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13.ニジュールでの冒険者活動

【木陰の光】と話し合い

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今日は依頼達成になるのか確認すること、【木陰の光】がいないか確認に行くことにした。

今日もまた冒険者ギルドにラウール達はいた。
ダンジョンを1日で制覇したからか、疲労もあり、朝一番とはいかなかったが、お昼ご飯には早い時間だった。

冒険者ギルドのドアを開けるとすぐに駆け寄ってくる女の人がいた。

「昨日はありがとう。私の顔を覚えてる?」

目の前には【木陰の光】のビビアンさんがいた。【木陰の光】は25歳くらいの見た目で、よく見かけるバランスの良いパーティーの回復役ような感じだ。

「覚えていますよ。あれから無事に戻れましたか?」
そうラウールは返事をした。

「少し時間はかかったけど無事に戻れたわ。ありがとうね。それで、今日はデボルトに言われて私が代表して冒険者ギルドで待っていたの。」

「そうなんですね。それでご用件は?」

「ご用件なんて、お礼をするってデボルトも言ってたでしょ。だからこの後一緒に来てほしいのよ。」
そうビビアンさんがお願いするポーズをとった。

「ちょっと要件を済ませてからでよければいいですよ。でも、お礼なんてよかったのに。」

「あれだけしてもらって、お礼もしないなんてできないわよ! それに、命の恩人はもっと対等に話してほしいな?」

ラウールとサクラはその言葉を聞いて普通に話そうと決めたが、まずは受付で要件を済ませて来るといい、一旦ビビアント別れた。ビビアンは休憩スペースで待っていると離れて行った。

ラウールとサクラは受付を見て、シトカさんを探し、シトカさんの受付の列に並んだ。
そして順番が来た。

「シトカさん。昨日の依頼は達成になりましたか?」
いきなりラウールは聞いてみた。

「挨拶もなしに・・・、なんて、依頼は達成よ。ちょっと損をすると思うけど。」

「ちょっと損って?」

「依頼達成を主に交渉していたので、魔石の価格がSランクの魔石としては安くなったのよ。それでもある程度は高額だけどね。依頼主は喜んでいたわよ、いい魔石を普通よりは安く手に入れることが出来たから。」

「それは良かった。それくらいならいいです。じゃあ【黒猫】が依頼達成という事で。」

そう言われたシトカさんは完了手続きをしてから、冒険者プレートをラウール達に戻した。

「それで完了です。今日は他に何か依頼を受けて行く?」

「今日はこれで帰ります。【木陰の光】とちょっと用事があって。」

「色々と聞いたわよ。そのことはまた今度ね? 次に来た時のあなたたちを楽しみにしているわ。」

そういうやり取りを終え、ビビアンさんと冒険者ギルドを出た。
ビビアンさんは【木陰の光】が拠点にしていると言う家に案内してくれた。
4人で一緒に住んでおり、拠点も移すことがないと、家を持つほうが良いと教えてくれた。
そして案内され、一室に入った。
間の前にはビビアンさんを入れて4人がそろっている。みんな大きなけがもなく元気そうだ。
そして一歩前にアランさんが出てきた。

