飲み干しやがった。
「おかわり!」
「おい! 少しは遠慮しろよ!」
「何言ってる! ミック、これは戦争だ!」
「おかわりだ」
くそ、ジェイルも食べきりやがった。
口元にシチューべったり付けやがって。全然可愛くねぇぞあのトカゲ。
しかし、カミナは大丈夫だろうか? 先程から黙ってばかりいるが、もしかして魔族を受け入れるのは無理という事なのか? もしそうなった場合、カミナには悪いが血を一滴――
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全然大丈夫そうだ。
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