上 下
16 / 238
3.成長した

初めての知り合い? 友達? 同い年の人間 

しおりを挟む
しばらく二人の話を聞き続けていたラウールだが、さすがに飽きてきたところで声をかけた。
「お二人さん、悪いんだけど、話を聞いて。」

二人の言い争いは続いていて終わる気配はない。

「おい!」とちょっと声に魔力を込めた。

ビクゥ!!

ようやく二人とも静かになった。

「ね~、このウサギは僕のね。それで今の話を聞いてたんだけど、このウサギを奪おうとしたの?僕これでも冒険者だよ。冒険者が狩った獲物をかすめ取ろうとするの?馬鹿なの?一応言っておくけどGでなくてEランクね。これでも少しは戦えるんだよ?何?剣?僕一応魔法も使えるんだけど?勝手に言い争いしてるけど、あなたたち誰?子供子供言ってるけど、年ほとんど変わらないよね?ちなみに僕はもう少しで9歳になるよ?どんな関係の二人かわからないけど、どうしたいの?門番さんに突き出せばいい?今日の門番のスコットさんなら、僕のこと知ってるよ。で、僕に言いたいことはある?」

・・・・・・
・・・・・
目の前の二人が震えながら視線を合わせてうなづいている

「「ごめんなさい!!」」
きちんと腰から曲げたお辞儀をしながら、頭を下げた。

「わるかった、全部俺が悪い、妹は悪くないから妹だけは許してくれ!」

「お兄ちゃん・・、お兄ちゃん、私もすぐに止めれなかったから・・・。それに、少しだけ私も欲しいって思ったし・・・。ごめんなさい、私も謝るから許してください!」

二人ともきちんと謝れてる。ん~悪ガキかと思ってたんだけど、少し違うのかな~。

「ん~、ま~許すよ。小さな子供がこんなにあやまってるんだし、だけど、院長先生?には話をさせてもらうよ。」

「「はい・・・」」

「素直じゃないか?怖いんだろ院長先生は?」

「怖いけど・・・俺が悪いんだし・・・、ごめん。」

「もういいよ、謝罪を受け入れよう!」

「ありがとう、お兄ちゃん、許してもらええ良かったね!」

「よかったよ、この人は怖いし・・・。けど、見た目は同じくらいの年?ってもうすぐ9歳って言ってたよな! 同じ年だぜ俺たちと!!」

「そういえば・・、私とお兄ちゃんは双子・・・、双子は同じ年、私たちももうすぐ9歳、同じ年~~~!」
「「ェ~~~~~~!!!」」

ラウールは頷き、
「もうすぐ9歳ならそうだね。同じ年。」

「同じ年に見えないぜ、『謝罪を受け入れよう』ってどこの大人・・・。本当にごめんなさい」

謝られるのも疲れたので、街に向かって3人で歩いた。門番のスコットさんが『大丈夫だったか?』と声をかけた後に『お前たち知り合いだったっけ?』と疑問をぶつけてきた。それに僕は答えないで、院長先生がいるという、孤児院に向けて歩いた。
歩きながら二人と話をしていると、二人は物心ついたときには孤児院にいたようだ。そして、二人は双子であると教えられた以外は、院長先生も教えてくれなかったという。今回なぜこんなことをしたのか聞くと、最近孤児院の収入が減ったのか、食事の量が少なくなったのと、子供たちも何かお金を稼ぐか、食料を稼ぐかしないといけない状態になっている様子。孤児院でお金を誤魔化していないかつい中身の中年が疑ってしまったが、院長先生はほとんど食事もとらず、やせ細っているようだ。それでも子供には最低限の食事ができるように、夜寝る時間を惜しんで動いているようだ。そんな時に目の前にウサギが死んでいるのが見えて、つい魔が差してしまったのが、今回の騒動の真相のようだ。
僕は生みの親に売られても、今の父様、母様が本当の両親だと思っている。だから今幸せだが、子の子たちは・・・

色々な思いが頭の中を回っている間に、孤児院に到着した。

「「ただいま帰りました~!院長先生~!」」

「おかえりなさいあなたたち。ごめんなさいね、あなたたちにも働いてもらって・・・。少しでも多く食べれるように、私がもっと頑張るから・・・。」

目の前にいる院長先生の着ているものは、今にも穴が開きそうで、擦り切れそうで、もう長年着ているような服だった。それに比べたらこの双子は、古いものではあるけど、けっしてボロとは言えないくらいの服装をしている。

「あら、お友達?珍しいわね、ここに街の子が来るのは?」

「初めまして!冒険者のラウールと申します。この度は、街の外でウサギを狩る手伝いをカインとシリンがしてくれたので、そのお礼に伺いました。」

「これはご丁寧にありがとう。手伝い?この二人が?」

「はい。私がちょうどウサギを追っているときに、道をふさいでくれて、今日は大量に狩れたのでお裾分けによらせていただきました。」

「あらあら、この二人がね~。え~と、もう少し子供らしく話してくれてもいいのよ。」

「ごめんなさい、つい癖で。初めて話す人には丁寧にしすぎてしまって。僕は普段もちょっと言葉がかたいけど、今日は本当にありがとうね。院長先生、これお裾分けに」

大きなかごから出すそぶりをして、マジックボックスXからウサギを3匹出し、手渡す。

「・・・こんなにもらえるほど本当にお手伝いできたの?」

「そうですよ~。」と言いながら、ラピットホーンをちらっと見せた。

「ありがたいですけど受け取れません。あなたのような子供が気をつかうのではないですよ。」

「いえ、もって帰るには多い量なので・・。じゃあ!!」
と言って、全力疾走し、その場を離れた。

・・・・・・・・
・・・

「二人とも?事情を聞いてもいいかしら・・・」

「はい・・・」
それから二人は今日の出来事を院長先生に話した。話を聞いた院長先生は特にカインを叱った。
二人はもう二度と同じことはしないともう反省した。

「このうさぎはありがたく受け取っておきます。今日から、お肉が少し増えますよっ!」
院長先生は感謝し受け取ることにした。もし次にラウール君に会うことがあったらお礼を言おう。そして、困っていることがあったらできるだけ手助けしようと心に誓った。

