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5話 登録
しおりを挟む2度目のダンジョン管理局
目的はダンジョン所有権、その証明書の受け取りと冒険者の登録だ。
「お電話した桜山です。」
「桜山さんですね。お待ちしておりました。ご自宅のダンジョンの証明書は出来上がっております。少々お待ちください。」
「はい、よろしくお願いします」
少ししてダンジョン管理局の事務員さんが証明書を持ってきた。
これで俺もダンジョン所有者だ。
おかげで貯金はかなり減ってしまった。
正直退職金は全て消えた。
それから契約書類の控えなどをもらってダンジョンの所有権の手続きがようやく完了した。
「あと、冒険者登録をしたいのですが?」
ここからが俺の本題
「ちなみに冒険者について、どの程度ご存知でしょうか?」
正直、冒険者についてはかなり調べた、
まず、冒険者には18歳以上で10万円の登録料を払えば誰でもなれるということ。
だが、冒険者になる人間はそこまで多くない。
それはなぜかと言うと、まず死の保障などが一切無いからだ。
そして、もう一つこれが一番大きい理由だが、何もしていなくても年間100万円のダンジョン税を払わないといけない。
ちなみに払えない場合は冒険者の資格を剥奪される。また、最悪の場合、逮捕される事もあるらしい。
冒険者登録した8割の人間はこのダンジョン税が払えず、冒険者をやめていく。
他にも冒険者にはランクがある。所有ダンジョンは別だが冒険者ランクによって入れるダンジョンに制限がかかる。ランクが上がる事による特典はかなり多い。冒険者学校やダンジョン科の学校を出た場合は、冒険者登録時に最低ランクスタートでは無く、2つ程上がった状態からスタートする為、冒険者を目指す者の多くは冒険者学校を出てから冒険者登録をする。その方がダンジョンの知識や戦闘技術も学べる為、生存率も高い。
だが、俺のような者は当然最低ランクスタートだ。
我ながら中々のダンジョン知識だろう
「基本的な事は調べたり、ダンジョンのしおりに書いてた冒険者の部分読んだりで知ってるんで、説明は省略で大丈夫です。」
「承知しました。では冒険者登録についての説明だけ行います。」
その後、冒険者登録について説明だけしてもらい、冒険者登録の契約を進めた。
そして、その日のうちに"冒険者のライセンス"免許証のような物を発行してもらった。
ライセンスには俺の名前と10桁のID的なもの。
加えて"ランクH"の文字が書かれていた。
これは最下級のランクであり、青色の扉である6級ダンジョンにのみ入れるランクだ。ちなみに所有しているダンジョンだけは例外で何級であっても入れるらしい。やや暗黙の了解的な感じはあるが。
また最高はランクSであり、国内でも数えられる程しかいない。
ランクSまでになると国の英雄、力で言うと総理大臣に匹敵すると言われている。まさに国家権力級だ。
さぁて、ライセンスを手に入ったし次は"装備"だな
予算は10万円。
さて、ダンジョン管理局内にもあったはずだ。
えーと、フロア案内表っと
5階が武器、防具、アイテム関連か
エレベーターに乗って5階へと行く。
結構賑わっているな。
装備を身につけた冒険者達が結構いる。
それにしてもすごいな。
ショーウィンドウに飾られた剣や斧、槍、弓、ボウガン
どれも本物だ。
あ、これかっこいいな
その中で俺の目に留まったのは一振りの剣
光沢の無いマットな黒の剣身を持つやや細身の剣だ。
説明欄には、素材は不明のダンジョン産の剣。硬度が極めて高く、石を斬っても刃こぼれしない。と書かれている。
石を斬ってもって石を斬ろうとするなよな
それにしても、どの武器も値段書いていないんだな。
どうやら聞くしか無いようだ。
「すみません」
俺は近くの管理局員に声をかける。
「どうかされましたか?」
「えーと、あの黒い剣の価格を知りたいんですけど」
そう言うと店員さんは手に持ったデバイスを操作し、
「この剣は約5億円ですね」
何事も無いかのように言った。
「へ?」
5億円……?
意味わからない
「えーと、5億円って聞こえたのですが?」
俺は聞き間違いかもと思い聞き直す。
「はい、5億円です。」
やっぱり合っていた。
「えーと、参考程度に知りたいのですがここで最も安い武器っておいくらですか?」
「そうですね。1000万円ですかね。」
最低でも1000万円とは……恐ろしい。
なんか違う世界に迷い込んだ気分だ。
「なるほど、ありがとうございます。」
間違った世界から早く抜け出したくて俺は短く例を言って足早にフロアを後にした。
装備のハードル高すぎないか?
冒険者のスタートダッシュでいきなり壁にぶつかってしまった。
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