上 下
17 / 39

16話 スライム座布団

しおりを挟む

今回もダンジョン探索後の激しすぎる痛みにより気絶し、目覚めた。
こんなに毎回気絶してて大丈夫なのだろうか?
一度、人間ドックで調べてもらわないとな

とりあえず、よく寝て?気絶してスッキリした俺はスライム騎士がドロップしたスライム食感の座布団?を調べる事にする。
かなり楽しみだったんだよな

大きさは一般的な座布団
指で押した感触は、よく店で売ってる衝撃吸収ジェルクッションに似てる。
めっちゃぷにぷにだ。
色は水色で癒されるし、最高だな。

よし!一回、座ってみよう。

俺はスライム座布団(俺命名)に座ってみる。

「ーっふぁ……」

あっ…変な声が出た。
気持ち良すぎる……人生史上で一番だ。
金曜仕事終わりに入る温泉×10倍の気持ちよさだ。
更になんて言うだろう疲労感が吸い取られていくようだ。
さっきまで僅かに残っていた筋肉痛が治まっていく。

これは売れないな。
例え100万でも売れない。それくらいに最高だ。

スライム座布団!最高!

「はぁ~」

「気持ち~」

「天国ぅ」

……


……


……


……


ーーあっ!気を失っていた。
10分ほど昇天していたようだ。

次に魔石だな。
今回の収穫はスライムの魔石を前回分くらいとスライム騎士の少し大きめの魔石2個。
一体いくらになるか気になるな。
スライムの魔石分で最低でも70万以上はあるだろう
今日は早めに寝て、明日朝に早速換金センターに行くか。

****

翌朝、俺は換金センターに再び向かった。
前回同様大量である。

「えーと、昨日来られましたよね?」

換金センターのお姉さんの笑顔が引き攣っている。
確かに俺の中では、結構ぶりに感じるけどダンジョン外ではほとんど時間が経っていなかったな。
なんだが時間感覚がおかしくなるな。

「はい、かなり魔石を溜め込んでいまして……」

とりあえず適当な言い訳を返す

「そ、そうですか、そうですよね!一日でこの量は異常ですもん!しかも全てスライムだし、ってうん??2つだけ違う魔石がありますね。それも結構大きい」

そう言ってスライム騎士の魔石を鞄から取り出すお姉さん

「それは1階層のダンジョンボスの魔石ですよ」

「え!桜山さんって冒険者になったの今月ですよね!もうダンジョンボス倒されたのですか?しかも2個も」

口に手を当て驚くお姉さん。
可愛いな…
普段真面目な女性の驚く顔はギャップがあって好きだ。

「俺の入ったダンジョンは6等級ダンジョンの中でも最弱なダンジョンなんで俺みたいな初心者でもなんとか行けましたよ。」

正直、うちのダンジョン以外だったらボスは倒せなかっただろう。
最初は弱いダンジョンでガッカリした部分はあったけど、今となっては俺に最適な最高のダンジョンだと思っている。

「そうでしたか。それにしてもすごいと思いますが……とりあえず査定しますのでお待ちを」

さて、一体いくらになるのだろうか。
少しして査定が終わり、お姉さんが戻ってきた。

「今回もすごいですよ。合計で85万円です」

「マジか…」

圧巻だな…
これだけ稼げるならあの激痛も納得だよな

「私も驚きました。前回もですけどね。今回の収入はH級の平均年収に近いですよ。ちなみに内訳はスライムの魔石が75万円、2つのダンジョンボスの魔石が合計10万円になります。」

「2つで10万円ですか!」

めっちゃ高いじゃん。
一つ数百円のスライムの魔石と全然違う。
これはスライム騎士倒しまくるの決定だな。

「はい、10万円です。1階層のダンジョンボスとしては破格の値段ですよ。6等級ダンジョンの1階層ボスの相場としては5000円くらいですが、桜山さんのお待ち頂いた魔石は、希少性が高いと判断し、この価格になりました。」

実際は5000円
それが5万円。10倍とは幸運だ。
スライム騎士……俺が勝手につけた名前だけど人型のスライムなんて聞いたことないもんな

「ありがとうございます。また倒したら持ってきます。」

「はい、安全第一で頑張ってください」

あぁ、嬉しい……嬉しさが滲む。
頑張れなんて言われたの何年振りだろうか
仕事の時は基本的に指摘ばっかりだったし、だから素直に嬉しいな。

「ありがとうございます」

「最後に一つご連絡があります。桜山さんは今回の売却で100万円を超えましたので、通常会員からシルバー会員になりました。」

「シルバー会員、ですか?」

なんかクレジットカードみたいだな

「シルバー会員の特典としては、売却額の3%割増。加えて簡易査定ができるようになります。簡易査定とは店舗裏口にある売却BOXに売りたいアイテムを入れるだけで、自動で査定され売却するシルバー会員以上が利用できるサービスです。売却額はお客様の冒険者ライセンスに直接振り込まれるので待ち時間や毎回店内に持ってくる手間が無いのが売りです。他にも特典があり、詳細はこちらの説明書に記載してます。」

