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第四章 不思議な世界
第百三十五話 ナイデラ交易国周辺を探索
しおりを挟む僕たちがジルアキラン教会に行った次の日から、夜になると妖精がサポイタンヒュージュン病の人を救っているという噂が聞こえてきた。
僕とサクラはナイデラ交易国の図書館で数日調べものをしていた。その間にソフィアやクロウ、ヤマトが活動していたようだ。
久しぶりに冒険者ギルドに入ったらそんな噂が聞こえてビックリした。
てっきりもっと目立たないように活動すると思ってたから……
そしてこれなら心配事が減ったと思い、何か気晴らしに依頼を受けることにした。
この国の依頼で護衛以外となるとあまり良いものはないので、ランクに合わなくても面白そうな依頼がないか確認していった。
……
……
数少ない依頼で気になったのが『洞窟が変だ。洞窟の調査を頼む。詳しくはギルド受付に――』と書かれた依頼だった。
報酬額が少なく、数日かかるような調査依頼をするよりは、護衛依頼の方が儲かる。あえてこの国でこの依頼を受ける人はいないんだろうな、と考えながら冒険者ギルドの受付に話しかけた。
「僕たちはこの依頼を受けたいんですが?」
「えーと、――あっ、これを受けていただけるのですか!」と女性の受付さんが喜びの声をあげる。
更に僕たちの事は知っている気もしたが、冒険者プレートを見せると「――噂通りですね……この依頼は報酬額が少ないですがいいんですか?」と受付さんい言われた。
僕たちは報酬額よりも何かドキドキする依頼を受けたいと説明した。
そうしてようやく受付さんからの依頼の説明があった。
この依頼は数ヶ月掲げていたが誰も受ける人がいなかった。だから今は洞窟は立ち入らないように冒険者には伝えてある。
まあ言わなくてもあえて行くような場所でもないそうだ。
洞窟だが、たまたま道に迷った若い冒険者たちがいて雨宿りをしたそうだ。すると洞窟の中で不気味な音がした。怖くなった冒険者たちだったがそのまま立ち去るのも無責任かと考え、奥を調べてみた。
洞窟の奥は広くなく、不気味な音もそれ以降は聞こえてこなかった。そして行き止まりまで行ったが何もなかった。
更に言うと魔物も獣もおらず本当に何もなかった。
安心した冒険者たちは雨があがりるまで洞窟で過ごし、次の日の朝に洞窟から出発し、最後に洞窟の方に振り替えると、おそらく女性らしき人が手を振っていたそうだ。そしてその女性はフッと消え去った。
冒険者たちは怖くなり急いでここまで戻ってきた。戻って来て思い出したのが不気味な声……女性の呻き声のようだった事に気づき、冒険者ギルドに報告があった。
その後に冒険者ギルド職員が一度言われた洞窟を探索したが何もなかった。
しかしまた立ち去る際に女性が出た……。だから冒険者ギルド職員はもう一度戻って洞窟を確認したが、やはり何もなかった。
一応害にはならないが不思議な事が起きているので、はじめに言ったように立ち入りは禁止している。他の冒険者は同じ体験をした人もいないので噂にもなっていないが、もう一度調査はしておきたい。だから依頼はこのまま受けてくれるとありがたいと受付さんは言う。
……
……
ホラーか? レイス系の魔物ではないんだよね?
「受けるわ! この名探偵サクラが謎を解いてあげる! ん~これはなんだろうね、ラウール、楽しみね!」
「あ~、う、うん。――受付さん、僕たちがこの依頼を受けます」
僕たちは依頼を受けて洞窟までの道を教えてもらった。
……
……
依頼を受けた僕たちはすでに唯一の都市であるナイデラの外にいた。
今までナイデラの外に出たことがなかったので、周辺の探索もしようと思っていた。
港側は外からは海辺より確認できないので、海側を除いた辺りを確認していく。
ジルアキラン教国の方向への道は整備されて広く、冒険者への依頼で道沿いの魔物は駆除されている。
幾つかの宿場町はあるようだが、ここも移動でよる程度の町なので、特産品もないようだった。
道から外れ草木が生い茂る森は、魔素も濃くない。オークション市周辺のだと魔素溜まりがあったりしたから、海沿いに魔素が少ないなどではない。予想だが、この辺の魔素は薄く、強い魔物も出現しなそうだ。
問題の洞窟を避けながら探索する。
依頼の達成はそこまで急ぐ依頼でもないのでゆっくり探索をしている。
……
……
ここは思っていた通り素材となる魔物が少ない。これだと魔物討伐依頼はなかなか出ないだろうな。
大体がゴブリンで、強い生き物と言っても熊や大きめの猪程度が出現する程度だった。
うん、以外に人間にとって生きやすい環境ではないか?
強くなりにくいけど、外に出ても強敵はいないし、この国はもっと開墾して違う産業に手を出したらもっと景気が良くなりそうだが……
と、いらぬことも考えながらある程度ナイデラ交易国内の探索が終了した。
大体の魔物や生き物、薬草等の分布を把握できたから、あの洞窟に行ってみよう。
もし何か謎があるのなら――今までになかったことだから――嬉しいな。
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