122 / 168
第三章 上を目指して
第百二十一話 バイアント王国のギルマスからのお願い
しおりを挟む
僕たちが聞く体勢になるとエントルギルマスが話し出した。
「聞きたいことの一つは、魔人の事だ。それを先に聞きたいのだが……」
あ~、一番初めの問いか。
「じゃあ私が説明しよっかラウール?」
「ん~、僕たちよりは話をまとめるのも上手いし、ソフィアに任せよっかな? いいソフィア?」
「良いですよ。私がまとめて話しますね。」
ソフィアが了解してくれて話し出した。
「先に言っておきますが、質問は後にしてくださいね。話の流れが悪くなりますから……」
ソフィアが先にそう言って話し出した。
はじめに魔人は魔物か人が何かによって魔人に変わるというところから話が始まった。そこから赤の旅団、魔人の強さ、組織だった動きをしている事、組織の中枢となる存在がいる事、四天王の事……
他の国の冒険者ギルドとプッチモ王子やラーバンスト王子にも情報を伝えてほしいと付け加え、四天王の存在とジャックと言う名の更に上の存在がいることも伝えた。
この地に関する事では、ここからはルビックが言うことを信じるなら、一気にゴブリンが増えることはない。
だから順にゴブリンを討伐していくと良いと思うが、強いゴブリンもそのまま置いていったようだから油断しないようにと話した。
ソフィアの予想では、魔素が多いところからゴブリン以外の魔物が産まれて成長できたり、魔物や獣が流れてバイアント王国に入ってくるようになると生態系がもとに戻ったと言えそうだとの事だ。
……
……
ソフィアの話が終わってからしばらくは皆が無言だった。
まー僕たちは念話で楽しんでいたけど……
「……ふ~。……黒猫に指名依頼を出しても良いか?」
指名依頼? 面倒なことだが……
「内容によるわね。私たちは貴族みたいな人のためでなくて、弱い人のための依頼なら考えなくもないわ!」
「……おそらく弱き者のためになるぞ……。貴族のためにもなってしまうが……。――強いゴブリンを倒してほしい! どれくらいいるかもわからないが、出来るだけ多くの奴を……」
「――騎士として私からもお願いだ!」
「俺も――この国の冒険者として!」
……三人が深々と頭を下げている。一生懸命さは感じられるが……
「ラウール、受けてあげましょう。私たち以外では無理だと思いますよ。もし面倒であれば、クロウとヤマトだけでも大丈夫ですけどね。」
ソフィアがそう言うと、驚いた顔で僕の肩を三人が見た。
「流石にそんなひもみたいな事はしないよ……僕も外に出るよ。」
「当然私もよ!」
そんな感じで僕たちが次にすることが決まった。
良いのか悪いのか、国王が持ち出せた金銭が少なくて、国からも莫大な報酬が出るように交渉してくれるそうだ。
冒険者ギルドでは、王都周辺から徐々に討伐範囲を拡げて行くそうだ。それは通信できる生き残った都市などにも方針が伝えられるそうだ。
国についても話し合いしだいだが、出来るだけゴブリンの集落を発見し、殲滅していく作戦を考えると言っていた。
「じゃあ一応他の国にも注意を促しておいてね。他の国はこのバイアント王国よりはまともな人が先に立っているから……まーー今はここも前よりはましなんだろうけど。」と僕が言ってギルドマスターの部屋を出た。
……
冒険者ギルド内にはまだ冒険者が多く残っていて、僕たちの姿が皆から見える所まで来ると、冒険者たちは静かになった。
だが「ありがとうございました!」と冒険者ギルドの受付の方向から声がかかった。
「……ありがと「ラウールに話しかけてもいいけど、私のものだからね!」――」と僕は返礼も出来ない……
それが良かったのか、冒険者ギルド内は不思議な雰囲気となった。何か苦笑いしている人や、本気で笑い出した強そうな人までいた。
……
僕たちは冒険者ギルドを出ると、今日は休むことにして、王国バイアントに初めて入った時から泊まっている宿に戻った。
この宿でも食料の入手が難しいらしく、食事は質素だが僕たちは満足だった。何か作り手の気持ちが伝わって来るような優しい味だからだ。
……
一泊休み、早速僕たちはゴブリン狩りに出掛けることにした。
王都周辺は他の人たちが頑張るだろうから、王都から離れた場所でゴブリンを探していく。
クロウとヤマトに任せきるつもりはないが、効率を考えて別れて行動することにした。
僕とサクラは一緒になり、クロウとヤマト、ソフィアは自由に行動することにした。だけど討伐証明のために、死体だけは必ず回収して、討伐証明以外にも作物のための肥料として活用しようと考えていた。
「じゃあ我は魔人を狙うからね! 近くにいなかったら遠くまで行ってくるから、心配しないでね!」
……クロウがやられるビジョンが見えない……
「じゃあ俺は反対側に行く! 邪魔をするなよクロウ!」
……反対側にいるのに邪魔をどうやって……でもクロウなら出来る気もする……
「私はのんびりと近くを探していますね。皆が戻ってきたら姿を見せますのでご心配なく……」
……ソフィアが一番普通だ……
「じゃあ私たちは無理をしないで一日ごとに帰って来ようねラウール! それくらいのんびり構えましょ。この国も広いからね!」
そんなサクラの言葉で、バイアント王国のゴブリン狩りが始まった。
「聞きたいことの一つは、魔人の事だ。それを先に聞きたいのだが……」
あ~、一番初めの問いか。
「じゃあ私が説明しよっかラウール?」
「ん~、僕たちよりは話をまとめるのも上手いし、ソフィアに任せよっかな? いいソフィア?」
「良いですよ。私がまとめて話しますね。」
ソフィアが了解してくれて話し出した。
