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第四章 不思議な世界
第百二十九話 オーション市から出港
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僕たちは皆に別れを告げて船に乗っていた。
何とか納得してくれた弟子たちだったが、少なくとも一ヶ所で数ヵ月から鍛えた師匠を見送るのは感慨深かったようだ。
ま~、普通は師匠が弟子の旅立ちを見送る方が絵になるが……
だが僕たちの弟子もナイデラ交易国にもいる。僕たちも師匠の時端くれとして弟子の旅立を見送ったこともあるのだ。
……
……
ZazaーZazaーnーZazazaーn
心地よい音が聞こえてくる。
オーション市から出港した船は何事もなく目的地に向かい進んでいた。
一般人が乗る船に貴族も乗っているらしいが、今のところはのんびりしたものだ。どれくらいの人数なのかはわからないが、護衛も乗っているそうだ。
「ねえラウール? この世界は魔物がいなくなっても存続出来るのかな?」
「ん、どうしたの急に、何かあった?」
「ん~、この前ゴブリンが大量にいたじゃない。それがゴブリンじゃなくて人間だったらどうなるのかなって……」
「あ~、人間があれだけ増えたらやっていけるのか考えたの?」
「うん。獣がいなくても家畜を増やして、穀物も育てて、エネルギーになるものが魔石以外にあったらどうなるかなって。」
「ん~、前世の世界だと魔法で文明が発達していったし、どうなんだろう。」
「火薬とか石油になるものがあったら違う生き方が出来るのかと思ったのよ。私たちなら魔物を殲滅も出来そうじゃない?」
「……どうだろうね。魔素溜まりとかもあるし、簡単にはいかないんじゃない?」
「そうよね……。魔石や魔物の肉、素材がないと今はまだ生活出来ないしね……」
「まだまだ魔物と共存が必要だろうね。」
と僕とサクラは魔物やエネルギーについて話をしていた。
僕たちはそんな真面目な話をしていたが、クロウたちは久しぶりの海ではしゃいでいた。
器用に魔法を使い、魚を釣っていた。
小さな生き物が大きな生き物を釣り上げるという不思議な光景に、この船に乗船している人たちも驚いていた。
「おいおい! あいつらは!」
「――飼い主がいないなら俺が……」
「駄目だよ! あれは師匠の従魔だよ! 手を出したら怖いよ!」
「師匠? ……お前らの師匠が乗ってるのか?」
「そうだよ! 強すぎてヤバイよ! Sランク冒険者だしね!」
「「「おーーー!」」」
「こりゃ得したな!」
「ああ、何かあったら頼れるぜ!」
「時々強い魔物が出るからな!」
「師匠にかかれば一瞬だよ!」
「「「おーーー!」」」
何気に弟子が乗っていたんだな。それにハードルを上げてるよ……。これだと何かあったときには出ていかなきゃいけないじゃないか……。まー危険なら仕方がないけど。
「ラウール! 我の釣った魚は凄い!」とクロウが宙に浮かせた大きな魚を見せてくる。これは巨大なマグロ?
「待てよクロウ! ――サクラ! 俺が釣った奴を見ろよ! 凄いだろ!」とヤマトも大きな魚を口に咥えて引きずってきた。これはマンボウ?
クロウとヤマトの傍には色とりどりの魚が散らばっていた。まるで住んでいる海域はどこなんだい? と聞きたいほど一緒の場所で釣れるのが不思議な魚だ。
「……どっちも凄いけど、どうするのそれ?」
「我は食べるよ! 海の生き物も収納しているけど、釣りたてもいいでしょ!」
「俺も食うぜ! 食い応えがあるだろ?」
「それは誰が料理をするんですか? 私たちは小さいですし、サクラも道具がないと作れませんよ?」
そんな感じでクロウたちも話し出してしまったから、また大騒ぎになった。
……
……
騒ぎを聞いて集まってきた船員が船長を呼び、最終的には釣った魚は提供することにした。
普段航海をしていても釣りや漁をしているわけでもなく、また魚を保管する場所も丁度空いていたから、今回の航海中に食べさせてくれるそうだ。
……
……
今日はマグロが出てきた。
生で食べる習慣もなく、焼かれた状態で出てきたが、美味しかった。
醤油もある世界なので、いつかは生で食べてみたい。
「あっ! 今さらだけど、どうして醤油があるんだ? 生姜焼を食べた時には疑問にも思わなかったけど……」
「あ~、そうね……何か前世からの続きな感じもしてたから、調味料とか料理に疑問を持たなかったわね。」
「うん。勝手に翻訳されてるだけでなくて、あの味は日本の醤油……ついでに味噌……。あとは……」
「都市はもちろんだけど、町辺りも清潔だったね。その辺に汚物が落ちている事もなかったし……」
「我は知ってるよ!」
「「何を!」」
「シチランジンの神々は、出来るだけ環境も考えてくれたんだよ! 折角もう一度一緒にいさせるならと、汚い世界は選ばなかったんだよ!」
「へーーー。そこも選んでくれてたんだ。……でもそうなると、転生してきた事がある世界なの? 特に日本人が?」
「今の神になる前ね。」
っと、ヤマトも会話に入ってきた。
「このクランブリンと言う世界の神は最近交代したんだとよ! で、今の神が今の仕組みの世界に変える前には他の世界から来た奴もいたそうだぞ!」
「そう聞きましたね。もしラウールたちが気になった時には、これは話しても良いと言われていましたよ神から……」
「何でそんなに神や世界に詳しいの!」
