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18.王国貴族の手伝い

クロースの帰還

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イーアス・ノエビア。
この名前を記憶に残し、カーシン伯爵の館を出た。

おそらくクロースはもう数日でこの街に到着する。

クロースと一緒にと言うことは、クリスも一緒だろう。
懐かしいメンバーで過ごす事になるな。ちょっと楽しみだ。
そして、この先何が待ち構えているのか?

~~~~~

クロースを待つ間、サラシトの街を巡り旅に必要な物を追加した。
調査依頼も含まれそうなので、食料を大量に購入した。
そして防具でいいものが無いか探してみた。せめて侮られないような防具はないかと。

しかしサクラの指摘で気が抜けた。
防具だけよくしても、結局は無理して準備した低ランク者と思われそうだと。
本当に強い人なら、どんな格好をしていても侮ることはない。
ああやって絡まれることで、普段付き合う冒険者の線引きが出来るでしょ、と言われた。

だから僕たちはこのままの装備で行くことにした。
いい物が見つかるまでは・・・。

そして7日経過したときに、冒険者ギルドからわかばに手紙が届いた。
クロースからラウールへと言う記載がされていた。

カーシン伯爵の館で会いたいという内容だった。

~~~~~

次の日僕とサクラはカーシン伯爵の館の前まで来ていた。
そしてクロースから受け取った手紙に同封されていた証明書を門番に渡す。
すると館からセバスが現れて先導してくれた。

「こちらでお待ちください。」

そう言われ、落ち着いた、そして趣味の良い部屋に通された。
数分待っているとドアが開いた。

「よう!久しぶり。驚かせようと思っていたが、俺の方が驚いた。来てくれると思っていたが、どうやって先についたんだラウール?」

久しぶりに会ったクロースは変わっていない様子だった。
幾分引き締まった表情をしているが、一緒に旅をしていた時と同じ雰囲気を感じた。

「そうですよ。サクラも久しぶり。私とクロースも元気よ。」

後ろからクリスも現れてニコニコしている。

「ごめんね。たまたまだよきっと。たまたま馬車を引いていた馬が元気だったんだよ!」

「は~、変わらないなラウール。そんなわけないだろ!」

「そうよラウール。クロースをからかうのもそれくらいにして、私たちの移動の秘密でも教える? 私とラウールは・・・・、走ってきました!」

「「え~~!!」」

「サクラ・・・。そっちもどうかと思うよ・・・。」

4人はそれぞれの顔を見て、そして笑い出した。
久しぶりの再会、そしていつものやり取り。
お互いが変わっていないことを今の会話で感じていた。

「冗談はさておき、久しぶりクロース。僕たちのことでまだ内緒のこともあるからね。別れてからも色々とあったんだから。」

「そうだろうな。Sランクまで上がってるし、お前らなら何でもありだろうしな。」

「その辺はおいおいと説明していくよ。だから、今回の依頼の事を詳しく聞いていいかな?」

「おう。じゃあそこに座っててくれ。今おやじも来るから。」

そう言うとクロースも座り、その後ろにクリスが立っている。
セバスが人数分のお茶を準備し、しばらくたわいもない話をしたいた。

懐かしい雰囲気を感じているとき、カーシンが部屋に入ってきた。
部屋の外に強者の気配がするが、それは触れないでおこう。

「よう、そろったな。時間ももったいないから説明するぞ。」

カーシンは改めて説明をし始めた。
ラシーア帝国についての探りは、国の方でも行っている。
しかし、疑いを持って探ることは、何もなかった時のことを考えると難しい。
だから、クロースが見分を広げるために、昔の仲間と一緒にいろいろなところを見て周っている事にしたい。
だから、【黒猫】はクロースの旅の仲間という事にしたい。
そして、魔物が増えているため、クロースの力量を上げる目的もあり、討伐に出てほしい。
討伐した魔物については、冒険者ギルドではなく、カーシンもしくは国で買い取る。
そこで、魔物の発生源が分かった場合は、調査や討伐をしてほしい。
人為的な何かを発見したときは、証拠を保存もしくは押さえておいてほしい。
ラシーア帝国に入国するなら、クロースが学ぶために移動することを手紙に記しておく。
とにかく何かがわかれば教えてほしい。
ただし、気負いすぎなくともよい。王国でも必要な調査は並行して行っている。
魔物の討伐だけでも助かる。
特に高ランクの魔物は優先して討伐してほしい。

「大体わかりました。僕たちの両親のいる国のためですから、手伝いますよ。ただ、調査は苦手なので、期待しすぎないでくださいね? あと、途中で何か情報があった時には僕にも教えてくださいね。」

「もちろんだ。クロースを頼むぞ。では俺は次の仕事があるから、後は4人で相談してくれ。」

そう言うとカーシンは颯爽と部屋を出て行った。強者の気配も一緒について行っている。カーシンの護衛だろう。

「さあラウール、計画を練ろうじゃないか?」
クロースの隣にはクリスも座り、4人の相談が始まった。

「相談もいいけど、2人はどれくらい強くなったの?」

目の前のクロースとクリスは一度目を合わせてから、僕たちに視線を向け笑っている。

「ランクで言うとBだ! ほとんど変わらない。依頼と言うよりは見分を広げることと、おやじの手伝いをしてたからな。だが、クリスは模擬戦でAランクに勝てるぞ!」

「へ~、やるわね。じゃあ私とラウールと模擬戦をしてみる?」

「いえ、遠慮しておきます・・・。私はAランクには勝てますが、Sランクとは戦ったことはないし、ましてラウールとサクラはSランクでももっと強いでしょ?」

「どうなんだろ? 僕とサクラはソロでSランクの魔物は倒せるくらいにはなったけどね。」

「「・・・ちょっと・・・。」」

「ダンジョンでだいぶSランクの魔物を倒したからね。僕の方がサクラよりちょっと強いかな?」

「そうね。ラウールにはまだ勝てないわね。」

「お前たち・・・。強いなんてものじゃないだろ・・・・。それと気になってたんだが、その肩に乗ってる鳥は何だ?」

「やっと聞いてくれたね。僕のロマンだよクロウは! クロウ、自己紹介して!」

「我クロウ。ラウールとサクラの仲間。よろしく。」

クロースとクリスの動きが止まった。
目を見開き、クロウを見ている。

・・・・
・・・・

「鳥が話をした? 鳥か?」

「違うよ! 僕の従魔! 八咫烏っていう種族だよ。」

「???従魔? 八咫烏? どんな役割なんだ? 偵察か?」

「戦うよ。偵察もできるよ。強いよ。サクラと同じ? 僕と同じ? 結構強いよ!」

4人の話は尽きない。
強さを聞いて驚いて、ダンジョンの事を聞いて驚いて、クロースとクリスにとっては驚きの連続だった。
そこで明日は戦力確認のため、最近魔物の多いところに行ってみることにして今日は別れた。

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