「先に言っておきますが、質問は後にしてくださいね。話の流れが悪くなりますから……」
ソフィアが先にそう言って話し出した。
はじめに魔人は魔物か人が何かによって魔人に変わるというところから話が始まった。そこから赤の旅団、魔人の強さ、組織だった動きをしている事、組織の中枢となる存在がいる事、四天王の事……
他の国の冒険者ギルドとプッチモ王子やラーバンスト王子にも情報を伝えてほしいと付け加え、四天王の存在とジャックと言う名の更に上の存在がいることも伝えた。
この地に関する事では、ここからはルビックが言うことを信じるなら、一気にゴブリンが増えることはない。
だから順にゴブリンを討伐していくと良いと思うが、強いゴブリンもそのまま置いていったようだから油断しないようにと話した。
ソフィアの予想では、魔素が多いところからゴブリン以外の魔物が産まれて成長できたり、魔物や獣が流れてバイアント王国に入ってくるようになると生態系がもとに戻ったと言えそうだとの事だ。
……
……
ソフィアの話が終わってからしばらくは皆が無言だった。
まー僕たちは念話で楽しんでいたけど……
「……ふ~。……黒猫に指名依頼を出しても良いか?」
指名依頼? 面倒なことだが……
「内容によるわね。私たちは貴族みたいな人のためでなくて、弱い人のための依頼なら考えなくもないわ!」
「……おそらく弱き者のためになるぞ……。貴族のためにもなってしまうが……。――強いゴブリンを倒してほしい! どれくらいいるかもわからないが、出来るだけ多くの奴を……」
「――騎士として私からもお願いだ!」
「俺も――この国の冒険者として!」
……三人が深々と頭を下げている。一生懸命さは感じられるが……
「ラウール、受けてあげましょう。私たち以外では無理だと思いますよ。もし面倒であれば、クロウとヤマトだけでも大丈夫ですけどね。」
ソフィアがそう言うと、驚いた顔で僕の肩を三人が見た。
「流石にそんなひもみたいな事はしないよ……僕も外に出るよ。」
「当然私もよ!」
そんな感じで僕たちが次にすることが決まった。
良いのか悪いのか、国王が持ち出せた金銭が少なくて、国からも莫大な報酬が出るように交渉してくれるそうだ。
冒険者ギルドでは、王都周辺から徐々に討伐範囲を拡げて行くそうだ。それは通信できる生き残った都市などにも方針が伝えられるそうだ。
国についても話し合いしだいだが、出来るだけゴブリンの集落を発見し、殲滅していく作戦を考えると言っていた。
「じゃあ一応他の国にも注意を促しておいてね。他の国はこのバイアント王国よりはまともな人が先に立っているから……まーー今はここも前よりはましなんだろうけど。」と僕が言ってギルドマスターの部屋を出た。
……
冒険者ギルド内にはまだ冒険者が多く残っていて、僕たちの姿が皆から見える所まで来ると、冒険者たちは静かになった。
だが「ありがとうございました!」と冒険者ギルドの受付の方向から声がかかった。
「……ありがと「ラウールに話しかけてもいいけど、私のものだからね!」――」と僕は返礼も出来ない……
それが良かったのか、冒険者ギルド内は不思議な雰囲気となった。何か苦笑いしている人や、本気で笑い出した強そうな人までいた。
……
僕たちは冒険者ギルドを出ると、今日は休むことにして、王国バイアントに初めて入った時から泊まっている宿に戻った。
この宿でも食料の入手が難しいらしく、食事は質素だが僕たちは満足だった。何か作り手の気持ちが伝わって来るような優しい味だからだ。
……
一泊休み、早速僕たちはゴブリン狩りに出掛けることにした。
王都周辺は他の人たちが頑張るだろうから、王都から離れた場所でゴブリンを探していく。
クロウとヤマトに任せきるつもりはないが、効率を考えて別れて行動することにした。
僕とサクラは一緒になり、クロウとヤマト、ソフィアは自由に行動することにした。だけど討伐証明のために、死体だけは必ず回収して、討伐証明以外にも作物のための肥料として活用しようと考えていた。
「じゃあ我は魔人を狙うからね! 近くにいなかったら遠くまで行ってくるから、心配しないでね!」
……クロウがやられるビジョンが見えない……
「じゃあ俺は反対側に行く! 邪魔をするなよクロウ!」
……反対側にいるのに邪魔をどうやって……でもクロウなら出来る気もする……
「私はのんびりと近くを探していますね。皆が戻ってきたら姿を見せますのでご心配なく……」
……ソフィアが一番普通だ……
「じゃあ私たちは無理をしないで一日ごとに帰って来ようねラウール! それくらいのんびり構えましょ。この国も広いからね!」
そんなサクラの言葉で、バイアント王国のゴブリン狩りが始まった。
0
お気に入りに追加
262
あなたにおすすめの小説

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!

生まれ変わっても一緒にはならない
小鳥遊郁
恋愛
カイルとは幼なじみで夫婦になるのだと言われて育った。
十六歳の誕生日にカイルのアパートに訪ねると、カイルは別の女性といた。
カイルにとって私は婚約者ではなく、学費や生活費を援助してもらっている家の娘に過ぎなかった。カイルに無一文でアパートから追い出された私は、家に帰ることもできず寒いアパートの廊下に座り続けた結果、高熱で死んでしまった。
輪廻転生。
私は生まれ変わった。そして十歳の誕生日に、前の人生を思い出す。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる