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第三章 上を目指して
第百十五話 ジャックの尻尾
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僕たちはクロウに案内されて目的の所に近づいていた。一応戦闘に備えている。
……
……
クロウに言われた方向にある程度の時間をかけて行くと、僕でもわかる強いものの気配がした。
これは魔人? 人でも魔物でもない気配がする。――やはり魔人が関わっていたのか。
……
僕たちは相手に覚られないようにして近づく。相手はそこまで探知能力もないようで、姿が確認できるほどの距離まで近づけた。
僕たちはその姿を確認すると驚いた。
蜘蛛の魔物が人間の姿となっている容姿……細マッチョな体に手が六本。顔は蜘蛛の特徴を残しており、異形のものと言える姿をしている。
「相手を一人も殺せなかっただと? どんな強者が潜んでいたのだ? 数年前の調査ではそこまで警戒する人はいなかっただろ?」蜘蛛の魔人がゴブリンに向かって話をしている 。
流石にゴブリンの『ぐぎゃ、ぐぎゃギャ!』と言う音を言葉として認識出来ないが、蜘蛛の魔人は何を言っているのかわかるようだ。
……
「くっ、ジャック様から与えられたこのアイテムは使っていないが……こうも簡単に集めたゴブリンを倒されるとは……作戦を見直すべきか? ――それとも恥を忍んで私以外の四天王に助力を願うか……」
……四天王……
ここに来て四天王か……だが助力を願うと話す言葉は、こいつらは仲が良い?
普通であれば四天王はお互いにライバルの位置にいるが、チームワークが良い悪の組織など、手強くて相手にはしたくない。
「ふ~。……私が一度戻ってジャック様と相談する必要がありますね……。何せようやくジャック様の覚醒が数年がかりで終わりましたからね。ようやく行動が開始されたのですから――だからといって急いで失敗しては全てが無になりますからね。…………あ~君たちには難しい話ですね、ただの独り言ですよゴブリンさん。ですがもう一騒ぎするために、はいこれを飲んでくださいね。」
蜘蛛の魔人がそう言って目の前にいるゴブリン五匹に何か黒い飴玉のような物を食べさせた。
「ではあの人が集まっている所を攻めてくださいね。」と蜘蛛の魔人が言うと、転移の魔法なのか? 何かの魔道具なのか気配が消えた。
……
僕たちが見ている先のゴブリンが変化、進化している……
周囲の魔素を集め、体内からの魔力も体にまとわりつき、急激にステータスが上昇している。
……
「オイイクゾ。オレタチガアレヲほロボシテ、オレタチノイバショヲ……」
「アア、オイラタチガアンゼンニスゴセルバショヲ……」
「イコウゼ! イツマデモワレワレガカラレルノハオカシイ!」
「オレタチモイキルタメニヒツヨウナコトヲシテルンダ。ナゼワレワレガゴブリンダカラカラレナケレバイケナイ。」
「アア。イキルタメニ、コヲソダテルノニヒツヨナコトヲシテイルノハイッショダゾヒトよ」
「ソレヲイッテヤルノダ! ヨウヤクジャックサマ、タランサマカラモラッタコノチカラデ!」
……
この会話を聞いていた僕たちは驚いた。ただのゴブリンがロード種以上ドラゴン未満になったのもあるが、実際にゴブリンが話す内容が……種族繁栄のための行動に思えてくる。
だからといって人である僕たちが魔物の被害にあうのを許容するわけではないが、魔物は魔物で自分達の種族の事を考えているのはわかった。
「ラウールどうする?」とサクラが小声で聞いてきた。
「ん~、意外な話が聞けたけど、僕たちと同じ人のために、ゴブリンは倒すよ。」と僕たちは小声で会話を続けた。
「そうね……あの世界でも最後の方では思っていたけど、生き物が生きるための行動って――どうしても自己中心的……自分と似ているものから優遇する。だからこの状況は……」
「わかるよサクラ……生きるために命がある動物、魔物を殺す……。不快だから虫を、虫型の魔物も殺す……。何かのためのは生きている……」
「ラウール……だけど私たちは前世からその色んな矛盾を乗り越えて、最後は自分たちの行動がしにくくなる相手を倒してきた……」
「うん――だからサクラ、クロウ、ソフィア、ヤマト……。今まで通り僕の行動についてきてくれる? 何度も悩み、何度も聞いてきた言葉だけど…………しつこくてごめんね。」
……
「夫婦はどこまで行くにも一緒よ!」とサクラの声でゴブリンの意識が僕たちに向く。
「我は二人の子――間違ったら強引にでも止めるけど、これはいつも通り!」とクロウはゴブリンに視線を送る。
「――ですね。何度も話した話題ですからね。」とソフィアがゴブリン五匹の動きを魔法で止める。
「俺もだな! うん!」と何だか適当なヤマトの返事だったが、ヤマトが黒猫の姿で口からブレスを吐く!
