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第四章 不思議な世界

第百三十三話 冒険者ギルドと弟子たちと

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「――あっ、俺の仲間がその病気なんです……今は治療院にいますが……」

  一人の男の冒険者がそう言った。この男は弟子ではなくて、僕たちの話が聞こえていたらしい。

  更に同じように弟子たちや他の冒険者も重症、軽症に関係なく今患っている人を知っていると話し出した。

zawazawazawazawa
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  僕たちを中心にざわついている。
  その姿を冒険者ギルド職員も見ており、今にも話しかけられそうだ。

  ん~どうする?
  このままここで話を続けるか、それとも一旦外に出るか……酒場に移動するでもいいか……


 そう悩んでいると、ベテラン風な女の冒険者ギルドの職員が近寄ってきた。そして、
「皆さん! 情報交換かもしれませんが、出来るなら通行の邪魔にならないようにお願いします。話の内容が聞こえて来ていましたが、サポイタンヒュージュン病の事は冒険者ギルドも気になっています。ですが会議室まではお貸しできませんが、是非酒場などで話し合いをしてください。我々も参加したいと思っています」と言った。


  その言葉で僕たちだけでなく、周囲にいた冒険者たちも酒場に移動した。


……
……


  酒場に移動した僕たちは、冒険者から話を聞いた。その話は――

  重症な人が一定数いる。その重症者に共通する事は発見できていない事から、発症理由はわかっていない。

  軽症者も動いてはいるものの、普段よりも疲れやすく体の動きも悪くなっている。

  完治と言われて治っている人もいるが、多くの人は薬を飲んでいてもやや症状が改善する程度で、いつまでもスッキリしない状態が続いている。

  本来のサポイタンヒュージュン病は一週間ほどで改善するため、違う病気と考える人もいるが、確信に至ってはいない。

  そもそも病気も魔法で改善するものだが、サポイタンヒュージュン病の人は、大金をかけてまで回復魔法師のいるところへは行かない。
  更に回復魔法で改善はするが、回復魔法師の腕にもよる。
  更に更にナイデラ交易国ではジルアキラン教国の回復魔法師が教会で治療をしている。これはただの治療院よりお金がかかる施設となっている。


……


  そんな情報の後に冒険者ギルド職員も話し出した。

「ここにいる皆さんにお願いしたいのは、依頼の合間でも良いので、サポイタンヒュージュン病に罹っている人が何故通常の治療で治らないのか。もしくは重症になった患者が治った時の様子を確認する。――あっ、治療法を確立するでも良いですよ! 冒険者の領分ではないので難しいと思いますが……」


  その話に僕たち以外の冒険者も話し出す。。
「――それは報酬が出るのか!」
「――効果をどう証明するんだ!」
「仲間が病んでいるんだ……誰か、頑張ってくれ!」
「ん~? 治療院や教会、商人ギルドはどう動いているんだ? 最近このサポイタンヒュージュン病が流行ってきてヤバイだろ!」
「それを言うなら薬師ギルドは! 錬金ギルドも! ――鍛冶ギルドは……違うか……」
「誰でもいいから俺の仲間を助けてくれよ……」

  そんな話が聞こえた後に冒険者ギルド職員がまた話し出した。


「……残念ながらどこもめぼしい成果はありません。教会はわかりませんが、ギルド同士は連携しています。これは今ならまだ間に合いますが、これ以上動けない人が出たとき……この国の動きも止まりますから。――そうすると以前のように……」


  以前のように? 僕たちは何の事からわからないので、こそっと近くにいる冒険者に心当たりがあるか聞いてみた。

  すると、「この国はな、もともとジルアキラン教国の領土だったんだ。だが何代か前の国王がどうにか穏便に国として独立したんだ。その時はここまで交易も盛んではなく、ただそのときの王の名をとった王国だったんだ。だが船を作り東大陸と交易を繰り返し豊かな国になったんだ。……ジルアキラン教国から別れた時はまだ東大陸とはほとんど行き来はなくてな、特に重要視されていなかった土地なんだ。だが今はこの通りの国になったからな。ジルアキラン教国からしたらもう一度吸収したいと思うだろ?」

  あ~、やっぱりジルアキラン教国とは関係があったんだ。

「だからこの国で育った人は、このまま独立国としてやっていきたいと思ってるんだ。……教義に縛られた生活が嫌で独立した人の子孫だしな。そうやって俺も教育されて来たしな。――あっ、これは内緒だぜ! お前たちはドロンから師匠って言われてるから信用して話したんだからな!」

  ドロン? どの弟子だろう?

「……ありがとう。そんな言いにくいことを僕たちに教えてくれて……。で、何かもっと情報はない?」


  僕がそう聞いてみたがこれ以上の情報はなかった。
  そして冒険者ギルド職員ももとの仕事に戻って行き、その後は自然と解散状態になっていった。

  少しだけ残っていた僕たちの弟子にも話を聞いてみた。ジルアキラン教国が出身国の弟子もいたが、自国の事になると話が出来ないようだった。
  ジルアキラン教国以外が出身国の弟子は、逆に情報が無さすぎて何も言えなかった。



  ん~、次の行動がこれじゃあ定まらないが、やはり一度ジルアキラン教団、教会を訪ねるべきなのか……。ちょっと構えてしまうが、冒険者らしくちょっと違う意味で冒険をしてみるか。

  僕はまだ迷っていた。
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