114 / 168
第三章 上を目指して
第百十三話 冒険者ギルドで鍛える
しおりを挟む
冒険者ランク――
冒険者ランクの最高位はSランクだった……。だが最高位にしたはずのSランクになってからも冒険者ギルドに貢献を続ける者がいた。
だからSSランクが出来た。――最高と言う意味を込めたS……だから他の文字にはならなかった。
そして今はSSSランクまである……。昔で言うとSSランクがここにあたる――
Sがこれから先はどこまで増えるかわからないが、今はジョルジュギルマスのSSランクは通常の人間を越えているのである……
で――
僕とサクラはオーション市でAランク依頼をこなしていた。この都市ではSランク依頼並みかそれよりは難しい依頼もある。僕達には紹介されないが、受けるほどの冒険者がいるようだ。
クロウ達に三匹はアルグリアン王国を飛び回っている。怪しい奴らは捕らえたり、情報を集めるために魔法をかけたりして過ごし、何だかんだと一ヶ月ほど時間がたっていた。
……
――SSSランクの冒険者の戦闘力を越えた僕たちは……
僕たちは今は何故か「師匠!」と呼ばれる事がある。……それは冒険者の育成と言う依頼を受けたことで呼ばれるようになった呼ばれ方である 。
僕達は今Aランク冒険者だ。
ここは見た目で侮るような冒険者はいないギルドだ。
そこで僕達は僕たちより下のランクの冒険者を鍛えた――同じAランク冒険者もいたような気がするが……
……
「整列!」とサクラが言うと目の前には若々しい……幼い冒険者や熟年の……中年の冒険者が並んだ。
「今日はまた私たちと模擬戦よ! 悪い動作はあそこにいる妖精のソフィアに聞いて! ――じゃあ左から!」
ソフィアはいつの間にか調査班ではなく冒険者活動班になっていた。クロウとヤマトは相変わらずこの国を……もしかすると世界を飛び回っている。
そしてソフィアもこの冒険者ギルド内では危ない事も起きず、助言役になっていた。
ソフィアの助言は的確で、ベテランの冒険者までもが今はサクラの前に並ぶ状況に拍車をかける一因となっていた。
「――あなたはあの時に何処を見ていましたか? 私から見ると――こうしたらと思いましたが――」
「はい、あなたは体力作りからですね。」
「もっと自分にあった詠唱を考えてください。」
「ん~、大分完成に近いですから、もっと魔物などと戦ってください。」
「――何処かにいってください……」
最後は僕たちと戦っていない人だったから、冒険者ギルドの職員に追い出されていた。
――まだソフィアを狙う人がいたのか! そんな人をここに入れる冒険者ギルド……あっ……謝っているな……
……
……
大分時間がたった。
「ここまでよ。後はまた自主練習よ! ……走る、体力をつけるのを忘れないでね。」サクラはそう言うと僕に駆け寄ってきた。
「ラウール、私にばっかり任せないでよ! 客観的に見てるのはいいけど、私はあなたの妻よ! 妻が攻撃されても言い訳?」
「……ごめんごめん! 僕から見ると、サクラもストレス発散をしているように見えたから! ――ごめんね……」
「――ごめん! 私もわかってるんだけどね……。何か今のこの何も変化がなくて……でも放ってもおけない状況だと、何かスッキリしなかったのよ……ラウールにもあたってごめんね……」
「いいよそんなに謝らなくても、僕も今のこの半端な状況は嫌だからね。……僕たちが干渉しなくてもいいならね……」
今僕たちは何も変化のない日を過ごしていて、ストレスが溜まっていた。
魔物人間がいるとわかっているのにこのままのほほんと過ごして良いのかと……顔見知りが出来て――その顔見知りに悪いことが起きても放ってもおけるのかと葛藤していた。
特別仲の良い人を作らないようにしていたのもしがらみを避けるためだったが、半端に知っている人を作ったのも失敗だった……
何も知らなければ……知らないから何も行動していない、行動する以前に何も知らないのに…………。矢張人の中にいると色々と起きてしまうな……嫌と言う気持ちだけでもないが、何か気持ちに矛盾を感じてしまう今日この頃……
「クロウに聞いて何かぱーーと魔物とでも戦う? 私はそれでもいいと思うけど……」
「魔物か~、今僕たちが戦うような魔物っているのかな?」と僕が言ったとき、一人の冒険者が近づいてきた。
「久しぶりサクラ! 私もここに来たよ!」と声をかけてきたのはモイスさんだった。モイスさんは「王都でも特にやりたいことがなくて、西大陸にでも行こうかと思ってたら、ここにあなたたちがいるってわかっちゃったから――声をかけちゃった!」と言った。
「久しぶりねモイスさん。いつ見ても小さいですね! 私も小さいけど、モイスさんと違ってこれから成長するからね! ――どことは言わないわよ。」
「――ん~、ん、んん。……久しぶりねラウール。私に何か言うことはない?」
何を言えと……
「お久しぶりですねモイスさん。王都は何も変わりありませんか?」
「ん~もう! ――まあいいわ。……王都は色々とあるわよ。ラウールたちが魔物人間って呼んでいたのが、魔人って言われるようになったんだけど……まだ魔物人間って言ってる? ……魔人が時々捕まるようになってきたのよ。何があったのかはわからないけど、魔物で比べるとオーガよりちょっと弱いくらいかな? そんなのがたまに出現するようになったから、王都は大変よ~。私もパーティーに勧誘されて大変だったのよ! 今になってソロの私を仲間にしようと頑張ってくるのよ! 魔人が見つかるようになって……」
「……で、面倒になったと……」
「ハッキリ言うとね! だって今まで都合よく使われそうになったり、この私のこの……容姿……こんな見た目を口説くような人たちがひっきりなしに来るのよ! ――嫌よ……」
「あ~確かに嫌ね。私もこの見た目で嫌なめにもあったし……だけど私にはラウールがいたから良かったけどね!」
「くぅ~、あ~、そうよ。……私は誰にも守られていないわよ! だから一時的にでいいから守ってよ! ――目処がついたら離れるから!」
……ん~、今度の面倒事は……異性……低身長童顔……か?
冒険者ランクの最高位はSランクだった……。だが最高位にしたはずのSランクになってからも冒険者ギルドに貢献を続ける者がいた。
だからSSランクが出来た。――最高と言う意味を込めたS……だから他の文字にはならなかった。
そして今はSSSランクまである……。昔で言うとSSランクがここにあたる――
Sがこれから先はどこまで増えるかわからないが、今はジョルジュギルマスのSSランクは通常の人間を越えているのである……
で――
僕とサクラはオーション市でAランク依頼をこなしていた。この都市ではSランク依頼並みかそれよりは難しい依頼もある。僕達には紹介されないが、受けるほどの冒険者がいるようだ。
クロウ達に三匹はアルグリアン王国を飛び回っている。怪しい奴らは捕らえたり、情報を集めるために魔法をかけたりして過ごし、何だかんだと一ヶ月ほど時間がたっていた。
……
――SSSランクの冒険者の戦闘力を越えた僕たちは……
僕たちは今は何故か「師匠!」と呼ばれる事がある。……それは冒険者の育成と言う依頼を受けたことで呼ばれるようになった呼ばれ方である 。
僕達は今Aランク冒険者だ。
ここは見た目で侮るような冒険者はいないギルドだ。
そこで僕達は僕たちより下のランクの冒険者を鍛えた――同じAランク冒険者もいたような気がするが……
……
「整列!」とサクラが言うと目の前には若々しい……幼い冒険者や熟年の……中年の冒険者が並んだ。
「今日はまた私たちと模擬戦よ! 悪い動作はあそこにいる妖精のソフィアに聞いて! ――じゃあ左から!」
ソフィアはいつの間にか調査班ではなく冒険者活動班になっていた。クロウとヤマトは相変わらずこの国を……もしかすると世界を飛び回っている。
そしてソフィアもこの冒険者ギルド内では危ない事も起きず、助言役になっていた。
ソフィアの助言は的確で、ベテランの冒険者までもが今はサクラの前に並ぶ状況に拍車をかける一因となっていた。
「――あなたはあの時に何処を見ていましたか? 私から見ると――こうしたらと思いましたが――」
「はい、あなたは体力作りからですね。」
「もっと自分にあった詠唱を考えてください。」
「ん~、大分完成に近いですから、もっと魔物などと戦ってください。」
「――何処かにいってください……」
最後は僕たちと戦っていない人だったから、冒険者ギルドの職員に追い出されていた。
――まだソフィアを狙う人がいたのか! そんな人をここに入れる冒険者ギルド……あっ……謝っているな……
……
……
大分時間がたった。
「ここまでよ。後はまた自主練習よ! ……走る、体力をつけるのを忘れないでね。」サクラはそう言うと僕に駆け寄ってきた。
「ラウール、私にばっかり任せないでよ! 客観的に見てるのはいいけど、私はあなたの妻よ! 妻が攻撃されても言い訳?」
「……ごめんごめん! 僕から見ると、サクラもストレス発散をしているように見えたから! ――ごめんね……」