「ありがとうございます。」

そう言って出された結構分厚めな説明書を受け取る。
タイトルは【シルバー会員の特典について】
パラパラと読んでみるが、結構内容が濃そうだ。
これは多分読まずに本棚に眠るやつだな
今のうちに簡易査定については少しだけ読んでみる事にする。
冒険者ライセンスで開ける事のできるBOXに売却するアイテムを入れるだけで、通帳に金が入るわけか。
お姉さんの顔を見えないのはマイナスだけど、めっちゃ便利だ。

「何か不明な点はございますか?」

「そうですね~、大体はこの本に書いてそうなんで大丈夫そうです!ちなみに普通に受付にも来てもいいんですか?」

これは重要だ。
たまに人との交流、お姉さんとの交流がないと人との接点が0になるからな。

「大丈夫ですよ。いつでも歓迎です」

笑顔を受けべるお姉さん。
この太陽のような笑顔のファンは多いだろうな。

「ありがとうございます。では、たまには受付も利用させてもらいます。」

その後、俺は冒険者ライセンスに今回の売却額85万円を振り込んでもらい、店を後にした。

さて回復薬もまだあるし、後は昼飯の惣菜でも買って帰るとしよう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

レベルカンストとユニークスキルで異世界満喫致します

風白春音
ファンタジー
俺、猫屋敷出雲《ねこやしきいずも》は新卒で入社した会社がブラック過ぎてある日自宅で意識を失い倒れてしまう。誰も見舞いなど来てくれずそのまま孤独死という悲惨な死を遂げる。 そんな悲惨な死に方に女神は同情したのか、頼んでもいないのに俺、猫屋敷出雲《ねこやしきいずも》を勝手に転生させる。転生後の世界はレベルという概念がある世界だった。 しかし女神の手違いか俺のレベルはカンスト状態であった。さらに唯一無二のユニークスキル視認強奪《ストック》というチートスキルを持って転生する。 これはレベルの概念を超越しさらにはユニークスキルを持って転生した少年の物語である。 ※俺TUEEEEEEEE要素、ハーレム要素、チート要素、ロリ要素などテンプレ満載です。 ※小説家になろうでも投稿しています。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

超実力至上主義序列第一位

山椒
ファンタジー
その学園は貴族や優秀な人材が集まる超実力至上主義の学園。 魔法や武の実力が高ければ上に行け、負ければ自身の権利、所有物、尊厳でさえも奪われる学園。たとえ相手が貴族であろうとも決闘で決まったことは一切の例外はない。 序列第一位は生徒会長になりその学園のルールを定め、好き放題できる権利を持つ最強。 その学園に入学してきた貧乏な男爵家の跡取りがいた。 その男子生徒は無駄を嫌い、できることならまったりとしたいという理由で学園に入り生徒会長になっていた。 なお男子生徒は多忙を極める。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

あ、出ていって差し上げましょうか?許可してくださるなら喜んで出ていきますわ!

リーゼロッタ
ファンタジー
生まれてすぐ、国からの命令で神殿へ取られ十二年間。 聖女として真面目に働いてきたけれど、ある日婚約者でありこの国の王子は爆弾発言をする。 「お前は本当の聖女ではなかった!笑わないお前など、聖女足り得ない!本来の聖女は、このマルセリナだ。」 裏方の聖女としてそこから三年間働いたけれど、また王子はこう言う。 「この度の大火、それから天変地異は、お前がマルセリナの祈りを邪魔したせいだ!出ていけ!二度と帰ってくるな!」 あ、そうですか?許可が降りましたわ!やった! 、、、ただし責任は取っていただきますわよ? ◆◇◆◇◆◇ 誤字・脱字等のご指摘・感想・お気に入り・しおり等をくださると、作者が喜びます。 100話以内で終わらせる予定ですが、分かりません。あくまで予定です。 更新は、夕方から夜、もしくは朝七時ごろが多いと思います。割と忙しいので。 また、更新は亀ではなくカタツムリレベルのトロさですので、ご承知おきください。 更新停止なども長期の期間に渡ってあることもありますが、お許しください。

ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。 身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。 配信で明るみになる、洋一の隠された技能。 素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。 一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。 ※カクヨム様で先行公開中! ※2024年3月21で第一部完!

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

処理中です...