そのブレスは属性も関係ないと言うように、ただの圧倒的な魔力をゴブリンに向けて吐いた。
……
貴重な素材や情報になったかな?
だけど僕たちが跡形もなく消してしまった。
何かの進化をした魔物……
そしてここでようやくジャックの情報が得られた。
ジャックは生きていて何かの目的を持って行動している。
タランを見ると感じるが、簡単には尻尾を掴ませないような組織に感じた。……お互いに協力できるような話しぶり……ただのゴブリンをあそこまで強くするアイテム……。自分達の信念……ただ自分の力を示すだけではない……共通した目的のある組織……
ジャックの事を考え、話をしながらオーション市に戻った。今回は意外な情報を得てしまった。
これは僕たちはどう行動するか考えないといけない。
ただ生きたいように生きて、僕たちの障害になったときだけ倒す。……それとも積極的にジャックについて探って基を殺してしまうか……
帰路だけではなくて数日、行動しながら数年でも考えないといけない課題になったように思えた。
……
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クロウに言われた方向にある程度の時間をかけて行くと、僕でもわかる強いものの気配がした。
これは魔人? 人でも魔物でもない気配がする。――やはり魔人が関わっていたのか。
……
僕たちは相手に覚られないようにして近づく。相手はそこまで探知能力もないようで、姿が確認できるほどの距離まで近づけた。
僕たちはその姿を確認すると驚いた。
蜘蛛の魔物が人間の姿となっている容姿……細マッチョな体に手が六本。顔は蜘蛛の特徴を残しており、異形のものと言える姿をしている。
「相手を一人も殺せなかっただと? どんな強者が潜んでいたのだ? 数年前の調査ではそこまで警戒する人はいなかっただろ?」蜘蛛の魔人がゴブリンに向かって話をしている 。
流石にゴブリンの『ぐぎゃ、ぐぎゃギャ!』と言う音を言葉として認識出来ないが、蜘蛛の魔人は何を言っているのかわかるようだ。
……
「くっ、ジャック様から与えられたこのアイテムは使っていないが……こうも簡単に集めたゴブリンを倒されるとは……作戦を見直すべきか? ――それとも恥を忍んで私以外の四天王に助力を願うか……」
……四天王……
ここに来て四天王か……だが助力を願うと話す言葉は、こいつらは仲が良い?