「――ごめん! 私もわかってるんだけどね……。何か今のこの何も変化がなくて……でも放ってもおけない状況だと、何かスッキリしなかったのよ……ラウールにもあたってごめんね……」
「いいよそんなに謝らなくても、僕も今のこの半端な状況は嫌だからね。……僕たちが干渉しなくてもいいならね……」
今僕たちは何も変化のない日を過ごしていて、ストレスが溜まっていた。
魔物人間がいるとわかっているのにこのままのほほんと過ごして良いのかと……顔見知りが出来て――その顔見知りに悪いことが起きても放ってもおけるのかと葛藤していた。
特別仲の良い人を作らないようにしていたのもしがらみを避けるためだったが、半端に知っている人を作ったのも失敗だった……
何も知らなければ……知らないから何も行動していない、行動する以前に何も知らないのに…………。矢張人の中にいると色々と起きてしまうな……嫌と言う気持ちだけでもないが、何か気持ちに矛盾を感じてしまう今日この頃……
「クロウに聞いて何かぱーーと魔物とでも戦う? 私はそれでもいいと思うけど……」
「魔物か~、今僕たちが戦うような魔物っているのかな?」と僕が言ったとき、一人の冒険者が近づいてきた。
「久しぶりサクラ! 私もここに来たよ!」と声をかけてきたのはモイスさんだった。モイスさんは「王都でも特にやりたいことがなくて、西大陸にでも行こうかと思ってたら、ここにあなたたちがいるってわかっちゃったから――声をかけちゃった!」と言った。
「久しぶりねモイスさん。いつ見ても小さいですね! 私も小さいけど、モイスさんと違ってこれから成長するからね! ――どことは言わないわよ。」
「――ん~、ん、んん。……久しぶりねラウール。私に何か言うことはない?」
何を言えと……
「お久しぶりですねモイスさん。王都は何も変わりありませんか?」
「ん~もう! ――まあいいわ。……王都は色々とあるわよ。ラウールたちが魔物人間って呼んでいたのが、魔人って言われるようになったんだけど……まだ魔物人間って言ってる? ……魔人が時々捕まるようになってきたのよ。何があったのかはわからないけど、魔物で比べるとオーガよりちょっと弱いくらいかな? そんなのがたまに出現するようになったから、王都は大変よ~。私もパーティーに勧誘されて大変だったのよ! 今になってソロの私を仲間にしようと頑張ってくるのよ! 魔人が見つかるようになって……」
「……で、面倒になったと……」
「ハッキリ言うとね! だって今まで都合よく使われそうになったり、この私のこの……容姿……こんな見た目を口説くような人たちがひっきりなしに来るのよ! ――嫌よ……」
「あ~確かに嫌ね。私もこの見た目で嫌なめにもあったし……だけど私にはラウールがいたから良かったけどね!」
「くぅ~、あ~、そうよ。……私は誰にも守られていないわよ! だから一時的にでいいから守ってよ! ――目処がついたら離れるから!」
……ん~、今度の面倒事は……異性……低身長童顔……か?
0
お気に入りに追加
262
あなたにおすすめの小説
夫を愛することはやめました。
杉本凪咲
恋愛
私はただ夫に好かれたかった。毎日多くの時間をかけて丹念に化粧を施し、豊富な教養も身につけた。しかし夫は私を愛することはなく、別の女性へと愛を向けた。夫と彼女の不倫現場を目撃した時、私は強いショックを受けて、自分が隣国の王女であった時の記憶が蘇る。それを知った夫は手のひらを返したように愛を囁くが、もう既に彼への愛は尽きていた。
2番目の1番【完】
綾崎オトイ
恋愛
結婚して3年目。
騎士である彼は王女様の護衛騎士で、王女様のことを何よりも誰よりも大事にしていて支えていてお護りしている。
それこそが彼の誇りで彼の幸せで、だから、私は彼の1番にはなれない。
王女様には私は勝てない。
結婚3年目の夫に祝われない誕生日に起こった事件で限界がきてしまった彼女と、彼女の存在と献身が当たり前になってしまっていたバカ真面目で忠誠心の厚い騎士の不器用な想いの話。
※ざまぁ要素は皆無です。旦那様最低、と思われる方いるかもですがそのまま結ばれますので苦手な方はお戻りいただけると嬉しいです
自己満全開の作品で個人の趣味を詰め込んで殴り書きしているため、地雷多めです。苦手な方はそっとお戻りください。
批判・中傷等、作者の執筆意欲削られそうなものは遠慮なく削除させていただきます…
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる