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17.求むロマン武器
懐かし顔ぶれ
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ラウールが気合を入れて冒険者ギルドのドアを開けた。
ガチャ!
ラウール達が中に入ると、中にいた冒険者は一瞬品定めをするように目を向けた。
大体の冒険者はすぐに視線を戻したが、何人かの冒険者がそのまま固まっている。
「漆黒の翼・・・?」
「あいつが帰ってきた・・・。」
「でかくなったな。漆黒の翼だよな?」
「おい!仲間に伝えておけ!見たことのない奴には特徴を伝えろ!」
「この街にまた・・・。」
「久しぶりだな~、元気だったのかな~。」
「誰だあいつ?やけに注目されてるな?」
サクラが・・・。
「ぶふっ! ラ・・・、ラウールさん?漆黒の翼のご帰還だ~!ってしなくていいの?」
「おい! それをネタにしないでくれよ~。僕だって言われたくてこうなったんじゃないから・・・。」
「でも、一目見て思い出させるなんて、恐怖の魔王はラウールだった!」
「ん~! 冗談でもやめてよ!」
「ラウール凄い、我もすごい!」
「クロウはわかってないだろ・・・。ここにいてもしょうがないから、え~と、あっ!いた! やっぱりなにかあったとしても、知ってる顔がいいな。」
そう言って受付にいたチルミの列にラウールは並ぼうとした。
すると、ラウールが進んだ方向の冒険者が道を開けた。
ラウールを見たことのない冒険者は、周りの冒険者に話を聞いた後、やはり道を開けていた。
「は~、こんな状態か・・・。僕は何もしてないのに・・・。」
すぐにチルミの目の前に到着してしまった。
「こんにちはラウールさん、お久しぶりです。あれから何年か経ちましたけど、まだまだこの冒険者ギルドではあなたの話題が出ていますよ。」
額に手を当てラウールは困った顔をした。
「まだですか・・。けど、今回もすぐに首都サーシンに移動するので、そんなに怖がらなくてもいいと、周りの冒険者に伝えてください。」
「そうですか、少し依頼のご相談もしたかったのですが、冒険者プレートを見せていただいても?」
「いいですよ。」
そう言うとラウールは冒険者プレートをチルミに渡した。
受け取ったチルミは目を見開いたが、口に出すことはなかった。
返してもらった冒険者プレートをしまうと、もう冒険者ギルドには用事がないので、帰ろうとした。
「ちょっと待ってくださいね。いつになるのか分からないけど、この国に戻ってきたら一度会いたいと、クロース様から伝言を承っております。クロース様は、1年に1度手紙の交換に自ら出向いていましたよ。」
「へ~、だったら伝言を飛ばしてくれたらよかったのに。」
「それは、ラウール様がこのランクになっているとは思っていなかったのでしょう。それに、送る側にも力がないと、結局は伝言が届かない時もありますから。相手が毎回きちんと、誰と誰の伝言は受け取ってほしいと伝えないといけませんよ。」
「あっ! そこまでしてなかった。それだと届かないね・・。」
手紙を受け取りラウールは今度こそ受付を離れた。
すると目の前からまぶしい人物が現れた。
「うっ! まぶしい!!」
「変わらないな!? そしてまぶしいわけがないだろ!!」
そう、目の前には、ナダルが立っていた。
ナダルはこの冒険者ギルドで真っ先に絡んできた人物だった。
少し大人びた程度で、変わらない。
「だって光ってるもの。」
「光ってない。さすがに髪がないくらいで光らん!」
「けど久しぶり! 元気にしてた?」
「おうよ! 俺もゆっくりかもしれないが、Cランクになったぜ!」
「へ~、おめでとう! すごいね!」
「ありがとよ。だけどラウールはもっとすごいんだろ?」
「ん~、僕はSランクになったよ。それに、パーティーメンバーがいるよ! 今は【黒猫】って言うパーティーなんだ。隣のサクラと2人、そして肩に乗ってるクロウと旅をしているよ。」
「んな! 隣の女の子も・・・。負けた・・・。けど、やっぱりすごいなお前ら。俺もクラン【希望の家】に入れてもらったが、お前ら凄い! ここにギルマスがいたら、慌てただろうな。」
「ギルマスいないの? 魔物にやられた?」
「勝手に殺すな! ただ首都サーシンに行ってるみたいだぜ。」
「へ~、僕たちもすぐにサーシンに行くから、もしかしたら会うかもね?」
「そうか、すぐに行くのか。カシマスさんには会わないのか? 時々懐かしそうに話してるぞ。」
「カシマスさんにはお世話になりっぱなしだから、出発前に挨拶はしていくよ。あっそうだ。明日伺いますって言っておいて!」
「おうよ! ラウールが来るって聞いたら喜ぶぜ。じゃあ俺は一回クランの拠点に戻るよ。」
そう言って冒険者ギルドを出て行った。
後姿を見送ったラウールだが、要件が終わったのは一緒だったので、冒険者ギルドから出た。
ラウールがいなくなった冒険者ギルドでは・・・・。
「漆黒の翼がパーティーを組んだって!」
「俺聞こえたぜ! あの女の子もSランクだって!」
「性別は強さに関係ないが、まだ子供に見えるのにな・・・。」
「私も負けた・・・。私はCランク・・・。」
「っていうか、漆黒の翼は何歳だ?」
「肩に乗っていた鳥は何だ?」
「俺はデーブン情報で、ラウールの事は聞いてるから、目も合わせないぜ!」
「デーブンってなんだ?」
「なんでも荷物運び情報網を作ってるやつみたいだぜ。この街にもよっただろ。」
この街でもデーブンの軌跡があったのだった。
ガチャ!