「ありがとうラウール君。おかげでこの通り命があるよ。本当にありがとう。」
そういってアランさんはラウールの手を握った。

「いえいえ、目の前であの怪我だとほっておけないんで。」

「それが普通でなかったんだよ。いくら余裕があるとはいえ、ボス部屋の前で無駄な魔力を使ってくれる冒険者なんて少ないから。」

ぽかんとした表情を浮かべながらもラウールは答えた。
「さすがに目の前で助けることが出来る悪い人には見えない人は、助けるでしょ~。」

「それは普通ではない。あの場面は見捨てるところだ。何といっても少しの油断で自分が死ぬかもしれないところなのだから。」

そんなものなのだろうか?やっぱりここまで来ても前世の意識がとれていないのだろうな、とラウールは考えていた。そこにデボルトさんが会話に入ってきた。

「本当にありがとよ! あの時の約束をここで果たす。これが俺たちの全財産だ。これで足りないのなら、もう少し待ってくれ。」

そういってラウールの目の前にお金が入った袋を出した。
しかしラウールはもともとお金をもらおうとは思っていなかったので困った。

「受け取れませんよ。というか、いりません。」
そういって、お金の入った袋をデボルトさんに押し付けた。

「なぜだ? ただで人を助けるなど・・・。」

「いいんです。あなたたちは悪い人ではないでしょ?こうやってわざわざ僕を読んでまでお礼をしてくれた。それでいいんです。もしそれで足りないのなら、僕たちが困っていることがあれば、その時に協力してください。」

目の前の4人は驚いた表情をしている。
普通であれば、高額な金銭を要求される場面なのに。

「いいのか?本当に?」

そういったデボルトさんの言葉を聞き、ラウール達はそれでいいと返事をした。
それ以上お金の話はせず、お互いのパーティーの事を話した。
【木陰の光】Cランクで、この街を拠点とし、主にダンジョンの依頼を受注していた。そして、パーティーメンバーでけが人が出たため、少しの間冒険者活動を街主体にしていた。そして復帰後一番い選んだダンジョンであんな目に合ってしまったと説明してくれた。
ラウール達はAランクとCランクの冒険者で、旅をしながら面白い依頼や、珍しい依頼がないか探している事。自由に過ごしたくて冒険者になった事。そして目立ちたくないことを筝を話した。

それを聞いたクムートさんが口を開いた。

「目立ちたくな、あれで? サクラさん?思いっきり目立っていますよ。」

サクラは目を見開いた。
「へっ!?」

「俺たちと会うまでに、大勢の冒険者に見られなかった?さすがにものすごい強い魔物はいなかったけど、一撃で魔物を退治している姿を見られて、噂になっているぞ。あの黒い悪魔はなんだって?」

「ぶふぉ!!」
ラウールは噴出した。
そして、死神でなく・・・、悪魔。

「ぶふぉ!!」
想像してもう一度噴出した。
この世界の悪魔と言うのは、魔物を指すものではない。魔族もいるが、魔大陸にいる魔族と言う種類の人族だ。そしてこの世界の魔王は、魔物の王だ。だから、悪魔と言う言葉は、怖い者を指すときに人族にも使われる言葉でもある。

「らう~る?! やってしまったのかしら?」

「やってしまったねサクラ。悪魔と死神とどっちがいいのかな?」

首を激しく横に振り、サクラはラウールに向かって行った。
「どっちも嫌よ!! 何この物騒な名前!? 二つ名になっちゃうの~!!」

そこにビビアンさんが、
「冒険者ギルドで聞かなかった? 私たちはあなたたちより後にギルドに報告に行ったけど、もう黒い何とかってみんな言ってたわよ? シトカさんは何か言わなかった?」

あの時のシトカさんの様子は・・・、これのことか。

「私は黒い悪魔・・・。ラウールは漆黒の翼・・・。私たちは【黒猫】・・・。黒いね、腹黒い。」

「サクラ、そこでなぜ腹黒い・・・。そして僕の二つ名も・・・、とばっちり!」

「「「「漆黒の翼~!」」」」
【木陰の光】のメンバーは驚いている。
話を聞くと、道具使い兼荷物運び情報網でうわさが流れていると言う。
クムートさんは道具使い兼荷物運びだと言う。
そのクムートさんに届いたうわさ。
あるAランク道具使い兼荷物運びが言っていたと。
【漆黒の翼】を馬鹿にするなと。
【漆黒の翼】は自分の害になる者には容赦はないと。
【漆黒の翼】は実はいいやつだと。
あの者には誠実であれ・・・、と。

それを聞いた2人はがっくりとした。
しかし【木陰の光】のメンバーは興奮して色色とこれまでの旅の事を聞いてきた。
2人は夕飯までごちそうになってから宿屋わかばにもどった。

クムートは教えてくれた、情報の発信源と言われる者の名を・・・・。

デーブン・・・。何してくれる!!

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