上 下
28 / 39

27話 侵入者

しおりを挟む


ダンジョンから帰った俺はスライム座布団で仮眠を取り、身体を休めた。

よし、体力全回復だ。
早速、今回の収穫の確認だな。
今回の大きな収穫としては、まず黄スライム騎士の魔石
通常のスライム騎士の魔石よりやや大きい黄色の魔石だ。
スライム騎士系の魔石は案外高く売れるからこれも期待以上には売れるだろう

そして、一番の収穫はこれだろう

ジャンっ!スライムフェイスタオル~(仮)

もしかしたら違うかもだから(仮)だ。
というか、そもそもこれって水を吸うのだろうか?
スライム素材に吸水性なんて普通に考えれば無いだろうけど、不思議アイテムだしな。一旦色々試してみよう

というわけで俺は早速、キッチンに行って手を洗う。
そして濡れた手をスライムフェイスタオルで拭く
なんと言う事でしょう!
びしょびしょの手がサラサラに乾いたではありませんか。
すごい吸水力だな。タオルなんて非じゃない!
更に手も心持ちか綺麗になってスベスベになった気がする。

ならば次は顔もやってみよう。
顔を軽く水で洗って、スライムフェイスタオルで拭いてみる。

ーーっ!!

なんだこれ!
圧倒的な爽快感が顔、いや脳を突き抜けた。
なんだこの感じ!今まで感じた事のないくらいの圧倒的な爽快感だ。
全神経が目覚めるような感覚。
なんだか視界がはっきりするし、五感が研ぎ澄ませる。
もしかすると視力、聴力、嗅覚などがアップしているのかもしれないな。
更に顔の吹き出物が無くなり、髭もツルツルだ。
まるで赤ちゃんの肌だ。
これはヤバいな……もし世の中の女性がこの存在を知ったら俺は殺されるかも…
それくらいに最高だな。スライムシリーズ
全然戦力にはならないのが残念ではあるが

"ーーガタンッ"

俺がキッチンからリビングへ戻ろうとした時、洗面台、ダンジョンの方から大きな音がした。

全身に緊張がはしる。
まさか…氾濫?いや、その兆候は無かったはずだ。

とりあえずダンジョンに急ごう。
俺は酔姫を手に取るとパジャマのままダンジョンのある方へと走る。

なっ、洗面台の入り口が空いている?
俺は閉めたはずだ?
何かがダンジョンから抜け出して洗面台のドアを開けたのか!?
いや、だがそんな気配も無い。

とりあえずダンジョンの確認だ。
俺は洗面台の床からダンジョンのある地下へと降りる。

いつもは閉ざされているダンジョンのドアが全開に開いている。
だがモンスターが出できている感じは無い。 
これは侵入者の線が濃厚だな

だがどうする?
入って追うべきか?
今、ドアは開いているからダンジョン内の時間は外の時間とイコール。そのため今なら追うこともできる。
しかし、行き違いになる可能性は十分にあるし……

うーん、逆に待つのもありか?
というのもこのダンジョンは中でどれだけ居ても外では最大で3時間しか経たない。その為、侵入者が戻ってくる場合は必ず3時間以内に戻ってくる。3時間経って戻ってこない場合は永遠に戻ってきていない。要するに死んだか侵入者はいないという事になる。

どうしようか…
ちなみに警察に連絡という手もあるけど、あるけど…
調査のためにダンジョンに入れなくなったら嫌だし、なんか嫌だ。

というわけで追うか、待つかの2択

俺の出した答えは……

"待つ"

さぁ!どうにでもなれ!
俺は思いっきりドアを閉めた。

さぁ、ここからは時間との勝負だ。
3時間以内の場合は普通に中の時間は外の時間だから3時間以内に出る事も普通にあり得る。

となれば準備だ。
俺は急いでリビングに戻り、装備を整える。
盾"umbrella" 短剣"酔姫"
鎖帷子を身につけ、上に分厚めの作業着を着る。
いつもの冒険用の装備だ。

後は、胡椒とか消化器とか対人に使えそうな物も用意。
ドアの前で待つ。

……待つこと3時間

ついにこの瞬間が来た。
中で死んでいる場合、又は侵入者が居ない場合はこのドアが開く事はない。
頼む…開かないでくれよ

扉に全神経を集中し、身構える俺

"ギィー"と軋み音を響かせながらゆっくりドアが開き出す

マジか……居たのかよ……
さぁ、誰だ。
心臓がバクバクと激しく鳴る。
酔姫を持つ右手に汗が滲む
さぁ、来るぞ…

「ニャー」

は?

ドアから現れたのは猫だった。
しかも酷く汚れている。
それにこの猫……やっぱりだ。
なぜか少し大きくなっているが庭に住み着いていた野良猫だ。

「なぜダンジョンなんかーーおいっ」

突然猫が倒れた。
よく見ると全身に切り傷、溶かされたような後がある。
おそらく青スライムから逃げたり、ダンジョン中を駆け回ったのだろう。
倒れたのはその反動だろうな
こいつも生きる為に相当頑張ったんだろうな。
良かった。ほんと無事で何よりだ。
後、侵入者が猫でほんと良かった。
でも今後同じ事が起きないように洗面台に鍵でも付ける事にしよう。

俺は倒れた猫を抱き抱え、リビングに移動する。
それにしてもやっぱり成長したか?
umbrellaに比べれば軽いくらいで全然重くは無いが
小型犬くらいのサイズだったのに中型犬くらいになっている。
違和感を感じつつも猫をスライム座布団に寝かせてやる。

すると心無しか表情が柔らかくなった感じがする。
とりあえず、この猫が目覚めるまで俺も横で寝るとしよう。
予備のスライム座布団を出し、隣で寝転ぶ。

やっぱり気持ちいな。
俺の意識は緩やかに遠のいていった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

器用貧乏の底辺冒険者~俺だけ使える『ステータスボード』で最強になる!~

夢・風魔
ファンタジー
*タイトル少し変更しました。 全ての能力が平均的で、これと言って突出したところもない主人公。 適正職も見つからず、未だに見習いから職業を決められずにいる。 パーティーでは荷物持ち兼、交代要員。 全ての見習い職業の「初期スキル」を使えるがそれだけ。 ある日、新しく発見されたダンジョンにパーティーメンバーと潜るとモンスターハウスに遭遇してパーティー決壊の危機に。 パーティーリーダーの裏切りによって囮にされたロイドは、仲間たちにも見捨てられひとりダンジョン内を必死に逃げ惑う。 突然地面が陥没し、そこでロイドは『ステータスボード』を手に入れた。 ロイドのステータスはオール25。 彼にはユニークスキルが備わっていた。 ステータスが強制的に平均化される、ユニークスキルが……。 ステータスボードを手に入れてからロイドの人生は一変する。 LVUPで付与されるポイントを使ってステータスUP、スキル獲得。 不器用大富豪と蔑まれてきたロイドは、ひとりで前衛後衛支援の全てをこなす 最強の冒険者として称えられるようになる・・・かも? 【過度なざまぁはありませんが、結果的にはそうなる・・みたいな?】

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

寄り道

yan
恋愛
短時間 寄り道がてらコンビニで コーヒーを一緒に飲む2人 一見ふつうのカップル?友人? 何度か別れを経験して 少しずつ 感情や関係性が変化していく そんな男女それぞれの気持ちを 詩のように綴り 過去へ

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜

むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。 幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。 そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。 故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。 自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。 だが、エアルは知らない。 ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。 遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。 これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。

処理中です...