普通であれば四天王はお互いにライバルの位置にいるが、チームワークが良い悪の組織など、手強くて相手にはしたくない。
「ふ~。……私が一度戻ってジャック様と相談する必要がありますね……。何せようやくジャック様の覚醒が数年がかりで終わりましたからね。ようやく行動が開始されたのですから――だからといって急いで失敗しては全てが無になりますからね。…………あ~君たちには難しい話ですね、ただの独り言ですよゴブリンさん。ですがもう一騒ぎするために、はいこれを飲んでくださいね。」
蜘蛛の魔人がそう言って目の前にいるゴブリン五匹に何か黒い飴玉のような物を食べさせた。
「ではあの人が集まっている所を攻めてくださいね。」と蜘蛛の魔人が言うと、転移の魔法なのか? 何かの魔道具なのか気配が消えた。
……
僕たちが見ている先のゴブリンが変化、進化している……
周囲の魔素を集め、体内からの魔力も体にまとわりつき、急激にステータスが上昇している。
……
「オイイクゾ。オレタチガアレヲほロボシテ、オレタチノイバショヲ……」
「アア、オイラタチガアンゼンニスゴセルバショヲ……」
「イコウゼ! イツマデモワレワレガカラレルノハオカシイ!」
「オレタチモイキルタメニヒツヨウナコトヲシテルンダ。ナゼワレワレガゴブリンダカラカラレナケレバイケナイ。」
「アア。イキルタメニ、コヲソダテルノニヒツヨナコトヲシテイルノハイッショダゾヒトよ」
「ソレヲイッテヤルノダ! ヨウヤクジャックサマ、タランサマカラモラッタコノチカラデ!」
……
この会話を聞いていた僕たちは驚いた。ただのゴブリンがロード種以上ドラゴン未満になったのもあるが、実際にゴブリンが話す内容が……種族繁栄のための行動に思えてくる。
だからといって人である僕たちが魔物の被害にあうのを許容するわけではないが、魔物は魔物で自分達の種族の事を考えているのはわかった。
「ラウールどうする?」とサクラが小声で聞いてきた。
「ん~、意外な話が聞けたけど、僕たちと同じ人のために、ゴブリンは倒すよ。」と僕たちは小声で会話を続けた。
「そうね……あの世界でも最後の方では思っていたけど、生き物が生きるための行動って――どうしても自己中心的……自分と似ているものから優遇する。だからこの状況は……」
「わかるよサクラ……生きるために命がある動物、魔物を殺す……。不快だから虫を、虫型の魔物も殺す……。何かのためのは生きている……」
「ラウール……だけど私たちは前世からその色んな矛盾を乗り越えて、最後は自分たちの行動がしにくくなる相手を倒してきた……」
「うん――だからサクラ、クロウ、ソフィア、ヤマト……。今まで通り僕の行動についてきてくれる? 何度も悩み、何度も聞いてきた言葉だけど…………しつこくてごめんね。」
……
「夫婦はどこまで行くにも一緒よ!」とサクラの声でゴブリンの意識が僕たちに向く。
「我は二人の子――間違ったら強引にでも止めるけど、これはいつも通り!」とクロウはゴブリンに視線を送る。
「――ですね。何度も話した話題ですからね。」とソフィアがゴブリン五匹の動きを魔法で止める。
「俺もだな! うん!」と何だか適当なヤマトの返事だったが、ヤマトが黒猫の姿で口からブレスを吐く!
そのブレスは属性も関係ないと言うように、ただの圧倒的な魔力をゴブリンに向けて吐いた。
……
貴重な素材や情報になったかな?
だけど僕たちが跡形もなく消してしまった。
何かの進化をした魔物……
そしてここでようやくジャックの情報が得られた。
ジャックは生きていて何かの目的を持って行動している。
タランを見ると感じるが、簡単には尻尾を掴ませないような組織に感じた。……お互いに協力できるような話しぶり……ただのゴブリンをあそこまで強くするアイテム……。自分達の信念……ただ自分の力を示すだけではない……共通した目的のある組織……
ジャックの事を考え、話をしながらオーション市に戻った。今回は意外な情報を得てしまった。
これは僕たちはどう行動するか考えないといけない。
ただ生きたいように生きて、僕たちの障害になったときだけ倒す。……それとも積極的にジャックについて探って基を殺してしまうか……
帰路だけではなくて数日、行動しながら数年でも考えないといけない課題になったように思えた。
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