ラウール達が中に入ると、中にいた冒険者は一瞬品定めをするように目を向けた。
大体の冒険者はすぐに視線を戻したが、何人かの冒険者がそのまま固まっている。
「漆黒の翼・・・?」
「あいつが帰ってきた・・・。」
「でかくなったな。漆黒の翼だよな?」
「おい!仲間に伝えておけ!見たことのない奴には特徴を伝えろ!」
「この街にまた・・・。」
「久しぶりだな~、元気だったのかな~。」
「誰だあいつ?やけに注目されてるな?」
サクラが・・・。
「ぶふっ! ラ・・・、ラウールさん?漆黒の翼のご帰還だ~!ってしなくていいの?」
「おい! それをネタにしないでくれよ~。僕だって言われたくてこうなったんじゃないから・・・。」
「でも、一目見て思い出させるなんて、恐怖の魔王はラウールだった!」
「ん~! 冗談でもやめてよ!」
「ラウール凄い、我もすごい!」
「クロウはわかってないだろ・・・。ここにいてもしょうがないから、え~と、あっ!いた! やっぱりなにかあったとしても、知ってる顔がいいな。」
そう言って受付にいたチルミの列にラウールは並ぼうとした。
すると、ラウールが進んだ方向の冒険者が道を開けた。
ラウールを見たことのない冒険者は、周りの冒険者に話を聞いた後、やはり道を開けていた。
「は~、こんな状態か・・・。僕は何もしてないのに・・・。」
すぐにチルミの目の前に到着してしまった。
「こんにちはラウールさん、お久しぶりです。あれから何年か経ちましたけど、まだまだこの冒険者ギルドではあなたの話題が出ていますよ。」
額に手を当てラウールは困った顔をした。
「まだですか・・。けど、今回もすぐに首都サーシンに移動するので、そんなに怖がらなくてもいいと、周りの冒険者に伝えてください。」
「そうですか、少し依頼のご相談もしたかったのですが、冒険者プレートを見せていただいても?」
「いいですよ。」
そう言うとラウールは冒険者プレートをチルミに渡した。
受け取ったチルミは目を見開いたが、口に出すことはなかった。
返してもらった冒険者プレートをしまうと、もう冒険者ギルドには用事がないので、帰ろうとした。
「ちょっと待ってくださいね。いつになるのか分からないけど、この国に戻ってきたら一度会いたいと、クロース様から伝言を承っております。クロース様は、1年に1度手紙の交換に自ら出向いていましたよ。」
「へ~、だったら伝言を飛ばしてくれたらよかったのに。」
「それは、ラウール様がこのランクになっているとは思っていなかったのでしょう。それに、送る側にも力がないと、結局は伝言が届かない時もありますから。相手が毎回きちんと、誰と誰の伝言は受け取ってほしいと伝えないといけませんよ。」
「あっ! そこまでしてなかった。それだと届かないね・・。」
手紙を受け取りラウールは今度こそ受付を離れた。
すると目の前からまぶしい人物が現れた。
「うっ! まぶしい!!」
「変わらないな!? そしてまぶしいわけがないだろ!!」
そう、目の前には、ナダルが立っていた。
ナダルはこの冒険者ギルドで真っ先に絡んできた人物だった。
少し大人びた程度で、変わらない。
「だって光ってるもの。」
「光ってない。さすがに髪がないくらいで光らん!」
「けど久しぶり! 元気にしてた?」
「おうよ! 俺もゆっくりかもしれないが、Cランクになったぜ!」
「へ~、おめでとう! すごいね!」
「ありがとよ。だけどラウールはもっとすごいんだろ?」
「ん~、僕はSランクになったよ。それに、パーティーメンバーがいるよ! 今は【黒猫】って言うパーティーなんだ。隣のサクラと2人、そして肩に乗ってるクロウと旅をしているよ。」
「んな! 隣の女の子も・・・。負けた・・・。けど、やっぱりすごいなお前ら。俺もクラン【希望の家】に入れてもらったが、お前ら凄い! ここにギルマスがいたら、慌てただろうな。」
「ギルマスいないの? 魔物にやられた?」
「勝手に殺すな! ただ首都サーシンに行ってるみたいだぜ。」
「へ~、僕たちもすぐにサーシンに行くから、もしかしたら会うかもね?」
「そうか、すぐに行くのか。カシマスさんには会わないのか? 時々懐かしそうに話してるぞ。」
「カシマスさんにはお世話になりっぱなしだから、出発前に挨拶はしていくよ。あっそうだ。明日伺いますって言っておいて!」
「おうよ! ラウールが来るって聞いたら喜ぶぜ。じゃあ俺は一回クランの拠点に戻るよ。」
そう言って冒険者ギルドを出て行った。
後姿を見送ったラウールだが、要件が終わったのは一緒だったので、冒険者ギルドから出た。
ラウールがいなくなった冒険者ギルドでは・・・・。
「漆黒の翼がパーティーを組んだって!」
「俺聞こえたぜ! あの女の子もSランクだって!」
「性別は強さに関係ないが、まだ子供に見えるのにな・・・。」
「私も負けた・・・。私はCランク・・・。」
「っていうか、漆黒の翼は何歳だ?」
「肩に乗っていた鳥は何だ?」
「俺はデーブン情報で、ラウールの事は聞いてるから、目も合わせないぜ!」
「デーブンってなんだ?」
「なんでも荷物運び情報網を作ってるやつみたいだぜ。この街にもよっただろ。」
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