「なんでラウール君はこんなことをしたんだろう?」
カインに向かって問いかけたシリンだった。この二人も、次に会ったらお礼を言おう。そして、困っていることがあったら手助けしよう。そして、こんな自分たちだけど、友達になれないかな?と考えていた。


~~~~~~~~~~~~~

「やらない善よりやる偽善・・・・」
よし、頑張るか~!!!!

~~~~~~~~~~~~~
そんな出会いからラウールは10歳まで成長する。
名前:ラウール 
職業:冒険者
LV:35
HP:142
MP:452
体:79
心:573
運:90
ユニークスキル:すくすく育つ・看る
スキル:解析・武の心・魔の心・アイテムボックスX・全魔法適正・魔素操作・詠唱破棄・鈍器適正・剣類適正・気配察知・隠蔽・解体・自然回復(全)・状態回復(全)
加護:???神の加護
称号:地球人・心は中年・???神が見てる人・両親への信頼・両親からの信愛・漆黒の翼

しおりを挟む
感想 100

あなたにおすすめの小説

拝啓神様。転生場所間違えたでしょ。転生したら木にめり込んで…てか半身が木になってるんですけど!?あでも意外とスペック高くて何とかなりそうです

熊ごろう
ファンタジー
俺はどうやら事故で死んで、神様の計らいで異世界へと転生したらしい。 そこまではわりと良くある?お話だと思う。 ただ俺が皆と違ったのは……森の中、木にめり込んだ状態で転生していたことだろうか。 しかも必死こいて引っこ抜いて見ればめり込んでいた部分が木の体となっていた。次、神様に出会うことがあったならば髪の毛むしってやろうと思う。 ずっとその場に居るわけにもいかず、森の中をあてもなく彷徨う俺であったが、やがて空腹と渇き、それにたまった疲労で意識を失ってしまい……と、そこでこの木の体が思わぬ力を発揮する。なんと地面から水分や養分を取れる上に生命力すら吸い取る事が出来たのだ。 生命力を吸った体は凄まじい力を発揮した。木を殴れば幹をえぐり取り、走れば凄まじい速度な上に疲れもほとんどない。 これはチートきたのでは!?と浮かれそうになる俺であったが……そこはぐっと押さえ気を引き締める。何せ比較対象が無いからね。 比較対象もそうだけど、とりあえず生活していくためには人里に出なければならないだろう。そう考えた俺はひとまず森を抜け出そうと再び歩を進めるが……。 P.S 最近、右半身にリンゴがなるようになりました。 やったね(´・ω・`) 火、木曜と土日更新でいきたいと思います。

灯る透明の染色方法

ナナシマイ
ファンタジー
時波の世界にまだ聖人が存在していた時代。世界がやわらかで、理はよく揺らぎ、不安定だった時代。 穏やかな魔女と苛烈な聖人は出会い、そして突然に婚姻を結ぶ。 ――ちょうどよかったんだ。俺はどこかの国に肩入れする気はまったくないからな。 ――あなたの事情に巻き込まないでください。わたしは静謐の魔女。騒がしいのは好みません。戦なんて、もってのほかです。 静謐と戦火。正反対ともいえる性質を持つふたり。 しかし魔女と聖人が一度結んだ繋ぎは解くことができない。好まない戦の要素を削ろうにも、婚姻によって紐づいてしまった自身の要素を崩すわけにもいかない。 静謐と戦火の繋ぎは成されたのだ。 しかたなく伴侶としての役目を果たすことにした静謐の魔女は、肌に合わぬ要素を最小限に抑えるため、友である明星黒竜たちに協力を仰ぎ魔法具を作ることにした――。 迷子が趣味な魔女と、国落としに精を出す聖人。 世話焼きお父さんな冬の竜と、貢物でレストランを営む秋の竜。 これは、最後の聖人を育んだ人ならざる者たちが紡ぐ、対話と幸福についての物語である。

元女神様と現世でreSweetライフ!!

美味しい肉まん
ファンタジー
 人として添い遂げる! そう願った二人の女神。『呪い』から全てを救った男(オッサン)の元へ駆け込んで一緒に暮らす! その生活は甘いのか苦いのか……そんな物語 それは市霊シリーズのその後を救った男へのご褒美か罰か!?

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります

京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。 なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。 今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。 しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。 今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。 とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。

転生貴族の異世界無双生活

guju
ファンタジー
神の手違いで死んでしまったと、突如知らされる主人公。 彼は、神から貰った力で生きていくものの、そうそう幸せは続かない。 その世界でできる色々な出来事が、主人公をどう変えて行くのか! ハーレム弱めです。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN
ファンタジー
それは、ある少年の物語。 ある日、前世の記憶を取り戻した少年が大切な人と再会したり周りのチートぷりに感嘆したりするけど、実は少年の方が凄かった話し。 『僕の兄上はチート過ぎて人なのに魔王です。』 『そういうお前は、愛され過ぎてチートだよな。』 そんな感じ。 『悪役令嬢はもらい受けます』の彼らが織り成すファンタジー作品です。良かったら見ていってね。 隔週日曜日に更新予定。

処理中です...