「「「内緒!」」」
そう最後はうやむやにされたが、多少面白いことになっているなと思ってしまった。
さて、まだ航海は続くが、どんな旅になるのか楽しみが増えたと思う。
何とか納得してくれた弟子たちだったが、少なくとも一ヶ所で数ヵ月から鍛えた師匠を見送るのは感慨深かったようだ。
ま~、普通は師匠が弟子の旅立ちを見送る方が絵になるが……
だが僕たちの弟子もナイデラ交易国にもいる。僕たちも師匠の時端くれとして弟子の旅立を見送ったこともあるのだ。
……
……
ZazaーZazaーnーZazazaーn
心地よい音が聞こえてくる。
オーション市から出港した船は何事もなく目的地に向かい進んでいた。
一般人が乗る船に貴族も乗っているらしいが、今のところはのんびりしたものだ。どれくらいの人数なのかはわからないが、護衛も乗っているそうだ。
「ねえラウール? この世界は魔物がいなくなっても存続出来るのかな?」
「ん、どうしたの急に、何かあった?」
「ん~、この前ゴブリンが大量にいたじゃない。それがゴブリンじゃなくて人間だったらどうなるのかなって……」
「あ~、人間があれだけ増えたらやっていけるのか考えたの?」
「うん。獣がいなくても家畜を増やして、穀物も育てて、エネルギーになるものが魔石以外にあったらどうなるかなって。」
「ん~、前世の世界だと魔法で文明が発達していったし、どうなんだろう。」
「火薬とか石油になるものがあったら違う生き方が出来るのかと思ったのよ。私たちなら魔物を殲滅も出来そうじゃない?」
「……どうだろうね。魔素溜まりとかもあるし、簡単にはいかないんじゃない?」
「そうよね……。魔石や魔物の肉、素材がないと今はまだ生活出来ないしね……」
「まだまだ魔物と共存が必要だろうね。」
と僕とサクラは魔物やエネルギーについて話をしていた。
僕たちはそんな真面目な話をしていたが、クロウたちは久しぶりの海ではしゃいでいた。
器用に魔法を使い、魚を釣っていた。
小さな生き物が大きな生き物を釣り上げるという不思議な光景に、この船に乗船している人たちも驚いていた。
「おいおい! あいつらは!」
「――飼い主がいないなら俺が……」
「駄目だよ! あれは師匠の従魔だよ! 手を出したら怖いよ!」
「師匠? ……お前らの師匠が乗ってるのか?」
「そうだよ! 強すぎてヤバイよ! Sランク冒険者だしね!」
「「「おーーー!」」」
「こりゃ得したな!」
「ああ、何かあったら頼れるぜ!」
「時々強い魔物が出るからな!」
「師匠にかかれば一瞬だよ!」
「「「おーーー!」」」
何気に弟子が乗っていたんだな。それにハードルを上げてるよ……。これだと何かあったときには出ていかなきゃいけないじゃないか……。まー危険なら仕方がないけど。
「ラウール! 我の釣った魚は凄い!」とクロウが宙に浮かせた大きな魚を見せてくる。これは巨大なマグロ?
「待てよクロウ! ――サクラ! 俺が釣った奴を見ろよ! 凄いだろ!」とヤマトも大きな魚を口に咥えて引きずってきた。これはマンボウ?
クロウとヤマトの傍には色とりどりの魚が散らばっていた。まるで住んでいる海域はどこなんだい? と聞きたいほど一緒の場所で釣れるのが不思議な魚だ。
「……どっちも凄いけど、どうするのそれ?」
「我は食べるよ! 海の生き物も収納しているけど、釣りたてもいいでしょ!」
「俺も食うぜ! 食い応えがあるだろ?」
「それは誰が料理をするんですか? 私たちは小さいですし、サクラも道具がないと作れませんよ?」
そんな感じでクロウたちも話し出してしまったから、また大騒ぎになった。
……
……
騒ぎを聞いて集まってきた船員が船長を呼び、最終的には釣った魚は提供することにした。
普段航海をしていても釣りや漁をしているわけでもなく、また魚を保管する場所も丁度空いていたから、今回の航海中に食べさせてくれるそうだ。
……
……
今日はマグロが出てきた。
生で食べる習慣もなく、焼かれた状態で出てきたが、美味しかった。
醤油もある世界なので、いつかは生で食べてみたい。
「あっ! 今さらだけど、どうして醤油があるんだ? 生姜焼を食べた時には疑問にも思わなかったけど……」
「あ~、そうね……何か前世からの続きな感じもしてたから、調味料とか料理に疑問を持たなかったわね。」
「うん。勝手に翻訳されてるだけでなくて、あの味は日本の醤油……ついでに味噌……。あとは……」
「都市はもちろんだけど、町辺りも清潔だったね。その辺に汚物が落ちている事もなかったし……」
「我は知ってるよ!」
「「何を!」」
「シチランジンの神々は、出来るだけ環境も考えてくれたんだよ! 折角もう一度一緒にいさせるならと、汚い世界は選ばなかったんだよ!」
「へーーー。そこも選んでくれてたんだ。……でもそうなると、転生してきた事がある世界なの? 特に日本人が?」
「今の神になる前ね。」
っと、ヤマトも会話に入ってきた。
「このクランブリンと言う世界の神は最近交代したんだとよ! で、今の神が今の仕組みの世界に変える前には他の世界から来た奴もいたそうだぞ!」
「そう聞きましたね。もしラウールたちが気になった時には、これは話しても良いと言われていましたよ神から……」
「何でそんなに神や世界に詳しいの!」
「「「内緒!」」」
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